<1979年 3月15日発行 第271号>
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目次
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1. 青汁を飲んでいたのに その2
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前回参照 |
医学博士 遠藤 仁郎
もう一つの問題は青汁そのものにある。というのは、私のいう青汁とちがう青汁――私のは純粋のナッパ(草木の葉でもよい)だけのしぼり汁に限られているのにたいし、どんな野菜や果物でもよい。ともかく生のしぼり汁でさえあれば、みな“青汁”とよばれている――。そういうゆがめられた、いわゆる“青汁”なるものが氾濫し、そこに混乱を生じてきているからだ。
いわゆる“青汁”
青汁がよいことは、よく知られてきたが、どうも、あまりうまいものでない、のみづらい。で、もっと飲みよくしようと、いろいろな人がいろいろなやり方をいい出し、ものの本にも書く、テレビやラジオでも放送する。機械メーカーは、それを大いに宣伝に利用する、といったぐあい。うまく飲むことはたしかに結構なことだと、私も思う。けれども、そのために青汁本来のねらいがくるってしまっては困る。
青汁のねらい
もともと青汁のねらいは、味ではなくて、栄養の改善、食の完全化。いまの一般食の欠陥であるミネラルやビタミンの不足を補ない、バランスのよくとれた完全食にし、不完全食(欠陥栄養)のために濁っている血をきれいにして、からだ中の細胞・組織・臓器のはたらきをよくし、健康をすすめ、病気のなおりをよくしよう、というもの。
ところで、この目的に適しているものは、良質――すべてのビタミンおよび吸収しやすいかたちのミネラルにもとんでいる――ナッパの生食しかない。しかも、その大量が必要なので、かんで食べるのはむつかしいから、汁にしてでも飲もう、というのだ。
しかし、ナッパ類はもともとあまりうまいものでない。それを、汁にすればいっそうまずくなる。そこで、もっとうまい他の野菜にしたり、果物にしよう、とするわけだが、それらは、いずれも、ビタミンやミネラルには乏しいものばかりなので、飲みよくはなっても、とうてい必要なミネラルやビタミンをみたし、栄養のバランスをよくすることはできない。したがって、いわゆる“青汁”(むしろ青汁といわず、ただ生野菜・果物汁というべきだ)は、嗜好飲料としての価値はあろうが、栄養を改善し、健康をすすめ、病気を防ぎ、その治りをよくするためには、あまり効果はのぞめそうもない。いや、そればかりか、時には、かえって、弊害をまねくことにもなりかねない。
その一例
さいきん、青汁相談室にみえた方にこういうのがあった。先年、奥さんが中風でたおれられたが、そのとき、主治医から青汁をすすめられた。で、自分にもよいだろうと、そのドクターから教えられたとおりに、ニンジン、キャベツ、ピーマン、トマト、リンゴ、メロンなどいろいろな野菜・果物から、牛乳を水代りに入れたミキサーでつくった“青汁”を、毎日、コップ2杯づつのんでいる。また、主食の白米飯をやめ、肉食もひかえるようにしている。そして、もと、肥満体だったのが、かなり痩せ、今では標準体重くらいになっている。ところが、半年ほど前、肋膜が出て、入院、治療をうけている。青汁をのむと、体調がよくなり、いろいろな病気がなおるといわれているのに、なぜ肋膜が出たのだろうか、と、“青汁”なるものに疑問をもつようになっている。とのこと。
私の答え
ごもっとも千万です。青汁をやっていれば、昔の結核でさえも治ったのですから、肋膜など出る筈はありません。しかし、あなたのやられている、そのドクターから聞かれた“青汁”は、私のとは、まるでちがっています。私のは純粋のナッパ汁、それもミネラル・ビタミンにとんだ良質ナッパの汁。それを十分にのめば、バランスのよくとれた完全食になり、病気にも強くなります。けれども、残念なことに、あなたの“青汁”では、とてもナッパほどの栄養分はありません。そこで、たとえ、毎日2合のまれたとしても、栄養を完全にすることはできず、そのうえ、食をへらされていますから、それだけマイナスの条件がふえています。その結果、栄養失調傾向をまねいて、抵抗力を弱め、肋膜がでるようになったのでしょう。
正しい青汁
参考書もいろいろありますから、よく研究されて、正しい理解のもとに実行してほしいと思います。やり方さえ正しければ、つまり、良質安全な材料でつくった青汁を、十分の量のめば、必ず効果はあり、けっして、そういうまちがいはおこりません。
よい材料
良質材料として、私どもはケール(キャベツの原種)をすすめています。成分がよいうえに、この地方では、年中きらさず利用でき、収量も多いからです。そして、栽培には、化学肥料、農薬は一切つかわず、堆肥を主とし、石灰、鶏糞、油粕などを肥料とする、自然農法が適当です。
分量
また分量は、健康なものでも、少なくとも一日1合(もとのナッパ250グラム)、理想的には2合(もとのナッパ500グラム)。どこか具合のよくないときは、それ以上。3〜4合、5〜6合でものみたいものだとかんがえています。なお、この量はキジでの話で、ミキサーでつくるばあいは、水がはいっているだけ分量がふえます。これも忘れないようにして下さい。
(53・10)
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2. 教育原点の中核(5)
