<1985年9月15日発行 第349号>
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目次
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1. 老人とナッパ
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医学博士 遠藤 仁郎
世界一の長寿国。
たしかに老人がふえた。
しかし、病人が多く、その医療費が大きな負担になっていることはよく知られているとおり。
われわれの老人のはたらきで、わが国がここまで発展し繁栄してきたのだから、老後の面倒はみてくれてもよかろう、というものでもあるが、なるべく迷惑はかけたくない。
また、ねたきりになったり、ボケてしまっては長生きのかいもない。
できることなら健康で長生きしたい。そのためには、いつも血をきれいにしておくことだ。
血がきれいであれば、からだ中のはたらきがよく、体調はいつも上々、老化もおくれる。
血をきれいにするために日常心がけなければならないことはいろいろあるが、中でも大切なのはたべもの。
バランスがよくとれていることと、食べもの自体が安全であることだが、現在の食糧事情下では、安全な食品はほとんどない。
それだけ、バランスにはいっそう気をつけなければ、ということになる。
バランスということは、ただ、あれこれとり合わせて食べていればよい、というのではなく、カロリー・蛋白質にたいし、ミネラル(アルカリことにカルシウムその他)やビタミン類が十分釣り合っていること。
カロリーはエネルギーのもと、糖質・脂肪・蛋白質などで、機械でいえば石灰・石油(動力素)。蛋白質は血や肉など、からだの構成分(構成素)。ミネラル・ビタミンは、これら動力素や構成素の体内処理(代謝)をすすめるもの(代謝素)。
機械にさす潤滑油、カマドの火をもやす空気にあたる。
この代謝素が不足すると、血が酸性にかたむいたり、有毒な代謝産物ができ(不完全燃焼で有毒ガスが出るように)、血の性質がかわってくる(血のにごり)。
そこで、健康はそこなわれ、老化もはやめられるわけだが、ミネラル・ビタミンが十分釣り合っていると、それが防がれる。
つまり、ミネラル・ビタミンは、血がにごらないよう、いうならば、毒消しの役目をしており、多ければ多いほどその効も大きい。
ところが今は、食糧は豊富であり、懐具合もよくなっているので、おいしいご馳走ばかり。
いつも腹いっぱい食べているが、こういう食事では、カロリー・蛋白質ばかりが多くて、ミネラル・ビタミンはひどく不足している。
そのうえ、便利だが、何が添加されているかわからない出来あい食品が多いので、その害も加っている。
こうしたことが、一般にも、また、とくに老人に病気、しかも厄介な病気がふえている根本の原因とかんがえられる。
このあやまりをなおすには、まず、食べすぎているカロリー・蛋白質をへらし、不足しているミネラル・ビタミンをうんと補わなければならない(安全な食品でなければならないことはいうまでもない)。
この大事な毒消し役のミネラル・ビタミン類のもっとも有力な供給源は、実は、なんと、これまで何の役にもたたない、カスばかりのようにいわれ、軽べつされ、嫌われていた青ナッパだけで、それ以外にはない。
だから、血をきれいにし健康になり、健康で長生きするためには、どうしてもナッパを食べなければならない。
それも少々ではダメ。
思い切ってしっかり。
なぜかというと、いまの習慣食のバランスを完全なものにするには、平均的にいっても400〜500gのナッパが必要だが、老人はもっと多い方がよい。
それは、年をとるだけ、消化、吸収、代謝などすべてのはたらきがおとろえているし、運動不足のためにもにぶりがちだから、それだけ、代謝をすすめるミネラル・ビタミン類は多い方が有利だからだ。
また、うまいもの、ご馳走(ミネラル・ビタミンが少ない)はひかえめにし、ナッパ(ミネラル・ビタミンの多い)はできるだけ多く食べるよう心がけなければならぬ、という理窟になる。
とはいえ、うまいものづくめ、ご馳走だらけのいまのご時世。
それが、満足に食べ飲みできないというのは、いかにも情ない話。
そこで、うんとナッパを食い青汁をのんで、ミネラル・ビタミンに十分余裕をもたせておこう(ミネラル・ビタミンの貯金)。
そうすれば、時たまご馳走だ、酒だ、菓子だのと不摂生をやらかしても、この貯金で埋め合わせ、つまり毒消しができるだろうから、食事はずっと自由に、融通無礙にもなるだろう。
そして、からだも頭もなるべくよくつかうように心がけていたら、元気のおとろえやボケも防げるのではないか。
というわけで、私は、だいたいナッパ400〜500gでバランスのとれる食事にしておいて、ナッパは1キロ〜それ以上食べる――大部分は青汁にして、60代には3合、70代では4合、80代からは4〜5合――ことにしてみているが、いままでのところ、少なくとも大ケガはせずにすんでいる。
もちろん、これでいつまで達者で生きられるか。
