健康と青汁タイトル小
食品を見分ける目





1. 鮎の味

    村井 G.M. 

     全体鮎の味は川に因って違ひます……
     同じ川でも場所によって味が違ひます……
     何故場所によって味が違ふと云ふに、鮎の食物たる硅藻の種類が違ひ、復たその多い処と少い処とで違ふからです……

     硅藻のことを俗にアカと申しますが、一番上等なのは極の清流に大きなカブラ岩が沢山あって、其の岩が極く緻密な質で滑かだと、青アカと云って極く細かい柔かい硅藻が附きます。
     粗質の岩には俗にマグソアカと云ふ褐色の硅藻が附きます。その上等なアカを沢山食べて居る鮎で無ければ肉が肥えて味が良くなりません……
     3日も4日も大雨が降り続いて大水が出て、岩に附いて居る硅藻を押し流して了ふと、其後五六日間に漁れた鮎は餌に飢えて居るから味が悪う御座います……
     20日も一月も晴天が続くと、川の水が減少して鮎の住み場が狭くなりますのに、硅藻が余り成長し過ぎて硬くなりますから、鮎は矢っ張り餌に飢えて味が悪くなります。

     硅藻も野菜も同じ様に、発生した計りの若芽が柔かくて美味しいので、その若芽を充分に食べた鮎が最も肥えて居るので、漁夫仲間では新しい硅藻の事を新アカと申します……
     雨が降って古いアカを押流した後、照り着く様な晴天が五六日続くと新アカが沢山出来ます。それを充分に食べた様な鮎を上等な場所で漁ったのが最上等の味になる。

    (食道楽、秋の巻、昭3)




2. 虫のついた野菜

    「青汁をはじめてだいぶからだの調子はよくなったが、材料野菜に虫がついているのを見かけ、気味が悪くなって、やめた」
     といったようなたよりをよこされる方がよくあります。
     また市販の材料についても、こうした意味で、よく小言が出ると聞いています。
     私どもは、米や麦は黒いのがよい。豆もそのまま、芋や果物は皮ごと、という風に、すべて自然のままの見かけのよくないものをすすめていますが、それは、そういう食品には、手を加えたものよりも栄養が富んでいるからです。
     野菜でも同様で、むしろ虫がついていたり、孔だらけのものをすすめます。
     というのは、虫のよくつくような野菜は、おそらく栄養の点でもすぐれているのでないかと想像されるからです。
     鶏でも牛や山羊でも栄養価の高い菜葉を好む――たとえばケールや大根の葉は大変好むがホウレンソウはさほどでない――ものですが昆虫でも同じではないでしょうか。
     それはともかくとして、今一つ大切なことはそういうものには毒がないことです。
     南方戦線で食糧不足に悩んだ兵隊たちは、さかんに草や木の葉を食ったそうですが、食えるか食えぬかは、虫がついているかどうかで見分けたといいます。
     虫が食うほどのものは毒はないと考えたからです。
     もっとも、私どもの日常食べている野菜には、もとより毒のあるものはある筈はないのですが、実は大いにあり、しかもそれは天然の毒ではなくて人工の毒、つまり農薬です。
     虫を退治するためにつかわれる農薬には随分はげしい毒薬があります。
     直接そのために死ぬほどのものもあれば、無害といわれていながらながい間には恐ろしい害をおよぼすものもあります。(ついさき頃、害虫予防の目的で、衛生掃除にまいたDDTのため、愛児を2人まで死なせた、という新聞報道がありましたが、それには、人畜無害といわれているDDTやBHCに有害な砒素が――しかもよく効くというものほど多量に――はいっていた、とも出ていました。これは先年のドライミルク事件と同じで、粗製原料が使用され、その中にふくまれている毒物のために本来無害の筈の農薬が有害になっているわけです。
     また中までしみ通って行くものもあれば、へばりついていて簡単にとれぬのもあり、時間が経って毒性のなくなるのもあれば、いつ迄も変らぬのもあります。
     こういう毒のかかった材料の危険なことは、往々家畜がそれでやられることからもわかります。
     そこで毒のない材料がほしいわけですが、その見分の一番確かなのは、やはり虫です。
     見かけのよい、虫はもとよりのこと、虫の喰った跡方もない菜葉類は、商品価値は大きく、いかにも美味しそうにも見えます(また、そういうのがよく売れるそうです)が、それは、虫のきらいなものか(たとえばホウレンソウ)、そうでなければ農薬を充分に施したものと心得て、まず間違いありません。
     聞くところによると、農家のうちには、そうした劇しい農薬を撒布したあとすぐに出荷するものもあるそうです。
     まことに恐ろしいことです。これに引かえ、虫が喰っていたり、生きた虫がついていることは、安全信号のもっとも確実なものといってよろしい。
     しかも、虫喰いは見かけがよくないだけですし、虫は洗い流せばよいのです。
     またたとえ少々残っていても、役にはたっても(イナゴ、コオロギ、ハチの子などがよい栄養食品であるように)、決して害にはなりません。
     ですから野菜に虫がついていたり、虫が喰っていることは、青汁材料にしても普通野菜にしても、よろこぶべきことではあっても、また害虫の猛威に抗して困難な育成に努力している、良心的な栽培の労苦に対し感謝こそすれ、忌みきらったり、恐れたり、まして農家をとがめ立てなどする筋合のものではないと私は思います。

    (遠藤)




3. ボーフラのわいた水

    西門 Y.S. 

     支那(中国)ではボーフラのわいた水は飲用にして差支ないといわれている相です。
     ボーフラがわき得るのだから無毒だというのです。
     清水を呑みなれた私共には大変気持がよくないのですが。

    (前大原農研所長)





4. 質問箱 宇宙食クロレラ?<

    玉島市 匿名 

    宇宙食クロレラ?


