健康と青汁タイトル小
生活習慣改善





1. 吾等の安眠法

    鏡野町 H.W. 

     睡眠の健康に重大なる関係をもっている事は誰もよく知っている所ですが、さて、此睡眠を支配し調節する事は中々容易な事ではありません。何か心配事があり心に懸っている事があるとき、これをいくら考えても仕方がないから一睡して英気を養わんと思っても、さて中々自由に眠れるものではありません。又明日は重大なる用事があるから今夜は早く眠ろうと思ってもそう容易に眠れるものではありません。心配事があったり又は大なる失敗をした後、これをいくら考えても駄目だから眠るに如かずと思っても、たやすく眠れるものではありません。

     英国の大宰相を何回も勤めたグラヅドストーンと云う偉人は、いくら重大な事件が起っても、これはもう今日は考えまい、明日の事と云って、机の引出に其書類を抛り込んだら、十分間には熟睡に入る事が出来たと云う事です。これはグラヅドストーンの様な偉人にして始めて出来る事で、凡人の吾々には容易に真似の出来ない芸当です。
     又仏蘭西の豪傑ナポレオンは睡眠を一日4時間しか摂らなかったと云う事です。これはナポレオンが軍事行動に就いて馬に乗って行軍する時、馬上にあって馬から落ちないだけの(フイジイカルスピリット)肉体的精神だけは起きて居るが其他軍事上及び他の重大なる精神的方面を支配する神経は全部眠って居って、其間に充分な休養が摂れて居ったからだと申すことです。これもナポレオンの如き英傑にして始めて出来る事で、到底吾々凡人に出来る事ではありません。
     尚一つ白隠禅師について斯様な話が御座います。白隠禅師と云う人は近代の傑僧ですが、其人がまだ修業僧であった若い時代に、兵庫から大阪迄乗船された事が御座いました。疲れて居られたと見えて乗船するとすぐ眠りに就かれた。所が船が港を出るとすぐ大変な時化に遇って、船頭共は一生懸命に船を操るし、乗客達は一生懸命に神仏に祈願するしして、やっと助かって大阪について船を港につけると、禅師は始めて目を醒し、船が港にあるのを看て、船頭に船はまだ出さぬのかと尋ねられた。所が船頭が『此寝呆坊主めが、あれ程の騒ぎを少しも知らないで眠って居たとは呆れ果てた坊主だ』とひどく罵りましたので、禅師が起きてあたりを見回わされたら、時化の惨状がなまなまと残っていたので、これでは船頭の怒るのも無理はないと思われて下船されたと云う事です。

     これなども達人の睡眠の如何なるものかをうかがう事の出来る好例かと存じます。序ですが白隠禅師の内観法と云うものは現代人の健康増進にも大に寄与して居る様です。それなれば、吾々凡人は如何にして、毎日何程の睡眠をとったらよいでしょうか。これは其人々の体質、習慣、年令等によって一様には申されますまいが、一日8時間と申しては少し贅沢でしょう。7時間もしくは6時間位が適当な所ではないでしょうか。それもなるべく深い睡眠をとる事が必要です。
     毎日6時間7時間と申しても、時に重大なる用件があって規則正しいそんな睡眠の許されない事があるでしょう。時には、極端な例ですが、徹夜でもしなければならない事もあるでしょう。そんな時には後でなるべく早い機会に其睡眠不足を補う様にしたらよいでしょう。
     昔日本の封建時代の武士に『寝るのも御奉行』と申して居るものがあったそうです。これは深く味うべき言葉ではないかと思います。此言葉の内のもの字に非常に深い意味が有るかと思います。不要な時の夜更しなどを慎みて、眠れる時には、適当な睡眠をとって置いて、起きて働く時に充分の働きが出来る様にし、尚いざ鎌倉と云う時に遭遇した場合には存分に働こうと云うのではないでしょうか。
     兎に角つまらぬ事に心を労して適当な睡眠がとれないと云う事は非常に残念な事です。そこで、私は次の様な自誡の格言を作りました。

      (1)死児の齢を数えぬ事。
      (2)取り越し苦労をせぬ事。但し此場合打つ手がある時は打って置く事。
      (3)現在の事にベストを尽す事。

    (1)で過去の自分の知恵分別の不足、或は境遇や時の不可なりしための失敗をすっかり忘れて仕舞い、(2)で将来の漠然たる事に杞憂を抱かない事。但し将来の事には確実性があってこれに対して予め適当の方法を講ずる事の出来る事件もあるでしょう。其場合には適当な処置を講じて置く事は勿論の事です。そうすれば問題は現在の事に限定されます。それに対しては己の全力を尽す事です。自分の全力を尽しても我々は欠陥の多い凡人の事ですから、不備な事も多々あるでしょう。併しそれ以上は神様の引受けて下さる範囲と心得て安心する事です。所謂人事を尽して天命を俟つと云う所でしょう。但し此際ベストの安売は深く慎まねばならない事と思います。斯様な心境で一日一日送って行く事が吾人平凡人の採るべき最良の方法ではないでしょうか。又同時に安眠法でもあると存じます。




2. これで結構やれる

    仙台市 K.S. 

     私は普段腺病質で、年中医薬にたより居った一人でしたが、最近は元気溌剌として、毎日の勤務に一日も休んだことありません。論より証拠。第一胃腸が治ったこと、便秘のなくなったこと、少し無理をしてもちっとも疲れないこと、小生の体験で明かです。
     これからも大いに青汁の奨励に努力して、世の一人でも多くの病人の方をともに助けて行きたいと考えています。青汁を連用いたすようになってからは、牛乳も卵も肉も殆んど摂りませんが、体の調子は一寸も狂いません。
     但し一回一食主義で、よくかんでたべることです。これを実行しています。人間も動物と同様、別に栄養食うんぬんにこだわらず、毎日菜食主義でも、結構、ある程度の重労働にたゆることを体験いたしました。
     最近はインスタント食とか、様々の加工品も沢山出来ておりますが、多くの人々は食品障害を起しているようですけれども、そんな心配もなく、結構楽しい人生をおくって行けるものだから、青汁の効用に感謝いたし居ります。
     但し、毎日これを実行することは相当の試練と努力が必要なることを自覚して居ります。

    (36、7、6)




3. 緑いっぱい

    静岡県 T.W. 

     一昨年9月台風の時、母が脳出血で亡くなりました。
     それまでは元気に活躍していた私は、そのショックや国鉄新幹線の用地交渉の地主代表として気をつかうことが多く、又、この交渉において個人的にも苦労いたしましたので、血圧が160−最低100位となり、リウマチスや心臓障害までひきおこし、只今、精密検査をうけて療養中でございます。
     青汁の必要性も知っていながら仲々実行できずにおりましたが、今度はいよいよ真剣になって、家中協力してくれるようになりました。
     庭のとび石のまわりにまでレタスやケールを植えて緑いっぱいです。道路をへだてて畠がありますが、食卓にすわってから緑野菜のないことに気づいたとき、手近にあると重宝でございます。
     90何才かの長寿を全うされた植物学者の牧野富太郎博士が、セロリーとアスパラガスを栽培して常食しておられたことを、動物学専攻の兄が、友人から聞いて来てくれましたので、いずれもグリーン系のものを、軟化しないで、栽培しております。
     緑野菜の採集後15分と15時間の、価値のちがいを知っている者は、自家で栽培する必要のある人だと、最近のハウス・アンド・ガーデンというアメリカの雑誌で読みましたが、まさにその通りで、グリーンアスパラガスのとり立てを、すぐにさっとゆでて、マヨネーズでいただくお味は何ともいえませんし、軟化しないセロリでも、とり立てをさくさくときざんでサラダにすれば、はぎれよくいただけます。




4. 今からでも遅くない

    前橋市 I.U. 