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前回参照 |
友成 左近
補食には青汁を
第2に、新生児をすぎたら、母乳がよく出ていても、できるだけ早い時期から、補食のひとつとして、良質で安全な生青野菜で作った青汁をのませることが大切です。が、なにぶん胃腸が未発達であるため、初めは日に一滴ほどなめさせ、胃腸が慣れるにつれて、だんだんと増量して、3ヶ月ごろには、おそくも6ヶ月ごろには、日に体重の1%以上の生野菜の青汁をのませるようにします。
それは、母乳は成分その他の性質上、とくに乳児の食物としては、他のどんな食物にもまして完全なのですが、ある種のミネラルが不足しているので、それを補足するためです。そして良質青野菜は、この不足分だけでなく、既知未知すべての成分が最もよく調和して豊富であり、安全に栽培したものを清潔に青汁にして、前記のようにのませたら、乳児の胃腸にもさわるようなことはないからです。
もうひとつ、おそくも6ヶ月ごろにはというのは、そうした不足分は出生時に肝臓に貯えているのですが、6ヶ月ごろまでにそれを消費してしまうからです。また、こうして青汁をのませたら、シンから丈夫に発育成長するだけでなく、やがて離乳して普通食になったとき、この良質青野菜やその青汁を好んで食べる習慣が身につき、そしてこれは、終生栄養上それ相当量に必要不可欠であるからです。なお人によっては、果汁ならともかく青汁は、といいますが、それは自分が青汁になじんでいないからであって、栄養上ゆえなきことです。
補食も離乳食も普通食も母乳に準じた薄味で
第3に、補食も離乳食も離乳後の普通食も、毎日の食物が全体的に栄養上よく調和するように配慮すると共に、そこに必要なものはなんでも食べ慣れさせることが大切です。が、そこで実状とくに大切なことは、事前に母乳の味をシカと心得て、甘味にしても塩気にしても母乳に準じた薄味にすることです。
というのは、母乳は栄養の法則に最高度にかなったものであって、これより甘いものも塩からいものも栄養上(はげしい発汗や下痢や嘔吐などの場合以外は)無用有害であるからです。それに乳幼児の味覚は、とくに甘味には敏感であるため、母乳以上に甘いものを食べさせると、甘味についての味覚が異常に発達して、甘いものが好きになり、そうでないものは食べない、といった悪習慣が身について、これはあとでは容易に改められないからです。
食物はすべてできるだけ安全なものを手作りで
第4に、食物はすべて、残留農薬や公害物質や食品添加物などに注意して、実状できるだけ安全なものでまかなうこと、従って、市販の加工食品には危険なものが多く、その吟味が容易でないので、つとめて家庭の手作りでまかなうことが大切です。
もし、これを怠ると、乳幼児の間は、それも早い時期ほど、有害有毒物に対する抵抗力が発達していないため、その中毒作用を強力にうけて、あとでは取り返しのつかない障害をうけることがあります。(この点、胎児の間はより以上に重大であって、妊婦の食物の安全は極めて重要です)。
また、乳幼児の間は味覚その他の感覚が発達していないので、早くから有害有毒物を食べさせると、それに慣れて、ピンを味わい分ける感覚が発達せず、これはあとでは容易に取り返せないからです。もひとつ、つとめて手作りのものを食べさせると、それだけ深く強く愛情をそそぐことができ、乳幼児はこれに反応して精神面でも健全に発達するからです。
食べさせ方については
乳食児の食物には、この他いろいろトクと注意しなければならないことがありますが、最後に主として食べさせ方については、まず第一に、食間をそれ相当にあけて、ほどよくオナカがすいてから、そして胃腸をほどよく休ませてから食べさせることが大切です。その度毎においしく、しっかりと食べ、また胃腸をいためず、さらに待つ心が養なわれるからです。
第二に、毎度の食物を、食卓について、おちついて、よくかんで食べるようにしつけることです。胃腸をいためる元凶である荒がみの習慣を防ぎ、よく味わって食べ、有害物をマルのみしないためです。
第三に、食後は必ず口をよくすすぎ、固形物だけでなく、すっばいものや甘いものも口に残さないようにして、ムシ歯を防ぐことが大切です。この他いろいろ大切なことがありますが、もうひとつ食事の作法としては、少なくとも食べ始めるときは「いただきます」、食べ終わったときは「ごちそうさま」といった挨拶をしつけることが大切です
(おわり)
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3. のぞき見記(2)
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前回参照 |
医学博士 遠藤 仁郎
肉料理
いろいろ食べてみたが、レストランの食べものは、おおむね肉料理。しかも、外人むきだから分量が多く、すごく大きな肉がつく。しかし、ジャガイモや野菜も、それに比例しているから、肉をひかえれば(とても食べきれもしないし)、割と野菜もたべられるわけではある(もちろん、十分ではないが)。インゲン、トマト、ピーマン、レタス、タマネギなどが多かったが、アルプスのユングフラウを展望するクライネシヤイデックでは、ダイコンと思われるナッパを軟かくたいたのがついており、とても美味しかった。
魚料理
スイス、レマン湖畔のシヨン城まえの店のマス料理はうまかったが、ロンドンのホテルのは、まるで乾物みたいで、まずくて食べられず、まわって来たマネージャーに、「食欲がないのか」と、心配させたほどだった。