     近頃、宇宙食クロレラという事をよく耳に致しますが、その正体はどんな物でしょうか。


     クロレラという単細胞の緑藻を乾燥したものです。もともと蛋白質の供給源として研究されたので、その25グラムの蛋白質は牛乳1.35合(244cc)卵1.2箇に相当し、熱量は138カロリー、ビタミンA約8万国際単位、B1約1ミリグラムあり、その他の栄養素もよくそろっているというので宇宙旅行の食糧として大切だなどとされているわけです。
     しかし、これも、もとをただせば一種の緑色植物ですから、その成分が、一般の緑葉類のそれと同様すぐれていることは、少しも不思議ではありません。
     ただ問題は、いわゆる「クロレラ入り何々」というヤツでしょう。乾燥物25グラムといえば相当の分量です(抹茶に似ています。その25グラムを想像してみて下さい)。
     それでやっと牛乳1合余りの栄養価なのですが、それを、ほんのちょっぴり混ぜて、「宇宙食品云々」と宣伝されているのです。
     あれでは、さぞかし、クロレラが泣いていることでしょう。





5. 質問箱 乳酸菌飲料は?

    岡山市 F. 


     青汁に乳酸菌飲料を入れるとよいとすすめられましたが、いかがなものでしょうか?


     「乳酸菌」そのものは結構なのですが、つけてある「甘味」が問題です。乳酸菌は糖分から乳酸をつくり(それで乳酸菌というのですが)スッぱくなってしまうので味つけには、多くの場合、そういう変化のおこらぬ「人工甘味」がつかわれます。私どもの調べでは5種のうち4種までズルチンがはいっていました。このズルチンはながい間には肝臓に癌ができるという物騒なものです(幼い子供たちには特に危険)。そこで、そういうものは避けたほうが安全だ、と私どもは考えています。

      見分け方
       1週間もそのままにして(寒い時はコタツにでも入れて)おいてから、飲んでみて、スッぱくなっていたらよろしい。それでも甘かったら、人工甘味が入れてあるか、あるいは生きた乳酸菌がおらぬ証拠で、どちらにしても不良品です。




6. 虫くい虫つきの野菜 大いに安心してよい

    福山市 D.U. 

     青汁用のケールや生食用の青野菜の清浄栽培で、一番苦労するのは虫です。
     下肥だけでなく、農薬も全く使わないので、とくに春から秋にかけては、虫にくい荒らされて閉口します。
     朝夕、よく気をつけて、いちいち手で取って駆除しなければなりません。
     ところが、虫にくわれたハッパ、アマコのついたハッパを、たいへんいやがる人があります。
     が、これは少しも心配する必要はありません。
     危険な農薬がかかっていない証拠です。おいしく栄養価の高い証拠です。
     大いに安心してよいわけです。
     わたしは、かって南方で抑留されて、食料に困りぬいたことがあります。
     いろいろな野草や木の葉を食べねばならぬハメになったのです。
     が、なにぶん見たこと食べたことのないものばかりですから、どれが食用になるか、有害有毒なものはどれか、見分けるのに苦心しました。
     土地の人に聞いたり、マネをする以外、仕方がなかったのです。
     が、そのうち、お互いの間で、うまい手がみつかりました。
     それは、虫がくっているかどうか、ということです。虫がくっているものであれば、まず安心というわけです。
     こういうわけで、野菜には、あまり虫のつかないものもありますが、虫のつく野菜では、虫がついており虫にくわれているものは、決して有害でないという証拠です。
     また、ついている虫も、栄養上有益無害です。
     わざわざこれを食べる人さえあるのです。
     少しも心配する必要はありません。




7. 安全食品を力説するわけ

     友成 左近 

     この青汁教室でも、また「健康と青汁」誌でも、青汁材料は、必ず、農薬を使わずに安全栽培をしたものであること、洗剤を使って洗わないように、その他の野菜果物も同様にと、たえず、くりかえし注意しています。
     また、人工甘味料や人工着色料などを使った食品は危険であると、度々注意して、純正安全食品の使用を力説しています。
     けれども、おそらく、すべての人々は、毎日こうした危険な食物をとっているわけです。
     わたしたちも、やはり多少は、とっているわけです。
     農薬による急性中毒などのように、はっきりしたものは、よく分かるのですが、毎日食べている食物による慢性中毒は、どうもピンと分かりにくいので、つい注意がおろそかになるようですが。

    病気の相当部分は慢性中毒に原因している
     実際そうです。お互い、あさはかなことですが、目に見える急性中毒には、よく注意しますが、すぐにとは目に見えない慢性中毒には、つい注意を怠ります。
     けれども、大きな堤防もアリの穴から、というタトエの通り、オイソレとは目に見えない、ごく軽い中毒でも、つみ重なって慢性化すると、いつかは目に見えて、病気を引き起こすことがあるのです。
     事実、この頃、肝臓や腎臓などの病気が目立ってふえてきているのです。
     どうも、この頃の病気の相当部分は、こうした慢性中毒に原因しているように思われます。
     それはこういうわけです。

    人工的有毒物は食前処理の方法なし
     わたしたちの体は、生きた有害細菌がはいってきても、殺菌する力をもっています。
     有毒物がはいってきても、解毒し処理する力をもっています。
     けれども、そうした体力には、おのずから限度があるので、限度を超えて、有害細菌や有毒物がはいってくると、当然、病気にかかるわけです。
     ところで、わたしたちは、全く無菌無毒の環境で生活しているわけではないので、だれでも毎日、なにほどかずつ、有害細菌や有毒物がはいってきているわけです。
     けれども、こうした、ごく自然にはいってくる場合は、有害細菌や有毒物が格別多いといった、ごく特殊な場合を除いては、体力の限度を超えるようなことはありません。
     別に心配する必要はないわけです。
     ところが、栽培や加工で、人工的にくっつけてある場合は、体力の限度を超えることがあるので、これが問題です。
     このうち、有害細菌は、食前に、洗ったり、煮たり焼いたりすれば、無害となります。
     が、有毒物は、内部にしみこんでいる場合が多いので、洗っても落ちません。
     また、生きた細菌とちがって、煮ても焼いても無毒化しません。
     全く処理の方法がなく、厄介千万です。
     で、栽培や加工で、有毒物を使わないように、決して残っているようなことがないように、してほしいものです。

