<1981年11月15日発行 第303号> | |||||||||||||||||||||
目次 | |||||||||||||||||||||
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1. アレルギー性紫斑病 | |||||||||||||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
36歳の主婦の方から、10才の男児が、3ヶ月まえから、下肢に紫斑が出だした。病院では、アレルギー性紫斑病で、心配はないといわれ、薬をもらっている。 青汁は絶対必要だ。それだけでも治ることがある。 分量は多いほどよい。少なくとも一日正味2〜3合(もとのナッパ500〜750グラム)。 効果は、病状やほかの食べもののとり方にもよるので一概にはいえない。 紫斑が出だしたのは3ヶ月くらい前とのことだが、そういうからだになるまでには、かなりの時がたっているにそういないから、それをもとに戻すにも相当ながくかかると覚悟せねばなるまい。 原因の主なものは、平素の食事のあやまりにあると思われるので、ともかく気永に、青汁を中心とする食の合理化につとめることだ、と答えておいた。 紫斑病 紫斑病というのは、皮膚に粟粒大から止針の頭大の出血斑が出る病気、つまり、出血しやすいからだ(出血性素因)になっているという病気で、毛細血管の細胞の接着部がゆるんで、血管にスキマができるとか、そのスキマを埋める血小板に異常があるとき、あるいは、血をとめる血液成分に異常があるとき、などにみられる。 アレルギー性紫斑病 そのうちアレルギー性紫斑病というのは、血管にスキマのできる型、血管性の紫斑病で、たちは悪くはないが、度々ぶりかえしたり、血尿や腸出血をおこすこともあり、たまにではあるが腎炎になることもある。アレルギー性の病気とかんがえられており、これという治療法もない、とされている。 アレルギー アレルギーとは、異常反応をおこす現象のことで、原因になるアレルゲンで感作されて、特種の免疫反応物質(抗体)ができている。ところへまたアレルゲンがやってくると、そこにはげしい反応(アレルギー反応)がおきる、というもの。この紫斑病のばあいは、食物その他にあるアレルゲンによって、血管系が感作され、出血という異常反応がおきる、というわけだ。 アレルギーの下地 しかし、アレルゲンがやってきても、感作されてアレルギーをおこすのは、ごく一部のものだけで、すべての人におこるわけではない。 つまり、アレルギーのおこるのは、もともと、その素地のあるものに限られており、その素地は、おそらく生れついた素質であろう。けれども、それが進行して、発病するようになるには、その後の日常生活、ことにあやまった食生活が大きくかかわっている、とかんがえられる。 この児の食事 さて、この児の食事はどうであったか。おそらく、多くの現代っ子共通の、また、とくに多くのアレルギー児にみられるように、肉食にかたむいた贅美食、しかも、インスタントものなど既製食品が主であり、間食には甘い菓子やジュース類。そして、野菜ことにナッパ類はほとんど食べない、という偏食児だったらしい。 このことは、後の手紙で、「私自身、こういう結果になり、さも立派な食事を、家族にしていたという誇りもスッとび、健康に密着した食事の大切さを、身にしみて感じている」と述懐されていることからも、まずまちがいないだろう。 問題の多い欠陥食 栄養まことに豊富であり、いかにも文化生活にふさわしい、高級食とされがちなこの食事は、その実、はなはだ問題の多い欠陥食なんだ。 栄養的に不完全 カロリー・蛋白質は十分、というよりは十二分、むしろ多すぎるくらいだが、それらの体内処理に欠かせないビタミンやミネラル(アルカリ・カルシウムその他)が不足している。 ために、代謝がうまくゆかず、血のにごりを生じやすいこと。安全性にも問題が多く、(各種添加物その他)、それによっても血のにごりは強められるであろう。 この血のにごりによっても血管系はいためられるであろうが、血管系の強化作用のあるカルシウムやビタミンC・Pなどの不足によっても、抵抗力がよわめられ、かつ、刺戟にたいし感受性がたかめられ、アレルゲンによって感作されやすくなっている。 しかも、この食事の主体をなしている動物食品や、インスタントもの、加工・貯蔵食品などには、アレルゲン性のつよいものが少なくない。 そこで、血管系は、これらによって感作され、しだいにアレルギー性となり、ついに発病するようにもなったのであろう。 対策 そこで、これに対処するには、食を完全にして、血のにごりを除くとともに、血管強化に大切なカルシウムやビタミンC・Pなど、ミネラル・ビタミンを十分に補給すること。 一方、できるだけ安全化し、血のにごりを増したり、アレルゲンの多い食品をさけること。すなわち、食の完全化・安全化=自然化をはかることであろう。 完全化 食べすぎているカロリー源や蛋白食品はひかえめとし、不足の甚しいミネラル・ビタミンの最良給源である良質ナッパを十分そえ、なるべく多くを生で食べ、青汁にしてのむこと。 安全化 そして、安全化のためには、生(農・畜・水)産用薬剤や添加物などに汚染されたものや、そのおそれのある食品はさけ、つとめて、安全な自然食品をえらぶこと。 主食には、白米飯や白パンよりは、むしろイモ類。 蛋白食品には大豆ものを主とし、肉(獣鳥魚介)類、卵・乳製品などには、とくに安全性に注意すること。 そして、安全な野菜類、ことに良質ナッパを十分そえること。ただし、現在、市販品に安全なものはまず望めないから、できれば家庭菜園を利用して、年中切らさないようにつくり、それをモリモリ食べ、青汁にもしてのむことだ。 なお、間食や調味料にも、安全性に十分気をつけること。 こうすることが根本的だと私は確信しているが、体質をかえることは、なかなか容易ではない。少なくとも、急速な効果はのぞめない。ともかく、根気よくねばること。また、よくなってからも油断せず、生涯つづける心がまえが肝要だ、ということを忘れないようにしてほしい。 (55・5)
