健康と青汁タイトル小
受験と青汁




1. 受験と青汁

     医学博士 遠藤 仁郎 

     はげしい試験地獄を突破するためにも、将来大いに活躍するためにも、ほんとうに健康であること、つかれ知らぬ、無理のきく健康をもつことほど大事なことはありません。
     いかに体格は立派そうでも、また、いかに頭脳はすばらしくても、途中でつまづいたり、たおれたりしてしまっては何にもなりません。
     健康法として昔からいわれていることにはいろいろありますが、だいいちにあげられるものは、何といっても食の問題でしょう。
     毎日の食べ方が正しいかまちがっているかによって私どもの健康が、従って私どもの運命もが、左右される、といっても少しも過言ではないでしょう。
     正しい食べ方とは、必要な栄養素がそろい、うまく釣合がとれている食べ方のことです。
     今までの栄養観念では、どうも、うまいものさえ食っておればよい、白米飯に肉や魚や卵をそえて、おいしく食べられさえすれば、それでよい、少くとも頭をつかうものには、そうでなければならぬという風に考えられているようです。

     いかにもこれは、栄養豊富な文化的な食べ方みたいな錯覚を与えます。
     しかし栄養素の釣合の点からみると、とんでもない不完全食です。
     熱量は多く、動物性蛋白も充分ですが、それらが体内でうまく利用されるためになくてはならぬビタミンやミネラル類がひどく少い。
     その上菓子でも好むとなると、不完全度は一層甚しくなります。
     これを機械にたとえると、ちょうど動力源の石炭ばかり沢山もやして、運転を円滑にする潤滑油は不足しているといったものです。
     馬力は出るが機械の調子は悪く、ともすれば熱をもち、すりへりも早く、ついには火を出すことになるわけです。

     私どものからだでも、それと全く同じで、こういう不完全な食べ方では、肥っていて見かけはよく、一時的のから元気は出るかも知れませんが、疲れやすく、なが続きがせず、頑張りもきかぬし、頭も決してよくはなりません。
     そして、少し無理でもすれば、すぐに調子がくずれ、病気するといった不安定な健康状態になってしまいます。
     そこで、疲れを知らず、無理のきく、ほんとうの健康をうるには、どうしてもビタミンやミネラル類をなるべく充分に、むしろ多すぎるくらいにとり入れる必要があります。
     ところで、このビタミンやミネラル類のそろって多いものというと、意外にもそれは、一番軽蔑されている緑の菜っ葉類なんです。
     つまり菜っ葉類は白米飯や肉や魚や卵や菓子などの害を消してくれる大切な食物なんです。
     この菜っ葉をうんと食う(緑葉食)。しかも、なるべく「いき」のよいものをそのまま、「なま」で食うことです。
     しかし、ろくろくかみもせず、丸呑にしては、少しも役には立ちません。といって完全にかむということも仲々骨が折れるので、いっそのこと、しぼり汁にして飲もうというわけです。(青汁)
     生の菜っ葉をよくたべたり、青汁を飲み出すと、健康状態は確かによくなります。通じやねむりがよくなり、いかにも気分はさわやかで、落ついて来、頭もさえて来ます。そして、運動にも勉強にも少しも疲れず、無理がきくようになります。
     頭のよしあしには生れつきも勿論ありましょう。けれども、生れついた脳力も毎日の扱い方いかんでよくもなれば悪くもなります。
     脳のはたらきほど微妙なものはありません。精巧な機械であればあるほど狂いやすく、扱い方しだいではその度合もはなはだしい道理です。
     ですから、体力をつかう場合よりも、もっと完全な栄養でなければなりません。
     つまりビタミンやミネラル類はより充分でなければならぬのです。従ってそれらに豊んでいる緑葉食、青汁では頭の調子は、そうでない場合よりもずっとよくなる筈ですし、事実、これをやってみごと栄冠をかちえた諸君も少くありません。
     材料さえあれば、どこでもやれる簡便かつ安上りの健康法、健脳法ですから、睡眠不足や運動不足で、とかく健康をそこないやすい受験準備中の諸君には、ぜひこの実行をすすめたいと思います。
     ただくれぐれも気をつけられたいのは清浄で無毒な材料(下肥だけでなく危険な農薬もかかっていないもの)でなければならぬこと。また、食欲が旺盛になるから食べすぎぬこと。とくに菓子をすごさぬこと。