    この頃の食品の大部分は有毒物を含んでいる
     ところが、この頃の農作業では、パラチオンその他の危険な農薬を使うことが、いわばあたりまえのようになっています。
     従ってどんな農産物にも、有毒物が多少残っています。
     野菜果物には、収穫前にも使うので、かなり多量に残っていることがあります。
     また、蛔虫卵その他の有害物を洗い落とすといって、有毒物を含んでいる洗剤を使えば、これは野菜果物にしみこんでくるので、あとで少々水洗いをしても、やはり残っています。
     それから、菓子、飲み物その他あらゆる加工食品には、人工甘味料や人工着色料を使ったもの、漂白剤や防腐剤がはいっているものが、少なくないのです。
     いな、殆んどすべての加工食品には、多かれ少なかれこうした有毒物がはいっています。
     で、この頃の食品の大部分は、いろいろな有毒物を含んでいるわけです。
     ただ、それが、ごく特殊な場合を除いて、ごく少量ですから、オイソレと目に見えた急性中毒を起こさないだけです。

    全く気づかれない中毒もくりかえしていると病気を引き起こす
     けれども、ごく少量でも、こうした有毒物が含まれている食物を、毎日とっていると、さしあたり別に何も症状があらわれなくても、体内では、たえず、ごく軽い中毒作用を起こしているのです。
     こんな軽い中毒作用でも、たえず、くりかえしていると、慢性中毒となって、そのうち病気を引き起こすことがあるのです。
     有毒物を、たえず人並以上に食べこんでいる人や、人並以下の体力の人は、とくに、そうです。

    この頃、肝臓病腎臓病が多いのが、その証拠
     こうしたことを裏づけるように、この頃、肝臓病や腎臓病にかかる人が目立って増加しているのです。
     それは、こうした有毒物を解毒し処理するところが主として肝臓と腎臓であるからです。
     毎日、体力の限界を超えて、こうした有毒物がはいってくるので、その解毒処理で、肝臓腎臓がくたびれてしまうわけです。
     その上、こうした有毒物は、肝臓腎臓の新陳代謝を妨げて、老朽化するのです。
     これは、この間さわがれたサリドマイド系睡眠剤による奇形児のことを考えれば、よく分かります。
     「健康と青汁」第80号で紹介された岩手大学の田中助教授の「合成甘味料、合成着色料の胎児に及ぼす実験的考察」をみると、よく分かります。
     厚生省で使用が許可されているズルチン、サッカリン、シュガロン、赤色3号を、ごく少量、受胎しているハツカネズミに、ただ1回食べさせただけで、母体には別に異常は起こらないのに、胎児の半数以上が死んでしまった、という実験です。
     生きた体は、たえず細胞が生まれかわって、新陳代謝をしているのですが、新陳代謝のゆっくりしている母体には、全く異常を起こさない程度の、ごく少量の有毒物でも、新陳代謝のはげしい胎児には、致死的な作用を与えるのです。
     ところが、生きた体のうち、新陳代謝が最もはげしいのが肝臓、それから腎臓です。ごく少量の有毒物でも、毎日食べこんでいると、まっ先にやられて老朽化するのが肝臓と腎臓です。
     それから、成人よりも成長期の子どもの方が、こうした有毒物に犯され易いわけです。
     事実、肝臓病や腎臓病にかかる子供が以前より非常にふえているのです。

    危険な食品は極力さけ完全栄養食で体力をつけ
     そこで、わたしたちは、一方においては、こうした有毒物を食品に使わないように、社会的政治的に運動を起こす必要があります。
     とともに、他方においては、こうした危険な食品は極力使用しないように、よく注意しなければなりません。
     が、この世の中で生活する以上、絶対に使わないということは、ちょっとむつかしいわけです。
     そこで、少しは食べこんでも、その解毒処理で肝臓腎臓その他がくたびれないように、老朽化しないように、完全栄養食をはかって、体力をつけることが大切です。

    青汁材料と青野菜は必ず安全栽培したもの
     それには、お互い毎日そうしているように、青汁の飲用と青野菜の生食が最も効果的です。
     けれども、なにぶん毎日多量にとるわけですから、これに農薬がくっついていると、かえって危険です。
     農薬を決して使わずに、安全栽培をしたものを使用しなければなりません。



    付記
     倉敷では、毎月第3金曜日午后7時から2時間、倉敷中央病院構内の古久賀会舘で、公開の青汁教室を開いています。この記事は、ここで遠藤先生その他の出席者が発言したことの一端です。




8. ケールのねうち

    群馬県 K.A. 

     私も青汁をはじめで2年半になります。現在、会員も50名にふえました。全部に種子をわかち、自宅で栽培させておりますが、ほんとうに青汁の有難味がわかり、熱心にやっているのは約半数くらいですが、だんだんわかってくることと思います。
     これは参考ですが、9月に油菜とケールを並べてつくりましたところ、油菜には全然虫がつかず、ケールには青虫と黒虫が一杯ついたのには驚きました。これでケールの価値のあるのがつくづくわかりました。




9. 食養生についての断想 主として安全食について

     友成 左近 

     だれでも、かびのはえたもの、くさったものには、よく気をつけるが、かびもはえないし、くさりもしないものには、意外と平気である。それどころか、とかくこんなものを重宝がる。だが、よく気をつけなければならないのは後者である。かびがはえないように、くさらないように、有害有毒な添加料で加工してあるものが少なくないからだ。そして、これは鼻や目や舌で容易に判別できないからだ。
     それに、前者の起こす中毒は、急性であって早く気がつき、治療も比較的容易であるが、後者の起こす中毒は、慢性であって容易に気がつかず、気がついても治療がまことに厄介困難であるからだ。食べ物は、もともと、かびもはえ、くさりもするものである。少々面倒くさくても、かびもはえ、くさりもするようなものを食べねばならない。といって、かびのはえたもの、くさったものは食べないことだ。

