遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
青汁と砂糖

 青汁はうまくない。もっとうまくならぬものか、という声は確にあります。また初めのうちは少しも無理はないとも思います。しかしなるべく皆さんが生地(しぼったままの純液)を飲まれること、また飲まれるよう慣れられることをおすすめします。味つけも、塩とか酢とか梅酢などは少しも差支はありませんが、砂糖やその他の甘味では折角の青汁の効めも消えてしまいます。
 青汁の値うちは、私どもの毎日の食餌に、ミネラルやビタミン類が甚しく不足しているという、栄養上の重大な欠陥を直す、いちばん手っとり早い方法だ、という所にあります。しかしたとえミネラルやビタミンの多い青汁を飲んでも、一方で余りにも甚しい不完全食(白米飯や砂糖が多く野菜の少い)をとっていては、とても埋め合すことはできません。砂糖でも黒砂糖のような粗製品はまだしもですが、精製した白糖となると、純粋の糖分(カロリー源)だけで、他の栄養素は何んにもありません。この糖分(穀物の澱粉も同じですが)が体内で燃えてエネルギーを出すにはビタミンBがいります。そしてBが不足すると酸性の有害物ができ、それを中和するためにカルシウムを奪いとります。もともとビタミンBやカルシウムの乏しい私どもの食餌に、糖分がさらに加わることは、不完全さを倍加するわけで、ビタミンやカルシウム不足の害を一層大きくすることになります。

 高血圧には青汁は大変よくきくものですが、どうもよくならぬという人もあります。こういう人によくききただしてみると、大概菓子や砂糖がすぎています。また便秘でも同じことがあります。青汁は大抵の便秘によいものですが、ききめの見えぬ方には菓子や砂糖の好きな人が多いものです。これは折角青汁はのんでいても、その効力が糖分の多過ぎるために帳消しされてしまうからです。

 それでも甘味がどうしても欲しければ糖蜜にしましょう。糖蜜は砂糖の原液(砂糖キビや砂糖ダイコンの汁を煮つめた)から砂糖の結晶をとり去った残りのカスです。黒褐色のどろどろした、いかにも見かけのよくないもので、甘味も少い。けれどもビタミンBにもミネラルにも頗る富んでいるすぐれた食べ物です。
 アメリカでは、ハウザー博士が健康長寿食品の一つにかぞえているように、一般家庭でもかなり使われているようですが、貧乏なくせに何もかも贅沢になっているわが国では、一向に見むきもされず勿体ないことに飼料や酒精の原料にされています。ぜひとも砂糖がわりに使うようになりたいものです。

 そのほか菓子や甘味飲料でおそろしいことは、有害な人工甘味(ズルチンなど)や有毒な色素が、随分とつかわれていることです。サイダー、ラムネ、ジュース類その他のあまいものはすべて同じです。こういう健康上よくないものを少しもおかまいなしに、それもただ甘いもの欲しさだけのために、食べたり飲んだりすることは、全く寒心にたえぬことです。
 子供のお八つなどは特にそうです。子供の健康状態のよくないことには、菓子なり砂糖なり、こうした有害な甘味品がかなり大きな原因になっています。毎日子供にあたえる間食なかでも甘いものには余程気をつけないと、結果として、可愛い子供に毒を食べさせたり飲ましたりしていることにならぬとも限らないのです。このことは世のお母さん方に特にご注意申上げたいと思います。いや、子供だけではありません。健康がすぐれなかったり、病気の治りがはかばかしくないのも、多くは食物のあやまり、白米飯やことに菓子の食べすぎ、砂糖のつかいすぎからです。青汁はこのあやまりを補おうとするものですが、それら(白米飯や菓子砂糖など)が多いままでは、とても追っつきません。青汁を少々のんでいても三度の食事や間食が直されねば実際の効果はのぞめません。

 また、これが直って来れば(白米飯が減り菓子砂糖が少くなれば)、青汁に少々の甘味をつけるくらいのことは問題ではなくなります。私どもが躍気になって、生地の青汁をおすすめするのは、つまりは毎日の食餌を直そう、完全にしようという所にあります。又皆さんが青汁を飲まれようというのも、決してうまさのため、嗜好飲料としてではなく、必ずや、よりよい健康をかち得、少しでも早く病気を治したいため、いわば薬のような気持で飲んでいられるのでしょう。

 前にも記しましたように青汁の目的は、普通の食べ方で不足する青野菜――栄養分でいえばミネラルやビタミン類――の補いのためですから、濃いものほどよいわけです。青汁の味は濃いほどよくないものですが、なるべく為によくないものは入れずに飲むようにいたしましょう。そして、それとともに平素の食べ方にもよく注意して、白米飯や砂糖の多すぎぬよう、菓子類はなるべく食べぬよう、またズルチンなど有害な人工甘味のはいったものはやめるようにいたしましょう。そうすれば必ず健康状態はよくなり、病気の治りもはやめられます。また甘いものもさほど欲しくはなくなるものです。

 ともかく砂糖だけでも減らしましょう。これになれると、ほんとにやめられなくなり、ついには有害と知りながら人工甘味さえもとめるようになってしまいます。世の多くの人は、酒やタバコの害についてはよく知っていられ、随分やかましくもいわれますが、甘味品については存外無頓着です。しかしその害は少しもそれらと変らぬのみか、安心して濫用されやすいものだけに、却って大きい害を及ぼしています。実際現在の不健康の最も大きい原因であるといっても少しも言い過ぎではありません。青汁もよいが、同時に白米飯や、ことに糖分が多かったら、少々くらい飲んでも――あるいはうんと沢山飲みでもせねば――とてもききめは望めぬ、ということを、くどいようですが、もう一度くりかえしておきます。

<1957・1 健康と青汁 第11号より>



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