<1982年12月15日発行 第316号>
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目次
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1. 健康相談室 喘息と高血圧
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医学博士 遠藤 仁郎
73才だが、元気のよいよくふとった方。
12年来の喘息。高血圧もある。アレルゲン検査でブタクサと家埃の反応がでたので、減感作治療を3回うけた。しかし、あまり効果はないようで、いつもセキ・タンがあり、時々発作もおきる。その都度、入院して点滴注射をうけおさまるが、すぐ、また、もと通りになる。
食欲はよい。飯は一杯ていど。おかずは、海辺のことで魚が多く、野菜は少ない。味は濃い方。青汁5〜6勺はのんでいる。タバコ、酒はのまないが甘いものが大好き。便通もねむりもよい。運動はほとんどしない。入院して治したい、との相談。
「いま病院はいっぱいで、すぐには入れません。予約も多いので、いつあくかちょっと見当もつきません。それに、喘息は入院したとて簡単には治るものではありません。いままでの経過からわかるように、よく効くという点滴でも、結局は一時しのぎにすぎず、当座はおさまっていましょうが、それだけで根治するものではありません。
アレルゲンを見つけ出して、その脱感作をやるのがいまの医学では常道になっていますが、その効果も経験ずみ。あまり大きな期待はかけられません。それは、喘息が(高血圧もだが)もともとからだに原因、つまり素質があるためですから、それ(体質)をなおさないかぎり、いつまでも間に合わせの治療に終ってしまいます。」
「どうして変えるのですか。体質はかえることは出来ないと聞いていますが?」
「それは生れつきの体質のことで、これはいかんともしがたいかも知れません。しかし、体質の中には、日ごろの生活のあやまり、ことに食べもののまちがいから来ているところも少なくありませんから、ともかく、それをなおしてみることです。あなたのばあいでいえば、ひとつには食べすぎ。ふとっていては喘息は(高血圧も)治りにくい。食をへらし、つとめて運動もして、標準体重以下にへらすこと。
次に、食べものが、かなり偏っています。主食はあまり多くはないようですが、魚が多く、甘いもの(菓子や味つけの砂糖)が多い。これらは、いずれも酸性食品。それに、野菜が少ないから、どうしても血が酸性にかたむきがち。健康な血は微アルカリ性でなければならないので、血が酸性になると、からだにたくわえられているアルカリ、ことにカルシウム、で中和される。で、カルシウムが乏しくなります。カルシウムが乏しくなると、からだ中のいたるところに行って、その働きを調節している神経(自律神経)が感じやすくなり、抵抗力もよわくなります。また、このような食事ではビタミンが不足しているので、食べたものの体内処理(代謝)がうまくゆかず、いろいろ有害なものができ(血のにごり)、アルカリの不足とともに、からだ中の組織のはたらきを悪くし、抵抗力をよわめ、ものごとに感じやすくします(アレルギー性)。
そこで、あなたのばあい、気管支の分泌がたかまり(タン)、痙攣しやすいので喘息の発作がおこることになる。また、血管が収縮すると血圧が上るようにもなる、というわけです。これをなおすためには、なんとしても、まず、不足しているアルカリ・カルシウムやビタミン類を十分にとって、血をアルカリ性にし、食べものの代謝を完全にして、血をきれいにしなければなりません。つまり、全体としてバランスのよくとれた食べものにすることが肝要です。」
「どうすればよいのですか。」
「それには、ご飯はあまり多くないから、よろしいが、おかずの魚をへらして大豆ものとし、野菜ことに良質ナッパ(但しホウレンソウはダメ)を多くし、味はうすく。青汁は少なくとも3合(もとのナッパ750グラム)以上。4合でも5合でも、それ以上でも、のむこと(多いほどよろしい)。お菓子やジュース類をできるだけへらすこと。その他、食べものはなるべく自然の安全なものとし、保存・加工食品、インスタントものなど、いろいろな添加物のあるものは、できるだけひかえること(それらの中には発作をおこしたり、アレルゲンになるものも少なくない)。そして、つとめて運動すること。こうして、血がきれいになれば、自律神経の反応性がしずまり安定して来、また抵抗も強まってくるので、喘息はしだいになくなるでしょうし、血圧も下ってくるでしょう。」
(56・2)
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2. 心筋梗塞にかかって(1)
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友成 左近
はじめに
このほど私は、思いもかけていなかったことですが心筋梗塞にかかりました。
が、幸い、発作が起こって間もなく、救急車で倉敷中央病院に入院して、速刻専門医の診療をうけることができたので、さしあたりことなきをえました。そしてその後、精密検査の結果、この再発防止には手術が必要であり、そしてそれは可能であり、有効であるとのことで、その手術をうけ、それがうまく成功して、再発のおそれがひとまずなくなりました。
