健康と青汁タイトル小
結石:掲載紙面選択





1. 主人の結石

    春日井市 T.E. 

     主人の結石は、その後しばしば再発いたしましたが、野菜を、手をかえ品をかえすすめましたところ、この頃ではどうやらよいようです。
     どうしても青汁は飲みませんので、漬物、サラダ、みそ汁と、なるべく火を通さないで、食事のたび、欠かさぬよう、どんなに野菜果物が高くても、とるようにしております。
     以前主人の食事は、昼は弁当、夜は店屋物、また帰宅後は食事後すぐ寝るという生活でした。
     結石になった人々にいろいろ聞いてみると、テンプラの好きな人が多いようでした。
     医者は、肉を食べないようにいわれましたが、主人は肉はきらい、ホウレンソウもきらいでした。
     世の中の食事が贅沢になるにつれ、こういう病はふえると思います。
     どうか先生方の教えで皆さんが健康になられるように祈ります。




2. 尿結石

     医学博士 遠藤 仁郎 

     尿結石(腎臓や膀胱にできる石)は、大戦後、ほとんど世界中、どこでもふえており、欧米人には約1%にみられるという。
     わが国でも、同様、近年しだいに多くなって来ている。
     女性よりは男性に多く、多くは20才以後。石の種類は、蓚酸、尿酸、炭酸石などが主で、いずれも、尿にとけている成分(酸性尿では蓚酸や尿酸塩、アルカリ性尿では炭酸塩)が拆出して石になる。

    なぜできるか

    1. とけている成分が多い、つまり、尿が濃縮されていると、出来やすい。しかし、必ずしも、そうとばかりはいえないようだ。
    2. 尿の流れが妨げられたり、細菌が感染すると(尿の流れが妨げられるとおこりやすい)、尿の性質がかわって、拆出しやすくなる。
    3. 正常の尿には、尿の成分の溶解をよくするものがあるが、それが、感染とか、代謝の異常などで変質し、溶解能力がへり、あるいは、結石の核になるものができて、拆出しやすくなる。
     のだと説明されている。
     しかし、くわしいことは、まだ十分解明されておらず、結石の50%以上は、原因がわからない、ということだ。
     したがって、適確な予防法はないわけだが、気をつけることとして、次のようなことがあげられている。

    完全食の少食
     実験的にビタミン(ことにA)の不足で石をつくることができるし、一般に、尿石家には大食家、とくに贅美食の飽食家が多い。で、代謝を完全にして尿の性質を正常に保つために、完全食とし飽食しないこと。

    水を十分とること
     いつも水のようなうすい尿を出すよう気をつけること。(濃い尿ほど石ができやすい)また、蓚酸石や尿酸石は尿がアルカリ性であることが有利なので、ただ湯、茶、水だけよりは、利尿作用のある野菜・果物をよく食べること。
     そして、糖分や精製穀食(白米飯・白パン・メン類)をへらすことだ。
     したがって、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食がよいわけで、せめて青汁だけでも十分のむ。そうすれば、新しい石ができたり、大きくなるのを防ぐだけでなく、疝痛発作がへり、小さい石はうまく出ることもあるし、ながい間には、いくぶんか溶けて来る。
     したがって、こまかく砕けて出る可能性もないではない。

    つとめて運動
     なお、運動が不足すると、ことにながく臥床を余儀なくされるとき、石が出来やすい。つとめてからだを動かすこと。




3. 蓚酸結石とマグネシウム

     医学博士 遠藤 仁郎 

     腎臓結石のうち、もっとも多い蓚酸結石は、マグネシウムと関係がふかい。
     マグネシウムにとむ食をとっているフィンランドやエジプトにはないし、実験で、動物にマグネシウムの乏しい餌をあたえると結石がふえる。
     Silverらは、たびたび手術を余義なくされていた家族性蓚酸結石症の三姉妹に、V(カ)製マグネシアをあたえ、4年間にわたって再発をみなかった、と報告している。

    (Silver+Brendles,J.Urol.1971.)