     現在63才。59才の暮れ、脳出血で倒れまして、二ヶ月入院。退院後、1年余を自宅にて養生し、その後、3年6ヶ月程、病院通いをいたしつつ、薬をのみ、色々と養生をしましたが、今夏、野菜の効用を知り、動物性蛋白を大豆、その他植物性にかえました。
     そして、薬の副作用も前々から考えていましたので、薬も中止。本来の自然食によって、体質改善を考えたのです。
     そのうち、高崎に青汁の会の支部があることを教えていただきまして、10月末より、朝夕1合づつを飲み、青野菜を充分摂取するよう、全面的に食生活をかえました。
     「青汁の効用」も、「緑葉食青汁の実際」も読みまして、大いに元気を出して、建築設計に励んでおります。倒れて、はじめて、今までの不自然食、不自然なる調味、不自然な生活を想い浮べまして、ハッとしている次第で、今からでも遅くはない。
     父の年76才、母の年87才の、二人の平均寿命までも、元気に生き永らえ、世の為、人の為に、青汁飲んで仕事に精出したいと念願しております。
     幸なことに、青汁を飲み出してから、一層の元気を出し、無理をしないよう、建築設計に全力を上げております。
     青汁を飲み出してから、

      一、睡眠が短くなったことと、充分安眠出来ること。
      一、根気よく仕事ができること。
      一、疲労が少なくなったこと。つかれの回復が早くなったように思えること。
      一、細かい設計に、眼の疲労が内輪となり、朝の眼醒めがよいことをあげることが出来ます。
      一、何時も、口中も胃もサッパリしているので、他所へ出掛けまして、おもてなしに預るのに、食生活がかわったことと、不自然食のもてなしに恐縮して困ることです。

     コーヒー紅茶も中止。菓子類には手を出さない。
     薄味で塩分を考慮しますと、仲々、出張しても食物に閉口します。




5. 気ばらずに排便するには

    宮崎市 T.W. 

     血圧のたかい人や、心臓のわるい人は、よく便所の中で事故がおきる。
     あまり気ばりすぎて血圧が急に上ったり、急に心臓に負担がかかったりするからだ。
     なすべく気ばらずに排便する工夫が望ましいわけだが、それには、

    1. まず、便を軟らかくすること(薬をのんでもよいが、なるべくは食べもので加減したい)。糖分(味つけの砂糖や菓子の類)、こなれのよい精製穀食(白米飯、餅、白パンなど)をやめるかへらして、繊維にとんだ野菜・果物を十分そえた完全食――緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁といった自然食にする。
    2. 毎日排便すること。便秘すると、かたくなって出にくくなる。
    3. 排便のときには、腹全体をなでたり、とくに、便のたまっている左下腹(さわってみると、たてに走るスジがある)をさすったり、腹を走らす、といって、腹をペコペコ前後に動かしたり、左右にゆさぶったりして、腸の運動をすすめる。そして、腹をふくらまして気ばるかわりに、腹の皮を、うしろの壁におしつけるように、少し力を入れて腹をへこます。これらを、てきぎ組み合わせて繰りかえしていると、そう気ばらないでも、らくに出るようになる。




6. 青汁と断酒

    苫小牧市 S.T. 

     私の酒歴は四十年来のものであり、酒量もだんだんと強くなり、焼酎20度、1日6〜8合に及んでおりました。
     断酒は簡単と思えば簡単だし、困難と思えば困難になります。
     幾度か断酒に破れた事実はありますがあくまで、酒を征服するという気概心は持続してまいりました。
     現在は断酒しております。私の断酒方法は、食事をやめて、青汁4〜5合の中に少量の蜂蜜を加えて飲みます。
     不思議なことは禁断症状が全然ありません。
     これなら誰にでも気軽にやれると思います。
     私は、肝臓、心臓がやられ、あげくの果に、歩行困難となりました。
     こんどこそ、物凄い禁断症状を覚悟しておりましたが、4日間の青汁生活で、ふるえ一つ見ませんし、絶望感その他、禁断症状は何もありませんでした。
     これは、私が、日頃酒をのみながら青汁を併用して来たことにも一因があると思われます。
     断酒は家庭で必ず成功するというのが私の信条ですが、一つ注意が大切なことは、青汁に甘えないことです。
     私がそうでした。万一悪くなれば青汁絶食をすればよい、というささやきが常にあるので、つい酒量をこすことになりました。
     おかげさまにて、今年は、家庭の中が陽光にみちみちた明るい明るい正月でした。
     私は、断酒は生涯の修行であると、心許さずやってまいります。
     青汁断酒を科学的に解明して、新しい断酒の道を切りひらいていただけませんか。




7. 責半在己

     医学博士 遠藤 仁郎 

     こういう言葉があるかどうか、知らない。
     病気の責任の半分は自分にある、といいたいだけだ。

     感染症 
     感染症は病原体の感染による病気。
     だから、原因は病原体だ。
     つまり全責任は病原体にあるように思われがちだ。
     しかし、病原体が侵入しても、かならず発病するとは限らない。
     インフルエンザを例にとろう。
     インフルエンザの病原体はインフルエンザビールスだが、このビールスがはいって来ても100人が100人やられるわけではない。
     ひどくやられる人もあれば、軽くすむ人もあり、まるでビクともせぬ人もある。
     要は、その人のもっている抵抗力(防衛能)しだい。
     さて、この抵抗力(防衛能)は、生れついた性質にもよろう。
     が、主として(予防接種によるもの以外には)、日常生活の間、つまり、毎日の食べもの、運動、寒暑、日光、風雨、氷雪、あるいは外傷、虫刺など、もろもろの害邪にさらされ鍛えられて、つくり上げられるもの。
     そこに間違や手ぬかりがあると、ひよわいからだになり、病原体に出くわすと、たちまちやられるといったことになる。
     だから、このばあい、病気の責任の半分は明らかに自分にあるわけだ。
     治療法にしても、病原体を直接攻撃することが原則になっており、有効な特効薬も数多くできている。
     そこで、原因病原体をたたくことが出来さえすれば、病気は至極簡単に治る筈ではある。
     けれども、この場合とて、体力・抵抗力が十分でなければ、必ずしもうまく行かないし、ともすれば、厄介な副作用のために悩まされることにもなりかねない。
     また、すべての感染症にたいして特効する薬があるわけではないし、まるで薬のきかぬものや、効かなくなった病原体もある(耐性菌)。
     そういう場合には、結局、体力・抵抗力をたかめ、自癒能をもりあがらす、つまり、自分で自分をまもる責任をはたすほかない。
     この意味で、完全食、緑葉食・青汁。
     せめて、青汁だけでもうんとのむことだ。
     1日少なくとも2〜3合以上、多いほどよい。
     青汁絶食はいっそう効果的。
     実際、緑葉食に徹すると、めったにカゼをひくこともなく、傷が膿む(化膿菌感染)などということもなくなる。

     アレルギー症 
     喘息、ジンマシン、その他のアレルギー症も同じ。
     アレルギー症とは、アレルゲン(アレルギーをおこす原因)に感作されて、異常に強い反応をしめす病気。
     すなわち、この際の原因はアレルゲン。
     だから、原因アレルゲンを探し出して、これをとり除くか、それにたいする反応性をよわめる(減感作法)というのが治療の原則になっている。
     しかし、原因アレルゲンの発見は必ずしも容易ではない。
     たとえ、見つかったとしても、それだけが原因とはかぎらず、他にもまだいくらあるのか、あるいは、新しいのが次々にあらわれるかもわからないので、この療法いささか覚束ない。
     ところでこの場合も、アレルゲンにたいし誰れもが一様にやられるわけではない。
     要はその人の反応性、感受性しだいで、感じやすい人ほどやられやすい。
     さてこの感受性だが、これにも生れつきもあろうが、多くは不合理不自然な日常生活――不自然、不完全食、心労、運動の過不足、タバコや薬品類の乱用など――によってながい間に自律神経の異常をまねいた、つまり、自分でつくりあげたところが少なくない。
     そこでこの治療にあたっても、原因アレルゲンの探求およびその処理だけでなく、いま一つからだの方の条件、たかまった反応性を低めればよいではないか。
     そうすれば、どんなアレルゲンに出会ってもビクともしなくなるだろう。
     生れついた性質は、いかんともしがたいだろうが、その後の日常のあいだに招いたものは、やり方しだいでは治る筈だ。
     事実、食の合理化、自然化(安全化、完全化、緑葉食青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食)を中心とする日常生活の正常化によって、多くのアレルギー症が、よくなっている。

