<1979年 5月15日発行 第273号>
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目次
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1. 季節はずれのもの
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医学博士 遠藤 仁郎
季節はずれのものは食うな、と昔の人はおしえている。
季節はずれの珍らしいものは高くつくという、経済からのいましめも、一つの理由だろう。
が、もう一つ、季節はずれのものは、旬(しゅん)のものとは性質がちがっているかも知れない。
また、いずれは、遠方から送られて来るものだろうから、その間の変質も気にかかるわけだ。
もっとも、今では、輸送も貯蔵も、ともに格段にちがっているし、生産技術の進歩で、いつでも、どこでも間にあうから、そういう心配は、もうなかろう。
生産方法
けれども、その進歩した生産技術そのもの自体にも、問題がなくもない。
季節はずれの野菜・果物は、いずれも、設備のととのったハウス内で栽培されており、農作物というよりは、むしろ、農産工場の生産品といったものばかり。
そこには、太陽のめぐみも、大地のはぐくみもなく、温・湿度や照明のたくみな調節と、十分の化学肥料の施用とによって、軟弱にそだてられ、強烈な農薬のささえによって、ようやく生産されているのであって、品質の劣化――ミネラル・ビタミンに乏しいだけか、蛋白質さえ変質している――ばかりか、農薬の汚染もさけられない(有害有毒化)。
それが氾濫している
もっとも、いぜんには、こうした季節はずれの珍らしいものが食べられるのは、数少ない高級料亭か、一部富裕階級者に限られていたし、その量も僅かなものにしかすぎなかったから、その影響も、さしてとり上げるほどのことはなかった。
しかし、今では、そうしたものが氾濫し、だれでも、いつでも、いくらでも食べられる。
いや、それどころではない。そういうものしかたべられないのだから、こと、まことに重大といわざるをえない。
なぜこうなったか
なぜ、こういうことに相成ってしまったのか。最大の原因は、旬(しゅん)のもの、つまり、ふつうの栽培法によった、自然のめぐみにみちみちた、季節季節の健康作物では採算がとれない。
農家の経済がなりたたない。そこで、やむなく、儲けの大きい季節はずれの栽培を手がけるほかなくなってしまったからだ。
そして、また、消費者もそういうものを好み、もとめるようになったからだろうし、当局もこれを奨励しているからであろう。
だが、このままにしておいてよいものだろうか。
健康のもと
食べものは、元来、健康でいきるためのもの。
健康をまもるためのものだ。
そして、本当に健康であるために必要なことは栄養のバランスであり、バランスをうまくとるために欠かせないものはアルカリ・ミネラル・ビタミンにとんだ良質安全な野菜・果物、すなわち、父なる太陽と、母なる大地のめぐみを存分に吸収して、健全にそだてられた新鮮な季節季節の旬のものであり、これほど健康的なたべものはない。
したがって、こうした健康な季節季節の旬のものの野菜・果物の十分な供給にこそ、もっとも力が注がれなければならない筈だのに、それがおろそかにされているとは、食糧の生産にたずさわる当事者――農家、農協・農林当局は、いったい何をかんがえているのか。
これでは、まるで、国民の弱体化、病弱者多発を奨励しているとしかいえないではないか。
国力のもとは国民の健康、健康のもとは健康な食糧、健康な食糧の生産こそが国家のもっとも重要な施策でなければならない。
まして、世界的にエネルギーの危機のさけばれているさなか、その浪費のはなはだしい、馬鹿気きった抑制、促成栽培などは極力排除し、健康的な自然農法を復活し、季節季節の良質安全な旬のものをドシドシ供給すべきではないか。
もし、農家経済がなりたたぬというのであれば、季節はずれものの栽培農家や、その消費者にはウント重税を負担してもらう。
そして、自然農法家には、しかるべき税の減免、あるいは褒賞金を奮発するなど、健康食品にたいする栽培意欲の昂揚をはかればよいではないか。
(53・6)
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2. のぞき見記(4)
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医学博士 遠藤 仁郎
ライン下り
ドイツ文化のゆりかごといわれ、母なるラインと親まれているライン河。
ふつうは船で下るのだそうだが、私どもは車で西岸を北下した。
8月14日、うす曇の日だった。マインツあたりまでは平野で、川幅はひろく、悠然と流れている。
水はあまりきれいではない。
