遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
アレルギー体質

 アレルギー体質とは正しく定義することは仲々むつかしいのですが、まあ、食物や薬品、毒虫や毒草その他のものにあたったり、かぶれたりしやすい、といった異常反応をしめす体質(特異体質)とでもしておきましょう。名前のように一つの体質には相違ありませんが、生れついた性質とばかりはいえません。恐らく生れつきの素質のある所へ、外界からの色々の刺戟が働いて、感作され、異常の反応をおこすようになるものと考えられます。
 それには、環境(気候や風土)に関係したものとか精神的のもの、その他がありますが、食物の影響も少くありません。何かを食ってジンマシンが出るとか、下痢するとか、喘息がおこるとかいうのもそれです。これは食品そのものが直接の原因になるものです(こういうものをアレルゲン性食品といいます)が、その他アレルギー体質をつくることにも関係します。

 その一つは、食物が全体として不完全栄養になっている場合で、その為に神経の興奮性が変化したり、あるいは不完全な代謝のためにできる有害物が、大切な臓器の働きをいためなどして、異常反応の下地をつくるようになります。たとえばカルシウムが不足すると神経の興奮性がたかまりますし、肝臓などが侵されると、体内の解毒が充分うまく行かぬ為に何かと感じやすくなり、アレルギー反応をおこしやすくなります。又飲食物によって色々の毒物が摂り入れられて、直接または間接に、同じ結果を招くことも考えられます。この問題は近頃やかましく注意されて来ましたが、全くやりきれぬ思いのするものです。このことは、最も安全な筈の自然の産物である農作物でさえ、今では農薬(随分劇しい毒薬があります)の洗礼をうけていないものはない、という事実だけからでも思いやられましょう。
 店さきの野菜や肉類(獣鳥魚介)には、イキをよく見せる為の薬品や色素がまかれたり塗られています。新鮮なものさえそうなのです。まして加工食品や貯蔵食品ともなれば、ただそれだけ(加工、貯蔵)の為にも変質している(ビタミンやミネラルが減る)上にミエをよくする為(白く見せる為には漂白したり、蛍光剤を加えたり、化粧料を施したりします。また色をよくする為には色素が使われます)、保存をよくする為(防腐、防虫剤)、軟くする為(軟化剤)、味をよくする為(安価に甘くする為の人工甘味料)などの目的で使われている薬品は実に夥しい数に上っており、学者によれば、恐らく数百種から千種にも及んでいるだろうといいます。実際、まさかこんな物には、と思う程の食品にまでは入っているのが実情です。しかも有害なものも決して少くはありません。

 その影響には、薬品を添加することで栄養価の落ちることと、薬そのものによる害毒とがあります。薬によっては、ビタミンを減らしたり無くしてしまうものもあり、またビタミンやミネラルの利用を悪くするものもあります。薬そのものの害では、直接有害なものの使用は勿論禁止されていますし、保健所あたりで監視をしている筈です(尤も、儲けさえすればといった当今の商人はそんなことなど一向頓着してくれませんから、少しも安心はなりません)。けれども、極く少量で直接には害のない程度のものは許されています。所が、実はこれが却って危いのです。というのは、無害とされている微量でも長い間には、積り積って恐しい害をすることが無いとは限らぬからです。
 人造バタの色つけに使われるバタ黄という色素で肝臓癌ができたり、無害だとして家庭で調味料にも使われている人工甘味料のズルチンも、長い間には癌をつくると分ったことなどはそのよい例でしょう。詳しく調べたらまだまだそうしたものが沢山見つかるかも知れません。いやきっとあるに相違ありませんが、何しろ千種類もの薬品であってみれば、一一それを調べ上げるなどということはとても出来るものではありません。それだけに心配でならぬわけです。なおもう一つはここで問題になっているアレルギー性の反応の原因になる可能性もあることです。私ども医者の方では、薬によってよくカブれるものや、初め何ともなくても長く使っている内にカブれるようになるもののあることは、よく知られていますが、同じことが飲食品に入れられている薬品でも当然あってもよい筈です。所で医薬品の場合、その数は多いといってもそう沢山ではありませんし、反応をおこしやすいものは大概きまっていますから、すぐに見当がつきます。けれども飲食品の場合のように、恐しく多数のものが入り乱れて使われているのでは、どれが原因になっているのか一寸見当のつけようがありません。どうもこうしたことが、原因の分らぬアレルギー体質の原因になっているのではないかと考えたくなります。少くともそうでないとは絶対にいえぬと思います。

 いずれにしても食品によってアレルギー反応のおこること、あるいはそれを助けていることは間違ないようです。そこで特異体質の方々にすすめたいことは、原因となる食品を食べぬようにするか、極少しづつから慣らして行くことは申すまでもありませんが、その他にまず栄養を完全にすること、特にミネラル、ビタミンを充分に摂るように努める(緑葉食にし青汁を励行する)と共に、食品の撰び方に注意し、なるべく新鮮な自然物、または自然に近い状態のものをとるようにし貯蔵食品や加工食品は一切これをさけることです。
 たとえば米は玄米、または粗搗米。小麦粉は全穀粉、少くとも色の黒いもの。そして搗精または製粉後時間の経っていないものとし、漂白したり蛍光剤化粧剤を入れたものはさけること、肉や魚や卵、果物、野菜類はすべて所謂「地もの」の新しいものとし、乾物、塩蔵、罐詰、瓶詰など加工品貯蔵品はさけること。甘味料は粗糖、蜂蜜などとし、サッカリン、ズルチンなどの人工甘味料はさけ、塩味の味噌、漬物、佃煮などはなるべく自家製とし、酸味は果汁とするなど、つとめて純正品とし粗悪品はさけること。煙草、酒はもとより、菓子類や嗜好飲料(サイダー、カルピス、ジュース類)、乳酸菌飲料、氷菓子などには色素や人口甘味の入ったのが少くないから、特に注意することなど、まあいわば原始的な自然食に帰ることです。何分にも長い間に培われた体質の異常ですから、一朝一夕に根治できる筈はありません。しかしこの方針で、根気よく少しづつでも合理化する方向へ進むように努めておれば、遂には多年の悩みから解放されることも決して不可能ではないでしょう。青汁を励行し、食生活を改めるだけで完治した例もあります。食品撰択の上に更に細心の注意を払うならば一層効果は著しくなるに違いありません。

<1957・11 健康と青汁 第16号より>




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