     この頃、肝臓病・腎臓病その他厄介な病気にかかっている人が、目立ってふえてきた。その主な原因と考えられるものは、公害による生活環境の不衛生もさることながら、毎日の食物に青野菜が著しく不足して、栄養が極めて不調和不完全であること、その上、ほとんどすべての食品が、多かれ少なかれ、有害有毒な農薬に汚染されていること、また、いよいよ多量に利用されている既製の加工食品に、ほとんどすべて、多かれ少なかれ、有害有毒な添加料がはいっていることである。

     この頃、まことに多くの人々の食べ方は、あたかも人を使うのに、ロクに食わせもせずに、危険な仕事にコキ使っているようなものだ。肝臓・腎臓その他が大ケガをするのは、当然の成り行きである。ヤタラと色をつけたり、まっ白にしたり、甘味をつけたり、香りをつけた加工食品を、さもおいしそうに食べている人が少なくないようだ。
     ほんとうにおいしいものであろうか。いや、もっと重大なことに、肝臓・腎臓その他を侵す有害有毒物がかなりはいっていることが、よく分かっていないのであろうか。原材料に残存する農薬であれ、加工食品に含有する添加料であれ、それは、たとえ有害有毒物であっても、ごく微量であり、別にそう心配する必要はあるまい、と考えている人が少なくないようだ。

     厚生省あたりも、そう考えて許可しているようである。なるほど、一つ一つの食品については、そうかもしれない。けれども、どんなに微量でも、有毒物は有毒物である。そして、それが、ほとんどすべての食品に含まれているので、その総量はかなりのものとなる。
     しかも、これを毎日食べこんで、体内に蓄積していくのだ。農薬であれ食品添加物であれ、その有毒作用の著しいのは、胎児・乳児・幼児・少年といった成長期であり、病弱者である。妊婦はいうに及ばず、子供や病弱者の食物には、極力こうした有毒食品をしめ出すことが肝要である。

     ヤタラと既製の加工食品を使って炊事をするのは、あたかも白アリを床下にほおりこむようなものだ。気づかぬままに、だんだんと肝臓・腎臓その他カンジン・カナメなところがやられ、気づいたときには、厄介千万となっている。
     この頃目立ってふえてきた、いわゆる成人病の予防にも治療にも、安全食品による完全栄養が極めて有効であり、また必要不可欠である。だが、極めて多くの人々は、これに意外と無関心であり、容易に薬治にたよりすぎる。

    (付記)
     この断想は、毎度の青汁教室で、遠藤先生が繰り返し強調されていること、これに学んで参会者が自ら体験して話し出したことどもです。




10. 食べてよいもの 悪いもの

     医学博士 遠藤 仁郎 

     食べていけないもの(禁食品)がいろいろいわれる。また、食べてよいもの(宜食品)もいろいろいわれる。しかし、たとえ食べて悪いといわれているものでも、それが、その人の好物であり、食べもの全体としてバランスが守られているならば(つまり許される範囲内の分量であれば)、少しも差支ない筈だ。
     また、たとえ食べてよい、あるいは、よい食品といわれているものであっても、食べすぎて栄養のバランスを乱すようなら、それは食べてはよくない。つまり、よいの、悪いのといっても、要は食べ方しだい。いかによいものでも、すぎれは悪いし、いかに悪いといわれるものでも、ホンの少々なら、試してみてもちっとも差支はない。(もちろん、そのいずれのばあいでも、同時に十分の良質ナッパを添えての話であるが)。




11. あたるもの かぶれるもの

     あたるもの、かぶれるものは、時をかえて、少しだけを試す。
     ほんの少しだけ食べてみて、それで反応がなければ、も少し多く食べてみる。
     もしあたれば、また時をかえて、もっと少なく食べてみる。
     あたらぬ分量をみつけて、それから次第にふやして行く。
     こうして、少しづつ慣らして行けば、やがて、あたらなくなり、かぶれなくなる。




12. 佃煮

     もともとは江戸の佃で、あのあたりでとれた小魚や貝を、総州産の上物醤油と飴で煮しめたもので、野趣にとんだ風味が賞でられたのだが、今の佃煮は全くの名ばかり。
     味が、まず、ひどく甘ったるいものになってしまった。
     そして、純粋の飴や甘草でならばともかく、みんな人工甘味で味つけしたものばかり。
     色にしても、はたして、本当に醤油で煮しめた色かどうか。
     おそらく着色したものに相違あるまい。
     また、塩分が少なければ腐敗のおそれがあるから、かならずや防腐剤も加えられているにちがいあるまい、といったぐあい。
     一流メーカーのものは安心かも知れないが、まず、これまた安全のためには、なるべく自家製造すべきだ。




13. 良質ナッパ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     ナッパは、一般に、他の食品に不足がちなビタミンやミネラルにとんでいる。
     そのうち、すべてのビタミンがそろい、吸収しやすいかたちのカルシウムその他のミネラルにもとんでいるものを、私どもは、良質ナッパとよんでいる。
     だいたい、緑色が濃くてホウレンソウ、フダンソウ以外のもの。
     ケール、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリなどの外葉、ダイコン葉、カブ葉、コマツナ、ミズナ、ナタネ、CO、パセリ、シソ、ニンジン葉など。
     繊維が多くで、食用というよりは、むしろ、家畜の飼料にまわされるようなものに、良いものが多い。




14. 台湾の民間醤油製造法

     これは蘇澳の呂百川氏からおしえていただいたもの。

     「防腐剤を入れなくても腐らず、永久に保存でき、
    保存が長いほどカラ味がうすくなり、香りが一層よくなる。
     添加物のない無害でおいしい醤油ができる」
     そうで、むこうでは、
    「毎夏(6・7月頃)1回くりかえしてつくっている」とのこと。