名物料理
名物料理で食べたのは、アルプスのマッターホルンの麓の村チェルマットでのフォンジュだけ。釜いっぱいににたてたチーズに、パンをつけて食べるのだ。珍らしくはあったが、そううまくはなし、いやにヒツこくて、十分には食べられなかった。
ビール
行く先々で飲んでみた。本場だけに、また、水代りにのむ、というだけに、なるほど軽いし、味もよい。
ワイン
ライン河流域その他にブドウ畑がいっぱいあり、いろいろの銘柄があるらしい。のんだのは、モーゼルワインとラインワインだけだが、特にどうとも感じなかった。
水
ドイツでは生水はのめない。硬度が強くて下痢するとのことだ。娘のところでは、一度わかしているそうだが、ヤカンには、いつも白い沈澱ができるといっていた。それほどカルシウム分が多いらしい。レストランの食事には、いつも、ジュースやコーヒー・紅茶ばかり(飛行機では日本茶もあった)。水を注文すると炭酸ガス入りのミネラルウォーターが来た。(遠藤)
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次回参照 |
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4. アクチ
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アクチ。むつかしくは靡爛性口角炎。口角がただれ、切れて痛む。体調のよくない時出るヘルペスや、口内炎(アフタ)といっしょに来ることもある。ビタミンことにB2の不足のためとか、鉄分の不足でも来るといわれている。ともかく、栄養を完全にするため、十分ナッパを食べ、青汁をのむことだ。
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5. クモ膜出血
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医学博士 遠藤 仁郎
脳卒中の一つにクモ膜出血というのがある。これは、脳をつつんでいる膜(脳膜)のクモ膜という部にある血管がやぶれて出血するもの。原因は、血管の奇形か、動脈硬化のため。さいわい回復しても、再発しやすいので、手術するか(血管の奇形)、食を中心とする日常生活の合理化をはかり、予防につとめることが何より大切。
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6. 肥満児と青汁
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肥満児だが、青汁をのむと調子がよいと、よろこんでいるが、どんなものだろうか、との質問。肥満児にも、もちろん必要だが、青汁をのむと、食欲がウンとよくなるので、つい食べすぎになり、よけいにふとる。だから、せいぜい運動をやらせることと、腹ごたえになるナッパ中心の野菜・クダモノをしっかり食わし、主食や間食をへらすよう心がくべきだ。
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7. ケールをまきたい
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8. “公害病”から立ち直り
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林 M.H.
「森繁久弥さんから“どうだいっしょに出ないか”と声をかけられ、さっそくごいっしょさせていただきました」と、うれしそうな林美智子。毎日テレビ系「唐変木に花咲けば」で、飲み屋の未亡人、横山栄子役で好演している。
この人、3年前にひどいゼン息を患い、医師のすすめで「転地療養」のため、東京・恵比寿のマンションから鎌倉へ引っ越した。「マンションの近くに、食品関係の工場があって、煙がすごかったんです。お医者さまから公害ゼン息の疑いがあるといわれたんですよ……」3年近い鎌倉生活で、すっかり全快。「一時はクスリの副作用で顔がむくみ、とっても人に見せられる顔ではなかった」そうだ。
公害に苦しめられたせいか、アンチ・公害党を自認し、約300平方メートルの庭を畑にし、全部自力で耕し、自給自足の生活に切りかえ中だとか。「最初、ウサギを2匹かってそのフンやワラを庭の隅のカメに入れ、肥料をつくったの。ところが、先日、メスのウサギをトンビにさらわれ、いまはオスのウサギが一匹だけ」と、なかなか専門的。
化学肥料も公害の危険性があるので、肥料も自家製品だ。「ニワトリを飼って、タマゴと肥料づくりの一石二鳥をと思ったけど、ニワトリが鳴くと隣近所に迷惑で、騒音公害になるでしょう」と、ニワトリはとりやめ。庭には、春菊、三ツ葉、ニンジンの種がまかれ、春菊は収穫ずみ。「春菊は花がとってもきれいで、食べるのがおしかったくらい」「こどももぜひ欲しいんだけど、こう、公害、公害では生まれてくるこどもに、本当の幸福がないんじゃないかと、二の足を踏んでいるわ」ともいう。だから「仕事と体のことを考えて、年に2、3本の連続ドラマか、舞台を一公演程度にしたいの。この“唐変木―”の出演から、それを実行していくつもり」と、全力投球の構えをみせている。
(朝日)
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9. 心筋梗塞よくなる
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佐賀県 H.Y.