     マグネシウムが蓚酸と化合して、比較的とけやすい化合物ができるためだそうだ。




4. 尿路結石

     南太平洋Fiji諸島には原住民のほかに多くのIndianが住んでいる。
     Fiji島、Lautoka病院のGerald Holmesは、このIndianには原住民とくらべて尿路結石症に罹患する率が高いことを報告した。
     これはIndianは食事の調理に際し、揮発性の油を含む香料を大量に使う習慣があり、これが腎毒性を有するためではないかと考えられる。
     Curry Kidneyという病変もあるが、調味料、香辛料に関する毒物学的研究は、それらが広く使われている割に少ないので今後、衛生学的、栄養学的研究と共に臨床的検討も続行されるべきであろうと。

    (Medical Journal of Australia,2,15,1971)
    (メジカル・ニッポン47・1・10より)




5. 蓚酸石灰結石

     医学博士 遠藤 仁郎 

     「時々青汁教室にも出ていましたし、青汁ものんでいましたが、腎臓に石(蓚酸結石)ができました。主治医は、石灰分の多いものは石になるからいかん。青汁はもとより牛乳もよくない。飲むなら蓚酸の多いものと一緒にのめ、といいます。先生のお話とは、まるでアベコベなので迷っています」
     との電話。
     「蓚酸のあるものと一緒とねえ。」
     「石灰分が吸収されないから、だそうです。」
     「へえー。とんでもないことのような気がするけどねえ。
     というのは、腎臓に石ができるのは
        1. 尿にとけている石になる成分(蓚酸石では蓚酸と石灰)が多すぎるか、
        2. それらを溶かしている尿の性質がかわって、とけにくくなるか、
     による。
     成分が多くなるのは、一つには尿が濃いばあい――熱帯地方やわが国の夏、あるいは飲みものをひどく制限するなど。も一つは、尿の中の成分の絶対量が多いばあい。
     そこで、成分の一つの石灰をへらそうというのだろう。

     なるほど、石灰が多いだけでも石が出来る。けれども、それは、副甲状腺(血中のカルシウムを増すホルモンを出す)の異常とか、ビタミンD(カルシウムの吸収をたかめる)のとりすぎのばあいだけだ。
     もっとも、牛乳ののみすぎで出来ることがないではないから(牛乳病)、青汁もといわれるのかも知れない。が、よほどの大量、1升も2升もならともかく、ふつうの分量では問題にはならない。

     それに、蓚酸石灰の石は、カルシウムがあるからできるのではなく、それを結合する蓚酸があるからであり、主役は蓚酸、蓚酸が多いからなのだ。
     尿の蓚酸は、ホウレンソウなど食べものから来ているものもあるが、それは僅かにすぎず、多くのものは体内代謝に由来している。体内で蓚酸になるものの一つはビタミンCだが、これは僅かで、主なものはグリシンというアミノ酸。
     このアミノ酸は蛋白質の構成分でその代謝の過程で蓚酸ができる。(普通には蟻酸塩にまで分解されるのだがその分解が中途でとまりグリオキサル酸というものになると、それから蓚酸になる)。
     この代謝にはビタミンBが関係するといわれているから、蛋白にとみ、ビタミンの十分でない肉食では蓚酸が多くなることとがかんがえられる。
     そこで、尿の蓚酸をへらすには、
      1. カルシウムを十分にとって、食べものの中の蓚酸の吸収を妨げること(結合して不溶性の蓚酸石灰になる)。

      1. 蛋白食をへらし、ビタミンを十分にとって、アミノ酸の分解を完全にするよう心がけること、
    だ。

    溶かす力
     次に、尿の溶解能力が問題だが、正常の尿には、ふつうの水よりも、ずっと多く(過飽和の状態に)とかす能力がある。
     これらが何らかの原因でよわめられると、石が出来やすくなる。
     尿のこの能力は、腎臓の正しいはたらきによるものであり、正しいはたらきはきれいな血により、きれいな血は正しい栄養、バランスのよくとれた完全食によってはじめて望まれる。

