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はじめに
ここでは、青汁に関わり始めた筆者が感じた素朴な疑問を集めてみました。そもそも、どうして青汁にするのか? に始まり、少しずつ青汁に対するこだわりを持っていただくため、業者の間での結構まじめな問題意識も暴露していくつもりです。趣味で、青汁についての蘊蓄を傾けたい方にも喜んでもらえるようがんばります。尚、これはあくまで青汁を生業とする者の少々身勝手な解釈です。行き過ぎた表現等がありましたら忌憚なく御指摘ください。今後の研鑽の糧とさせていただきます。
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目次
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1-1 なぜ直接食べずに、砕いて絞って<『青汁』にするのか?
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故遠藤仁郎先生の話によれば、(以下確認事項と略します。)
厚生省の全国平均食から割り出すとおおよそ1日500グラムの良質ナッパをナマのまま食べる必要がある。これを毎日よくかんで食べることはなかなか容易なことではない。そこで、潰して絞って汁にすれば約2合の青汁になる。これなら胃腸の負担も少なく、無理なく続けられる。
私なりの納得
草食動物の代表格である牛。草を喰って牛乳を出す。草だけで生きていけるのも大したもんだが、その上ミルクを出す。ミルクのもとは草以外にない。ということは、草には何でも含まれているんだろう。たぶん………でもしかし、牛は4つも胃袋を持っている。人は一つしか胃袋がない。牛のまねをするのは無理がある。ナッパを潰して絞るのは牛の胃袋の変わりに方便としてそうしているんだろう。人は勿論、肉も食べる。米も卵も……。草から得なければならないもののみに換算すると1日500グラムということか。それでもけっこうな量になるから青汁にするんだろう。青汁はある意味で加工食品かもしれない。
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1-2 なぜケールなのか?
モロヘイヤではだめなのか?
クロレラはどうなんだろう?
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確認事項
ケールを勧めているのは、成分が優れている事。味が良い事。大きな葉になるので収量が多い事。日本中の多くの地域で、ほとんど年中とれること。
私なりの解釈
上の条件を満たせば、ケールでなくともいいようだ。でも、なかなかそう言ったものが見当たらないらしい。でも…… 成分が優れている点なら、例えば、最近はやりの『モロヘイヤ』とか、ケールの他にもあるかも知れない。しかし、葉っぱが小さかったり、妙なねばりがあったりすると、絞って青汁にするのには向かない。絞らなければ、500グラムの摂取は容易なことではない。少々細かく砕いても繊維がそのまま残るので、胃腸の負担は大変だろう。
『クロレラ』というのもあるが、これは吸収が悪いと聞いた。細胞膜を破壊して吸収をよくしたと言う話を聞いたが、どうやって破壊するのだろうか?……
また、クロレラは自分の家では作れない。最初から業者主導だ。添加物で皮膚病が出たという話も聞いたことがある。人工培養のため痕跡ミネラルに疑問が残るともいわれている。そして、意味不明な値段。……よほど信用できるところでないと心配。今後、研究が必要だ。
そう考えると、青汁健康法なるものの基本コンセプトとして、『自分で植えて、自分で絞り、自分で飲む。』ということがありそうだ。何はいいだの悪いだの言って迷うよりは、自分で植えて、自分で育て、自分で飲む。……だから安心して最高のものが得られる。ということなんだろう。
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1-3 青汁に食物繊維が豊富だというが、本当だろうか?