2. 完全食を少し

     医学博士 遠藤 仁郎 

     年々はげしくなる試験地獄に若いいのちをすりへらしている諸君にすすめたいのは完全食の少食。
     大飯を食えば頭はボヤけねむくなり、むつかしい勉強などとてもやれないから、なるべく分量の少いことが望ましい。
     ためしに、一日絶食するか、減食してみると、いかにもからだ中が軽くなり、頭もすっきりして来るのがよくわかります。
     そして、昔から行者や予言者などが断食したいわれもなるほどとうなづかれます。

     私は終戦の年の秋、配給米だけ(2合3勺)の主食で、2ヶ月の減食実験をやりました。
     かなり痩せはしましたが、この時ほど気分のよかったこと、仕事の能率の上ったことは、あとにもさきにも、いまだ経験したことがありません。
     大食の影響の一つは、消化の方に血がとられて、頭が留守になることだといわれていますが、たしかにそうでしょう。
     しかしいま一つ、大食による偏食(不完全食)の害もみのがせません。
     大食は、とかくご馳走になりがち。ために、熱量や蛋白質ばかりが過剰になって、それらの処理に不可欠のビタミンやミネラル類が不足します。
     その結果、代謝は不完全となり、有害なものが出来、それが血中にたまり(俗にいう血の濁り)、頭のはたらきも悪くなるわけ。
     たとえば、ビタミンB1の不足で頭脳の活動が鈍って来るのですが、それは、B1不足のため、糖質の分解が不完全となり、焦性ブドウ酸(ピルビン酸ともいう)という有害なものが出来るからだ、と説明されています。
     そして、絶食や減食で気持がよくなるのは、負担がへって体内代謝がよくなり有害物が少く、あるいは無くなる(血が浄められる)結果です。
     しかし、減食や断食で頭がよくなるとしても、発育ざかりの学生諸君の場合(ことに従来のような不完全食をとっている場合)、うっかりすると、健康をそこなわぬがものでもないので、むやみに強行してはなりません。

     ずっと以前、戦争中のことですが、胃病を治そうとして、ながい間断食をやり、そのため肺結核になって死んでしまった青年将校を、私は知っています。
     いかに少食がよいとはいえ健康を維持するに足るだけは食わねばなりません。
     そこで、少食で健康を保つためにはどうするかが問題になるわけですが、それは、無駄のない食べ方、つまり、ビタミンやミネラルにとんだ完全食にすることで簡単に解決します。
     ビタミンやミネラルを豊富にとれば、栄養素の利用がよくなり絶対量は少くてすむようになるからです。
     それは、ちょうど、完全燃焼では燃料が少しで足るのと同じ理屈です。
     この意味で、私は、完全食のいちばん簡単なものとして緑葉食・青汁をすすめたいのです。
     昔から、健康法として「粗食の少食」がいわれていますが、緑葉食は、まさにそれです。
     また、事実、この食べ方では、普通の食べ方よりも、ずっと少食で十分栄養をみたすことができるので、普通2000カロリーは必要とされているところでも、僅か1500−1600カロリーで、結構こと足り、健康状態はよくなり、体重もかえって増した、という実例があるほどです。

     胃腸も、からだ全体も、うける負担が軽いから、脳のはたらきもよくなります。
     しかも、いつも十分の余裕をもっているので、少々無理をしても、めったに健康をそこねたり、神経をつからすような心配もありませんから、いつも安心して大馬力がかけられる、といったものです。
     このように、健康上からも、また能率の上からでも、ともかく釣り合いがよくとれた、とくにビタミンやミネラルにとんだ食を少し食べるのがもっとも適当で、これこそ難関突破の秘訣だといってもよいと私は考えます。


3. 頭をよくするには

     医学博士 遠藤 仁郎 

     一般のものでも、しだいに不自然不合理になりつつある日常生活のために、血液はとかく濁りがち。まして、夜も昼も、勉強、勉強においまくられている受験生諸君は、ことさらその度は甚しい。
     それでも、若さの元気があるだけに、また、昔おそれた結核といった業病の心配がなくなっているだけに、からだの方は、少々無理をしても、大したことはないようです。
     けれども、頭の方となると、なかなか思うように、うまくは働いてくれません。しかも、試験地獄はいよいよにきびしい。なんとかもっと頭がよくならぬものかというのは、受験生だれでもの願望というものでしょう。