     公害病 
     四日市喘息、水島喘息また同じ。不良の環境、大気の汚染は確かに重大な原因であろう。
     けれども、その地域の人の全体が同様にやられるわけではなく、抵抗力のよわいもの、感じやすいものが、まずやられる。
     子供や老人に多いのはそのためだ。
     公害、環境の汚染を除くことが根本であることはいうまでもない。
     けれども、それは、政治や企業の姿勢が健康優先に切りかえられないかぎり、とても早急には望めそうもない。
     われわれは、その実現の1日もはやからんことをもとめるとともに、自分のからだには自分が責任をもつ心がまえも忘れてはなるまい。

     成人病 
     高血圧、動脉硬化、糖尿病、痛風、癌といった、いわゆる成人病は、いずれも贅美食の飽食、運動不足、ストレス過剰といった不自然不合理な日常生活による悪血(血の濁り)が原因とされる。
     そして、正しい食養を中心とする日常生活の建直しで予防できるから、まさに責任の大半は自分にある。
     もっとも、親からうけついだ生れつきの素質はあるかも知れない。
     けれども、これとて扱い方しだいでは防ぎえないものではなかろうから、発病の責任の一半は、やはり、自分にあるわけだ。
     ともあれ病気は、それが外因性のものであれ、内因性のものであれ、その責任のなにがしかは自分(不自然不合理な日常)にあること。
     そして、その多くは、自然的・合理的日常生活に切りかえること、つまり、自分の責任、自分の努力によって免がれることも、治すこともできるものであることを忘れてはなるまい。

    (49・7)




8. 膿みやすいからだ

     青汁は飲んでいるのに、一向にオデキが治らぬとか、手術のあとがいつまでも治らず、ジクジク膿が出る、といった小言を、ときどきいただく。
     しかし、それは青汁の責任じゃなくて、からだが膿みやすくなっているからだ。
     つまり、からだの化膿菌にたいする抵抗力がよわっているためで、栄養失調(栄養状態がとくに悪くて体力がおとろえているばあい)を除けば、青汁の飲み方が足らないか、ほかの食べものとのバランスがとれていない場合とだ。
     だからそういう頑固な化膿症にはウント大量(1日少なくとも3合、4合、5合、6合でも)のんでみてほしい。
     あるいは、2、3日つづけて青汁だけのんで、ほかの食べものは一切やめてみる(青汁絶食)と、たいてい何らかの反応がみられる。
     食べもののバランスのみだれのうちで、もっとも影響の大きいのは糖分のとりすぎ。
     甘味のつよい菓子をよくたべるもの。
     味つけの砂糖の多いもの。
     餅やおかき、白米飯、白パン、メン類など、精製した穀物を多く食べるもの。
     肉や魚や卵類ばかり添え野菜や果物、とくに良質菜葉のとりかたの少ないもの。
     こうした熱量、蛋白質ばかりが多くて、それらに釣り合わねばならぬミネラルやビタミンの不足している食のばあい、バイ菌にたいする抵抗力がよわるから、膿みやすく治りにくくもなる。
     したがって、少々の青汁くらいでは、とても追っつかない。
     まず、間食の菓子やおかきをやめて果物にする。
     味つけの砂糖をへらし、つけ味はうすく(塩分も少ない方がよい)。
     白米飯や餅、白パン、メン類は控えめ。
     主食には、むしろ玄米、雑穀、豆、芋の少量。
     動物食は適宜とし、十分の良質ナッパを主とする野菜、山菜、海草、果物をそえ、青汁もしっかり飲む。
     なお、危険な農薬や産業廃棄物、あるいは添加物などに汚染された食品、ことに加工・貯蔵・既成食品は、つとめて避け、なるべく、安全良質の自然食にすることだ。

    (遠藤)




9. わけのわからぬ故障

     医学博士 遠藤 仁郎 

     病院でくわしく調べてもらっても、何も特別な異常はない。それだのに、どうもいろいろ故障があってスッキリしないという、わけのわからぬもののばあい、私どもは、ともかく、日常生活、ことに食生活を合理化し自然化すべきだ、と考えている。
     それは、公害はいっぱいであり、すっかり贅沢になりきった今の生活が、あまりにも不合理であり、不自然になってしまっているからだ。
     そして、そのために、からだ中のはたらきが、いろいろの面で害され毒されて、健康をそこね、病弱となり、いまはどうもなくても、いつ発病するか知れない状態になっている、と考えられるからだ。




10. 衣服

     医学博士 遠藤 仁郎 

     衣服は、からだの保護と気温にたいする調節。
     つまり、自然の変化に対応し、寒暑を防ぐのが目的。
     動物の毛、羽に相当するもの。
     礼儀だとか、おしゃれだとかなると、いろいろむつかしい条件が出て来るだろうが、ただ健康上だけからいえば、気候風土や気象条件に応ずべきはいうまでもないが、それとともに、つねに、皮膚のはたらきを妨げぬよう、すすんでは皮膚の鍛錬にも役立つよう心がくべきだ。
     したがって、簡単なものほどよい。

    「先づ寒うして衣し、先づ熱して解く」
    (抱朴子)
    べきだし、気温が適当ならばはだかがよい。

    はだか
     はだかは人間本来の姿。
     生れた時はもちろんそうだったし、原始時代もそうだった。
     ギリシア時代、スパルタでは、若い男女が裸体で街をあるいていたそうだし、近頃にも「はだかクラブ」といったグループもあるらしい。
     高温多湿のわが国の夏など、はだかほど気持のよいことはない。

    ふんどしを是非なくしめる暑いこと
    夕涼みよくぞ男に生れける
    (川柳)
     行儀はまことによくないが、差支ないかぎり、なるべく裸でいたいものだ。
     とくに小児は、幼い時から裸にならす。
     夏はもとより、寒中でも、あたたかい時ははだかであばれさす。

    うす着
     せめて、なるべく薄く、風通しをよくすべきだ。
    「三分の肌と寒さ」は、古来、わが国育児の要訣とされている。

    衣服を薄くせよ
    (仙道十五要)
    着物は寒くないほど
    (楠家十訓)
    「衣熱すれば理塞ぎ、理塞げば気回からず。
    (呂氏春秋)
    とある通り。
     「だての薄衣かカゼのもと」とはいうが、寒さよりは、むしろ厚着がカゼのもとにはなる。
     寒気のためより衣服の濫用が感冒の因(フランス俚諺)であり、黒小袖世を早うする着物なり(川柳)だ。
     柳田先生は、繊維のかたい、風通しのよい、麻ものがすたって、やわらかい木綿ものになってからカゼが多くなったと説かれている(木綿以来)。
     今では、それが、もっと肌に密着する毛ものになり、しかも、仕立ては北欧風。
     その厚着をしている。
     抵抗力がよわり、病気しやすくなっているのも、当然というものだろう。

    ねまき
     ねまきもなるべく薄く。
     夏は腹まきだけ、または裸。
     冬もなるべくうすくしたい。

    ふとん
     敷きは厚く、掛けはうすく。
     夏は、腹の上にのせるだけ。
     冬は、寒からぬほど。
     肩をつつむ。重すぎてはねぐるしい。
     重たい夜着にうなされている
    (川柳)
     頭を出す。夜臥その頭を覆ふ勿れ、長寿を得
    (千金方)

