青汁のことタイトル
    青汁のことタイトル絵
    芝蘭79号掲載文より

     ユニークなことをやっているようだから何かを とのことである。多分、30数年来 興味を持っていると言うよりはむしろ憑かれていると言うほうが当たっているかも知れない青汁のことだろうと思われるので、ともかくあらましを書いてみることにした。何分にも、憑かれたもののたわごと、通俗的な雑文、叱られるか嘲われるのがオチであろうが、ご勘弁頂きたい。
    <1977年 倉敷中央病院 遠藤仁郎>

    以下に続く………

目次


1-1 青汁はナマのナッパのしぼり汁


    続いて………

     ただし、これが、50〜60年も前 西欧で言われた液状菜食や戦後入ってきたハウザー食、あるいは最近ブームの生野菜汁と違うのは、これらがいずれもナマ野菜・果物のしぼり汁でさえあれば何でも良いのに対し、私のは、緑のナッパ それも質の良い、つまり全てのビタミンに富み、吸収され易いかたちのミネラルにも富んだ緑のナッパに限られた、文字通りの青い汁であることである。
     なお、この生葉汁の応用は今に始まった事ではなく、搗汁(トウジル)、擣汁(トウジル)、杵汁(ショジル)、などの吊称で医心方や本草綱目にも数多くの記載が見られる。
     ねらいは これによって食を完全にし、食のあやまり(欠陥栄養)のための体上調をのぞき、ますます健康になり、病気を防ぎ、治りをよくしようとういもの。


1-2 現在の習慣食


     現在一般に精製穀・動物食に傾き、野菜のとり方が少ない。しかも、高度に加工され(精製・調理)、濃厚に味付けされた贅美食の飽食。酒・菓子類の乱用。
     ために、熱量・タンパク質が多すぎ、これらに釣り合うべきミネラル・ビタミンは甚だしく上足するという上完全(欠陥)栄養になっており、あまつさえ上自然・上合理な生産法、加工食品の氾濫のため、食品自体すでに劣質化し、有害 有毒化さえしている。
     その他、環境の汚染、運動・鍛錬の上足、ストレスの過剰、喫煙・強烈な嗜好品・薬品類や放射線の乱用等、あまりにも上自然・上合理な日常生活もあずかって、代謝は上完全となり、血のにごり(於血)をまねき、これが上健康や厄介な病気の多発を原因しているのではないかと考えられる。


1-3 緑葉食

     ところが良質ナッパには、すべての栄養素がそろっており、習慣食に上足がちなミネラルやビタミンが極めて豊富なので、せめてこれだけでも十分にとって(緑葉食)、栄養を完全にすれば、代謝はそれだけうまく行われ、血がきれいになり、すべての細胞・組織・臓器のはたらきがよくなり、体力がつき、抵抗力(自然の防衛能・治癒能)は高まり、健康となり、病気しにくく、治りよくもなるだろう。


1-4 青汁

     このバランスをとるために必要なナッパの量は、厚生省発表の全国平均食から割り出すと、おおよそ1日500グラム。
     このナッパの栄養分を完全に利用し、その効果を十分に発揮するには、ナマのままをよくかんで食べるほかないが、それは容易ではないので、しぼり汁にしよう(青汁)。500グラムのナッパも汁にすればわずか2号だから飲むのは何でもない。したがって、こどもでも老人でも楽に必要なだけのナッパをとることができる。


1-5 材料

     材料としては、緑色が濃くて、ほうれん草・フダンソウ以外のナッパであればどれでも良い。条件さえそろえば、その他の栽培物あるいは野生草木の葉も利用できる。
     けれども私どもはケール(キャベツの原種)を主体にしている。それは、ケールが質も味も良く、雪深い地方を除き、年中いつでも青々とした大きな葉を大量に供給することができるからだ。


1-6 安全であること

     青汁の材料ナッパは安全(清浄であり、農薬汚染のない)でなければならない。
     現在市販の野菜類は、清浄ではあっても大なり小なり農薬に汚染されている。一般のように少量を食べるには問題無かろうが、青汁の場合は大量なので、危険が無いとは言えない。


1-7 自然農法

     良質・安全な材料の供給には、化学肥料や農薬を使わない、昔流の自然(健康)農法が適当。
     耕地はなるべく深耕し、肥料には堆肥を主とし、石灰、木炭、鶏糞、油粕、魚粉などの有機質肥料を施す。  そのようにすると、ミネラル・ビタミンに富み味の良い良質ナッパが得られる上、病・虫害にも強いので農薬の必要も無い。また、最近やかましくなった硝酸塩の含量も比較的少ない。


1-8 青汁の作り方

     水で洗ってすり鉢でするか、ミンチ(青汁用がある)で作る。ミキサーでも良い(2分間にできるよう加減する。5分間もかけるとCは無くなってしまう)。
     ドロドロにつぶれたものを荒めの布で搾り取る。
     電気ジューサーならば、搾る手間も省ける(但し、メーカーにより、かなり性能に差がある)。