     頭をよくする方法についても、いろいろといわれています。しかし、要するに、ほんとうに健康であればよいのではないでしょうか。
     頭の働きは、からだの働きよりも、はるかに微妙なものだけに、その働きを最大限に発揮するには、それを養っている血液が、いつも最良最上の条件に保たれねばならぬことはいうまでもありません。

    食べ方
     頭をよくするためには食べすぎてはなりません。ことに白米飯。腹がはると、頭はぼやけ、ねむくなる。いつも少食にすべきだが、そのために、からだをこわしては大変。そこで必要な栄養分は十分にあり、しかも、分量の少くてすむような食が望ましいわけです。
     つまり、栄養素はすべてそろい、それらがうまく釣り合っている完全食でなければなりません。それには、どうしても良質ナッパ(ビタミンがそろって多く、吸収しやすいカルシウムにとむ)を十分に食べ、しかも、なるべく多くを生で食べなければなりません。そうすれば、ミネラルやビタミンに十分の余裕が出来るので、熱量源(糖質、脂質、蛋白質)は完全に利用されるから、不完全な食のばあいよりはずっと少量でも十分足るし、有害な中間産物も出来ないので、血はいつもきれいで、からだ中のすべての働きがうまく行く。
     そこで、体力も十分なら、頭の回転もよくなるという道理です。
     そこには、むつかしい栄養学上の理窟があるのですが、勉強にいそがしい時に、面倒な講釈でもないでしょう。
     今までの食習慣でもよろしい。ともかく、それに、十分の良質ナッパを添え、青汁をうんと飲む。
     しかし、ふつうのように、まず飯をほおばり、うまい肉や魚や卵の料理をそえていては、とても十分のナッパは食べられません。まずナッパを食い、青汁を飲み、(普通の平均食からいって、少くとも2合は必要なので、それ以上を)、それから飯や肉や卵などのおかずを食べる。
     そうすれば、飯の分量もおかずの分量も、しぜん減ります(白米飯を小麦もの、ソバ粉、マメ、イモにかえ、肉卵のほかに大豆ものをかえれば、一層よろしい)。
     なお、おかずの味はうすく。砂糖は純粋の熱源で、これが過ぎると、白米がすぎるのと同様、(いやそれ以上に)B1不足のために、ねむくなるし頭の働きも悪くなります。
     (味つけの砂糖は目に見えぬ白米飯のようなもの)。
     菓子はなるべく避け、コーヒー、紅茶には砂糖を少く、または入れずに。間食には果物か野菜(トマト、ニンジンなど)。牛乳、青汁を入れた牛乳はことによろしい。ともかく、それをつづけてみる。
     そのうちに、なるほどと納得がゆくことでしょう。
     落ちついて勉強できます。理解力も記憶力もよくなる。少しも疲れぬ。よく眠れる。通じがよい。食が減ったのに痩せもせぬ。そして、いつも何となく気分がさわやかなことに気がつくでしょう。
     心のゆとりが出来たら、頭休めの時間に、「青汁読本」や「青汁の効用」を読んで、緑葉食・青汁の理論をよく理解してほしいものです。それは、必ずや諸君のながい人生に益するところが少くないでしょう。

    健脳薬
     頭をよくする薬といったものもいろいろいわれています。
     無難なのはビタミン剤や肝臓薬といったものでしょうが、これらは、いわば栄養素の一部。
     食べ方さえ正しければ、その必要はないもの。昔はやった覚酔剤は、有害とわかって禁止されていることは、よく知られている通り。最近はトランキライザーや精神安定剤、頭痛どめといったものも多い。
     いらだつ気持や頭痛をおさえる効果はあるでしょうが、頭は決して、これだけでよくなるものではありません。
     その上、ながくつづけていると、思いもよらぬ副作用にあてられることもないとはいえぬものです。
     私どもの学生時代、「健脳丸」という薬がありました。これは下剤で、飲むと数回の大腹下げをする。
     そして、あとはいかにもすがすがしく、落ちついて勉強出来るようになる。
     何といっても食べ盛り、三度の食事はうんと食い、その上、肉や卵と栄養補給をやり、おいしいご馳走づくめ。間食の菓子も食う。そして運動不足。そこで、とかく便秘がちとなる。
     便秘すると、腸内でいろいろの分解物が出来、それが吸収される。肝臓はこの毒を消す役をもっているので、いつも過労状態となり、疲れやすい。そして、血は濁ってくるから頭も悪い。
     通じをつけて、腸の大掃除をすると、腸で出来る毒は減り、肝の疲れは回復し、血の濁りもとれ、または減る道理。もっとも、下ると、途端に気持がよくなるから、腸から反射的に脳に影響するところもあるのでしょう。
     ともかく、いつも便通をよくしておくこと。時には下剤をかけることは、頭の働きをよくし、勉強の能率を上げるのには確かによいことです。

