エンドウ・ソラマメ |
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これから、おいしいエンドウやソラマメが出ます。 キヌサヤ キヌサヤエンドウは野菜なみで、熱量や蛋白質は少ないが、アルカリにとみ、ビタミンもすべてそろっています。 生マメ 生マメはエンドウ・ソラマメとも、ビタミンのそろっている点は野菜にちかいが、熱量も蛋白質もかなり多く、酸性度の強い点は(カルシウム対燐の至適比は1:1〜2のところ、エンドウは1:6.3、ソラマメは1:4.7)主食に類するわけで、いわば、その中間のものですが、どちらかというと、むしろ主食としての性格の方が勝っているようです。 しかも、熱量対ビタミンB1の比は(至適比1カロリー対1ガンマ)、エンドウで1:2.45、ソラマメで1:1.67と、B1によほどの余祐があり、大根葉を僅か25グラム添えるだけでも、カルシウム:燐の比は、エンドウ・ソラマメとも1:1.9と、理想的のバランスになるという、すぐれた食品です。 乾燥もの エンドウ・ソラマメとも乾燥ものは、他の一般の豆類と同じく、熱量は多く、大体、穀物なみ。蛋白質にもとんでいますが(エンドウ21.7、ソラマメ26.0)、質的には余りよい方ではありません。カルシウムは相当多いが(エンドウ58、ソラマメ100)、燐はさらに多く、カルシウム対燐の比は、エンドウ1:6.2、ソラマメ1:4.4の酸性の強い食品。 ビタミンでは、Aは少なく、Cは0。 Bにはとんでおり、熱量とB1との比は、エンドウ1:2.15、ソラマメ1:1.5と、かなりB1に余祐があります。そして、大根葉を100グラム添えるだけで、いずれも十分みたされ、カルシウム:燐の比も1:1.6と、理想的になります。 ところで、エンドウにしてもソラマメにしても、ふつう、副食物にされています。けれども、栄養的には、以上のように、野菜にあたるものはキヌサヤだけ。乾燥マメでも、生マメでも、ともに野菜というよりは、むしろ穀類や芋類と同様の熱量食品です。しかも、白米を完全にするには良質ナッパ、たとえば大根葉3倍量を要し、半搗や麦類は2倍を要するのに比べ、乾燥ものでは同量で十分だし(玄米、ソバなみ)、生マメでは僅か1/4量だけでよいのだから、芋類(1/2量で釣り合う)よりもさらにすぐれた良主食品です。 ですから、キヌサヤ以外の豆は、おかずとして食べるべきではなく(おかずとしてでは、主食ばかり食べていることになり、食の改善にはならぬ)、主食として米飯に代用すべきであり、そうすることによって、少なからず食改善に貢献することが出来るわけです。 したがって、豆飯また大いに結構というものですが、いま一歩すすめて、味なしの素炊きか、味うすく炊いた豆だけを、米の代りに食べるならば、より一層よいわけです。生マメの出まわる時節はもとより、乾燥ものも、こうした食べ方にもっともっと利用したいものです。 もっとも、重曹を入れたものや(折角多いビタミンがこわされる)、どんなものがはいっているかも知れない出来あいの煮豆は感心できませんが。 いり豆 エンドウや、ハジケ豆は比較的食べよいが、ふつうのソラマメはなかなか硬くて、うっかりすると、歯の方がまいってしまいそうです。これをポツリポツリとやるのですから、子供たちのお八つには、まさにおあつらい向き。栄養的にも、菓子よりはずっとよいし、歯の鍛錬にもなろうというもの。また、時間がかかるので退屈しのぎにもぐあいがよろしい。 私の父は、わかい頃、水兵として水雷艇に乗りこみ、日清役にも従軍したのですが、「当番で夜の見張りにつく時など、何よりうれしかったのは郷里から送ってくれた「いり豆」だった」といつもいっていました。そして、慰問袋には、必ず入れるよう指図していました。 私が中学校の寄宿舎にいた頃、よく送ってくれたのも、やはり、これでしたが、これこそ本当に「ふるさとの味」というものでしょう。今では子供のお八つには全くお菓子ばかり。そして子供の健康をそこなう重大因ともなっているのですが、なんとか、こうした無難なものにもどすことは出来ないものでしょうか。
<1968年 5月 健康と青汁第141号より>
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