それは生きてみなければわからないが、この2月末、85才の誕生日を機会にドック入りしてしらべてもらった結果からすれば、いましばらくはもつような気がしている。
それはともかく、ナッパは健康のもと。
食べものの代謝をすすめ、毒を消し、血をきれいにしてくれているわけで、これが、いや、これこそがナッパ・青汁の効能であり功徳である、といってよいであろう。
(60・3)
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2. なんでも食べる
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医学博士 遠藤 仁郎
なんでも食べろ、偏食してはいかん、とよくいわれる。
年のはじめになると、毎年のように長寿者の話が出る。
そして、長生きのコツの一つは、好き嫌いせずなんでも食べることだ、とおしえられる。
栄養分の完全にそろった食べものはないから、いかに好きなものでも、そればかり食べていては、かならずからだをこわす。
食べものによって、ふくまれている栄養分はそれぞれちがうから、あれこれとり合わせて食べれば、互に不足分が埋め合わされるので、偏った食べ方よりは、なんでも食べる方がずっとよいわけだ。
しかし、それでは、色々食べていれば、なんでも食べるようにさえすれば、それで栄養分のそろった完全な食事になるかというと、必ずしもそうはいかない。
たとえば、主食に、米だけでなく、麦や雑穀を食べ、豆を食べ、イモを食べれば、それでよいかというと、決してそうではない。
米よりは麦、それよりも雑穀や豆のほうがよく、イモはさらによい。
しかし、やはり足らないものがある。
ミネラル(アルカリことにカルシウム)やビタミン類など。蛋白源では、肉や魚の切り身ばかり食べるよりは、小魚や卵や大豆のほうがよい。
しかし、これを色々とりまぜて食べても、ミネラルやビタミンが不足する。
そこで、ミネラルやビタミンを補うために、果物や野菜を食べるが、それらにはアルカリは十分ある。
けれどもカルシウムやビタミンのそろって多いものは青ナッパ以外ほとんどないから、果物・野菜のなんでもよいというわけではない。
とすると、好きなものだけ、おいしいものだけに偏った食べ方がよくないことはいうまでもないが、主食や蛋白源をあれこれとり合わせて食べても、また、果物・野菜も、なんでも食べていれば、それでよいのではない。
また、なんでも好き嫌いをいわずに食べるのが長生きのコツだというのは、むかしの、質素な食べもの、しかも十分には食べられなかった頃の話。
麦・ソバ・粟・キビ・ヒエでも、豆でも、イモでも、なんでも食べ、肉や魚も切り身だけといった贅沢な食べ方ではなく、骨も腸わたもみな食べられる小魚、なんでも食べる。
そして野菜も、食べよい実もの、根ものだけでなく、かたいナッパでも、ともかくあるものはなんでも食べる。
いや草でも木の葉でも、およそ食べられるものならなんでも、どころか食べられそうにないものでも、いろいろ工夫して腹をふくらせた。
そうすることによって知らずしらずに栄養がよくなっていたから、健康でもあったし長生きもできたのであった。
そういう乏しい不自由さにたえ凌いで生きてきた人の「なんでも食べる」ということは、ありあまる食べものを、なんでも、いつでも、どこでも自由に、うまいもの好きなものの食べられる、しかも危険なもののいっぱいある現在とは、話がまるでちがう。
それをかんがえてみることをしないで、ただなんでも食べれば、偏食さえしなければ、それでよいとするのは大変な心得ちがいというものだ。
(59・7)
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3. 老後の精神的活動は健康にもつながる
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【ロサンゼルス】当地のBrentwood復員軍人局病院老年精神科主任L.Jarvik博士が行なった研究によると、頭脳を働かし続けるものは認知力が衰えないばかりでなく、肉体的にも頭を使わないものより健康だという。
博士は、1946年に134組の双生児について長期的研究を開始、その60代から80代までを追跡した。
その結果によると、精神的活動は身体的活動と同程度に重要なようであり、以前には活動的ではなく60歳以降に活動的になった者でも、非活動的なままの者よりも優れているように思われたという。
(Medical Tribune 84.3.4)
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4. 老人の目まいは食事に関係する
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【ボストン】老人が目まいを生じて転倒し、しばしば骨折する理由は食後の急激な血圧低下で説明できるかもしれないという。
