遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク


 茶はアジア南方の特産で、太古から東インド、交趾シナに自生。わが国では、九州や四国南部には野生していますが、茶として飲むことは、遣唐使や留学僧によって奈良時代に支那から伝えられ、一般にひろがったのは鎌倉時代からだそうです。
 有効成分は、興奮作用や強心・利尿作用のある茶素(カフェインと同じもの)とタンニン。
 茶の功能として、「眠りをさめしむ」とか「眠りを少くす」、また「目を明かにす」、あるいは「志を悦からしむ」とか「神を調へる」、また「小便を利す」というのは茶素の作用であり、「下痢によい」というのはタンニンのためです。
 けれども、茶の葉には、その他に大切な成分があります。
 それは、茶の葉が、緑葉の乾燥物であることから明かなように、種々の栄養素をもっていることです。
 なかでもビタミンに富んでおり、A・Bだけでなく、Cも多く、貯蔵法が適当であれば、相当期間保存されることは注目すべきです。
 またミネラルでは、カルシウムにとみ、鉄も多いし、良質の蛋白質もあります。つまり、一般緑葉と同様、良ビタミン・ミネラル源(蛋白源)です。
 ただし、今ふつうに用いられる煎茶で(蛋白源)は、特有の香味と茶素の効を求めるのが主で、栄養素の利用という点では、殆んど問題にされません。
 まして番茶ともなれば、茶素にも乏しく、ただ、焙じて、煮立てて味を悪くした湯に香味をそえるだけの意味しかない、といってよいくらいです。
 ですから、これは、茶の葉以外の茶、たとえば柳・柿・桑・山茶あるいは笹の葉、または野草類の茶でも大して変りないわけです。
 しかし、栄西禅師の喫茶養生記には、「茶は養生の仙楽なり、延命の妙術なり」とあり、本草書に、「久服身を軽くす」とか、「羽化す」、あるいは「酒ならびに諸毒を解く」。または疫(流行病)や瘴気(マラリア)を除くこと、瘻瘡(結核性瘻)によいこと。「熱気を破る」など、熱病や流行病の予防や治療によいことが述べられています。
 これらは、いずれも、もともと、茶が、今の煎茶のように嗜好品として用いられたのでなく、粉末にして(抹茶)薬用されたことを物語るものです。
 その効は、おそらく主として、茶の葉が素晴しいビタミン・ミネラル給源(蛋白源も)であり、それによって栄養のバランスを改善し、ために、一般機能、したがって解毒能をまし抵抗力を加える、というところにあるのでしょう。
 喫茶養生記の喫茶法に、「方寸匕にて二三匙」とあり、一寸四角の匙に二三杯のむ、というのですから、それはかなりの分量です(もっとも床時代の「寸」が今のどれ程にあたるか詳でないのですが)。
 ともかく、茶は、決して単なる嗜好飲料ではなくて、きわめて大切な栄養食品です。
 ですから、なるべくは抹茶として用うべきですが、これは、コストの点はともかくとしても、興奮作用のため、とても十分には摂れません。
 そこで、せめて煎茶の茶がら(茶かす)でも利用したいものです。
 これは、徳川時代、武家でもやったことだそうですが、これならば、全くの廃物利用ですし、まずコストがかりません。
 しかも、煎汁(煎茶)の中に出るのは、水溶性成分のごく僅かのものだけで、殆んどすべての栄養分は茶がらに残っているといってよいのです。
 その上、茶素は抜けてしまっているので、安心していくらでも食べられる、という利点もあります。
 春さきのやわらかい新芽でつくった上茶の茶がらは、結構、野菜代りにサラダ風にそのまま食べてもよし、煮物、テンプラにしてもよろしい。
 番茶は、盛夏の候の葉でつくるものだけに、葉は少々かたくて食べにくいのですが、これとて、乾して粉末にすれば、乾燥緑葉末の代用には、十分なります。
 紅茶や烏蘭茶のように、製造過程中に醗酵させるものでは、ビタミンはうんと減っており、Cは皆無になっています。しかしAやBはなお相当あり、ミネラルもあるので、それらの給源としての価値はあります。
 「茶がらも肥になる」と馬鹿にしたり掃除の塵とりにして捨ててしまうのは、なんとも勿体ない限りです。
 一般に、良質ナッパの摂り方は少いのですし、とくに東北や北海道などの雪国ばかりではなく、青物の不足する地方や季節では、もっと茶がらの利用法をかんがえてみるべきでしょう。
 満豪で用いられている団茶がそれで、これは単なる飲物ではなく、汁の中にきざみこんで食べるので、確かにうまい茶の利用法というべきでしょう。
 なお、茶の生葉は製茶葉にくらべ、さらにビタミンやミネラルが多いことでしょう。
 できれば生のまま食べたいものですが、渋味のため、まず、グリーンサラダの薬味とするか、少しをしがんでみる程度で(山登りの時などにしがむと、とても美味しいし、渇きを消してくれる)、とても十分の分量は食べられません。

 <(1967・6 遠藤)健康と青汁第130号より>




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