     これは、誰れにでも出来そうです。
     安全食品運動の一つとして、この夏、日照りの強い土用ごろやってみようではありませんか。

    製法
    • 黒豆約22斤を水で洗い、鍋に入れ、適宜水を加え、食べられる程度にたく。
    • 鍋からあげ、竹ザルにうすくひろげ、日のよく当る所で、時折かきまぜ、むらのないよう乾かす。
      手でにぎり、はなして、豆が自然にバラけるのが手頃。
    • 屋内の、比較的暗い所におき、カヤの葉(アンペラでもよい)でおおっておく。
       1週間くらいで、豆全体に醗酵し、黄色いカビが生えて来る。
       この際、温度が上りすぎないように注意し(高くなりすぎるとカビが黒くなりダメになる)、また冷えないよう(冷えすぎると醗酵しない)フトンをかぶせる。
    • 醗酵の終った豆をザット洗い(省略してもよい)、大きな容器(低く平たいものがよい)へ、糯米(食べられる程度にたいた)4斤とまぜて入れ、全体を覆う程度に水を注ぐ。
       約8時間して、水泡が立つころ、拇指と示指でつまんでみて、豆がすぐ砕ける程度にする。
    • この調合を終った後、7斗入りの水カメに入れ、カメ一杯に水を入れ、塩20斤を加える。
    • このカメを、日のよくあたる所におき、18日間太陽の照射をうける。
       その間、毎朝1回、竹サオでかきまわす。
       (水が太陽で熱くなったら、かきまわしてはならない)
       雨天には雨のはいらぬよう蓋をし、天気になったら蓋をとり太陽にあてる。
    • 木綿布でこし醤油の原液を分離し、鍋に入れカマドでたく。
       沸騰すると泡が立つのでこれはとり除く。
       原液が1/3くらい減ったところ(2/3残る)、液面にうすい塩のかたまりが出来る。
       その時が頃合い。

     これで製造は終了。




15. 屑米の方がよい

     医学博士 遠藤 仁郎 

     邑久郡の池畑房明さんから、

    「屑米は普通の玄米に比し栄養が多い、というのですが、消化がよいというのですか。今年の稲作は青米が特に多いようで、農家では鶏の飼料にしたり捨てたりしています。私は(82才、玄米党)味が悪くても、消化がよく栄養の多いものなら、買うてでも食べたいと思いますが」
     というたよりをいただいた。
     これは、私がずっと以前本紙(52号 昭35・12)にのせた「くずものの効用」で、「屑米の方が上等米より栄養的にはすぐれている」」と書いたのを思い出されてのおたずねだった。

    上等米 よくふとった上米の大部分は胚乳部で、ここは殆んど澱粉ばかりだが、胚芽や胚皮(糠としてとり去られる)の部には大切なビタミン・ミネラルや蛋白質もある。
    屑米 胚乳部のみいりの悪いのが屑米だから、その大部分は胚芽と皮の部であり、したがって、大切な栄養分ばかりが、少なくとも、上等米にくらべその比率が高い。
     だから、栄養的には屑米の方が上等米よりずっとすぐれているわけだ(消化の点では玄米なみだが)。
     池畑さんの仰言るとおり、鶏にやったり捨ててしまうのはまことに勿体ない。
     味はよくはなかろうが、なんとか利用したいものだ。
    (51・12)




16. 虫食い菜っ葉

    八尾市 E.N. 

     虫食いの穴だらけの青菜を、鼻歌まじりに何度も洗っている自分の姿に、20年前の自分の像を重ねてみた。どうしても一つにはならない。20年の歳月の流れが、私を変えてしまったのでしょう。
     主人のもとへ嫁いだころ、虫の食った菜っ葉を見ると、身ぶるいをし、市場できれいな野菜を買ってきた。屋敷内に小さな畑があったのに、土いじりなんてイヤだと見向きもしませんでした。やがてその畑に離れを建てました。つぎつぎと3人のこどもが生まれ、成長してゆく姿を楽しみながら、この子たちの健康管理は私がやるのだと自覚したとき、食物の添加物、農薬などの害が急に気になりだしたのです。
     虫の食べた青菜が貴重品となり、土壌が欲しくなって、フラワーボックスを数個並べ、レタス、パセリ、三ツ葉を一列に植えて、家庭菜園に精を出しています。もっと早く、今の心境になっていさえすれば、小さな畑も最大限に活用できただろうにと悔やまれ、18歳と12歳になった娘たちに、主婦の任務の重大性をさとしている私です。

    (54・5・30 サンケイ)




17. ベランダの青ジソ

    明石市 M.W. 

     ベランダの青ジソが、畑の青ジソに比較して、アクが少なく、やわらかく、たいへん味がよいことに気づきました。せまい畠で、手入れはしましても、やはり大地。限られた土には及ばないのでしょうか。
     ベランダでは、休ませた土に糠をまぜ、その中に煮干や青汁のしぼりかすをまぜ、植替えの時には入れかえし、また、折々追加します。黄色かった山地が、今はすっかり黒い畠土になっています。




18. 蟻も食べない羊羹

     医学博士 遠藤 仁郎 

     山の小屋での出来ごと。めったに食べない有名メーカーの羊羹をもらった。山の畑にもって行き、一働きしたあとに、味をたのしんでいた。たまたま、その一かけらが机の上にころげおちた。そこには蟻がいつもやって来ているので、かれらにも少しはと、そのままにしておいた。翌日見てもそのままだ。おかしいなと、そのそばに、黄双糖をおいてみた。次の日、黄双はきれいに消えていたが、羊羹はやっぱしそのまま。そこで、包装をよく見てみると、そこには「合成着色料使用」と書いてあった。虫さえも、甘味の好きな蟻さえもが見むきもしないものを、われわれ人間どもは有難がっているとは!さてさてなんともおかしなことではないか。(54・7)




19. 売ってほしい葉付きダイコン

     このごろの店頭では、どうして葉のついたダイコンを売らないのでしょう。
     農薬が危険というならせめて安全自家栽培のダイコン葉を活用しましょう。
     葉にはカロチン・ビタミン類が豊富で、根より栄養があります。
     細かく刻んで菜めし、いため煮、つけ物にして食卓をにぎわしなどなど・・・・・・。
     冬はダイコンの季節です。
     細かく刻んだみそ汁の実は「おふくろの味」、おでん、ふろふき大根は「家庭だんらんの味」、切り干しダイコンは「ふるさとの味」、ダイコンは何一つムダのない万能野菜です。
     消費物価の高い今時、生活の知恵をはたらかせてダイコンを大いに愛用しましょう。




20. 大衆魚を見直そう

    高松市 K.S. 