食事が血圧を低下させることが初めて発見された研究は、ボストンのHebrew Rehabilitation Center for the Agedの高齢患者20人について行なわれたもの。
研究の中心となったL.A.Lipsitz 博士は、所見をNew England Journal of Medicineに発表している。
(Medical Tribune 83.9.8)
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5. 労働と食物
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軽くなった労働作業
余分なエネルギーは運動で消費を
体を動かす機会が少なくなって
栄養のとり過ぎとか、エネルギーのとり過ぎということがよくいわれるようになりました。
この中には、消費するエネルギーが以前とすっかり変わってしまったこともあります。
つまり、単に、食事を多くとり過ぎているということではなく、それ以外に、労働の質が変化したということも見逃すことができないのです。
たとえば、今までは、通勤するのにも、かなりの距離を歩いていました。
ところが、バスやマイカーに乗るなど、歩く距離も大きく減ってきています。
主婦にしても、掃除を考えてみればわかるように、電気掃除機が普及し、ほうきで掃くということもなく、さらにふき掃除などはほとんどしなくなってしまいました。
また、洗濯も自動でできるようになっています。
買い物にしても、車とか、自転車がはばをきかせています。
つまり、体を動かす機会が非常に少なくなったということです。
一方、今まで重労働であると思われていた農業も、やや思い労作になってしまい、農繁期のある時期だけが重い労作という分類になったのです。
農業も、耕うん機、田植機、コンバインなど機械化されてきた結果です。
工場などの現場作業も同様です。
多くの工場の労働が普通の労作になってしまいました。
普通の事務や技術者などは軽い労作です。
主婦なども、普通の労作には一応分類されていますが、人によっては軽い労作に入る場合も多いと思われます。
思い違いでとり過ぎる場合も・・・
こうしてみてくると、日本中から、重い労作が大へん少なくなったということができます。
それだけに用心しないと、自分はかなり重い労働をしているとか、軽いとは思わないでいると、実は、必要以上にエネルギー源である食品を多くとっているといったことが起こるのです。
これはたいていは肥満になります。
さて、1日にどれくらいエネルギーが必要かは、栄養所要量という数字で示されています。
昭和54年に改訂された昭和60年推計の数字では、30代の女性の場合、1950キロカロリーです。
40代では1900キロカロリーとなります。
さて、これは、普通の労作の場合で、もし軽い労作の場合はこれからいずれも200キロカロリー減額する必要があります。
ということは、30代分の女性で1750キロカロリー、40代で1700キロカロリーということになります。
ついでに男性ですと、軽い労作の場合、30代で2100キロカロリー、40代で2000キロカロリーとなります。
食料が豊富になっただけでなく
こうした数字をみると、かなり食べ過ぎている場合が多いのではないかということが気になります。
食べ過ぎないようにするとともに、できるだけ時間のあるときは、運動をして、エネルギーを消費しないと、体にどうしても余分の脂肪がついてしまいます。
これでは健康とはいえません。
足りなかった食べ物も今は食べ過ぎているといううらには、単に、食料が豊かになったり、食べるものの量が増えたということ以外に、労働の質が大きく変わったということを見逃してはいけないのです。
(57・2・5 サンケイ)
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6. 薬物乱用の脅威は世界的に
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【ニューヨーク】ヘロイン、コカイン、マリファナ、その他の薬物の不法な使用が北米、西ヨーロッパ、東南アジア、そのほか世界の各地でこれまでになく増加し、大きな脅威になっているという。
国連の報告によると米国、特にその大都市ではヘロイン乱用が増え続け、1983年に米国に流入したコカインは50トンに近く、あらゆる形の薬物乱用が米国民の重大な保健問題になっている。
「薬物乱用が一方で個人とその家族、他方で社会に与える影響は甚大で、持続的かつ厳然たる対策が必要である・・・・・・嗜癖が若者たちに及べば、国の将来に影響する」
と同報告書は結論している。
(Medical Tribune 84.3.1)
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7. 健康をとりもどす
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静岡県 J.Y.