やがて、両岸は100M内外の丘陵となり、川幅もせまくなる。丘陵は麦やブドー畑だがビンゲンあたりから断崖が多くなり、両岸の丘の上や川岸にも、次々に古城やとりでがあらわれる。
こういう風景がコブレンツあたりまでつづいているが、ローレライのあたりでは川幅はとくにせまく、カーブしているので、急流となり航行の難所になっているようだ。
そこで、この岩(水面上137Mの巨岩)の上で、髪をくしけづりながら歌う乙女にみとれて難破した、という伝説が生れたのであろう。
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3. 食料当面の間違いに対処するには(2)
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前回参照 |
食料当面の間違いに対処して、めいめいなにより大切な健康を保持増進するには、前記のように、さしづめ日々の食料調達にあたって、その実状を、食料の諸要件をあげて吟味して、間違いを最小限にくいとめるように選択することが大切です。
(なお、ここでは食料を、便宜上その加工段階によって類別してみることにしますが、まず原材料という場合は、収穫した自然のままのものだけでなく、たとえば小麦では、製粉のように、ふつうの家庭では実状至難な一次加工をしたものまで含めます。
つぎに加工食品という場合は、たとえば乾メンのように、家庭の調理が簡便になるように二次加工をしたものであり、既製食品という場合は、たとえばインスタントラーメンのように、この加工が家庭の調理段階にまで及んだものです。)
成分面について
ところで食料の諸要件のうち、当面最も重大な要件として、まず第一に取り上げねばならないのは成分面です。
それはいうまでもなく、食料は本来、健康を保持増進するために、そこに必要な栄養分をとりいれるためのものであって、この栄養分に利用できる成分が豊富であることが、食料の必須要件であるからです。
(なお、もう一面、健康に障害を及ぼす有害有毒物は含まれていないことが食料の必須要件ですが、この安全面はつぎに取り上げることにします。)
ところで、健康保持に必要な栄養分は、これまたいうまでもなく、エネルギー分や蛋白質や、これが栄養に利用されるときに必要なミネラルやビタミン、というふうに多種多様にわたっています。
そして、こうした栄養分に利用できる成分が豊富であるのは、植物や動物だけですが、食料は、自然界の動植物のうちから、成分と安全や、味わいその他多面にわたる諸要件にかなうものを選定しているのであって、そこにはいろいろな種類があります。
そして各種の食料には、その種類(さらにその部分)によって、成分の含有に、ほぼ共通した特色、とりわけ偏りがあります。
従って毎日の食料には、その特色に従って、必要な栄養分がすべて十分とれるように、あれやこれやと取り揃えていくわけです。
ところで食料は、自然界の動植物をただ採取するだけでなく、大部分は、栽培や飼育や養殖で供給をはかっています。
そして市販にあたっては、収穫したままの原材料である場合もありますが、多くは一次二次三次と加工します。
が、当節市販の食料には、この生産や加工によって、もともと含有していた成分が著しく低下しているものが多くなっているのです。
(つづく) (友成)
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4. ガングリオン(鞘腱瘤)
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医学博士 遠藤 仁郎
手の甲のまん中などに、まるい、チャボの卵くらいの腫れを見かけることがある。
さわってみると、キンと張ったふくろといった感触で、痛くもかゆくもない。
これは、腱鞘(指を動かす腱をつつんでいる鞘)にカツ滑液(腱の動きをなめらかにするための潤滑油)のたまるもの。
原因はわかっておらず、外科的にとり去ったり、薬剤を注入することも行われているが、再発しやすいといわれている。
学生時代、外科の先生が、木槌でポンと叩きつぶし、「よくもんでおきなさい」、といっていたのを思い出すが、気永にもんでもよいようだ。
先年、私は、右の肘の先端に、かなり大きいのができたことがある(うっかりしていて、それまで気づかなかった)。切るのはもちろん、叩きつぶしてもらうのも嫌なので、セッセと揉んでみた。
そしたら、3ヶ月ばかりで完全に消えてなくなってしまい、その後、再発の気配もない。
(52・5)
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5. 東北支部会の話題から(二)
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6. “なんでも青汁”先生
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病院でも、世間でも、私は“なんでも青汁”先生と呼ばれているそうだ。