ところでさきに、思いもかけていなかったこと、といったのは、こういうしだいです。私のからだには、あれこれと厄介な持病があって、そのうち最も厄介なのは、腹部と腰部に、レントゲン深部治療による火傷があって、そこに絶えず潰瘍が起こって、ひどく痛むことです。そして、この防止や恢復には、医療にまだ有効適切なものがないので、養生とりわけ食養生に精出して、できるだけ体力、治癒力を強化する以外に打つ手がないとのことで、ここ20数年来、遠藤先生にご指導お願いして、青汁食養生につとめてきました。
そして、この青汁食養生に、それ相当つとめておれば、心筋梗塞などにかかるおそれは、まずあるまいといわれていました。それで私は、なによりもまずレントゲン潰瘍の防止や恢復のため、青汁を毎日4合以上(材料のケールで1kg以上)飲み、そしてその他の食物もあれこれと改めて、自他共に、それ相当につとめていると思っていました。が、それにもかかわらず心筋梗塞にかかったのです。
そこで私は、あらためてめいめい生きた体と青汁食養生について、素人なりにも、あれこれと考えなおしてみました。が、その結末は、やはりこれまでと同様であって、それは要約つぎの通りです。
まず第一に、人間ナマミであり、それに生活環境は実情危険いっぱいであるので、養生とりわけ食養生には、平素からめいめい確かと心がけて、健康の保持増進につとめなければならない、ということです。
が第二に、そう心がけても、ほかならぬ人間のすることであり、まためいめい生きた体は十人十色であるので、そこに不行届や間違はさけがたく、それに生きた体にしても生活環境にしても、養生の及びかねるところがあるので、ときに病気にかかることはまぬがれない、ということです。
そこで第三に、もし病気にかかった場合は、またかかるおそれがある場合も、いうまでもなく、幸い医療が進歩普及しているので、それを利用することが大切である、ということです。
と共に、第四に、この医療が首尾よく成功するように、養生とりわけ食養生には、平素とはダンちがいに精出すことが大切である、ということです。
さらに第五に、予防についても治療についても、医療にまだ有効適切なものが開発されていない病気の場合は、養生とりわけ食養生に、実情能うかぎり精出すことが大切であって、そうすれば、それ相当の効果がある、ということです。
そして第六に、食養生には当面いろいろな試みがあるが、青汁食養生が実情最も優れている、ということです。
このたび心筋梗塞にかかって、その療養経験から、めいめい生きた体と青汁食養生について、これまでと同様ながらも、要約前記のように考えなおしてみたのですが、読者になんぞご参考になればと、その療養経験をひとわたり書き記してみたいと思います。
(なお、遠藤先生は、長年おつとめになっておられた倉敷中央病院の院長を、先年おひきになって、ただいまは名誉院長です。が、毎週一回木曜日に登院されて、初診や再診にあたられ、また希望者には、無料で青汁食養生の指導もなさっておられます)。
(なおもうひとつ、最近形成外科手術が急速に進歩して、レントゲン潰瘍でも、病状によっては植皮手術がうまく成功するようになったとのことで、このたび発作が起こった4ヶ月ほど前に、腰部の火傷部に潰瘍ができて、ひどく痛んでいたので、倉敷中央病院でその手術をしてもらいました。そして、それがうまく成功していたので、この度の手術後、ラクに上向きになって安静することができました)。
(57年3月)
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次回参照 |
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3. 訂正死亡率
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ことし7月に厚生省が発表したわが国の主要死因別訂正死亡率は表のようになっている。
(57・8)
性・死因別訂正死亡率の指数
(昭和 35,40,45,55 年)
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胃の悪性新生物 |
気管、気管支及び肺の悪性新生物 |
子宮の悪性新生物 |
心疾患 |
脳血管疾患 |
慢性肝疾患及び肝硬変 |
男 |
昭和 35年 | 100.0 | 100.0 | − | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
40 | 96.9 | 132.9 | − | 98.2 | 103.3 | 101.6 |
45 | 87.3 | 159.5 | − | 99.2 | 91.7 | 121.0 |
50 | 76.3 | 193.7 | − | 90.4 | 70.2 | 128.2 |
55 | 66.0 | 236.7 | − | 96.0 | 52.5 | 122.6 |
女 |
昭和 35年 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
40 | 95.7 | 134.4 | 83.9 | 97.2 | 99.7 | 86.1 |
45 | 89.0 | 156.3 | 67.8 | 97.5 | 89.1 | 87.5 |
50 | 76.3 | 168.7 | 55.7 | 89.1 | 72.5 | 79.2 |
55 | 64.7 | 204.3 | 42.3 | 86.9 | 55.4 | 72.2 |
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4. 食道ガン 新鮮野菜食べるとなりにくい(キャベツが中心)
