遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
肺気腫

 肺気腫というのは、肺が極度にひろがり、息をふかく吸いこんだままになっている状態。つまり、肺の実質の病変で、弾力性の低下と呼出能の滅弱のため、肺胞(気道の末端の嚢状のところ)や、それにつながる終末気管支が異常に拡張している状態。そのため、ガス交換がうまく出来ず、いつも酸素不足の状態にあり、僅かの運動でも呼吸困難をきたし、ついには心臓をよわめることにもなる。

どうしてそうなるか
 こうした状態ができ上るには、胸をふくらまして気張ることと、肺や胸郭の弾力性が、病的あるいは生理的(老化)に、失われていることがあずかっている。で、よく、ガラス工や管楽器の吹奏者が肺気腫になりやすいといわれた。それは、職業がら、つねに大きく息を吸いこんで強く気張ることを繰りかえしているので、それに、体質的(薄弱)、あるいは年令的(老化)条件が加わることで、しだいに肺がひろがって来るのだ、とされていた。しかし、それだけで肺気腫になることはめったになく、もっとも多い原因は慢性気管支(細菌感染などによる)と喘息。そのいずれのばあいも、肺実質に変化があり、慢性気管支炎では咳嗽の続くこと、喘息では発作(気管支の痙攣と粘稠な分泌物のため呼気が妨げられ、肺は急性の膨脹状態になる)の反復によって、ながい間に、しだいに回復不能の肺気腫になってしまうわけ。ところで、最近は、一般に寿命がのびたこと、タバコの乱用、さらに大気汚染(工場や自動車の排気ガスや粉塵などの公害)により、慢性気管支炎や喘息が急増した結果、肺気腫に悩むものも非常に多くなって来た。

喫煙と大気汚染
 タバコでは、煙の中のカドミウムが問題。動物実験で、カドミウムの蒸気をながく吸入させると、肺実質が破壊されて、肺気腫がおきる。大気汚染では、亜硫酸ガスや硫酸ミスト、二酸化窒素や光化学オキシダント、あるいは浮游粉塵などによって、気管支や肺が傷害され、気管支炎がおき、喘息が出、肺気腫になる、という。慢性気管支炎の本場イギリスでの研究によると、タバコの害がとくに大きく、喫煙しなければ、大気汚染の影響は少ない、ともいわれている。しかし、まだ喫煙の習慣のない小児、たとえば、幼時に空気のきれいな米国へ移住したものでの調査では、本国のものに比べ、慢性気管支疾患にかかる率が、ずっと少ない。わが国でも、四日市その他、工業化のすすんだ各地で、公害病としての気管支炎や喘息が多発していることは、周知のとおり。

どうして予防するか
 ともあれ、現在のところ完成した肺気腫は、もはや回復不能で、姑息的な治療法しかない。また、慢性気管支炎にしても、一旦発病すると、根治はほとんど不可能にちかい。したがって、つとめて予防法を講ずべきで、気管支炎・喘息、および、その慢性化や、肺・胸郭の老化を防ぐことが、何より肝要と考えられる。そのためには、どうしても、気管支の感染を防ぎ、喫煙や大気汚染をさけ、咳の発作をへらすとともに、根本的の体質改善をはからねばならぬわけだ。

緑葉食・青汁
 この意味で、私どもは、緑葉食・青汁を中心とした食をすすめたい。それは、これによって、一般に体力をたかめ、細菌や毒物にたいする抵抗力をつよめ、気管支炎を防ぎ得ること。気管支を支配している自律神経の興奮性をしずめて、気管支の過敏性、アレルギー傾向を低め、喘息発作を防ぐこと また、いくらかでも老化現象をおくらすこと が出来るのではないか、と考えられるからだ。

呼吸運動
 なお同時に、一般日常生活を合理化し、呼吸運動――呼気を十分にする呼吸体操、すなわち、呼気のさい、両手で胸をおさえて、出来るだけ十分にはき出す運動 あるいは、入浴中に、同様の運動、または、深呼吸をすること(水の圧力で呼出がすすめられる) 腹式呼吸で、腹筋をはたらかして、十分吐き出す運動――横臥位で、頭部を低くして、または前屈姿勢で、腹式呼吸を行う などを励行する
 こうすることによって、初期ないし軽度のものでは、その進行をとどめ、進行したものでも、ある程度の回復が望めるだろうし、少なくとも、いくらかでも苦痛を軽くすることができるだろう、と思う。

<1972・12 健康と青汁 第196号より>




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