    手袋
     今は、子供も大人も部厚い手袋をはめる。
     それでもまだ、寒い、冷たいとふるえており、しもやけするものも少なくない。
     私ども子供のころ、子供の手袋など贅沢品だった。
     中学でもきびしく禁じられていた。
     いや、ポケットに手を入れることさえやかましかった。
     寒ければ手をこすれ、それでも寒ければ運動せよと、寒い運動場につれ出され汗をかくまで走らされた。
     底冷えのきつい津山でのことなので、寒さは相当きびしかったが、雪の日には素手で雪なげし、雪だるまをつくった。
     なれれば、結構、それで我慢ができ、少しも苦痛ではなかった。
     鍛錬の大切な年頃にはそれがよい。
     いや、そうでなければダメだ。
     今時の子供たちや元気ざかりの若いもののあいだにひろがっている柔弱な気風は、国家・民族の将来のためだけではない。
     本人自身にとっても憂うべき悲しむべきことといわねばなるまい。

    足袋
     老人は別だが、若いものや子供など、血の気の多いもの、鍛錬ののぞましい年頃のものには無用のものだ。
     血のめぐりさえよければ決して寒くはない。
     はだしであればよい。
     私の子供のころの田舎では、足袋はやはり贅沢品だった。
     ナンセンによれば、ラップ人やエスキモー人など極北の地に住むものでも靴下ははかず、乾いた草を入れた靴をはいている、という。
    (45・9)




11. 猿真似はやめよう

     医学博士 遠藤 仁郎 

     在米日系人の一世には、日本人と同様、胃癌が多く、大腸癌や乳癌は少ないのに、二世・三世には胃癌は少なくなり、大腸癌や乳癌がふえている。また、糖尿病や心筋梗塞も、一世には少ないが、二〜三世には、ずっと多くなっている。これらの事実は、いずれも、日系人の罹病傾向が欧米人型になっていること、つまり、日系人の体質が日本人より欧米人に近づいていることをしめすものだ。
    欧米の反省
     ところが、さいきんの欧米では、かれらに多い病気が、200年来の肉・脂肪ことに飽和脂肪(乳や乳製品)・砂糖・精製穀(白パン)食のためであると反省され(環境の悪化・運動の不足・生存競争の激化などの影響ももちろんあろうが)、こうした食品をへらし、全穀パン、ジャガイモ、大豆、野菜、クダモノなどを多くとろう。そして、このことは、とくにこどもたちにとって大切だ、という声や運動がおきている。

    わが国では
     その時、わが国では、相も変らず、国をあげて、もっと肉を、もっと乳を乳製品を、もっと砂糖をと、食の欧米化がすすめられ、しかも、発育ざかりのこどもたちには、とくに、その必要性が強調されているのだが、これは、また、なんとしたことだろう。
     なるほど、食の欧米化によって、こどもたちは大きくなった。しかし、それとて、ただヒョロ長くなっただけで、けっして均斉のとれたのび方とはいえないし、体力・精神力はかえって低下していること、不健康児・病弱児がふえ、いろいろ厄介な病気が多くなっていることは、よく知られているとおりだ。

    冠状動脈硬化のきざし
     欧米で、今、もっとも問題になっているのは、心筋梗塞などの心臓の冠状動脈の硬化による病気の激増であり、しかも、その下地が、すでに幼時にはじまっているということだ。しかし、なんと、わが国でも、もう、そのきざしが出かかっている
     ――わが国の4〜5才児の冠状動脈にも、どうやら動脈硬化の前触れと思われる変化がみとめられる――
     というのだから、少しも安閑とはしていられない。

    日本人の体質
     これまで、欧米人と日本人との間に体質のちがいがあるのは、人種的のものであろうとされていたのだが、そうでなかったことは、日系二〜三世や、わが国の青少年層の体質が、このように、生活様式ことに食生活の欧米化によって変ってきていることからも、よく理解できよう。日本人の体質も、罹病傾向も、つまりは、わが国古来の伝統的日常生活、ことに質素な食生活の結果にほかならないわけだ。

    合理化すればよい
     さりとて、ここまで向上(実は堕落)した食生活。いまさら、肉を食うな、砂糖を食うなといっても、とても受け入れられよう筈はあるまい。また、われらとて、そういう野暮なことをいうつもりはない。ましてや、世界の経済大国。貿易収支の黒字べらしのためには、うんと輸入をふやし、うまいものもどんどん食わねばならぬ、というものでもあろう。
     けれども、そのために、ながい間につちかわれた、めぐまれた体質、すぐれた健康を、ムザムザ犠牲にしたり、大切なこどもたちまで、その巻添えにしてはつまらんではないか。いや、申訳けないではないか、というまで。
     要は合理化。当の欧米人さえ、その非を悟っているのだ。かれらの反省を鏡として合理化につとめよう。あやまりをなおすことは少しも恥ではない。あらためないことこそ誤り。もっとも恥ずべきことだ。いわんや、欧米人のすることは、なんでも真似たがるお国柄。こういうことこそ、大いに、すすんで真似なければなるまい。

    甚しい欠陥食
     欧米食の間違いは何か。栄養豊富で文化的な高級食と、一般にかんがえられている欧米食は、その実、まことに不完全であり、安全性にも問題の少なくない欠陥食なのだ。すなわち、動物食品(肉類・卵・乳製品)・精製穀・脂・糖にかたより、野菜ことに良質ナッパに乏しいこと。高度に加工(精製・調理)され、濃厚に調味(糖・塩・脂・香辛料・化学調味料)されていること。
     菓子・酒・コーヒー、コーラ(タバコも)などの嗜好品が乱用されていること。などのため、熱量・蛋白質ばかりが多く(栄養食といわれる所以)、これに釣りあうべきミネラル(ことにアルカリ、カルシウム)・ビタミン(繊維も)は不足、という不完全食となっている。また、貯蔵食品、既成食品、インスタント食品が多いため、安全性にも不安が少なくない。なお、生産方法の不自然不合理化のため、食品自体すでに劣質化し、有害有毒化されてさえいる。

    安全化・完全化
     そこで、これを合理化するには、まず、

      安全化  すべての食品は、なるべく安全なものをえらび、危険な生産用(農・畜・水産用)薬剤、産業廃棄物、あるいは添加物などによって汚染されているものは、極力さけること。
      完全化  そして、主食品・蛋白食品にたいし十分の、少なくとも2〜3倍量の良質ナッパをそえ、なるべく多くを生食し、青汁にして飲むことだ。
      主食品  米は玄米。小麦粉は全穀粉(黒パン、全穀パン)、せめて無漂白。むしろ、イモ・マメ・雑穀とし、なるべく少量。(主食のとりすぎが邦食のもっとも大きい欠陥)とくに、動物食品が多くなるだけ、主食量をへらすこと。
      蛋白食品  動物食品(肉類・卵・乳製品)だけにかたよらず、植物蛋白(大豆など)を活用する。肉類・卵・乳製品は、すぐれた蛋白食品ではあるが、安全性に疑問のあるものが少なくない、ことに加工品。(これらのすぎているのが欧米食のもっとも重大な欠陥)なお、欧米でも、大豆の優秀性に着目、利用がすすめられていることに注目しよう。
      副食品  良質ナッパを主とする野菜・山菜・海藻・クダモノ類を十分とること。(邦食・欧米食に共通した欠陥はこれらの中でも良質ナッパの不足)調理はなるべく簡単に、調味はうすく。(調味ことに食塩のとりすぎも邦食の欠陥の一つ)嗜好品にも十分注意。タバコ・酒・菓子・コーヒー・コーラなど、やめるか控え目。なるべくクダモノにする。