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2. 人間しょせん動物(3)−食養生に大切な心得 | |||||||||||||||||||||
さらに、食料を生産し加工し販売する人々とりわけ企業は、専ら営利を目的にしているため、栄養分の摂取に、また安全の確保に適切なものより、とかく人々の好みにあったものを扱い、しかも、それを刺激もして扱うからであり、そして人々は、そうした刺激的宣伝には弱いからです。 人生最大の苦痛である病気を予防もし治療もして、人生なにより大切な健康をはかっていくには、いろいろ必要なことがありますが、そのうち実情最も重要なことは、食養生に心がけて、めいめい生きた体に必要な栄養分を毎日十分摂りいれること(けれども有害有毒はとりいれないこと)です。 そしてそれには、前記のようなしだいで、人間の食べ方を動物の食べ方と比べてみて、そこにひとつの手がかりをみつけることが大切なのですが、その主要点はつぎの通りでしょう。 動物の食べ方に食養生の手がかりをみつけること まず第一に、主として食料構成にかかわることですが、動物わけても哺乳動物は、その食習性によって、草食動物と肉食動物と雑食動物に大別されていますが、多少の例外はあるものの殆んどすべて、緑色の濃いハッパを、直接、あるいは間接に食べています。 それは、すでに栄養学で究明しているように、緑葉には、およそ動物の体に必要な栄養分が、すべてもれなくそろっているからです(それで、野生の草食動物や放牧中の牛馬は、青草だけを食べて栄養分を十分まかなっているわけです)。 そして、緑葉以外の食料には、エネルギー分や蛋白質は多いのですが、これが体内で栄養に利用されるときに必要な、各種の無機質やビタミンがあれこれと不足したり、全く欠けたりしているのですが、緑葉には、この無機質とビタミンが格別に豊富であるからです。 (なお、ここで間接にというのは、主として野生のライオンやトラなどの肉食動物についてですが、専門家の観察によれば、そうした肉食動物が食べるのは、必ず草食動物であって、しかも真先に必ず食べるのが、胃腸内でなかば消化している青草です。それは、肉食だけでは、各種の無機質やビタミンが十分摂れないため、これが豊富な青草を、それ相当量食べなければならないのですが、胃腸の構造や機能から、青草をそのまま、それ相当量食べることができないからです。 ところで人間は、胃腸の構造や機能などから雑食動物に差別され、そして実際、食料が各種の動植物にわたっています。 が、実情とかく嫌って、なにほども食べていないのが、この緑色の濃い菜っ葉です。けれどもこれは、どんなに嫌いであっても、めいめい生きた体に必要な栄養分を十分摂るには、毎日それ相当量(ふつうの成人で日に約500g、体重の約1%)は食べなければならないのであって、そこを、栄養学の究明により、また動物の食べ方によって確かと心得ることが大切です。 | |||||||||||||||||||||
次回参照 | |||||||||||||||||||||
3. 現代食べ物考 死招いたミカン着色剤 | |||||||||||||||||||||
店先にツヤツヤしたはだを見せている温州ミカン。 (55・2・1 朝日)
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4. 青汁と運動で糖尿病快癒 | |||||||||||||||||||||
東京都 K.I.
54才。体重83kg。身体がだるく、両腕に発疹がありました。
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5. 20年来の痰 | |||||||||||||||||||||
愛知県 A.B.
さきに、結核で空洞もちの私が、薬剤と青汁半年で空洞がなくなったことを書きましたが、54年には、自然気胸で3時間意識不明。 | |||||||||||||||||||||
6. 4週間で全治 | |||||||||||||||||||||
塩釜市 K.K.
親戚のもの(34才の男子)が、胃潰瘍で明日入院する、と訪ねてきました。 | |||||||||||||||||||||
7. これからの指導に | |||||||||||||||||||||
宮崎県 Y.K.
ケールの種子および「病気と青汁」の本、ありがとうございました。 (県立高校教諭)
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8. 毎日とはいかないが | |||||||||||||||||||||
浜松市 K.K.
青汁をはじめて約2年。毎日とはいきませんが、時々新鮮なケールとか、ダイコン葉をとってきては、飲んでいます。おかげで、軽いカゼをひいただけで、元気で仕事にはげんでいます。 | |||||||||||||||||||||
9. 米飯をやめた | |||||||||||||||||||||
島根県 H.Y.
昨年、健康と青汁(245号52・1)で、「おかずだけでよろしい」との先生の記事を見、昭和53年1月15日から米飯廃止(ご飯を食べることを止め、野菜中心のおかずだけ食べます)。 | |||||||||||||||||||||
10. 質問箱 透析をやっています。 | |||||||||||||||||||||
問 | |||||||||||||||||||||
コラム紹介 | |||||||||||||||||||||
快食、快通、快眠といわれる。 (俚諺)
世に時めかしてありし程は多病なりしが、 落ぶれて身健になれる人どもあるは 自然に養生の道に叶へる故なり。 唯富貴奉養の人身を貧賎寒苦の地に置き、 筋骨を労し気血を循環させば 上より天にそふこと 下己が長寿を保つべし 三浦梅園 養生訓
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