     こう見てくると、カロリー、蛋白質に傾き、ミネラル・ビタミンの不足した不完全食では、蓚酸のでき方は多くなり、尿の溶解能力は劣って来、したがって、石ができやすくもなるわけだ。
     じじつそういう人にこの石は多くみられる。
     だから、この石を防ぐため、また治すためには、どうしても、まず食を正しくしなければならない。すなわち、カロリー、蛋白質だけにかたむかず、ミネラル、アルカリ、中でもカルシウム(食べものの中の蓚酸をへらす意味でも)、やビタミンが十分そろわなければならず、むしろ多すぎるくらいにすることだ。

     したがって、これらミネラル・ビタミンの最有力給源である良質ナッパは絶対欠かすことのできないものであり、しかも十分〜十二分にほしいもの。
     ナッパ・青汁がいけないという理由はどこにもない。それどころか、もともと一般の食事にはミネラル・ビタミンが不足がちであり、血のにごりの原因になっているのだから、そのカルシウムやビタミンをへらしてしまえば、血はますますにごり、かえって石を出来やすくする結果になってしまう。
     まして、わざわざ石の主なもとである蓚酸でカルシウムの吸収を妨げようなど、まったくとんでもないナンセンスとしか思えない。
    (59・6)


6. ビタミンCと蓚酸

     ビタミンCの一部は、体内で蓚酸になり、尿に排出されることは、数年来知られている。
     その量はC量によるのはいうまでもないが、個人的にかなり差がある。
     Briggsらによれば、一日4グラムのビタミンCをあたえると、ふつう、一日中に増す蓚酸量は約12ミリグラムだが、中には、4グラムづつのませて、4日目に478、7日目には622ミリグラムも尿に出たのがあった。
     こういう人には、Cを多くとると腎臓結石が出来るおそれがある。

    (Lancet,1973.6.28号)


7. 胆石と腎石がある

    山梨県 H.H. 

     38才の主婦。
     胆石の痛があり、検査をうけたら、指頭大の胆石が一つと、ほかに同じほどの石が腎臓にもあるとわかり、手術をすすめられている。どちらを先にしたらいいだろうか、との相談。
     それくらいの石なら、どちらからでもよかろうが、やるとすれば、よくあばれる方から、ということになろう。

     「どっちの発作が多いんですか?」

     「胆石の方はちょいちょい痛みます。腎臓の方は検査でわかったので、別に痛みませんが、尿にバイキンが出ているそうです。」

     「石があると感染しやすいからでしょう。胆石の痛みはきついんですか?」

     「それほどでもありません。石をとかす薬をもらってのんではいるんですが。とけるんでしょうか?」

     「とけるといわれています。薬も結構でしょうが、私はやはり日常生活ことに食のあやまりをなおすことの方が、もっと大切ではないかとかんがえています。
     石ができるのは、胆汁なり尿なりの性質がかわって、その中にとけている成分がとけにくくなって析出し石になるわけですから、胆汁なり尿の性質の異常をなおすこと。つまり、胆汁や尿をつくる肝臓や腎臓のはたらきを正しくすること。そして、それには、肝臓腎臓をめぐっている血の性質を正常にする――血をきれいにすることです。

     胆石でいうと、いちばん問題になるのはコレステロール(コ)。
     胆汁のコは、正常には完全にとけていますが、コの量が異常に多くなるか、胆汁のコをとかす能力が低くなると、とかしきれなくなって、析出し、石ができるのです。だから、石を防ぎ、またとかすには、コを少なくすることと、胆汁の性質をよくしてコをとかす能力を高めればよいことになります。
     コを少なくするには、高血圧や動脈硬化にいわれているとおり、食べすぎないこと。カロリーをへらし(脂こいものや糖分、城米飯をへらし)運動してふとらないこと。(ふとるような条件では石もふとる)胆汁の性質をよくするには、肝臓のはたらきを正しくすべきですから、栄養を完全化(バランスをとる)し、安全化することです。
     ところであなたの食習慣は?」

