遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 鶏卵

 卵には、一つの生命が発生するものだけに、それに必要なすべての栄養分がそなわっています。
 まず、すぐれた良質蛋白質があります(人の蛋白質にちかく、乳と肉との中間)。熱量も多い。ビタミンA、B、Dともに多い。(もっともCは少いが)カルシウムはやや乏しいが、これは雛の発育には卵殻のカルシウムが利用されるからです。燐にとみ酸性度は強いがカルシウム対燐の比は1:3.5。但し、脂肪やコレステロールが多いので、過ぎれば動脈硬化の原因となるおそれがあります。アメリカでは中年以後は週2ヶくらいに制限せよ、といわれているということです。それにしても、卵が栄養価の高い優れた食品であることに間違いはない。しかし、決してすべての栄養分が全部そろった完全な食物ではないので、不足するミネラル、ビタミンを補うためには、やはり良質野菜を十分に添えなければなりません。
 それは表や図で明らかなように、同量(卵100グラムに菜っ葉100グラム)でよろしい。食べ方としては、昔から精がつくといって生卵が好まれていますが、過ぎるとある種のビタミンの不足をおこすことがあるそうですし(もちろん1日1ヶや2ヶでは問題でないが)、細菌(サルモネラ菌など)の点でも考慮を要するものがないでもないようです。ですから、健康鶏の新鮮卵以外は、調理するほうが無難というものでしょう。

 けれども現在のように養鶏業として飼われる場合、まず鶏舎が問題。運動どころか、ろくろく身動きも出来なければ、日光にもあたらず、風通しもよくない狭い、アパート住いといった、全くもって不自然きわまる環境に窒居することを余儀なくされており、ついばむべき土もなければ糞もありません。
 そして飼料は、科学的配合と称し、完全飼料と称せられてはいますが、その実、まことに不完全な濃厚飼料――しかも飼料そのものの質や安全性にも不安がなくもない――があたえられる、という状態。まこと、鶏はただ卵を生むことだけのための機械にひとしいものです。こうした不自然かつ不合理な環境と飼料で飼われている鶏が、本当に健康であり得る筈がありません。廃鶏の多いことは、それを端的に物語っています。

 この廃鶏について愉快な話があります。ある青汁ファンのお寺さんの子供しが、どこかから廃鶏をもらって来ました。そのうちつぶして食べようと、家内一同楽しみにしながら、青汁のしぼりカスを与えていたところがです。奴さんだんだん元気になって、せっせと卵を生み出し、とうとう食べ損なってしまった、というのです。
 実際、養鶏場の鶏はどんどんダメになります。それは当然のこととされているのだそうですが、余りひどくては商売にならぬので、いろいろの薬をつかいます。アパートにも金をかけ、冬場は暖房、夏場は冷房、でもあるまいが、温度の調節をうまくしてやらぬと卵をうまぬ、いや斃れてしまう。全く手の焼けること夥しい。これが現在の科学的養鶏の実態のようですが、もともと山野に住んでいたのを飼いならしたにすぎず、寒さにも暑さにも強い筈の鶏に、暖冷房が必要であったり、人間なみの薬をのまねばならぬとは、なんともおかしな話ではありませんか。

 それはともかく、そうした鶏のうむ卵が果して健康でありうるでしょうか。それに、飼料の栽培にあたって使用される農薬、病弱あるいは病鶏をまもるために用いられる薬品なども、僅ではあろうが、卵の中にはいって行くでしょう。そして、中毒したり、あるいは過敏反応をおこす下地をつくることにもなりましょう。こう見て来ると、すぐれた栄養食品として、病弱者や子供、老人に賞用されている卵が、実は、国民健康をすすめる食品というよりは、むしろ、国民健康を損う食品になってしまっているのではないでしょうか。
 本当の健康卵というものは、決して今ふつうに見られる、ああいうものではありません。黄味の色からして、まず違います。そして、全体に張りがあり、半月状にもり上っており、味も香いも、まるで違います。これでも面白い話があります。ある青年。からだが弱かったが、私どものいう通りの方法でケールを栽培し、青汁を十分に飲んで丈夫になりました。かねて鶏を少し飼っていたが、青汁のカスをやるようになって産卵率がうんと上った。そして町の料理屋へおさめたところ、そこの女将のいわく。「これが本当の卵だ。あんた方の卵はウチで引請ける。よそへまわしてはならぬ」という惚れこみよう。お蔭で二重の得をさせてもらった、とこの青年は相好を崩していました。(注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1,B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)

 
熱量蛋白質カルシウムB1B2
鶏卵15612.7652302.6 8001003000
仝100+
大根葉100
20517.92552604.0380020060090
 
カロリーgmgmgmg国際単位ガンマガンマmg

<1965・11 健康と青汁 第111号より>




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