まことに、ごもっとも。思えば、35〜6年ものながい間、明けても暮れてもナッパ・青汁といいつづけてきた。
健康の相談をうけても、どんな病人をみせられても、答はいつも同じ、ナッパ・青汁。
講演会では、たとえ演題が何であろうと、結局、ナッパを食べよう、青汁をのもう、になってしまう。
日ごろの会話にしても、ほかのことは殆んど何もしゃべらない。
いや、しゃべれないのだから、なるほど、私の人生はナッパ・青汁以外の何ものでもないわけだ。
(53・11)
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7. 真の幸福
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友成 左近
医学が進歩し、設備の完備した立派な病院ができ、いい医者や看護婦がそろっており、大勢の病人が殺到していることは、少しも誇りでもなければ幸福でもない。
医学は幼稚でも、人々がみんな健康で、病院には閑古鳥がないており、医者も看護婦もが、手もち無さた、欠伸をしているようであってこそ、本当に誇るにも足るだろうし、真の幸福というものでもあろう。
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8. 喫煙と血液凝固
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9. 乳児の突然死と母親の喫煙
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ワシントン大学のA.B.Bergman博士らによると(メジカル・トリブューン 1975.9.18.)突然死した乳児の母親のうち、妊娠中喫煙していたものは、全体の61%(対照健康児の母親では42%)。
出産後の喫煙者は59%(対照37%)。
母親の喫煙が大きな危険要因のようだ、という。
また、他人の吐く紙まきタバコの煙を吸いこむ「間接喫煙」も問題だという。
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10. 世界全人類のために
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在米 H.H.
「緑葉食青汁の話」の腎臓炎のところに、奥様は、大豆はよくないので間もなくよした、とありますが、どうしてですか、お知らせ下さい。
この緑葉食の本は、とてもわかりやすく、また、面白いよい本でたのしみに喜んで読み、勉強になり、いぜんから、もう何度も読んで、頼りにして、養生しております。
先生が青汁を始められた頃は、長らくの間、少なからず肩身のせまい思いをした、とありますが、先見の明大いなる大先生、勿体ないことです。
私も、こうして、青汁に救われて8年。今では、青汁、緑葉食なくしては現在の私などないものと、有難く感謝いたしております。
先生、どうぞ末長くご無事で、青汁をもって人々を助け、一億総病人の日本、いえ、全世界の人達が、健康で住みよい社会になるように、よろしくお願いいたします。
○
大豆のこと
いつも、イモ・マメ・ナッパ・青汁といっていますように、大豆はよい食べものです。で、家内が腎臓炎をしたときも蛋白源としてすすめました。
しかし、家内は、大豆では尿の蛋白がふえ、体調もよくない、といいますので、よしました。なぜ悪かったのか、いまだに、その理由は私にもわかりかねています。
(遠藤)
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11. 思わず万才を
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熊本県 J.T.
もと満州国最後の引揚げの一人です。
在満当時、不節制生活の結果、全身の自由がきかず、温泉・医薬も全然無効。
湯舟の縁にさえ足脛あがらず、非常に困却まなかに、ご著書「青汁の効用」にお目にかかることができ、さっそく小松菜の畑作りを始め、一日中、青汁をのみ重ねました効果は、旧倍の強健体に相なり、いまでは、人さまから、60前後かといわれるほどにございまして、青汁のご恩恵に感謝と賛美をささげまする83才の元気いっぱいの老人です。
さる年末、老妻購入の「主婦の友」に、先生ご夫妻のお姿拝見の瞬間、思わず万才の声が出てしまいました。
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12. たのしく虫とり
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13. 死んだ土
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山形県 H.H.