     「脂濃いものが多く、甘いものが好き。インスタントものなど出来あい食品も。」

     「それをなおすこと。出来るだけ安全食品にし、すぎているカロリー源をへらし、不足している野菜、ことに良質ナッパをうんと食べることです。青汁は?」

     「2本くらいはのんでいます。」

     「それでは、とても。平均的の邦食でも正味2合(市販の青汁4〜5本、もとのナッパ400〜500g)は必要ですし、脂濃いものや甘いものが多ければもっと多く、少なくとも4合以上。そのようにしてかなり大きかった胆石が消えた人もあります。
     腎石も同様です。このばあい尿酸その他、尿が酸性だと溶けにくいものが多いようですから、少なくとも尿をアルカリ性にするため、酸性食品をへらし、アルカリ性の野菜類を多くすること。
     また、栄養を完全化し安全化して、尿の性質の正常化をはかること。
     したがって、ただアルカリ性であればよいのではなく、それとともに栄養のバランスをとることが大切ですから、やはり良質ナッパをうんと摂り、青汁をのむことがもっとも合理的であり、事実そのようにして、石がとけることは胆石のばあいよりも、多いように思われます。
     現在さしせまって手術するほどのことでなければ、ともかくこの方針でやって様子をみ、半年なり1年たったところで検査し、小さくなっているようなら、もっとつづけるべきだし、少しも変りがないか、大きくなっていたり、発作がやまないようなら、そこで思い切っても、けっしておそすぎることはないでしょう。
    (58・11)


8. 新しい腎結石予防薬で手術を回避

     (ダラス)米国には腎臓に結石のあるものが15万〜20万人いて、その半数は治療が必要だが、食品医薬品局(FDA)は腎結石治療用の新薬を近く認可する予定である。
     その新薬とはクエン酸カリウムで、結石を形成するカルシウム塩が体内で結晶化するのを防ぐ。クエン酸カリウムは、かんきつ類にある天然物質だが、徐放剤の型で処方されることになろう。
     今秋にはUrocitの商品名で、Mission Pharmacal社(テキサス州サンアントニオ)から市販される。低クエン酸尿症の患者78例についての研究では、この新しい治療法が74%で結石形成を防いだ。
     2年足らずの治療後に手術を必要としたのは78例中9例にすぎず、それらの手術もすべて古い結石を除くためのもので、この薬を服用中に形成された新しい結石はなかった。
     これとは対照的に、クエン酸カリウムを服用し始める前の3年間にこれら78例の患者に対し、腎結石を除くための手術が合計56回行なわれていた。この薬による治療法は、テキサス大学保健科学センターの医師たちによって開発されたが、合計5年間の使用中に認められた副作用は胃腸の軽い不快感だけであった。
     この種の副作用は、食事とともに服用すれば最小限のものとなる。この薬が生じる可能性がある刺激は、一日3杯のオレンジ・ジュースを飲むのと同程度だという。

    (Medical Tribune.1984.7.12)


9. 尿路結石 米ぬかで再発防止

     (那覇)激痛を伴う尿路結石は手術して摘出しても三人に一人は再結晶して再発するといわれるが、手術後に毎日、米ぬかを服用すれば、ほぼ再結晶は防げる、という臨床実験データが28日から那覇市内で開かれた「日本泌尿器科学会第10回沖縄地方総会」で発表された。
     再発に悩む患者への朗報を発表したのは和歌山県立医科大学泌尿器科の大川順正主任教授(50)。尿路結石はジン臓で結晶となった石が尿管や尿道で詰まり、激痛を起こす。
     石が小さければ尿と一緒に排出されるが、長さ1センチ、幅6ミリ以上になると詰まって出なくなる。
     結石の成分は日本人の場合、約8割がカルシウム。カルシウム以外の成分の結石は薬で溶かせるものもあるが、カルシウム結石は手術で摘出する以外にない。
     しかし、手術しても5年内に三人に一人の割合で再結晶するため、再発防止が大きなテーマだった。大川教授は、カルシウム結石が一度以上できたことのある尿中カルシウム濃度の高い患者23人に対し、一年以上、最高で三年間、毎朝夕、米ぬかを精製して顆(か)粒状にした散剤各10グラム、一日計20グラムずつ服用させた。その結果、これまでに結石が再発したのは二人だけで、各1回だった。
     23人の中には毎月結石ができた人や計70個も結晶した人もいたが、全く再発していないという。

    (59・1・31 サンケイ)




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