     最近、食生活の欧米化が進んでいる。
     欧米のそれはパンと肉の生活であり、日本食とは米飯と魚の生活である。
     米離れ、魚離れがだんだんと進み、野菜離れの声さえ起こっていることは、はなはだ納得し難いことと思う。
     聞くところによると、牛肉を食べるためには、それを食べて得られるカロリーの10倍のえさが必要であり、魚でも養殖もののハマチは7倍のえさが必要であるということだ。
     大衆魚のイワシ、アジ、サバのごときは、育てるために何らのえさもいらず、経済的で、今日の省エネ時代にピッタリの魚といえるのである。
     しかも、イワシ、アジ、サバはブリやマグロに比べ、たんぱく質、脂肪、ビタミン類も大差なく、料理の仕方によっては、骨まで食べられ、カルシウムの供給源として貴重である。
     今日、こどものカルシウム不足が叫ばれ、骨がもろく、折れやすいことが伝えられている折から大衆魚の利用は、この点でも好ましいと思う。
     にもかかわらず、輸入のパン、牛肉の生活が、ますます盛んとなり、自給出来る米や魚が軽視されることは、まことに情けないことといわざるを得ない。
     パン食が米食よりも優れていると考えられがちであるが、それはバランスのとれた食事が出来るからで、米食でもバランスのとれた食事をすれば、決してパン食に劣らないのである。
     バランスのとれた食事とは、主食の量を減らし、その代わりに副食の量を増やすことだ。
     大衆魚の料理を工夫し、新鮮な野菜をたっぷり食べるようにして、米食こそ、ますます盛んにしなければならない。

    (56・3・24 サンケイ)




21. 豆乳ばやり

     医学博士 遠藤 仁郎 

     いま、豆乳製品がブームになっている。大豆はたしかによい食べものだから、それからつくった豆乳が悪かろう筈はない。5〜60年前、私がまだ学生時代にも、一時、健康食品としてもてはやされたことがあった。しかし、それは本物の大豆からつくった純粋の豆乳だったが、いまブームになっている市販の豆乳や、豆乳入りの製品には、いささか問題がありそうだ。というのは、原料が、大豆そのものではなく、主に、製油工場で石油製品のヘキサン(発癌性がうたがわれている)で油をぬき出したあとの豆粕粉がつかわれていること。および、加工のさいの添加物も気がかりだからだ。

    (58・5)




22. まずい白桃

     医学博士 遠藤 仁郎 

     8月中旬。暑さのせいで今年は少しはやく熟したとかで、もう、名産の白桃が届けられた。封装も立派。径10センチ以上もあろうというまことに見事なデカ桃。だが、食べてみて、またおどろき。うまいのはテッペンの一部だけで、なんともまずいこと。むかしの、全体にゆきわたった、あのスバラシイ桃の味も香りも、まるでない。デガ桃の総身に味がまわりかねか。これでは岡山白桃の名が泣くであろう。

    (58・8)




23. なんでも食べる

     医学博士 遠藤 仁郎 

     なんでも食べろ、偏食してはいかん、とよくいわれる。
     年のはじめになると、毎年のように長寿者の話が出る。
     そして、長生きのコツの一つは、好き嫌いせずなんでも食べることだ、とおしえられる。
     栄養分の完全にそろった食べものはないから、いかに好きなものでも、そればかり食べていては、かならずからだをこわす。
     食べものによって、ふくまれている栄養分はそれぞれちがうから、あれこれとり合わせて食べれば、互に不足分が埋め合わされるので、偏った食べ方よりは、なんでも食べる方がずっとよいわけだ。
     しかし、それでは、色々食べていれば、なんでも食べるようにさえすれば、それで栄養分のそろった完全な食事になるかというと、必ずしもそうはいかない。
     たとえば、主食に、米だけでなく、麦や雑穀を食べ、豆を食べ、イモを食べれば、それでよいかというと、決してそうではない。
     米よりは麦、それよりも雑穀や豆のほうがよく、イモはさらによい。
     しかし、やはり足らないものがある。
     ミネラル(アルカリことにカルシウム)やビタミン類など。蛋白源では、肉や魚の切り身ばかり食べるよりは、小魚や卵や大豆のほうがよい。
     しかし、これを色々とりまぜて食べても、ミネラルやビタミンが不足する。
     そこで、ミネラルやビタミンを補うために、果物や野菜を食べるが、それらにはアルカリは十分ある。
     けれどもカルシウムやビタミンのそろって多いものは青ナッパ以外ほとんどないから、果物・野菜のなんでもよいというわけではない。
     とすると、好きなものだけ、おいしいものだけに偏った食べ方がよくないことはいうまでもないが、主食や蛋白源をあれこれとり合わせて食べても、また、果物・野菜も、なんでも食べていれば、それでよいのではない。
     また、なんでも好き嫌いをいわずに食べるのが長生きのコツだというのは、むかしの、質素な食べもの、しかも十分には食べられなかった頃の話。
     麦・ソバ・粟・キビ・ヒエでも、豆でも、イモでも、なんでも食べ、肉や魚も切り身だけといった贅沢な食べ方ではなく、骨も腸わたもみな食べられる小魚、なんでも食べる。
     そして野菜も、食べよい実もの、根ものだけでなく、かたいナッパでも、ともかくあるものはなんでも食べる。
     いや草でも木の葉でも、およそ食べられるものならなんでも、どころか食べられそうにないものでも、いろいろ工夫して腹をふくらせた。
     そうすることによって知らずしらずに栄養がよくなっていたから、健康でもあったし長生きもできたのであった。
     そういう乏しい不自由さにたえ凌いで生きてきた人の「なんでも食べる」ということは、ありあまる食べものを、なんでも、いつでも、どこでも自由に、うまいもの好きなものの食べられる、しかも危険なもののいっぱいある現在とは、話がまるでちがう。
     それをかんがえてみることをしないで、ただなんでも食べれば、偏食さえしなければ、それでよいとするのは大変な心得ちがいというものだ。