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(名古屋)キャベツを中心にした新鮮野菜を食べている人が食道ガンにかかる危険率が低い―という疫学調査結果が27日、名古屋市で開かれている国際対がん連合(UICC)のがん予防会議で紹介された。
発表したのは、名古屋大学予防医学教室(青木国雄教授)の大野良之助教授。大野助教授によると、名大予防医学教室は49年から54年にかけ、瀬木三雄東北大名誉教授の協力を得て、食道ガンの発生率の高い和歌山県と、低い愛知県の入院中の食道ガン患者計201人を対象に、ガンにかかる前の食事内容や生活歴など約400項目にわたる詳細な聞き取り調査をした。
その結果、たばこも酒もやらないでキャベツを中心にした新鮮野菜を多く食べていた人の食道ガンにかかる危険率を1とした場合、野菜をとらないで酒もたばこも飲んでいた人の相対危険率は愛知18.4、和歌山77.4と異常に高いことがわかった。また、酒もたばこも好きなうえに、野菜も多く食べていた人の危険率は愛知6.6、和歌山13.4。野菜をとるだけで危険率が大きく下がっていることも判明した。
ビタミンAやCを含んだ新鮮野菜が、ガンの発生や増進を抑える作用があることは既に動物実験では証明されている。この日の会議でも、緑黄色野菜に抑圧効果がある、という報告が別の研究者からも紹介された。
今回の研究について大野助教授は「愛知と和歌山で危険率になぜこれほど大きな差があるのか。和歌山の茶がゆの習慣が高めているとの研究はあるが詳しい原因はわかっていない。食道ガンの一因として酒やたばこなどが想定されているが、キャベツなど新鮮野菜を食べている人に、かかる危険率が低い、ということは言えそうだ」と話している。
(56・8・29 サンケイ)
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5. 酒飲んで赤くならぬ人 肝臓に赤信号
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お酒を飲んでも赤くならない人は肝臓に赤信号―こんな相関関係が、大阪大学医学部第一内科・鎌田武信助教授グループの佐藤信紘講師(41)らの研究でわかり19日から金沢市で開かれる「第2回アルコール代謝と肝研究会」で発表される。
飲食後に赤くなるならないは、肝臓の中にある特殊な酵素の有無に密接なかかわりがあるが、酵素がある人(赤くならない人)ほど高率で肝障害を起こすという。
一般に、お酒の強い人は肝炎などの肝障害を起こすことが多い。しかし、大酒飲みのうちどんな人が肝障害を起こしやすいかはわかっていなかった。お酒を飲んだ場合、アルコール分の90%は肝臓でアセトアルデヒドに代謝され、さらに脱水素酵素の働きでアセテートに分解、吸収される。ところが、このアセトアルデヒド脱水素酵素は、アセトアルデヒドの濃度が高い場合でしか働かない「ハイ酵素」と、低濃度でも働く「ロー酵素」の二種類がある。
「ハイ酵素」はすべての人が持っているのに対し、「ロー酵素」は体内に持っていない人もいる。お酒を飲んで赤くなるのは、アセトアルデヒドがアセテートに分解されずにたまるためで「ロー酵素」を持っていない人は、すぐ顔が赤くなる。
逆に「ロー酵素」の保有者は、すぐアセテートに分解してくれるのでいくら飲んでも赤くならない。佐藤講師らは、この「ロー酵素」とアルコール性肝障害の相関関係に着目。大阪府下の病院に入院中のアルコール中毒患者のうち、肝障害をもつ患者29人について調べた。
この結果、「ロー酵素」を持っていない患者はわずか3人だったのに対し、「ロー酵素」を持っている患者は26人と90%近く。大酒を飲んでもいっこうに赤くならない人ほど高率で肝障害を起こしていることがわかった。
(57・2・12 サンケイ)
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6. こんどは悪い
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医学博士 遠藤 仁郎
いぜん胃が悪くなったとき、青汁がとてもよかった。その後、やめていた。さいきん、またおかしくなったので青汁をのんだところ、こんどは、全然効果がないばかりか、かえって調子が悪くなる。なぜだろうか、との電話。
かんがえられることは、
- 青汁そのものがまちがっていないか。材料は良質ナッパだけだろうか。農薬汚染の心配はないだろうか。よくないものが混っていないか。味や匂いや刺戟性はどうだろうか。
- つくり方がいぜんとちがっていないか。というのは、ミンチやミキサーなど飲みよいが、電気ジューサの汁は濃いうえ、細かいカケラが混っていて飲みづらく、ノドや胃を刺戟することがある。これは、飲みごろにうすめればよい。
- のみ方に無理はないか。効をあせって、いきなり大量をのむと調子をくずすことがある。このばあい、少しづつから、しだいにならしてゆく。
これらの点をよく吟味して、なるべく、まちがいや無理のないよう、ためしてみてほしい。それでもよくないようなら、いちど、しかるべき病院で精密検査をうけていただきたい。
(54・1)
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7. 肝硬変だったが
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8. 保険の赤字も解消
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北九州市 H.M.