    運動
     いかに勉強家でも、朝から晩まで、机にかじりついていられるものではないし、たとえ、ついていても、能率は上るものではありません。適当に、休憩も必要なら、気分転換も大切。
     それにもっとも適しているのは運動です。坐ったままで大きく欠伸するのもその一つ。
     軽い体操もよろしい。せめて食後に散歩する。腹がはっていては頭は集中出来ません。朝食や昼食後はともかく、食べすぎがちな夕食後には、程よい程度の運動はぜひやりたいもの。そして、時折は大いにあばれて汗をかくことです。
     中学校のころ、試験勉強に疲れて、頭が悪く、問題が考えられぬというと、「運動場に出て走るか、道場で竹刀を振って汗をかけ」という数学の先生がありました。
     一汗かくと、確かに頭はよくなります。現在の私は病院勤務で、殆んど汗をかくことがない。そこで食べものに気をつけ、時には風呂でうんと汗をかきます。これも気持のよいものです。
     しかし運動した後の爽快さには遠く及びません。月一回の徒歩の会で、一日歩き、しっかり汗を出した翌る日の月曜は、一週間のうちで一番忙しい日なのだが、実に気持よく仕事がはかどります。
     食べものが正しければ、その必要もないようなものですが、それとともに、時々こうしたからだの大掃除をやることは、勉強の能率をあげる上によいことだと思います。


4.栄冠をかちとるために

     医学博士 遠藤 仁郎 

     はげしい試験地獄を突破するためにも、将来大いに活躍するためにも、ほんとうに健康であること、つかれを知らない無理のきく健康を保つこと、これほど大事なことはない。いかに体格がりっぱでも、また、いかに頭脳はすばらしくても、中途でつまずいたり、たおれたりしては、なんにもならない。健康法として昔からいわれていることには、いろいろあるが、だいいちにあげられるものは、なんといっても、食の問題。毎日の食べ方が正しいかまちがっているかによって、私どもの健康が、したがって私どもの運命もが左右される、といっても、少しも過言ではない。正しい食べ方とは、必要な栄養素がそろい、うまく釣り合いがとれている食べ方のこと。

     いままでの栄養観念では、うまいものさえ食べておればよい。白米飯に肉や魚や卵をしっかりそえて、おいしく食べられさえすればそれでよい、と考えられているようだ。いかにも、これは、栄養豊富な食べ方のような錯覚をあたえる。しかし栄養素の釣り合いの点からみると、とんでもない不完全食だ。熱量は多く、動物性蛋白も十分だが、それらが体内でうまく利用されるためになくてはならないミネラルやビタミン類が、ひどく少ない。そのうえ、菓子も好むとなると、不完全度はいっそうひどくなる。機械にたとえると、石炭ばかりたくさんもやして、潤滑油は不足しているといったもの。馬力は出るが、機械の調子は悪く、ともすれば熱をもち、すりへりも早く、ついには、火を出すことにもなる。からだも、それと同じで、こういう不完全食では、肥っていて見かけはよく、一時的なから元気は出るかも知れないが、疲れやすく、なが続きがせず、頑張りもきかないし、頭もけっして、よくはならない。すこし無理をすれば、調子がくずれ、病気をするといった、不安定な健康状態になってしまう。そこで、疲れを知らず、無理のきく、ほんとうの健康をうるためには、どうしても、ミネラルやビタミン類をなるべく十分に、むしろ多すぎるくらいにとり入れる必要がある。