    (59・7)




24. イワシブームにまった

     医学博士 遠藤 仁郎

     いま、イワシ、イワシと大変ブームになっているようだ。
     イワシは、たしかに高級魚にくらべて、栄養的にすぐれている。
     そして、特にやかましくいわれているのは、イワシの脂肪に血液コレステロールを下げる性質があることだ。
     よく知られているように牛や豚の肉を食べすぎると、血液コレステロールがふえ、心臓の冠状動脉が硬化し、おそろしい心筋梗塞をおこすおそれがある。
     しかしイワシでは、それがない。
     それはエンコサペンタエン酸(EPA)その他の多価不飽和脂肪酸があり、これ等にコレステロールをへらす作用があるためだ。
     そこで、肉(牛や豚)を食うかわりに魚肉ことにイワシを食べろ、というわけだ。
     しかし、ただそれだけ(EPAが多い)のことで、それ以外の栄養分は、他の肉と大してちがいはない(カルシウムがいくらか多いが)。
     したがって、ミネラルやビタミンの不足を補うために、野菜ことに青ナッパが必要なことはいうまでもない。
     また、EPAは非常に酸化されやすいもので、貯蔵中や加工・調理などで過酸化物になるが、この過酸化物は、血管をいためて動脉硬化の原因になったり、大切な組織・臓器をおかす、といったおそろしいものだし、焼いたり乾したりで、発癌性のものができる、ともいわれている。
     だから、ブームにおどらされて、ただイワシ、イワシとむやみに食べるのはかんがえもの。
     新鮮なものは少々食べすぎてもよいかも知れないが、古いもの、冷凍もの、干物などは過ぎない方が無難だろう。
     もちろん、バランスをとるためには、かならず十分の野菜ことに良質ナッパをそえなければならない。
     それは、ただバランスのためだけでなく、良質ナッパに多いビタミンB2・Eによって、EPAの酸化を防ぐことができるからだ。
     なお、調理の点でも、焦がさないなどの注意も肝要であろう。

    (61・7)




25. 高知卵とスーパーの卵

     倉敷市 貝原邦夫 

     最近新聞の声(投書欄)に何回か、これでよいのか今の卵・・・・・・。
     その趣旨を要約すると、物価高の現在、昔ながらの安い卵、主婦にとって有難いと思いながらも、料理する度毎に不安に思うこと。
     まず手にとって割る時に殻が非常にやわらかく、すぐくだけてしまう。
     中の黄味の色はよいが(筆者註、添加薬品で色は自由に調整可能)昔食べた卵とちがい、ピンポン球のような球形でなく、何だか形にも力強さがなくたるんでいるようで水っぽい。
     この卵、毎日たべてもよいのだろうか?
     ――私は昨、昭和61年3月に、遠藤青汁友の会高知支部の野村さんを訪問しました。
     安芸郡芸西村長谷の自然飼育養鶏の実相をつぶさに拝見。
     その卵に魅せられて、帰倉後、倉敷で毎月第三金曜日に行っている遠藤青汁教室の皆さんにはかり、例会前日に宅急便で送っていただき、会員ともどもこの高知卵を愛用しています。(1パック10こ入500円)投書を見た数日後の或日家内と話し、昔ながらの味わいのある卵だと喜こんでいただいているが、この卵スーパーの卵とどんなにちがうか比較してみようということになりました。
     次に比較試験の結果を申し上げますが、この試験に使用した卵。
     高知卵は6月19日の青汁教室で持ち帰った有精卵。
     産卵後約1ヶ月経過したもの。スーパーの卵は隣家にお願いして手に入れたもので産卵後の経過日数は不明。
     試験開始は7月15日。
     比較の方法、それぞれ透明のガラスコップに入れ、食器戸棚の中、30度近い室温で観察。

      (別表) 野村さんの養鶏場

     高知市の東方安芸群の山村で約2500羽を飼育。
     鶏舎はバタリーではなく、放し飼いで、広い建物の中を区画して各部屋300羽宛を収容(大集団では鶏の社会にもいぢめが出来て傷鶏が多くなる由)飼育場は屋根のある鶏舎と直射日光のあたる運動場にわかれ、境に門扉を設け開放してうちそとで土遊び、エサ、水飲等自由自在に生活し、夜は屋内に帰って門扉をしめる。
     四周の高い全網をとび越えて、更に自由の天地をもとめて遊ぶ鶏もいるが夜はみな我が家に帰って眠る由。
     給飼の方法は下にケールを一面に敷きその上に飼を入れ、給水は水でなく青汁を与えると。
     お邪魔した時、運動場にもケールの束が沢山置かれて、我々が青汁に使用しているケールよりはるか高級品がふんだんに与えられていて、ここの鶏は人間様より幸せだなーと冗談を言ったことも思い出します。
     庭にはカキ殻やトウモロコシの大きな山がありました。
     其の他の飼料は、大量飼育のため配合された、出来るだけ添加物の少ないものを選択して使用しているとの事。
     野村さんの話に、現在の大量飼育、全飼料を自家調整は不可能なので、若し購入飼料によくないものが多少入っていたとしても、遠藤先生のお説、青ナッパの大量供給で毒を消すねらいのもとにこんなに沢山あたえるのだと言った言葉が未だに耳に残ります。
     地面には全面にオガクズと、もみがらが敷きつめられ、定期に鶏糞の掃除をして衛生管理に資するとともにケール無農薬有機栽培に活用している由。
     なおくわしい事を知りたいお方は、新聞下欄の高知センターにご照会下さい。