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確認事項
以前の青汁は、スリ鉢、ミンチ、ジューサー等ですりつぶし、こして粗い繊維を除いたしぼり汁。最近は葉全体、繊維ごとこなごなになったつぶし汁。
しぼり汁とつぶし汁、同じ容量の青汁ならば、ビタミン、ミネラル、その他の普通の栄養分は、しぼり汁の方が繊維分が少ない分だけ多くなる。しかし、葉っぱの中にはまだわからない未知の成分もありそうで、それを残す意味ではつぶし汁のほうがよいということになる。
とはいえ、繊維だけについていうなら、ある程度の量までは確かに必要だが、胃腸の負担や有効成分の吸収を妨げる意味から、少量の青汁の場合は、つぶし汁、大量に飲用する場合は、少なくとも一部はしぼり汁にするのがよい。
私なりの納得
本来青汁はしぼり汁。だから食物繊維が豊富と言う言葉に違和感を覚えたが、しぼるからといっても、微細な繊維はすり抜ける。ナッパの汁なんだから繊維が少ないはずも無い。とはいえ、大量の良質ナッパを胃腸の負担少なく摂取し、それを有効に吸収しようとすれば、繊維は過剰になりがちなわけで、そんな意味から、しぼって粗い繊維のカスを除いていたわけだろう。
最近の加工機械は進歩しているので、粗い繊維カスが出てこない。同時に未知の成分も除かなくて済む。胃腸の負担と吸収の妨げを許せる範囲で繊維もまた大切なもの。ということだろう。
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1-4 青汁作りにミキサーが向いていないというのは本当なのか?
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確認事項
青汁をしぼるのに、一番いいのはすり鉢。次がミンチ。ミキサーでもいいのだが、長くかけるとビタミンCがなくなる。2分以内にする事、5分もするとほとんどなくなってしまう。ジューサーは便利だが、メーカーにより一長一短があり、どれもいまひとつである。その後、1985年に、『リカバーミル』という機械ができている。(つぶし汁) 野菜ジュース絞り機『グリーンパワーS』という機械もある。(しぼり汁)
私なりの思い込み
昨年、当時を知る人にビタミンCの減衰について聞いたところ、以前、直接計測実験を行っているとのこと。ミキサーの金属刃が原因と思われたが、明らかに数分でビタミンCは、なくなってしまったという話。どうも金属がよくないらしい。ビタミンBについても疑問あり。これらは水溶性のビタミンなので、空気に触れるだけでこわれたりするらしい。
ビタミンA(カロチン)等の油に溶けるビタミンはこわれにくいらしい。だから、青汁に菜種油やサラダ油を2〜3滴なんて話しがあったのだろう。どうしてもミキサーを使いたい人は、貝原先生に聞けばいいのだろう。カスを取りながらのちょっと難しい青汁の作り方を教えてくれそうだ。通常の青汁愛飲者は、何を使っているのだろうか?(ジュースマシン?)
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1-5 その後わかったこと
ミキサーが向いていないのは、実は攪拌による空気の混入。……
ビタミンCの減衰の原因はそれだけではなかった。
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2-1 青汁に味を付けて飲み易くしてもよいのだろうか?
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確認事項
なかなか飲めない場合、始めには少量を適宜うすめ、あるいは味直しして飲み始める。しかし、すぐになれるから、なるべくは生地のまま、鼻をつまんででも飲む事。そして、なれるにつれて分量をましてゆけば、やがて、一度に2〜3合でも平気で飲めるようになる。
当初、味つけするとしても、塩とか酢とか梅酢なら差支えないが、精白糖やその他の甘味では青汁の効めも消えてしまう。糖分が体で燃えてエネルギーを出すにはビタミンBが必要。その結果Bが不足すると酸性の有害物ができ、それを中和するためにカルシウムを奪いとる。もともとビタミンBやカルシウムが不足しがちだから青汁を飲むわけだから、糖分が加わってしまっては効果はなくなってしまう。だから、どうしても甘味を付けたい場合は、『糖蜜(砂糖の原液から結晶を取り去った残りカス)』の様に、ビタミンBやミネラルに富むものを使うべき。
私なりの解釈
味直ししてでも、飲んだほうが飲まないよりまし。ということみたい。それとなれてきたら生地で飲みなさい。ということか。……うまい、まずいを決めるのは、自分の体なのだから自分の体を合わしていく。この姿勢こそが大切なんだろう。少なくとも食べ物を自分の体に合わしていては、体質は改善されないわけだから。
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2-2 りんごやにんじんを混ぜて味直しするとどうしていけないのか?
バナナはだめなのか?
みかんはどうなんだろう?