1-9 飲み方

     搾りとりならそのままでも、適宜味なおししても良い。但し、味なおしに すすめられているリンゴやニンジンはアスコルビナーゼがあり、一緒にすりつぶすと、折角多いCが減るのでもったいない。どうしても欲しければ、別々に汁にし、飲むとき混ぜる。
     冷たすぎる時は、熱い牛乳・湯・茶などを注いで加減する(火や湯煎ではCのロスが大きい)。
     食前・後・間のいつでも良い。しいて言えば、なるべく作りたて(時間がたつだけ味や匂いが悪くなり、飲みづらくなる)。
     すぐ飲めないときは冷蔵庫に入れておく。薬とにさしさわりは無い。


1-10 飲む量

     少なくとも1日2合(もとのナッパ500グラム)。調子の良くない時はそれ以上。3合でも、5合、6合(もとの材料750グラムから1.5キロ)でも飲みたい。
     栄養のバランスということでは説明がつかないが、こうした大量を飲んで初めて、しかも、奇蹟と言いたいほどの効果が出ることがある。何か未知の微量成分(痕跡ミネラルあるいはフラボン体といったもの)かの効果であろう。しかし、飲み始めは少量からしだいにならしてゆく。
     そして根気よく続けること。薬のように早急に効果が出るものではない。1月、2月、3月、半年、1年、2年、3年とねばっているうちに、体質が変わってくると見え、時には思いもかけぬ効果が出る。
     上治の筋萎縮症といわれ、熱心に実行した一女性は、2年間は殆ど変化が無かったが、3年目から効果があらわれ、ついに完治の状態になった。
     青汁は薬ではなく、日常食の欠陥を補う方便だから、一時的では意味が無く、生涯続けるべきものだ。
     なお、常に食全体としてのバランスをとることが大切で、そのためには、とにかく過食になりがちな主食をひかえ、糖分(菓子、味付けの砂糖)は極力減らし、動物食品もすぎないよう注意する。


1-11 イモ・マメ・ナッパ・青汁

     また、なるべく安全な食品を選び、危険な農薬や工場・鉱山の廃棄物、あるいは添加物などに汚染された食品や、その恐れのある加工食品、既成食品など、有害有毒食品は努めて避けること。
     そのため私どもは、主食には栄養にも安全性にもすぐれたイモ類を、蛋白食には大豆ものを主とし、これに十分の良質安全なナッパを主体とする野菜・山菜・海藻などをそえたイモ・マメ・ナッパ・青汁食をすすめている。なお、調理は簡単に、調味はなるべく薄くする。


1-12 青汁絶食

     比較的早く効果の出るのは青汁絶食。絶食して青汁だけを飲めるだけ多く飲む。これを2〜3日ないし数日続けてみる。痛み(神経痛、化膿痛、頭痛、歯痛など)が速やかに良くなり、高血圧がうまく下がる。
     喘息発作がおさまり、腎炎・肝炎その他、の初期に試み、しばしば著効をみる。


1-13 注腸・鼻腔注入

     扁桃炎や、意識障害で飲めない場合は、注腸・鼻腔注入しても良い。


1-14 健康食

     緑葉食・青汁にしても、イモ・マメ・ナッパ・青汁食にしても、栄養の完全化・安全化(合理化・自然化)がねらいだから、本来は健康食、病気予防食である。体調良くなり、疲れず、仕事の能率が上がる。スタミナがつく、老化が遅れ、若返る(年と共に量を増やすと良いようだ)。身体の弱い者 病気の者はもとより、頑健と思っている者も、転ばぬ先の杖として せめて青汁だけでも飲むべきだと思う。


1-15 病気しなくなる

     カゼをひかず、化膿しなくなる。虫がわかず、虫歯ができない。暑がり(夏バテ)、寒がり、冷え性がなおり、肩こり、腰痛、耳鳴り、メマイ、乗り物酔いが無くなる。月経・妊娠・更年期などの障害もほとんど出ない。とにかく、本当の健康は、これによって得られ、長生きできるのではないか、と言う気がする。


1-16 丈夫な子供を産むため

     最もすすめたいのは、丈夫な子供を産むために妊婦が飲むこと。
     ナッパ・青汁を中心とした安全完全食をとれば、妊婦の健康状態はいつも良好。したがって薬害や放射線害を受けることも無く、妊娠の経過は順調。産は軽く、乳の出も良い。生児はむやみに大きくは無いし(3キロもつれ)、皺だらけの顔はしているが、元気は良く、骨組は強い。良く出る乳で着実に大きくなる(昔から言う、小さく生んで大きく育てるの理想どおりになる)。


1-17 赤ん坊にもなるべく早く

     赤ん坊にも、なるべく早くから飲ます。サジでなめさす程度ならば、生後すぐからでも良い。もちろんキジのまま、砂糖は絶対入れない。
     段々増してゆくと、やがて5勺でも1合でも平気で飲むようになる。そして、発育が良く、イジも良い。めったに病気せず、育て良い。また、物心つく頃になると、青汁は大の好物で、甘い菓子(好く筈の)は嫌がると言う、世にも上思議な現象に驚かされる。
     これは、今の子供の健康が、甚だしく砂糖によって毒されている事実と思い合わせ、注目するべきことと言って良かろう。