     ところで、このミネラルやビタミン類のそろって多いものというと、意外にもそれは、いちばん軽蔑されている緑の菜っ葉類なんだ。つまり菜っ葉類は、白米飯や、肉や、魚や、卵や、菓子などの害を消してくれる大切な食物だ。この菜っ葉をうんと食べる(緑葉食)。しかも、なるべく「いき」のよいものをそのまま「なま」で食べる。しかし、ろくろくかみもせず、丸飲みにしては、少しも役には立たない。といって完全にかむということも、なかなか骨が折れるので、いっそのこと、しぼり汁(青汁)にして飲もうというのだ。
     生の菜っ葉をよくたべたり、青汁を飲み出すと、健康状態はたしかによくなる。通じや、眠りがよくなり、いかにも気分はさわやかで、落ちついてき、頭もさえてくる。そして、運動にも勉強にも、少しも疲れず、無理がきくようになる。頭のよしあしには、生まれつきももちろんあろう。けれども、生まれついた脳力も、毎日の扱い方いかんで、よくもなれば悪くもなる。脳のはたらきほど、微妙なものはない。精巧な機械であればあるほど狂いやすく、扱い方しだいでは、その度合いもはなはだしい道理。だから、脳には、体力をつかう場合よりも、もっと完全な栄養でなければならない。つまり、ミネラルやビタミン類はより十分でなければならない。したがって、それらに富んでいる緑葉食、青汁を用いれば、頭の調子は、そうでない場合よりもずっとよくなるはずだし、事実、これをやって、みごと栄冠をかちえた諸君も少なくない。
     材料さえあれば、どこでもやれる、簡便かつ安上がりの健康法、健脳法だ。睡眠不足や運動不足で、とかく健康をそこないやすい受験準備中の諸君には、ぜひこの実行をすすめたい。ただ、くれぐれも気をつけてほしいのは、清浄良質で無毒な材料(下肥はもとより化学肥料も危険な農薬もかかっていないもの)でなければならないこと(運動にもなるから畑があれば自給するとよい)。また、食欲が旺盛になるから、食べすぎないこと。とくに菓子やインスタントものなどどんな添加物がはいっているかも知れないものには十分気をつけることだ。


5.受験生の食生活

    野菜は肉の3倍必要

    ▼学力と関連する文明食
     「人間の精神面や学力に食べものが関係する」といったら、まさか、と思われるかもしれません。
     しかしすでに1977年に、アメリカ上院栄養問題特別委員会の発表した世界各国の食事と健康の関係を調査したレポートの中の「精神と栄養」という3百ページの報告は、心と食べ物の関連の深さを明らかにし、衝動撃的犯罪や学校内・家庭内での暴力、登校拒否、子供の自殺、自閉症、過運動児(動きが激しく落ち着くことが少ない子)などの現象は、文明化した食べ物が大きな原因になっていることを指摘しています。
     私たちの食生活は、便利でぜいたくになっていますが、その食事の中身は心身ともに健康に生きてゆくために欠かすことのできない微量栄養素(ビタミン、ミネラルなど)を失いつつあります。
     化学肥料や飼料、精製加工して添加物が入れられると、食品は本来含まれていた栄養素や繊維を失って、人間の体にとって不自然なものになってしまいます。
     実はこの文明食が問題なのです。
     もしもお子さんが、落ち着きがなく集中力、忍耐力に欠け、怒りっぽく、すぐ暴力をふるったり、忘れっぽかったり、劣等感に苦しんでいたら・・・単にその子の性格だからとか、受験期の現象と思わずに、食生活をも見直して頂きたいのです。

    ▼素材の品種を多く
     受験生に対して、親がしてやれる最大の手助けは“良い食事づくり”です。
     なるべく新鮮な材料を求め、手間を惜しまず自分の手で調理してあげて下さい。
     昔からある良い食品(大豆製品のコウヤドウフ、ユバ、納豆、キナ粉。
     またゴマや小魚類、海草類ではヒジキやコンブ、味付けしていないノリ、調味料は砂糖を減らし、みそ、しょうゆ、酢もなるべく昔ながらの製造法で作られたものを使う)などを取り入れることをおすすめします。
     基本的な方法として、主食は別にして、副食に一人前100gの動物性タンパク質(肉、魚介類、卵、牛乳、チーズなど)を使うとき、同量の100gの植物性タンパク質(大豆、モヤシ、納豆など)を加え、肉の3倍量の300gの野菜と海草類をプラスすることを原則にします。
     同時に素材の品種を多くすること。
     つまりできるだけいろいろな材料が加わった方がよいのです。
     たくさんとりたい野菜に関して、誤解の多いのがレタス、トマト、キュウリ。
     これらは野菜のうちに入れず、小松菜、春菊、ゴボウ、カボチャ、レンコン、イモ類をベストと考えて下さい。

    (58・2・2 サンケイ)