20代からの高血圧で、次男を出産した後から、少し無理をすると首すじのコリがひどくなり、頭が重く、体がだるく、体を動かすのがつらくなるような日々でした。
去年の春頃から青汁をのみはじめ、畑に青野菜のない時は、タンポポ、アシタバなどの山菜をあつめて青汁にしてつづけ、のみはじめて丸5ヶ月ほどになりますが、今では肩コリ、首すじのコリがうそのようにとれ、本当に軽やかな体になることができました。(36才の現在の血圧140/96)
ありがたくて、知人や家族の者にすすめております。
小ニの長男は、風邪をひきやすいタイプで、咳をするとすぐ気管支炎をおこしてしまうのですが、青汁をのむようになって、風邪ひきにくくなり、ひいても軽くすんでおります。
青汁をのむ際、青くさくてなかなかのみにくいので、夏ミカンのすっぱい汁を加えてみましたところ、とてものみやすくおいしくなりました。
青汁を知り本当に健康をとりもどすことができ、食生活について考えるようになりました。
人間の幸せは健康なしにはえられないと思いました。
心身ともに健康になれるような食生活について、これからも学び実践していきたいと思います。
ありがとうございました。
(59・6)
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8. 白内障が良くなる
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東京都 G.O.
今年70才、4年前、白内障手術後のこと遠藤先生の御著書並に田辺先生の直接の御指導を仰ぎ青汁食を実行いたしました。
その結果視力も予期以上に恢復いたし現在では眼鏡使用いたしますと両眼とも1.5の視力があります。
読書を始め其他仕事にも何等支障なく毎日を楽しく過ごしております。
これも偏へに青汁食のお蔭と深く感謝いたしております。
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9. 青汁の葉緑素は大丈夫か
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豊橋市 Y.I.
青汁1日約150cc〜200cc続けること丸9年余り。
お蔭様で毎日健康で暮させていただいています。
私は今年の誕生日で丸72才の男性です。
養鶏業を営んで28年になります。
青汁を始めたキッカケは、昭和51年の春突然胃潰瘍になって(黒色便が出た)、38日間豊橋の国立病院に入院。
その後ズーット飲用しております。
他に漢方薬も併用しております。
昭和60・4・24日付中日新聞の健康食品の欄に、別切抜の通りバランスとれた食事が一番と題して、文中にクロレラにはフェオホルバイト(葉緑素が変化してできる有害成分)云々と記してありますが、青汁の葉緑素は大丈夫でしょうか。
この点お聞きしたいのです。
前記のように少量ですがもう9年間も続けており、顔色もよく、人様から血色がよいといわれています。
なお青汁の材料は、夏はさつま芋のつる、冬向はケールを使っております。
勿論殺虫剤など毒薬は使わず栽培しています。
(60・4)
○
大丈夫です。ナッパ、青汁の中の葉緑素は自然なままのものであり、有毒なものはありません。
それは、野生の草食動物が生涯食っていることだけでもわかりましょう。
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10. 血圧下った
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岡山県 M.Y.
昨年岡山に行き、泰山堂で「青汁は効く」という本が何よりも気にいって買ってかえりました。
さっそく少しづつ実行に移りましたところ、今まで高かった血圧が下がり、お医者さんも「調子がよいな」と申され、お薬も出してくれません。
青汁のことを話しましたら、「それはとてもいいから続けなさい」と申されました。
農家なので、出来うるかぎり野菜ものを植え、きらさないよう努力いたしておりましたが、今年は寒さと雪が多いので、何もかも枯らしてしまいました。
ケールの種子をお願いいたします。
届きましたら、暖かくなりしだい蒔いて、近所の人にも分けてあげ、青汁の話をしておすすめしたいと思っています。
(59・3)
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11. 5合はのんでいる
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高崎市 H.H.
今年は春からケールと野菜つくりにつとめ、1日5合は飲むようにし、あるいは焼餅のようにして食べたりしています。
おかげさまで、毎日元気にしています。
娘や孫も飲むようになりました。
できるだけ栽培をつづける覚悟です。
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12. 心肥大・足の痛み
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北九州市 N.
青汁のおかげで足(膝)の痛みも忘れるくらいよくなりました。
有難うございます。
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13. バランスとれた食事が一番
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国民生活センターは
「健康食品には法的規制がない。消費者は必要ない商品は買わないよう。健康は普通の食品である肉、野菜、魚、穀類などのバランスがとれた食事によって維持されるもの。食事を積極的に考えてほしい」
とアドバイスする。
日本消費者連盟が先ごろ、健康食品メーカーに公開質問状を出したのも、最近、こうした問題点が明らかになってきているため。
同連盟では
「ビタミンEには副作用例、ビタミンCは有効性、さらにクロレラにはフェオホルバイト(葉緑素が変化してできる有害成分)などの問題がある」と指摘した上で「健康食品は万病にきくように思わせる表示があったり、悪質な訪問販売やSF商法(催眠商法)で売られる問題があります。
値段も高く、実際の効果が明らかでないものもあり、不必要です」
と話している。
(60・4・24 中日新聞)
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14. 質問箱 陰性の体質だから
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コラム紹介
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