         高知の卵スーパーの卵
    7月15日卵を割る時の感触、殻が固く丈夫そう。黄身が大きく球形で張りがあり力強い。カラザ白くて太くたくましい感じ。殻は軟らかくうすくて投書にあったのと全く同じ。黄身の色は高知と同じだが外観は力強さに欠け球形でなく軟らかそうでダレ気味カラザ身も少し細くてひ弱い感じ。
    7月21日黄身は原形のまま、白身も変化なく、すかしてみれば透明で前方の姿明瞭。試験開始時とかわらず。黄身の上に白いすじ状のカビ発生。白身も透明度を失ない前方が見えない。
    7月29日黄身上部に白色と灰色の筋状のカビ発生。白身やや黄色味を帯び透明度を失う。黄身、白身全体が完全に腐敗してとけ、表面全体がカビでおおわれ、卵の形を失ってしまう。
    8月 3日黄身上部に発生した帯状のカビ、量の変化は殆んどないが2/3ほどは灰黒色となる。黄身上部はまだもり上り、下部はたるむ。全体形は判然と球形を保つ、白身黄変して透視不能腐敗臭あり。黄身、白身の区別全くなくなり、全体がゼリー状の一かたまり。上部は白色、その下部は茶色、更に下は黒味を帯び、最下部は黄白色のクリーム状。腐敗臭極めてひどい。
    8月 4日試験終了。廃棄処分の際卵の原形くずれず日常の使用時と同じ形態を保つ。全体が固まり、周囲のコップにこわ張りついてはしで落さないと出ない程度となる。




26. 食べ物を知ろう 食品添加物

    大阪・アップル歯科医 Y.T. 

     今回は、皆さんと一緒に簡単な実験をしてみましょう。
     市販の清涼飲料水数種類と、みかんを用意して下さい。
     ジュース類はコップに注ぎ、みかんはしぼって同様のコップに入れます。
     5秒後、早くもしぼったみかんのジュースは二層に分離しはじめます。
     透明な無色の部分が、次第にコップの底の方にひろがり始めます。
     24時間後、みかんのジュースは、表面にわずかなオレンジ色を浮かべて、ほとんどの部分が透明になってしまいます。
     48時間後、このみかんのジュースは、独特のいい香りがします。その香りにつられて、ショウジョウバエが飛んできて、コップの内面にとまります。
     醗酵しているのです。いっぽう市販のジュース類の方はどうでしょうか。24時間たっても48時間たっても、全く均質で、分離が見られず、見た目には最初と全く変わりません。
     ただ、よく観察すると、においが変っていくのがわかります。
     最初は果物のようなにおいがありますが、次第にそれがなくなると、何かの薬品らしいにおいが残ります。
     そして、このまま放置を続けても、変化はみられません。
     色が変わらない、分離しない、醗酵しないと数えていくと、食品添加物の多さを暗示してくれます。
     それでは、無添加の、果汁100%のジュースならいいのでは、と思われる方もおられるでしょう。
     皆さんが、これならと思われるジュース類を買ってきて、コップに入れてみて下さい。
     5秒で始まった、みかんのジュースの分離のような現象はみられません。
     24時間から48時間たって、かすかに二層に分離しているのが見わけられますが、みかんジュースの場合と分離の仕方が逆になっています。
     色がついている方が下の層に、やや透明な部分が上の層になっているのです。
     この実験で、目で見た範囲では、無添加であるとは思えないしろものなのですが。
     このような実験は、ジュース類だけではなく、いろいろな飲食物に応用できます。子供たちと一緒にじかに目で見て確かめて、私たちのいのちと食べ物について考えてみて下さい。

    (61・12・27 サンケイ)




27. 市販100%みかん果汁と私のつくった果汁の比較

     貝原 邦夫 

     正月号「健康と青汁」に大阪の歯科医徳永喜正先生の市販ジュースに関する記事を掲載しました。
     私はかねてより、市販果汁果して安全食品だろうか、一度我が家のみかんと比較してみようと思い乍ら、昨秋は遂に食べ尽くしてそのチャンスを逸し、1年おくれの実施となってしまいました。
     次に専門知識のない素人の観察の模様を――。

    材料
     市販品は自動販売機より、百円で購入。

        180g、JAS、天然果汁(濃縮果汁還元)果汁100%と記載された品(添加物等の記録はありません)

     私の栽培したみかん(無農薬有機栽培)のジュース
        1、みかんの中味だけを刻んでミキサーにかけたもの180g
        2、皮つきのまま刻んでミキサーにかけたもの(同量)


    実験開始(平2.11.28)

    12月4日(1週間後)
      市販   実験開始後間もなく底部2cm程沈殿して上部が次第に黄色透明となる1週間後も同じ。カビ発生しない。
      中味のみ 下2cm程が不透明、その上1cm位透明。上部全体は不透明透視不能。1週間後も全く変化なし。表面全面にカビ発生。
      皮つき  製造時と変化なく、全体が不透明、透視不能。表面前面にカビ発生。

    12月24日(4週間後)
      市販   上部に白い膜状のうすいカビ発生、その他全体は変化なし。
      中味のみ 液状は製造時と変化なし。カビは増量。黄、灰色他の色模様を呈し表面凹凸状で、廃棄する際コップをさかさまにしても落ちない。
      皮つき  全体の様子は中味のみと全く同じ。

    私の考察
     100%果汁なのに、手造りのジュースと外観が全く異質の原因はどうしてだろう?
     カビの発生に大きな差異があるのは防腐剤のためでは――。
     矢張り市販品には問題があるのではと心配です。
     私は20年以上も市販ジュースは口にしません。
     皆さん、どうお考えになりますか。







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