     つまり、食の合理化には、食品の安全化と、肉食・穀食・糖・食塩をひかえ、良質ナッパを主体とする野菜・クダモノ類を十分に、ということになる。

    緑葉食・青汁
     これが実行には、安全良質食品の円滑な供給が先決条件であるこというまでもないが、その必ずしも容易でない現在において可能なのは、われわれの多年強調している食の自然化、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁といった食。あるいは、せめて、青汁だけでもうんと飲むことであろう。
     それは、十分のナッパ・青汁によって、単に、栄養が完全になるだけでなく(緑葉食・青汁では400〜500グラム、青汁にして2合、イモ・マメ・ナッパ食では200〜250。青汁1合で、完全にバランスがとれる)、それ以上にとって、ミネラル・ビタミンに余裕をもたすようにすると、安全性と摂取量(完全食の範囲内)にさえ気をつければ、安心して何を食べてもよい、
     つまり、うまいもの(とかく栄養的にかたよったものが多いのだが)を食いながら、その害を防ぐことができる。したがって、欧米食の欠陥は除かれ、しだいに多くなりつつあるわが国の欧米文明病を防ぐことにも役立つだろう。
     また、こどもたちは必ずや、均斉のとれた頑健な体躯、すぐれた頭脳をめぐまれることであろう、とかんがえられるからだ。それはともかく、いつまでも無批判な欧米模倣の猿真似に終始せず、このあたりで、じっくりわが国古来のよさを見なおし、かみしめてみるべきではあるまいか。(52・11)




12. 動物にかえる

     医学博士 遠藤 仁郎 

     このごろのこどもは、背丈だけはのびたが、筋骨薄弱。背骨がまがったり関節がゆがむ。わずかなことでも骨が折れる。若いものにも腰痛やギックリ腰が多いし、中高年層には、高血圧、動脉硬化・糖尿病などの成人病。
     これらは、いずれも、世の中がひらけ、何もかも便利になって、からだを動かすことがなくなり、運動不足に陥った結果(文明病)だというので、さいきん、にわかに運動熱がもりあがってきた。
     そして、ナワトビ、ランニングがはやり、スポーツがはやり、いろいろの運動器具や施設も、ぞくぞくできだした。まことに結構なことだ。

    運動の効用
     直接には、筋肉・骨・関節や心・肺が強められ、血がふえる。また、運動によって体内代謝や排泄機能――汗をかく、呼吸がさかんになる、便通がよくなるなど――がたかまり老廃物がへり、血がきれいになる。
     血がきれいになると、からだ中の細胞・組織・臓器のはたらき、したがって体調がよくなり、体力・抵抗力が強化される。

    気をつけねばならないこと
     しかし、運動自体、強烈な刺戟なので、その適応には十分気をつけ、それぞれの体力・体質に応じた、無理にならぬものでなければならない。
     また、平素の食べ方にも注意が肝要。それは、平素の食べ方によって健康状態が大きく左右されるからだ。すなわち、食べ方が正しければ、健康状態がよく、どんな運動でも、とくに過激でないかぎり、よく耐えられ、それだけ、運動の効果も大きい。けれども、食べ方がまちがっていると、健康はすぐれず、僅かの刺戟にたいしても感じやすいので、十分の運動ができず、運動の効果があがらないばかりか、ばあいによっては、たとえば少し強い運動であっても、かえって逆効果、健康を害するおそれがないともいえないからだ。

    動物とわれわれ
     さて、からだを動かす、運動するということは、いわば、動物本来の姿にかえること。
     少なくとも、それに近づくことだ。そこで、動物のばあいとわれわれのとをくらべてみよう。

    動物のばあい
     かれらの運動は、自然に則しており、すべての運動は自然環境の中でおこなわれている。
     つまり、筋肉を動かすだけでなく、同時に、日光、風雨、寒暑にさらされ、これらの刺戟にきたえられている。
     そして、かれらに適したもの、かれらにとっての完全食の適量を、自然のまま食べている(合理的完全食)。

    われわれのばあい
     われわれのばあい、運動の多くは室内でおこなわれ、自然の刺戟にさらされることが少ない。
     また、スポーツにかたよっているため、とかく過激になりがち。
     しかも、われわれの食は、平素から、穀・肉・糖・脂にかたより、高度に加工され、濃厚に調味された、栄養的にははなはだしく不完全な、つまり、あまりにも不自然・不合理化された贅美食を飽食しており、運動時には、さらに高カロリー・高蛋白食を要求する。
     そのために生ずる血のにごりによって体調をそこない、体調不良は運動不足をまねくこととなり、いっそう体調をくずす、という悪循環をくりかえすわけで、上記のごとき、現在多い健康障害は、けっして、ただ運動の不足だけによるものではない。

    効果的にするには
     そこで、運動の効果をあげるためには、まず、体力に適した軽い運動(なるべく自然環境の中の)からはじめ、しだいにその量を増し、理想的には毎日、あるいは週1回でも、月2〜3回でも、ともかく続けること。
     そして、同時にかならず食べ方を正しくすることだ。すなわち、なるべく安全な自然食品をえらび、十分の良質ナッパをそえ、調理は簡単、調味はうすく、自然のままか、自然にちかいかたちで食べる――緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食。あるいは、せめて青汁だけでも、少なくとも1日2〜3合(もとのナッパ500〜750グラム)のむ。
     こうすれば、体調はいつも上々。運動せずにはいられず、運動しても疲れず、たとえ疲れてもすぐに回復する。
     この、適度の運動と正しい食とは、健康保持・増進のカナメであり、この二つがうまく調和して、はじめて本当の健康は約束されるわけで、これこそ、動物本来の自然の姿にかえること、少なくとも、それに近づくことといえそうだ。

     ともあれ、自然のおきてにすなおにしたがっている動物の自然の生き方に、少しづつでも近づくようつとめるならば、かならずや、健康になり、現在、多くの人々を悩ましている文明病(運動不足・贅食病)からの解放も、けっしてむつかしいことはあるまい。

    (53・11)




13. 川崎病(MCLS)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     ちかごろ、小児科で問題になっているものに川崎病(MCLS)がある。急性の熱性病で、結膜や口腔などの粘膜、皮膚、淋巴節に、めだった症状が出るので、粘膜(Muco)・皮膚(Cutaneus)・淋巴節(Lymphnode)・症候群(Syndrome)の頭文字をとってMCLSとよばれている。
     はじめは、多くの発疹性熱病のように、タチのよいものとかんがえられていたが、心臓や血管がやられ、ポックリ死んだり、数ヶ月〜1年も後で心筋梗塞の発作が出たり、弁膜が悪くなるなど、ウッカリできない、恐ろしい病気であることが知られて来た。
     原因はまだわからず、的確な治療法もない難病の一つ。

     ところで、この病気は、近々十年あまりまえ初めて気づかれたものであり(昭42年、東京日赤の川崎富作博士が報告された)、日本国中にひろがっている。韓国やハワイ、アメリカ本土にもたまにあるが、ほとんど日本人か日本に関係のあるものばかり。つまり、日本または日本人特有のもので、それ以外には、世界中のどこにもあまりないものらしい。
     ということは、どうやらこの病気が、ここ十数〜二十年来のわが国の、ほかに類をみない環境汚染や日常ことに食生活の変化などとかかわりあいのあることを示すものではないだろうか。すなわち、大気・水・土・食品のよごれが甚しくなったこと。妊産婦の食べものが、精製穀・肉・糖にかたより、熱量・蛋白質にはとむが、ミネラル・ビタミンに乏しい不完全食であるうえ、有害有毒であるかも知れない既成食品・インスタントものが多くなっていること。アルコール・タバコを嗜む女性がふえていること。薬の乱用されていること。新生児の多くは、ただちに人工栄養を強いられ、初乳はもとより母乳さえも十分にあたえられてないこと。離乳後の食また妊産婦食と規をひとしくしていること、など。といった欠陥栄養の結果、代謝の異常、悪血(血の濁り)をまねき、子供の抵抗力・免疫能をそこない、神経(自立)系の変調をおこし、ものごとに感じやすい(アレルギー性)体質になっており、そこに、何らかの原因が加わって、こうした異常につよい反応をもたらすことになるのではあるまいか。ともあれ、本病の予防には、母・児ともに、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁といった、安全かつ完全な栄養をとるべきだし、治療にあたっても、せめて青汁だけでも十分にのませてみてほしいと思う。