6. 高校生とナッパ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     このごろの高校生はみな大きくなった。
     けれども、ふとりすぎかひょろ長くノッポが多く、均斉のとれた逞しく健康的なからだばかりではない。しかも、体力的にはむしろ劣っているといわれているし、はやくも老化現象が出はじめている、と警告されている。
     事実、学校や就職の検診で高血圧が発見されることが少なくないし、剖検で動脉硬化の兆しも認められている。
     なぜだろうか。
     いろいろ原因はあるだろうが、もっとも大きくかかわっているのは、あまりにも不自然になっている日常生活、なかでも食べもののまちがいであろうと思われる。

    食のまちがい
     発育のさかんな時、腹はよくへる。しかも、食べものはいくらでもある。家でも十分食べられるし、外に出れば、いたるところにうまいものがいっぱい。小使いはたんまりもらえる。なければアルバイトで稼ぐこともできる。
     むかしのように、貯金しろなどいうものもいない。
     まことに恵まれた、ありがたいご時世。
     そこで、肉や魚や卵のおいしいおかずで、いつも腹いっぱい食べ、インスタントものはじめ出来あい食品も多い。そのうえ甘味のつよい菓子を食べ、ジュースをのむ。
     この食事の特長は、必要以上の大食をしていること、栄養的にみて、カロリーと蛋白質ばかりが多くて、それに釣り合わねばならないミネラル(アルカリ、ことにカルシウム)やビタミン類が乏しい、という大層かたよった不完全食になっていること。
     また、危険な有害有毒食品が少なくないということだ。

    体格への影響
     これでは、からだが大きくなったり、ふとってくるのは至極当りまえだろう。
     しかし、もともとカルシウムが少ないうえ、その吸収・利用を妨げる酸性食品や添加物(燐酸塩)のため、骨になるべきカルシウムはいっそう少なくなり、頑丈な骨格にはなれず、細長いからだになってしまうのも、またやむをえない。

    血のにごり
     またミネラル・ビタミン類の不足したこの食事では、カロリーや蛋白質の代謝がうまく行かず、血がにごってくる。
     機械にたとえて説明してみよう。
     からだも一つの機械、それも極めて精巧にできた、何もかも全部自分で始末する完全オートメーション機械だが、機械を動かすには動力と潤滑油が要る。
     すなわち、石炭や石油を燃してエネルギーを出すわけだが、燃料が燃えるには空気が要る。空気が十分(燃料に釣り合うかそれ以上に)あれば、完全に燃え、煙や煤はないか少ないし、燃料も少なくてすむ。
     が空気が不足すれば、燃料は不完全で、有害な煙や煤が出、燃料は多く必要。
     また、潤滑油が十分だと機械はスムースに動き、摩擦が少なく、すりへりも少ない。
     しかし、不足するとうまく動かず、摩擦がつよく、すりへりもはやい。
     からだのばあいの動力源は糖質・脂肪・蛋白質などカロリー食品。
     これをうまく燃やし、うまく始末、つまり代謝するための空気・潤滑油にあたるものはミネラルとビタミン類。
     このミネラル・ビタミン類が十分だと、カロリー源は完全に燃え(利用され)、うまく始末(代謝)されるから、血はいつもきれいであり、すべての必要な養分がそろい、その流れもよいから、からだ中のすべてのはたらきがよく、したがって体調(健康状態)はよく、ながもちもする。
     しかし、ミネラル・ビタミン類が不足していると、代謝は不完全、いろいろな有害産物ができ、血がにごって来、流れも悪くなり、からだ中のはたらきがうまく行かなくなり、老廃物の処理も不完全で、血はますますにごる。
     ために、体調をくずし、病気しやすくなり、老化もはやめられる。
     なお、有害有毒食品――危険な農薬その他生産用薬や有害な添加物などに汚染された――は、いわば、不純物のまじった燃料や空気や潤滑油といったもので、直接からだをいためることもあれば、少なくとも血のにごりを増すことになる、というわけだ。

    正しい食
     そこで、からだの発育をよくし、健康になり、それを長もちさすためには、何としても、まず食が正しくなければならない。
     正しい食とは、食品そのものが安全であることと、バランスがよくとれた食であるということ。
     すなわち食品はすべてなるべく安全なものでありたい。しかし、そういうよい食べものの殆んどない現在、せめて、バランスだけでもできるだけ完全にしなければならない。
     それには、とりすぎているカロリー・蛋白質は必要の範囲内におさえ、それに釣り合うだけか、むしろ多すぎるくらいのミネラル(アルカリことにカルシウム)・ビタミン類をそえることだ。