1-18 青汁給食

     弱い子供の多くは偏食、ことに野菜嫌いのためだが、青汁給食を実施している幼稚園や小学校のすばらしい成績《体格・体力・健康状態だけでなく、頭も良くなる》から、その普及を祈らずにはいられない。


1-19 病気の治りが良くなる

     青汁だけで治る病気もあり、少なくとも多くの病気の治りを助ける。
     食欲が出る。通じが良くなる(青汁で時に便秘することもあるが、多くは快痛する。また、バターと併用して たいていの下痢が止まる)。血色が良くなり、よく眠れるようになる。多くの場合大した薬を使わなくても済むし、薬の副作用もかなり緩和されるようだ。
     したがって、どんな病気にも良いわけだし、近頃多くなった肝炎・腎炎(カリウムがいつも問題にされるが、透析をすすめられた例にも著効が見られたのがある)。胃(十二指腸)潰瘊、結石症(胆石・腎石)、糖尿病、痛風、肥満、高血圧(は下がり、低血圧は上がる)、動脈硬化(脳卒中、心筋梗塞)、喘息、リウマチ、その他のアレルギー症、神経痛、筋肉痛、ノイローゼ、自律神経症、レイノー、メニエール、むちうち、てんかんにも良いようだ。
     熱病にはぜひ飲ませたい。
     疔、癰(はれもの)、瘭疽、扁桃炎、虫垂炎など。青汁だけでも結構良くなり、難治性の蓄膿症も青汁をしっかりやれば大抵なおる。火傷や外傷、手術創の治りが良い。治癒はほとんど望めないと言われているレントゲン火傷部の手術創さえ完治した例がある。
     骨折にもよい。
     肌がきれいになり、ニキビやソバカスがとれる。湿疹・ジンマシンに良く、水虫も治ってしまう。
     腋臭、口臭、鼻臭によく、白内障、緑内障にも良い。葡萄膜炎で2年間ステロイド治療を受け、ついに緑内障を併発、途方にくれていたのが、青汁絶食、ついでイモ・マメ・ナッパ・青汁食2ヶ月で完治し、その後も好調を続けている。
     バセドウ、ペーチェト、SLE、再生上良性貧血、筋萎縮症などにも良かった。
     癌にも良いらしい。抗癌剤や放射線の副作用を防ぐようだから、これらの治療のさいや、術後の再発予防にも、是非やってみて欲しい。
     などなど。
     とは言え、決して万能ではもちろん無く、いつも効くとも限らない。けれども、熱心にやっていれば、多くの場合、何がしかの効はある。従って、進んだ現代医学をもってしても治しにくいような病気には、ともかく、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食、あるいは、せめて青汁だけでもうんと(少なくとも1日5〜6合以上)飲むといった、徹底した食を熱心に続けてみるべきだ。と私は考えている。
     それはともかく、なにぶん、食べ物のことだから、嗜好上の難点はやむを得ないとしても、禁忌(やってはいけない)ということがほとんど無いこと、病気によって若干の手加減を加えるだけで、すべての場合応用できることなどから、少なくとも、食事療法はずっとたやすくなる。ご追試のほど、心からお願い致したい。


1-20 融通無礙食

     なお、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食とはいっても、決して、それ以外には何も食べてはならぬ、という窮屈なことを主張するつもりは毛頭ない。
     要は、できるだけ安全かつ完全な食にしようというのであり、これに徹して、ナッパ・青汁に十分の余裕をもたしておくと、安全性と分量にさえ気をつければ、何(肉・魚・卵・米飯・パン・菓子・酒などにしても)を食べて差し支えないわけだから、食事はむしろ反対に、ずっと自由になる (融通無礙食)


1-21 安全食品の供給

     そこで、すべての食品が良質・安全でありたいが、農作物は上記の自然(健康)農法によれば良く、その健康作物を飼料にすれば、良質・安全な健康畜産物も、また、それら健康農・畜産物を原料とする良質・安全な加工食品の供給も、決して上可能ではない。
     もっとも、現時点においては、いずれも小規模の自家用、ないし、せいぜい同行グループの需要をみたす程度に限られている。したがって、根本的には、行政や生産者の姿勢が健康優先に切り替えられない限り、いかんともなしがたいのが、遺憾ながら、わが国での現実の姿のようだ。


1-22 日常生活の合理化・自然化

     なお、この食の合理化・自然化とともに、適度の運動、十分の鍛錬、ストレスの解消。喫煙・その他強烈な嗜好品・薬品・放射線の乱用をつつしむなど、日常生活諸般の合理化・自然化および環境の浄化が図られなければ、真の健康の望み得ないこと、また、言うまでも無い。(昭和52年5月)


    付記
     青汁の詳細については、拙著「青汁と健康《「青汁は効く《(主婦の友社版)、
     イモ・マメ・ナッパ・青汁食は、拙著「イモ・マメ・ナッパ・青汁《、
     学校給食の成績については、貝原邦夫著「こどものからだとグリーンジュース《をごらん頂きたい。




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