周望学舎(年長者研修大学校)を通じて、また、個人で、青汁を皆さんにおすすめしています。便秘や肩こりが治り、よく眠れるようになったとか、心臓病が治ったとか、いろいろ効果が出ています。
昨日は長野市の知人からの電話で、ケールが成育して2ヶ月前から主人とともに毎朝のみ、体調がよくなり、4年前の健康体にもどった、とよろこんでいられました。お友達に種を差上げる約束をしているけれども、葉ばかり栄えて花が咲かない、ということでしたので、私方から送りました。
一人でも多くの人にケールの効果を知っていただくことを大変うれしく思います。近くの人で高圧剤を2年間ものんでいられた方が、薬をやめて青汁をのみ出してから、便通がよくなる、胃の調子がよくなった。肩こりや頭重が軽くなった、安眠ができるようになったとか、高圧剤をのんでいるときより気分壮快になったとか、血圧はのんでものまなくても変らないとか、いまでは薬はのむ気が全然おこらないなど申されて、近いうちに庭木を移動させてケール畑にすると張り切っていられます。次々とケールの輪がひろがっていることはうれしいことです。青汁党がふえれば病人がへり、国の保険の赤字もおいおい解消されてゆく気がいたします。
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9. アメリカだより
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在米 H.H.
本当に何やかと、生きづらい、むつかしい世の中ですが、やはり本人の努力しだいだと思います。病気一つにしたって、医者が、あれは悪い、こうせよといったって、病人自身が気をつけて用心しなければ、なんにもならないようなもので、ああだこうだと頭や口さきだけではどうにもなりませんよね。「食物によらず、恵みによって心を強くするがよい。」これが神さまのみ教えです。日々あたえられる神の恵みによって喜び感謝して、食物の味を喜ぶだけでは動物とかわりないですから、人間らしく正しい生活をしないといけませんね。
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10. アレルギー性紫斑病
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静岡県 H.S.
いつも「健康と青汁」拝読しております。今月号を見て人事とは思えずペンをとりました。私は娘を3人もつ40才の主婦です。一昨年の9月に、下の娘(現在6才)がアレルギー性紫斑病と診断され、以後三度目の再発が昨年の9月でした。
最初はお医者様の薬で1ヶ月程様子をみましたが、あまりはかばかしくないので、思いきって三食ごとにコップ1杯の青汁をのませました。もちろん、発病以来菓子ジュース類は一切口にしませんでしたが、だんだんひどくなるようで、12月中頃には、1円硬貨大の出血が下肢全体に広がり、胸や顔のあたりにまで出血が見られました。出血の中心は水ぶくれのようになり、その頃は子供も足が痛いと動かなくなりました。
冬の間は材料不足のため、顆粒に切りかえました。一日3〜4袋です。青汁といっしょに豆乳(手作りの)も飲ませました。薬のために顔はむくみ(ムーンフェイス)が出ておりましたが、青汁のおかげか、尿はいつ検査しても異常が出ず、年が明けてからは目に見えて良くなるのがわかりました。小学校の入学式にも無事参加ができ、現在毎朝青汁をのんで元気に通学しております。以前に比べ、菓子類をみてもあまり手を出さなくなりました。新聞に載った方の御子様がまよわず青汁を用いて一日も早く健康な体をとりもどせますよう祈ります。
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11. 一生つづける
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仙台市 K.O.
遠藤先生のおしえを皆さまにつたえ、ご近所の方々にもお分けして、家のものたちと6人で、毎日いただいております。ご近所の方は、顔のしみがなくなり、心臓の動きがにぶかった人が、大へん元気になったと、喜んでおられます。この方は、7月から顆粒一日4袋(約35瓦)づつ飲んでおりますが、最近は、おつとめしていても、つかれなくなり、顔のつやがよくなったと言っておられます。人間の体に、どんな薬よりも、ケール顆粒にまさるものはないと、自他ともに信じております。私どもは、一生つづける、つもりでおります。有難うございます。
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12. 質問箱
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コラム紹介
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