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確認事項
りんごやにんじんには、ビタミンCを壊す酵素アスコルビナーゼが含まれている。これをケールと一緒にすり潰すとCがひどく減ってしまう。別々につくって飲む時混ぜるか、後口に飲むべき。一般的にくだものはどれも同様。
バナナの場合は例外。ビタミンへの影響はないが、かなり強い農薬が使われている様なので、その点注意が必要。
みかんも例外。夏ミカンもOK。でも農薬は注意。有機フッ素剤が多用されている可能性あり。収穫後の色付けも不安あり。
牛乳、お茶、味噌汁等と混ぜるのは問題なし。
私なりの解釈
家庭用ジューサーが普及しはじめた頃、1961年秋、京都の地方新聞で、『第2段階に移った青汁ブーム』と題した記事が出たらしい。その内容はというと、
『まず、おいしい、ということが栄養摂取の第一条件、青汁オンリーの段階はもう過ぎた。ジューサーを使って、毎日美味しい天然ジュースを飲みましょう。一日に一升ものジュースを飲む為には、絶対美味しくなければ続けられない。』
というかなり家電メーカー側の商業色の濃いものだった。これを見た、ある遠藤青汁関係者の方が、易きにつく人の人情に付け込んだ商業主義と批判している。
食養生として、まずいナッパの味に自分の体を合していくことこそが、片寄った食事からくる、片寄った味覚をも是正する。やはり、青汁をおいしくして飲もうというのは青汁の基本的な精神に反するものだ。まずい青汁を無理なく飲める自分を作っていくことが、実は大切なことなんだろう。
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2-3 どうして、りんごやにんじんが目の敵にされたのか?
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確認事項
果物には、病害虫防除のためや、鮮度保持のため。または、味をよくするためにも、危険な農薬が随分無造作に使われているようだ。そんな中でも、りんごと人参は特に………、
りんご
1968年の健康と青汁の3面より、東京のベターホーム協会にある『暮らしの研究室』が国立公衆衛生院の医学博士らの指導で調査した結果では、店頭にならぶりんご「祝」、「スターキング」、「国光」(昨年産)について以下の鉛が検出されたとのこと。他の数種のくだもの、野菜(多いもので、1PPM前後)に比べてはるかに多い鉛が検出されている。
祝 | 5.8PPM |
スターキング | 4.2PPM |
国 光 | 1.9PPM |
鉛は体の中にたまる性質があり、少しずつでも蓄積されると内蔵や神経をおかす。そのため、食品に添加することは一切禁じられている。しかもりんごの場合、鉛が多ければ砒素も多いことが推定できるという。りんごの害虫を防除するため、砒酸鉛という砒素と鉛の化合物を年に数回まくからだ。
このりんごを2分間水洗いしたが、とれた鉛はわずか2割前後だった。雨にうたれても流れないよう展着剤を吹き付けているためだという。中性洗剤で洗って半分程度、1%の酢酸溶液に付けて7割程度、最後に皮をむいてやっと9割まで鉛がとれたという。
店先のりんごに農薬がついていることはかなり前から問題になっていた。以前、国立公衆衛生院が生産地で白い粉のついているりんごを調べたら,16PPMの鉛が検出されたし、中性洗剤で洗っても3分の1くらいしかとれない実験結果も出ている。
人参
秋蒔きのものには、割合薬は使わぬようだが、春薪きは虫が多いので薬の散布が多くなる。薬は、パラチオン等の有機燐剤、DDT、エンドリン、ダイセーン等。いずれも毒の残るもので、農家によっては毒の効力のまだ残っている間に出荷するそうで、非常に危険。
私なりの解釈
もともと、市販の野菜は青汁には使わないというのが原則だったわけなので、もっと農薬の危険性の高いくだものについてその例外を摘要する事などおかしな話でもある。ビタミンCが壊れるというマイナス因子の外に、農薬もひどく気にかかる。という問題を含むりんごと人参である。しかも、商業ベースのジューサー業界からスターの座をもらって、意気揚々と青汁にも……といきたかったところだろうが、そうはいかない。というところか。……
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