    ミネラル・ビタミン源
     ミネラル・ビタミンのうち、アルカリについては、いぜんからアルカリ性の野菜やくだものをしっかりとれ、といわれていた。
     たしかに、そうすれば酸性食品の中和には役立つ。
     けれども、不足がちなカルシウムやビタミン類の補給源としては、その多くが殆んど無価値にちかく、それらすべてがそろって多いのは良質ナッパしかないから、これを十分にとる必要があるわけだ。

    その必要量
     その必要量は、わが国一般の習慣食からいって1日400〜500g。
     しかし、これは平均的な数字であって、飯や動物食品、糖分、脂肪、あるいは加工・保存食品を好む若い諸君ではもっと多くが望ましい。
     しかも、その利用効率をたかめるためには、生でよくかんで食べなければならないが、それが困難ならばしぼり汁(青汁、400〜500gのナッパで約2合)にして飲めばよい。
     それに、野菜ことにナッパ嫌いのものには、食べろといっても無理だろうが、鼻をつまんででも飲めば飲める青汁のほうがとりつきやすいのではなかろうか。

    薬ではいけないか
     このように、ほんとうの健康体になるためには正しい食事が必要であり、青汁の中心になるものは青ナッパなのだが、それが、ミネラル・ビタミン類を補うためだというのであれば、別にまずいナッパを食べ青汁をのまなくても、薬で十分間にあうのではないかと考えられるが、それではなぜいけないのか。
     それは、われわれに必要な栄養分には、わかっているもののほかに、まだわかっていないものがあり、そのすべてがそろってはじめて本当に完全になるわけだが、薬になっているのはわかっているものだけで、わかっていないものははいっていないからだ。
     ところが、緑の葉には、それが草食獣の唯一の食べものであることからわかるように、必要な栄養分はすべて完全にそろっている。
     だから、われわれの栄養を完全にするには、野菜・くだもののどれでもよいのではないし、薬でもダメ。どうしても青ナッパ(ホウレンソウ・フダンソウ以外の緑の濃い)でなければならない。
     さて諸君にとってとくに関心のふかいのはスポーツと勉強とのかかわりあいであろう。

    スポーツ
     強靭な体力・精神力・根性、そして豊かな人間性をやしなうために、スポーツは大いにやるべきだ。しかし、スポーツマンは短命だとか、成人病になりやすいなどともいわれている。
     はげしい、無理な訓練の連続といった肉体の酷使によるところももちろんあろうが、食のあやまりが少なからずあずかっている。
     運動すればどうしても大食になる。
     エネルギーの消耗を補うためだからやむをえない。
     しかし、食べれば食べるほど老廃物はふえ、それを始末するだけでも、からだにかかる負担はそれだけかさんでくる。
     だから、できるだけ老廃物の処理(代謝)に都合のよい状態に保たれ――つまり、いつも血がきれいでなければならない。そのためには、食全体としてバランスがよくとれていなければならない(また、できるだけ安全なものであることはいうまでもない)。
     そのうえ、運動で生ずる多量の酸性物の処理のためには、よりいっそうアルカリに余裕がなければならない。
     したがって、野菜・くだもの類、とくにナッパ・青汁が十分そえられた食事でなければならない、ということになる。
     また、そういう食事ではカロリー・蛋白質が少なくてすむ(節約効果がある)ので、比較的少量で足り、それだけ老廃物も少なくなるから、疲労がかるく、回復もはやく、したがって長もちすることになる(持久力)。
     水泳のマリー・ローズ、マラソンのアベベなど、すぐれたスポーツマンに菜食者が多いのはそのためだ。しかし、どうも、穀・肉・糖など酸性食品、また燐酸塩の添加された出来あい食品が好まれているようだ。

    肉食
     中でも肉食。はげしい運動による体の消耗を防ぐためには蛋白質にとんだものでなければならないと考えられ、肉食はむしろすすめられているのではないか。
     肉食すれば、たしかに元気づくようにも感じられる。
     けれども、肉類はすべて酸性がつよく(アルカリことにカルシウムが少ない)、ビタミンも乏しいので、これに偏るとひどく血がにごり、疲れやすく、持久力がなくなり、抵抗力をよわめ、ながい間にはいろいろな病気、ことに成人病にかかりやすい下地がつくられてゆく。