    (51・2)




14. 20年まえに戻せ

     医学博士 遠藤 仁郎 

    54才の農家の主婦
     いぜんはいたって健康で病気したことはなかった。
     それが、20年まえからアレルギー性となり、喘息が出てきた。
     しかも、カブレやすいので薬が一切のめず、とても困った。
     そのうえ、10年まえには甲状腺をわずらい(バセドウ病)、食道の中ほどにつまる感じがあった。
     その後、この感じは自然におさまっていたが、さいきん、またあらわれた。
     かかりつけの医師から、精密検査をうけて来い、ついでにアレルゲン(カブレの原因になるもの)の検査もしてもらいたい、とのこと。

     ○ 
     なるほど、バセドウのように、肌は汗ばんでいるし、指もふるえている。
     しかし、眼はとび出ていないし、ギラギラもしていない。
     脉もそう多くはない(80くらい)。甲状腺の腫れもあるかないかというところ。
     食道の中ほどにつかえるという感じというのが、あるいはそのあたりに別の甲状腺があって、それが腫れているのかも知れない。
     いずれにしても、くわしい検査をしなければわからないわけだ。
     しかし、私には、それよりも、これらの症状が20年まえにおこったということと、いぜんは野菜をよく食べていたのが、魚や卵が多くなり、砂糖をよくつかうようになった、という食習の変化に興味をひかれた。
     というのは、この方が年頃になった30年まえの農家の食べものは、本人もいっているように、肉は食べず、魚も時々。砂糖も少なく、菓子なども殆んど食べなかった。
     そして、野菜が多く、それも(その他の食べものも)農薬はもとより化学肥料もつかわなかったから、すべて安全・良質のものばかりだった。
     その野菜中心の食べものでいたって健康だった。
     それが、なぜ、20年まえころから変ってきたか。
     それはこうだったろう、と私はかんがえる。

     終戦後しばらくは戦前・戦中のつづきで、大した変化はなかったろうが、その後、農家の経済状態がよくなるにつれて、食べものはしだいに贅沢になり、純白飯、肉や魚・卵を十分たべ、砂糖・菓子の消費がふえ、野菜はしだいにへってきた。
     しかも、その野菜は化学肥料で栽培され、そのため病虫害が甚しく、農薬で汚染されたものばかりになった。
     そのうえ、雑多な添加物のはいった加工食品、既成食品、インスタントものがドンドン農家の台所にはいってきた。
     こうして、栄養ははなはだしく不完全となり、血がにごって来た。
     あまつさえ、氾濫する有害有毒食品によって、さらに、その度をつよめられたであろう。
     そして、体調はしだいに不良となり、抵抗力はよわり、ものごとに感じやすくなって来たであろう。
     そこへ、いろいろ有害因子の感作をうけているうち、20年まえ頃になって、ついにアレルギー体質となり、カブレたり、喘息が出、バセドウまでもがおこったのであろう。

     こうみてくると、病気がなんであろうと、ともかく、体質をもとにもどせばよい。そうすれば、カブレも、喘息も、甲状腺の異常もおのずとおさまるにちがいあるまい。
     アレルゲンの検査をして何かがみつかったとしても、それだけとは限らない。感じやすい体質であるかぎり、いくらでも出来うるのだから、むしろ、からだをなおすことにつとむべきだ。
     20年まえにもどそう。むつかしいことはいわない。
     ともかく、健康だった20年、いや30年まえの日常生活にできるだけ近づけることだ。
     野菜類、ことにナッパのつくり方を、まず、30年まえまでやっていた、化学肥料をつかわず、堆肥を主とした有機質肥料による昔流の自然健康農法にもどすこと。
     農薬は一切つかわない(化学肥料をやめれば自然いらなくもなる)。
     昔そうであったように、良質安全なナッパをうんと食べ、青汁にしてものむ。
     ほかの作物も、同様、すべて自然農法にし、主食には白米よりは玄米、雑穀、マメ、イモを利用。
     蛋白源には大豆を主とし、昔ながらの養鶏をやり、その卵や肉にする。調理は簡単に、味はうすく。
     間食の菓子をやめ、クダもの(農薬汚染のない)にする。
     そして、からだはつとめてよく動かす。こうして、血をきれいにし、辛棒よくつづけていれば、効果のあらわれるまでに時間はかかるかも知れないが、きっと、よくなるだろう。
    (54・12)




15. ナッパ不足だ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     お盆に帰省したという若いママさん。
     ちかごろ肩がひどくこり、夜ねぐるしいほどだ。
     また、扁桃腺やノドをよくいため、鼻がよくつまる。
     こどもは二人あり、上の5才の児は野菜をよく食べいたって丈夫だが、下の3才の児は一向に食べようとせず、ハダはカサカサしており、始終アトピー性皮膚炎に悩まされている。
     会社つとめの主人は元気にしているが、つかれがひどいようだ。
     食事は肉食がちで、みんな大の甘党。
     菓子をよく食べ、ジュースもよくのむ。
     野菜やくだものもつとめて食べるようにはしているが、十分ではない。
     住いは東京の郊外で広い畑はある。
     しかしイチゴをつくっている程度だ、とのことなので、原因はナッパの不足だ、広い畑をあそばしておくのは、なんとも勿体ない。
     運動にもなることだし、家族総出で、自然健康農法による良質安全ナッパをつくり、それをもりもり食べ、青汁にもしておのみなさいと、ケールの種子を進呈しておいた。

    (56・8)




16. ある日突然

     医学博士 遠藤 仁郎 

     数年まえ冠不全と診断され、いらい、安全な野菜を自給し、緑葉食・青汁に精進していられてたKさんのお話。

     「家内はいたって健康で病気したこともありませんでしたが、2ヶ月まえ、突然たおれ脳外科に入院。精密検査の結果、比較的軽症の脳血栓だから、2〜3ヶ月もしたら治るだろう、とのことで安心していましたが、その3日後、急変して逝ってしまいました。青汁もかなり飲んではいたのですが」
     とのこと。
     これには、私も返す言葉につまり、苦しまぎれに、
     「そういう病気の原因は、ながい間に来るものですからナア」
     とだけいったが、奥さんは、どうやら、元来大の甘党であり、味つけがとても濃厚だったそうだ。
     ある日突然おこる病気もけっして、その日におこるのではなく、そのきざすところは古くまた深く、ながい間の不養生のつみかさねの結果なのだから、いかに丈夫そうではあっても、やはり日常生活に細心の注意をはらうことが何より肝要というものだろう。




17. 制ガン二題
食生活など心がけしだいではガンの80%は予防できる
米国立ガン研究所前所長 アプトン博士のアドバイス


    ビタミンAや繊維質を多く
     「食べ物やたばこ、それに周囲の化学物質など、日常生活を注意深く過ごせば、ガンの80%は予防できる」−こんな耳よりな話を聞きました。発言者は、アメリカの国立ガン研究所前所長で、現在ニューヨーク大学環境医学研究所長のアーサー・C・アプトン博士(58)。このほど高松宮妃癌研究基金講演会(日本IBM後援)のため来日したのを機に、どうすればガンを予防できるか、その具体策を中心に、お話を聞きました。

    全国5ヵ所で講演
     まず、アプトン博士の紹介をしましょう。放射線発ガンの権威で1957年(昭和32年)、日米科学協力の一環としてガン共同研究がスタートしたときの初代米国代表。当時日本側代表の杉村隆・現国立がんセンター研究所長をはじめ、わが国のガン研究者に多くの知人を持っています。1977年(同52年)、カーター大統領に請われて国立ガン研究所(NCI)所長に。昨年1月まで約3年間、米国のガン研究の総指揮を取った大物学者。同研究所の所長就任式には歴代大統領が必ず出席するのが慣例になっているくらいで、日本のがんセンターをはるかにしのぐ大変重要なポストのようです。先月19日来日いらい、札幌、佐賀、東京、京都、金沢の全国5ヵ所で講演会を開いていますが、東京会場でのテーマは「癌の原因とその予防についての最近の展望」で、結論からいえば、前述のとおり「80%は予防可能」というわけです。

