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鼻咽腔炎と鼻のうがい

 病気のおこり方の一つに病巣感染というのがある。
 これは、からだのどこかにバイ菌が巣喰っており(原病巣)、そこから出たバイ菌が、離れたところに病気(炎症)をおこすこと。よく知られているのは、扁桃炎や歯槽膿漏があって(原病巣)、それから腎炎がおきたり、リウマチになる。そして、病原巣の扁桃をとったり、歯をぬくと、腎炎やリウマチがよくなったり、治ってしまう。
 こういう腎炎やリウマチを、病巣感染症におこった、というわけ。
 しかし、腎炎やリウマチで、扁桃や歯に異常(病巣)のない場合も少なくないし、扁桃や歯の治療をしても、必ずよくなるともいえない。つまり、腎炎やリウマチの原因になっている感染源は、いつも証明できるとはかぎらない。

堀口教授の学説
 ところで、東京医科歯科大学の耳鼻咽喉科教授、堀口申作博士によると(日本医師会雑誌昭和47・2・1号)、そういう場合、かならずあるのが鼻咽腔炎だ。扁桃や歯に炎症があるときには、必ず鼻咽腔炎があるし、扁桃や歯に異常のない場合にも鼻咽腔炎はある。そして、鼻咽腔炎を治療すると、腎炎やリウマチがよくなり、腎炎やリウマチが悪化するときは、鼻咽腔炎も悪くなる、という風に、その間に並行し関係がみられる。だから、鼻咽腔炎は、病巣感染にたいして、扁桃や歯より、関係がふかいようだ、といわれている。

鼻咽腔とは
 この鼻咽腔というのは、鼻から喉頭、咽頭、気管へつづく気道の一部で、鼻腔のうしろ、軟口蓋の背面にあたる部分(図参照)で、鼻から吸いこまれた塵埃やバイ菌、ビールスなどが、もっとも付着しやすいところ。
 したがって、カゼ(ビールスの感染による)などの急性炎症がおきやすい。
 また、そうした刺戟は生涯くりかえされるので、慢性の炎症も少なくない(80%にあるという)。しかし、症状がかるくて殆んど自覚されるほどのものがないこと、ふつうの診療法では証明しにくいことと、などのため、これまでは気づかれずにいた。
 が、堀口教授の方法――その部の粘膜を綿でぬぐって採った標本でしらべると、正確に診断される――によれば、この部の炎症(鼻咽喉炎)が非常に多いことがわかった。しかも、1%の塩化亜硝液を塗布する、といった簡単な処置で治療することができ、それとともに、腎炎やリウマチがよくなる。
 そして、慢性扁桃炎、歯槽膿漏はもとより、慢性化膿性中耳炎や習慣性アフタ、全身性エリテマドーデス、甲状腺疾患や肝炎、糖尿病、強皮症(皮膚のかたくなる病気)、ベーチェット病といった厄介な病気にも応用でき、自律神経の異常などにもよい、という。教授は、この効果について、病巣感染という立場から、あるいは自己免疫、膠原病などといった、むつかしい理論で説明されているが、ともかく、鼻咽腔炎の治療によって、いろいろ多くの病気、しかも難治の病気までにも効果があるという事実はまことに注目すべきことといわねばならぬ。

鼻飲法(鼻のうがい)
 ところで、私どもは、昔から、カゼなど流行病の予防に、鼻飲法ということが行われていることを知っているが、この鼻飲法こそは、まさに、この鼻咽腔の「うがい」なんだ。
 鼻から吸いこんだ水で、鼻のおくから咽の間についているバイ菌やビールスを洗い流そう、とするもの。  また、平素からそうして(ことに冷たい水でやって)ここを鍛練しておけば、バイ菌やビールスにたいする局所の抵抗力が強くなるわけだ。だから、これを施行していれば、カゼに罹らなくなるというのだが、それだけでなく、鼻咽腔炎の治療で治るような厄介や病気の予防や治療にも役立つのではないだろうか。
 なお、時には、ただの水でなく、堀口教授のつかわれている塩化亜鉛の少しうすい液でやれば、いっそう効果的ではないだろうか。(47・4) 

<(1973・4 遠藤) 健康と青汁 第200号より>




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