遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
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五十肩

 五十腕、五十手。四十肩、六十肩ともいわれる。その年ごろになって肩や腕が痛んでくるもの。また、似たものにヒザが腫れ痛むのがある。

私の経験
 まず、私の経験を語ろう。はじめて肩に痛みを感じたのは40才の冬。戦時中、召集されて姫路の陸軍病院にいた時。原因らしいものは何もなく、ある日、ふと、手をあげた途端、肩がひどく痛んだ。平素の業務や敬礼には何の支障もないが、電車やバスのつり革につかまる時などはげしい痛みが感じられた。暖くなるとともになくなったので、寒さのせいだったのだろうくらいにかんがえていたが、どうやら五十肩のはしりだったらしい(四十肩)。
 はっきりしたのが出たのは、ちょうど50才の時。とくに後上にあげる運動でひどく痛み、3〜4ヶ月つづいて、全くもと通りになった。60才になると、肩には異常はなかったが、こんどはヒザの痛みがあらわれた(六十ヒザ)。それも、ふつうに歩くには何のことはないのに、急な山坂を下りたり、田甫のアゼを飛びこえる時などに痛んだ。少し腫れてもいたようだ。たまたま、そのころ、おやじとおふくろの何回忌かの法事があり、久し振りに坐ったところ、それまでは何時間でもできた正坐が、とても苦しかった。但し、これらの苦痛も2〜3ヶ月だけだった。最後は70才の冬、また肩が、後上方にあげるとき痛んだ。しかし、ごく軽い痛みで1ヶ月あまりでなくなってしまった(七十肩)。このように、私のばあい、ちょうど10年ごと、しかも代がわりごとに現われている(あと2年あまりで80になるが、そこで、また出るかどうか、いささか興味をもっている)。

五十肩の原因
 五十肩の原因については、まだ、はっきりしたことはわかっていないようだが、おそらく、10年ごとくらいに、何かからだに変調――おそらくホルモン系のものだろうが――があらわれ、そのために、主に関節の異常がおこり、その変調がおさまると、正常にもどるのであろう。また、食を中心とする日常生活の不自然・不合理化といったことによる血のにごりのために、関節の反応性が変化し、感じやすくなっているのでもあろう。
 たとえば私のばあい、ふつう50才ごろにでる症状が、はやくも40才で出たのは、私に、そうした素質、すなわち、感じやすい関節をもっていたからであろう。しかも、それは、多分、1日6合の白米飯という当時の兵食、やけくそ半分飲みまくっていた酒などの不摂生がたたっていた(血のにごりを強めていた)ためであったろう。また、ふつう、五十肩はかなりの苦痛を伴い、その期間も半〜1年、あるいはそれ以上に及ぶことも少なくないのに、私のばあい四十肩の前歴をもちながら、苦痛そのものは比較的かるく(薬をのむほどではなかった)、期間も3〜4ヶ月と短かかったのは、つとめてナッパを食べ、青汁をのみ、栄養のバランスに気をつけていたためではなかったか(43〜4歳ごろから緑葉食・青汁を実行していた)、とかんがえられる。

自然に治るもの
 五十肩の症状は、ひどいものから軽いものまで、いろいろある。しかし、病変そのものはただ、関節周囲の組織がこわばり、かたくなり、痛みを感じやすくなっているだけで、やがて時期がくると、緩み、軟らかくなり、ついに、完全にもと通りに回復する。つまり、ほったらかしておいても、自然に、しかも完全になおる性質のもの。したがって、病気というよりは、むしろ、そういう状態にすぎない。とすると、治療法も、あまりたちいった手は加えず、ことに痛みにはよくきくかも知れないが、あとに故障を残すおそれがないでもない関節内注射などといったことは、つとめてさけ、なるべく自然にまかすほうがよいのではなかろうか。

痛みをへらす
 そのためには、なるべく無難な方法で苦痛をへらす工夫が必要だが、それには

  1. 局所にたいしては、
       あたためる(罨法、入浴、入湯もよかろう)。
       マッサージ(もむ、軽くたたくなど)。
       かるい運動(痛まない程度の)。
    などで局所の血のめぐりをよくし、組織をやわらげること。


  2. 食べもの
     バランスのよくとれた完全食とし、有害有毒食品をさけ(安全食)、なるべく血のにごりをへらすこと。穀・肉・脂・糖など酸性食品(痛みをつよめる)はつとめてさけ、良質ナッパを主とする野菜・山菜・海藻・果物などアルカリ食品(痛みをやわらげる)を多くすること。
     つまり、緑葉食・青汁。イモ・マメ・ナッパ・青汁食。あるいは、せめて、青汁だけでも十分――少なくとも1日2〜3合、もとのナッパ500〜750グラム以上――のむこと。
     そして、ときには、青汁絶食(ほかの食事は一切やめ、青汁だけのめるだけ多くのむ)をやってみる。なお、調理は簡単、調味はうすくし、嗜好品にも十分気をつける。ことに菓子・酒。コーヒー・紅茶は砂糖ぬきにするなど。

 こうすれば、症状はずっとかるく、治りも早いだろう。(52・11)

<(1978・4)健康と青汁 第260号より>



むかし話(初期の旧稿から) 五十肩と緑葉食

 三木威勇治教授の著書によれば、
 「五十肩というのは疼痛性肩関節制動症で、その病変は老人性変化または外傷、炎症性変化などである。そして組織が老人性となることがその素因をつくる。大体、老人性の変化を起した組織は外界の刺戟に対する反応が弱く鈍いので、急性の軽い運動痛や放散痛は乏しくて、後に残る関節攣縮が目立ち、不注意な運動で痛むものである。手当として、初期の放散痛や運動痛には安静固定、温熱応用その他が行われ、後の筋性攣縮には温熱、マッサージ、自動運動などによる寛解に重きをおく」、
 といわれている。
 しかし、老人性変化が根本である以上、これら局所処置とともに、一般若返り法を講ずべきはいうまでもないことで、正しい栄養を主とした日常生活の合理化が大切であろう。
 同書には、栄養についての具体的記載がないが、菜食ことに緑葉生食がよいようである。私は以前軍隊にいた頃、兵食によって肩の痛を覚え菜食で速かに去るのを経験しているが、今年の初ごろから(丁度50才なんだが)ちょいちょい肩が痛んだ。
 それはきまって悪食のつづいた後であり、緑葉食にし青汁を飲んでいると間も無く忘れてしまう。
 大言海には、俚言要覧をひいて、
 「五十腕、凡そ人50歳ばかりの時手腕骨節の痛むことあり。程過ぐれば薬せずして癒ゆるものなり。俗にこれを五十腕とも五十肩ともいふ。又、長命病ともいふ」
 とあるごとく自然にも治るものだが、こうした注意によって治りをはやめることが出来、また防ぐこともできるようである。
(25・1)

<(1988・11)健康と青汁 第387号より>




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