    遺伝より環境で…
     では、どうすれば予防できるのか、具体策をうかがいましょう。「食べ物が重要である」といって、博士があげたのは、ハワイ、カリフォルニア在住の日系人。日本人に多い胃ガン、食道ガンが減って、大腸ガン、乳ガンがふえるなど、米国人のパターンに近づいている。このことは、発ガンが遺伝よりむしろ環境に支配されていることを示しており、なかでも食生活の変化が主な原因というのです。「どんな食べ物が発ガンの原因になっているか、いまはいえない」といいながらも、「動物実験でわかったこと」として、次のようなアドバイスをしてくれました。

    1. 太りすぎない。つまり脂肪を余り取らないように。米国の食事の40%は脂肪分、日本はその半分だが、もっと減らさなければいけない。
    2. おこげは食べない。魚や肉の焼けこげのなかにあるトリプトファン熱分解物質がマウスに肝ガンを起こすことは、日本の杉村グループの実験で確かめられている。
    3. カビの生えたものは食べない。カビに含まれるアフラトキシン、マイコトキシンの発ガン性はよく知られている。
    4. アルコールの飲みすぎも、よくない。喉頭、咽頭などノドのガン、食道ガン患者には酒飲みが多い。

     逆に、ガン予防に役立つこととしては―
    1. ビタミンAを摂取する。Aはガン細胞の増殖を妨げる。
    2. 新鮮な野菜やくだものを食べる。
    3. 繊維質の食べものをとる。
     以上の3点をあげ、「今後、食べ物についての研究をもっと集中的にやれば、20年以内にはガン予防のための理想的なメニューを食卓に提供できる」と強調しました。食べ物以外にアプトン博士が注意を呼びかけているのは、たばこと紫外線。たばこについては、あまりに知られすぎていることですが、博士は「ヘビースモーカーが肺ガンで死ぬ確率は、米国の統計では10%にも達し、年間のガン死亡者40万人中10万人は肺ガンである」と、たばこの害を指摘しました。ちなみに、博士のいうヘビースモーカーは1日1パック(20本)以上で、2パック(40本)となるともうベリーヘビースモーカーとのこと。そして、ヘビースモーカーでもたばこをやめれば発ガンのリスクは減ることも付け加えていました。

    紫外線にも要注意
     もう一つの紫外線というのは、日光に当たりすぎると起きる皮膚ガンとの関連から指摘したもので、米国ではこの10年間に2倍にも増えているそうです。「日本人はフィルターとしての自然の肌を天からさずかっているが、白人は肌に色素がないため、紫外線によって細胞が死んだり、傷つけられて発ガンしやすい」というのです。国立がんセンター、杉村博士の試算では、ガンのために投入された医療費を5年生存できた患者数で割ると、1人を救うには平均約2千万円の医療費が必要だが、予防なら1人数万円でできるという数字が出ており、アプトン博士は「ガン予防の研究にもっと力を注がなければならない」と強調しました。(57・10・27 サンケイ)

野菜ジュースのガン抑制裏付け
神戸大などの研究グループ


    神戸大などの研究グループ
     野菜ジュースは健康によく、発ガン抑制効果もあるといわれているが、神戸市環境保健研究所の伊藤義明所員と神戸大医学部第二病理学教室(杉山武敏教授)の研究グループは、ラットを使った動物実験で野菜ジュースが29%から16%の発ガン抑制率があることを実証、研究成果を23日から大阪で開かれる日本癌学会で発表する。
     同グループは、ラット6匹を1グループとし、化学発ガン剤(ジメチル・ベンツアントラセン=DMBA)を投与するグループと10種類別々の野菜ジュースに加えてDMBAを投与するグループに分け、発ガン率を調べた。

     野菜ジュースは、野菜10種類をそれぞれ500gずつジュースにして水で薄め1リットルに増量、水代わりに1週間飲ませ続けた。1匹の摂取量は1日平均2gで1週間で14g。発ガン抑制率の測定は、発ガンと相関関係にある染色体異常を指標として、DMBAだけを投与したグループと、野菜ジュースとDMBAの両方を投与したグループのそれぞれの染色体異常の割合を比較して発ガン抑制率を出した。この結果、玉ネギ、ゴボウ、ナス、キャベツ、ネギ、レタス、ニンジン、セロリ、ピーマン、カボチャの10種類の野菜ジュースのうち、玉ネギ、ゴボウ、ナス、キャベツの4種類のジュースを摂取したラットに効果が現れ、玉ネギ29%、ゴボウ19%、ナス18%、キャベツ16%の発ガン抑制率があることが分かった。抑制率の最も高かった玉ネギの場合、動物の肝臓、筋肉に分布し生体内酸化還元に重要な役割を果たすグルタチオンに似た成分が玉ネギにも含まれ、発ガン物質と結合して解毒作用を起こしているのではないかと、説明している。(58・8・7 サンケイ)




18. 高齢者は食事量の少ないのが問題

    (ワシントン)高齢者には栄養不良のものが多い。微妙な加齢による生理的変化や社会的、経済的な理由については説はいろいろあるが、その原因の多くはただ単にあまり食べないからだという。
     シカゴ大学臨床栄養研究センター所長のIrwin Rosenberg博士は、このほど消化機能と老化について所見をとりまとめ、当地の栄養に関するシンポジウムで次のように発表した。

     「高齢者は以前ほど活発に動かないため、食欲もカロリー必要量も低下する。活動しない高齢者では、食事から十分なビタミンやミネラルがとれない程度にまでカロリーの必要量が低下する。一日当たりの必要量は、50歳の1,600カロリーから小柄で不活発な75歳の老人では1,300カロリーにまで減る。
     活動の程度だけでなく、他の変化も適切な栄養を防げる。歯や嚥下する筋が変化すれば、選ぶ食事にも関係してくる。米国人の約3分の2は、75歳までに全部の歯がなくなってしまう。胃が酸を産生する能力は低下し、おそらく血流からさらに消化管への栄養素吸収に影響する。
     多くの高齢者では、体内のビタミンとミネラルが不足する。確実な科学的証拠は、高齢になるとカルシウム、葉酸、ビタミンB12を食物から吸収できなくなることを示している。
     葉酸とビタミンB12は血中蛋白の産生に必要なもので、これらが不足すると貧血を生じる。高齢者の多くではビタミンDも不足するが、これはおそらく日光にあたる機会が少ないためだろう。
     高齢者が服用する多くの薬物も、食欲や栄養素の腸内吸収を減少することがある。
     最もよく用いられるものの一つ、制酸剤は胃を安定させるが、必要な栄養素の吸収を妨げる場合もある。人口が高齢化している現在、こうした栄養と加齢の関係を医師はもっと十分に認識しなければならない。座りこんだまま、成り行きに任せておく問題ではない」
    (Medical Tribune84.1.19)




19. 運動をしたがらない高齢者

    危険だとの誤解が原因に

     【ワシントン】運動に関する広告や公的な発表の最後には、「運動を始める前に必ず医師に相談してください」と書いてあることが多い。
     そのために何百万という高齢の米国民が、必要な運動を行なっていないという。
     規則的な運動は、高齢者の心疾患や骨のもろくなるオステオポローシスの予防に役立つが、最近の調査によると、米国の高齢者の約70%は規則的な運動を行なっていない。
     「加齢と健康増進」に関する調査を実施した研究者たちは、多くの高齢者が運動しない理由を調べた結果、運動を始める前に医師の診察を受けることを強調する保健専門家たちの発言が、「40歳以上での運動は危険」という印象を与えていることがわかった。
     研究対象の“中心”とした高齢者にとって特に心配なのは、運動が心拍数を高めることで、それは絶対に危険だと誤解しているものが多かった。
     どれだけの症状があるかによって違うのが、「ほとんどの高齢者は、運動を始める前に医師の診察を受ける必要がない」ことを彼らに教えるべきだ、と調査報告書は勧告している。
     調査に参加したSharyn Mallamad博士によると、高齢者は“活動的な状態を保つ”べきことを知っているというが、活動的な状態とは裁縫や料理をし、孫の面倒をみることであって、運動することではないと考えている者が少なくない。

