遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
腸を強くするには

 腸がよわいということは、ふつう、下痢しやすい腹のことを意味します。
 食物の消化は主に小腸の仕事で、小腸から送られて来る内容から、水を吸いとって糞塊をつくり上げ、それを体内に排出するのが大腸の役目です。
 ですから、下痢しやすいのは、大腸の働きが悪くて、水分が十分吸収されないためか、あるいは大腸が感じやすくて、僅かなことでも、腸内への水分の分泌が多くなって、便が軟くなったり、腸管の運動がたかまって、便が固まりきらぬうちに出てしまったりすること。
 つまり、腸が弱くて、働きが悪く、また、感じやすくて不安定なためです。
 これに対しては、なるべく腸をいたわってやることと、ともに、鍛錬を加えて強化し、安定させることが根本です。

 まず、内からは、なるべく消化しやすい、刺戟の少い食物にする――不消化な線維や刺戟物の少い、また温い飲食物。
 そして、外からは、腹をつつんで冷やさぬよう気をつけ、懐爐や湯タンポであたためること。また、温浴、腰湯。ただの風呂でもよいし、塩湯なら尚よろしい。以前には菖蒲、ヨモギ、柳葉、イチジク葉、松葉、杉葉の湯や、大根千葉湯などが好まれていました。ケール湯がよいという人もあります。何でもよろしい。野菜やその他の青葉湯、また青汁のしぼり渣湯も結構です。
 温泉もちろんよろしい。要するに、腹をぬくめるのが眼目。しかし、これらは、いずれも消極的ですから、もっと積極的に鍛錬を加えて、少々のことでは、ビクともせぬようにすることが、より肝腎です。

 食べものについては、不消化物や冷い食べもの飲みものは、出来るだけよくかんで食べたり飲む。不消化物が悪い、冷いものがよくないというのは、消化のよしあしとか、温度そのものよりは、むしろ、そのかみ方によります。どんな不消化物でも、よくかんで、かみつぶしてオモユのようにして飲みこめば、少しも差支ありませんし、いかに冷いものでも、よくかんでいるうちに温って来ます。
 冷い飲物も、ガブ飲みせずに、一口づつかみしめて飲めば、決して、そうこたえるものではありません。
 昔の人が、水でもかんで飲めと訓えているのは、このことです。腸がよわいからといっては、何もかもドロドロにし、消化しやすくして食べるのは、老人や幼児はともかく、一般には、大事にするようにみえて、実は、かばいすぎ、鍛錬の機会をなくし、強くなる機会を捨ててしまうことです。
 消化しやすくとか、温いものとかいった、細かい末梢的な注意よりも、栄養分の完全にそろった食、しかも、生の菜っ葉と、生の脂肪(バタ)をそえた完全食であることと、それを、十分にかみくだいて食べる、ということの方が、むしろ、より根本的な条件だ、と私は考えます。

 また、腹部にも、なるべくいろいろの刺戟を加えて、腸の働きを強め、抵抗力をつくるよう努むべきです。

腹の皮の機械的の刺戟
 腹の皮を撫る、さする、叩く、圧える、震動さす。つまんで持ち上げ急にはなすなど。
 仏典に、「下痢には腹を棒で叩く」とか、「赤痢白痢には手を以て丹田を捻れ」などとあります。
 いずれも、反射的に腸の血行をよくし、働きをつよめるものです。

腹の皮の運動
 腹の皮を走らすといってペコペコ早く走らすように動かす。または、腹の皮を力を入れてふくらましたり、凹ます。
 呼吸にあわせてやってもよろしい。腹式呼吸では、吸う息で腹をふくらまして力み、吐く息で腹を凹まして力む。
 胸式では、吸う息で凹まし、吐く息でふくらます。歌をうたうのもよし、嘔吐運動をやるのもよろしい。
 ヒポクラテスは、「激しい下痢は自然に嘔吐すると治る」といっています。上体の前後左右への屈伸またはひねり運動。
 両下肢を上げ下げしたり、グルグル円を画く運動。うつ伏せで、手をついて上体をおこす運動などなど。
 いずれも、腹圧をたかめ腹部にうつ滞する血液を駆出し、腸の血行をよくすることでも、腸の働きをよくするわけ。

(1968・7)<健康と青汁143号より>




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