    糖分
     糖分また同じ。糖分はすぐれたカロリー(エネルギー)源であり、筋肉の活動にはなくてはならないもの。
     また、疲労を回復するにもよい、とされている。
     この、運動後の疲労の回復によいというのは、はげしい運動で減った血糖を補うのに都合がよいからだが、それは、一時的の効果にすぎず、砂糖がすぎていると、ながい間には、かえって体調をくずし、疲労しやすく、持久力にも乏しくなる。
     それは、砂糖が糖分だけで、その以外には何もない。
     全くからっぽのカロリー食品であり、その代謝にあたりビタミン(B1)不足のため有害な中間産物(ピルピン酸=脚気の原因物質)ができるからだ。
     なお、菓子やジュース類では、さらに添加物の害も加わる。

    勉強
     さしあたりは毎日の学課のため。また、進学のため、諸君は大いに勉強しなければならない。
     そして将来、わが国を背負い、世界をリードしてゆくためにも、すぐれた頭脳がやしなわれなければならない。
     頭脳のはたらきは筋肉のそれにくらべはるかに複雑精巧をきわめており、それだけに、よりいっそうきれいな血、したがって、より正しい食が要求されるわけだが、はたしてどうか。
     受験勉強をかんがえてみよう。
     多くのばあい、体力の消耗を憂慮するのあまり、毎日肉や魚や卵のおいしいご馳走づくめ。間食には甘い菓子、ジュース、コーヒー。夜食にはラーメン、といったことになっているのではないか。
     これでは、血はすっかりにごってしまう。
     白米飯や糖分の強いものでは、ビタミンB不足のためできるピルピン酸で脳のはたらきも鈍ぶる。
     肉や魚や卵の主成分である蛋白質の分解は、糖分よりもはるかに複雑で、十分のミネラル・ビタミンがなければ、いろいろ有害なものができ、血をよごしてしまう。
     出来あい食品が多ければなおさら、添加物の害もさけられない。
     これでは頭のよくなろう筈がないし、からだ全体の健康度もこわされかねない。
     だから、頭をよくするためには、また、きつい勉強に堪えられるだけの健康を維持するためにも、大切なのは血をきれいにすること、食の合理化(安全化・完全化)。
     すなわち、できるだけ安全な食品をえらぶことと、できるだけ良質ナッパを十分そえ、バランスのよくとれた完全食とし、食べすぎないこと。
     そして青汁を大いに飲むことだ。
     小学校で青汁給食によって、児童の体位向上とともに学業の成績が上ったという実績、青汁をはじめて落ちついて勉強できるようになり、見事難関の狭き門をパスした受験生もある。

    要するに
     立派な体格、粘り強い体力・精神力をかちうるためにも、若さ・溌溂さを長もちさすためにも、根本になる条件は一つ“きれいな血”であり、それには、できるだけ安全な食品を多くし、ミネラル・ビタミン類に十分余裕のあるナッパ・青汁中心の安全・完全食、すなわち食の合理化をはかることだ。
     そして、大いに運動し鍛錬すれば、ギリシア・ローマの彫刻や、わが国上代の仏像にみられるような、均斉のよくとれた逞しい体格も、また、疲れ知らぬ頑健さをえることもできようし、はやくも老化現象が出るといったおそれもなくなるだろう。
     そうしてこそ、スポーツにも存分に活躍できるだろうし、頭脳の働きもよくなり、無理な勉強にもよくたえられよう。
     次代を担うわが国のホープである高校生諸君に、ナッパを食へ、青汁を飲め、もっと緑を、と声を大きくして叫びたい。

    (59・1)


7. 新春だより 青汁食で級のトップ

    在米 H.H. 

     青汁飲み始め早や19年です。
     娘のバニちゃん(うさぎ)も元気でむつかしい医学の勉強にますます頑張っています。
     今年は病院で医者と一緒の勉強でしたが、診察、テストすべてがよく出来、生徒145人中のトップ一番の成績となり、アフアオメガアフアというただ優秀生だけがもらえる賞状とスカラシップ千ドルをもらいました。
     小さい時からの青汁と生野菜食で健康と知恵と力となった結果とよろこんでいます。
     勉強する子供さんには、青汁野菜食の健康食がいちばんと思います。

    (1990・1)




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