    食事についての知識も不足
     この調査ではよい栄養、バランスのとれた食事とはどんなものかについて、高齢者の知識が不足していることも判明した。
     報告書が引用した全国的な調査によると、体重過剰が心臓発作や卒中などの病気に関係することを知っているのは、65歳以上の回答者のうち20%にすぎなかった。
     また高脂肪、高コレステロール食が心疾患に影響すると知っていたのは、わずか9%であった。
     高血圧の危険因子についての質問に対し、体重過剰を挙げたのは65歳以上の人たちの18%、脂肪食を挙げたのは29%、塩の過剰摂取を挙げたのは11%にすぎなかった。
     高齢者がこのように無知なのは、明らかに医師がそれを伝えないからだ。
     調査対象のうち、すでに高血圧と診断されていた65歳以上の人たちで、塩の摂取量を少なくするようにいわれたのは66%にすぎない。
     また、減量食を勧められたのはわずか37%だった。
     処方薬全体の30%を占める高齢者のための薬剤について、医師と患者のコミュニケーションに問題があることも再確認された。
     調査対象となった高齢者たちは、薬の服用法や副作用を医師が十分に教えてくれないと述べた。
     ある老人が語ったように「お医者さんは、それほど気を使って薬の飲み方を教えないし、こっちもいつも尋ねようとは思わない」というのが典型的な例である。

    (Medical Tribune1984.9.12)




20. 肝炎、心臓病、高血圧、喘息、水虫、ニキビ

    東京都 K.S. 

     青汁にお世話になりまして1年半程ですが、始めのうちは不思議に思い、本当を申せばマユツバ物ではなどと思いつつ、1日顆粒4袋後、銀座の青汁スタンドで青汁2はい程の割合で飲んでおりました。
     主人=肝炎、心臓のいたみ、血圧(血圧上280、下140くらい)、眼まい、水虫、ウオノ目、不眠症。
     息子(23才)=ニキビ(ふき出もの)、水虫、耳なり、ウオノ目、インキン、ゼンソク。二人とも肉(アブラの多いところ)が好きで、野菜は食べなさいといっても本当に食べませんでした。
     ところが青汁をはじめて驚いたことに、うすい紙を一枚、一枚はぐように、日に日に良くなって行くのが見えて参りました。
     自分達も青汁の効果が理解出来たようです。
     二人とも顔色もよくなり、あれほど困っていた病気がすっかり治り、お医者様が不思議に思って居られる様でした。
     寒かった冬カゼもひかなくなりました。
     アレ?と思ったことは、あれ程肉好きの二人が肉を食べなくなった事です。
     今では魚が好きになり、野菜、魚中心の食事に変ってしまいました。
     私は病気でお困りの方々にこのことを広くおすすめして、1日も早く元気になられ、楽しい人生を送って頂きたいと思います。有難うございました。




21. 早朝散歩と動脈のれん縮

    秋田県 K.N. 

     「散歩は午前の方がいいのでしょうか。それとも午後の方がいいのでしょうか」。
     こんな質問をする人は多分ヘルス学の上級コースを実践している人なのだと思う。なぜなら、ほとんどの人は、散歩といえば午前中にするものときめているし、さらに、早朝の散歩こそが本当に体のためにいい散歩だと思っている人が少なくないからだ。

     確かに早朝の空気は、埃(ほこり)が少なく澄んでいて、肌にほどよい刺戟を与える。その上、人も車も少なく騒音も少ない。まさに爽快感が早朝散歩の身上であり、精神衛生上のプラスの効果はきわめて大きい。
     でも、残念ながらマイナスの要素もあるのである。樹木の多いところでは、日中は光合成が盛んに行われるので、空気中の酸素が増えて、二酸化炭素は減少する。一方、夜間は光合成は行われず呼吸作用のみが行われるので、酸素が減って二酸化炭素が増える。

     したがって、早朝の空気は日中と比べて酸素が少なく二酸化炭素が多くなっている。これにも増して早朝散歩愛好者にとってショッキングなことがある。それは、目覚めてから4時間ぐらいの間は、心臓の栄養血管である冠状動脈が“れん縮”を起こしやすいのである。

     冠状動脈が“れん縮”を起こしても、必ずしも狭心症の発作を起こすとは限らず、全く無症状のことも少なくない。でも、“れん縮”が起これば症状の有る無しにかかわらず、心臓は障害をこうむることになる。これがたびかさなれば、心筋梗塞へと進展することも、あるいは、心不全となって現れることも十分考えられるのだ。中年以降の人にとっては、午後の散歩の方がよさそうに思う。

    (杏林大学教授・内科=石川恭三)(62・6・28 サンケイ)




22. コーヒーと血中コレステロール


     高コレステロール血症の33名の男性を対象に、コーヒー飲用と血中コレステロール濃度の関連を、ノルウェー、Tromsφ大学のO.H.Fφrdeら4人の医師が報告している。
     対象を1群8〜9名の4群に分け、10週にわたり次の通り観察を行った。

     第1群:平常通りコーヒー飲用。
     第2群:10週間コーヒー飲用を中止。
     第3群:はじめの5週間コーヒーをやめ、その後は直接湯でわかしたコーヒー飲用。
     第4群:はじめの5週間コーヒーをやめ、その後はコーヒーわかし器でフィルターを通したコーヒー飲用。

     その結果、第2、3、4群はコーヒーをやめた5週間中に、ほぼ同様に血中総コレステロール濃度が減少し、平均約10%の低下をみた。その後さらにコーヒー飲用を中止した第2群はなお低下を続け、10週後には約13%の低下を示した。
     一方、第6週目から再び飲用をはじめた第3、4群では、第3群がコレステロールの上昇傾向を示したのに対し、第4群では5週後のレベルをほぼ持続して10週に至った。現在のところ、コーヒーの血中コレステロールに対する作用機序は全く不明であり、この実験はコーヒーの用量とコレステロール濃度変化の量的関係を明らかにするものではないが、少なくとも高コレステロール血症の患者がコーヒー飲用をやめることによって血中総コレステロール値の低下をみることは確かのようであり、またその効果はコーヒーのいれ方いかんによって左右されることも示唆されたとしている。(日本医師会雑誌 第95巻・第3号/昭和61年2月1日より)




23. 正成流ダイエット 大切な昼、夕食前のスポーツ

    筑波大助教授 M.S. 


     貯蔵脂肪を減らすには、その分解、放出を促すことが大切です。脂肪は脂肪細胞の中で脂肪酸とグリセリンに分解されたあと血液に放出され、心臓や筋肉にとり込まれてエネルギーに使われます。この過程を活発化するには、食後の絶食時間を十分とること。朝食、昼食、夕食の前の約2時間は、貯蔵脂肪の分解、放出が1日中で最も活発な時間帯です。
     早朝には体操、ウオーキング、ジョギング、
     そして昼食や夕食前にスポーツをすることは、貯蔵脂肪減らしの効率を高めます。しかし、10時や3時のティータイムに、でんぷんや糖分がタップリのスナックをとると、貯蔵脂肪の分解系をストップさせてしまいます。ぶどう糖が血中に増え、脂肪細胞に取り込まれて活性グリセリンとなり、折角分解されて細胞外に放出されようとしている脂肪酸をつかまえて、再び貯蔵脂肪にしてしまうからです コーヒーや紅茶のカフェインは、貯蔵脂肪の分解系を刺激します。4ヵ月で15kg減量したT嬢は、もちろん、コーヒーは砂糖なし、脱脂粉乳入りでカシコク飲みます。







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