十数年まえから、青汁を少量づつのんでおり、ケールは、拙宅の裏畑につくって、自作の種子で栽培しておりました。
肥料は、便利なため、化学肥料のみ使っておりました。
一昨年、気づいた時には草丈は一尺くらいにしかならず、病気になりやすくなっていました。
驚いて、昨年、今年と、堆肥を入れたり、石灰を入れたりしましたが、一旦死んだ土地は仲々うまく生きかえらず、今年も背が小さく、病気にかかっております。
また、自作の種子はまずいかと、東京で市販のものを使いましたが、これもよくありません。
思いあまって本部の種子をお願い申しあげます。
種子のせいではありません。何といってもまず土つくりです。
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14. 感激に似たよろこび
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福岡県 R.M.
若葉もえ出る晩春となりました。
青汁の材料も、いたるところの山野にあって、よろこんでいます。
青汁党になって10年ちかくなりますが、老眼鏡が不要になり、血液の細密検査で無病といわれ、83才の今日、感激に似たよろこび溢れる日々でございます。
昔は、肺も、肝臓・胃腸・心臓、血圧など悪くて、走れなかったのが、今では、10キロ往復も自転車で平気となりました。
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15. 男の子を授かる
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16. 無農薬の茶に脚光 申し込み続々
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三重県多気郡大台町新田、農業岡野義夫さん(51)は20年以上も前から農薬を一切使わず茶を栽培している。
独力で栽培法を勉強し、苦労の連続だったが、いまでは安全性と品質のよさが認められ、東京などへも出荷するほど。
「畑の虫を殺しちゃいけません」。岡野さんの農業哲学がようやく実を結びつつある。
大台町は古くから茶の産地として知られている。
岡野さんは30歳のとき、約70アールの茶園栽培を始めた。
それ以後、殺虫剤など農薬は一切使わず、「無農薬茶」をキャッチフレーズにやってきた。
「クスリを使わずにやれるはずがない」という周囲の声をよそに、茶の木はいま約1.5mと見事に育ち、つやのある葉を茂らせている。
茶園にはウンカ、ハマキ虫、アカダニなどの害虫が発生しやすい。
普通の栽培農家では定期的に何種類もの殺虫剤を散布するが、岡野さんは“天敵”の存在を大切にする。
「クスリでウンカが死ぬのはいいが、これらの害虫を食べるクモ、ハチ、カマキリまでみな殺してしまう。このため害虫が発生しやすくなる。
そこでまたクスリをまく・・・・・・。ムダなことです」と岡野さん。
茶の葉についている農薬はそのまま人の口に入る。
このため、農薬公害が問題になり始めた数年前から岡野さんの栽培方法が脚光を浴び始めた。
最近では各地の茶栽培農家や農業専門家たちが見学に訪れている。
消費者グループの雑誌に紹介されたことがきっかけで、東京や横浜から共同購入の申し込みが増えた。
個人で注文してくる市民も多い。
岡野さんは「かつては行商をして無公害を訴えたが、最近ようやく理解されてきたようだ。農薬は元来無用のものです」と話している。。
(50・6・17 朝日)
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17. 質問箱:ケールのベト病
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福岡県 S.
問
ケールのベト病に悩まされています。よい方法はありませんか。
答
やられたものは焼きすてる他ありません。
薬にも適確なものはありません。
株間をひろくし通風・水はけをよくすること。
堆肥を主とする有機質肥料を十分に施すこと。
次々に播種して、わかい元気のよい後つぎをつくっておくことです。
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コラム紹介
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再び同じ石に躓くのは恥辱である
ド・ソートル
人の見て善しとすれども、
天見て悪しとするところを行はず、
人見て悪しとするも、
天見て善しとする所を行ふ
熊沢 蕃山
金がものをいう世の中は
やがて金でしばられてしまう
性慾の猛烈な場合は、
知的活動が妨げられるといふこともある。
知識が全く完全に、
その能力を発揮するためには、
最もよく発達した生殖器と、
一時的なる性慾の抑圧が必要であるらしい。
カレル
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