「青汁と健康」のおかげで、主人の心臓病が助かり、心から感謝いたしています。昨年9月、主人が心筋梗塞の発作を旅行先でおこしました。さっそく遠藤先生にご相談申しあげましたところ、「手近にある野菜やキャベツ1キロを、毎日、青汁でのますように」とのことでした。一生懸命つくりました。主人も一生懸命のんでくれました。すこし時がたつにつれ、青汁がおろそかになり勝ちでしたので、不足の時の間に合せにと、錠剤の青汁を、毎食後、または酒の後に服用するようにしています。おかげで、あれ以来、なんの心配もなく、元気で毎日農業にいそしんでいます。ありがとうございました。また、ケールの種子をお願いいたします。
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10. 血圧下がる
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11. 本紙10月の「ケールの顔」を読んで
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島根県 H.Y.
「ケールの最高品質のものこそ、製品向上の第一条件なり」との信念の下に、まず、気候風土の基本条件から吟味せられ、慎重に実地踏査し、厳選せられたご労苦のほど、ただただ感銘のほかございません。徹底的に、良心的に、絶対に汚染なき栽培法に腐心せられ、ことに、消毒・駆虫の難問題解決へのご苦心・研究の真剣さ、驚き入りました。さらに驚歎いたしましたことは、ケールの顔と肥料の関係。昔からの篤農家も及ばぬ観察を通じての、肥料への洞察の鋭い直観力、さらに、科学的分析による成分の変化と、その対策など、誰れも及ばぬ徹底的執念というか、まことに敬服にたえません。最近、放射線による粉末野菜の問題もあり、遠藤先生のお話を通じて、貴製品にたいする信頼はゆるぎませんでしたが、ちょうどタイミングよく、詳細なご説明をうけたまわり、この世の風潮をよそに精進されている貴センターの精神に触れ、温腔の敬意と信頼をよせるしだいでございます。
(53・10)
「ケールの顔」参照 |
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12. 青汁教室の忘年会
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13. 青汁の素がほしい
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西宮市 A.I.
娘がアメリカで親しくしていただいているご一家が、ずっと「青汁の素」をおのみになっていらっしゃって、お子様方もとてもご健康とのことで、娘たちも、ぜひ何とかいただきたいと申してまいりました。どこへお願いすればよろしいのでしょうか。
答
大阪市福島区海老江3−15−15の大阪センター(田辺食品研究所)へ直接お申込み下さい。
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14. ひどい低血圧なおる
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大阪府 M.M.
いつも、新聞をありがとうございます。青汁をのみだして半年、ひどい低血圧(85−50)のため、朝がよわかったのが、近頃、ふと気がついたら、何ともなくなっていました。いままでは、いろんな野菜をのんでいましたが、今度はケールをそだててみようと思います。種子をお願いいたします。
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15. ギボウシ
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名は、擬宝珠、欄干や柱などにつける宝珠型の飾りへの連想から出た名だが、それも、葉の形からではなくて、花序にもとづいている――長い花茎の先端に蕾が密集し、苞でまもられてかたまっている姿から出たものだ、という。わかい葉を食べる。東北でウルイ。「苗葉を灰湯にて炊き、水を換へ、浸し、塩、味噌、醤油に調食すべし」(救荒本草抜粋)生で食べてもよし、青汁にもなる。「茎葉の搾汁を服すれば腫毒を消す」といわれている。
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16. 質問箱
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在米 Y.H.
問
腎臓病がひどいとカリウムの出が悪くなるそうですが、どんな野菜にカリウムが多くて食べて悪いのでしょうか
答
どんな野菜にもカリウムは多く含まれています。しかし、カリウムの出が悪くなるのは、病気が非常に進行したばあいだけで、ふつうの慢性腎炎の程度では、すこしも心配はありません。
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コラム紹介
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