<1978年8月15日発行 第264号>
|
目次
|
|
|
1. コレステロールだけにこだわるな
|
医学博士 遠藤 仁郎
血液のコレステロールが高いと動脈が硬化する、といわれる。
なるほど、動物にコレステロールをうんと与えると、血液のコレステロールがふえ(高コレステロール血症)、動脉が硬化することは、はやくから知られていた。
また、欧米に多い心筋梗塞症――心臓をやしなっている冠状動脉の硬化で、血管がつまっておこる病気−が、血液コレステロールの増加との間に、密接な関係のあることもよく知られ、その予防や治療には、コレステロールの多い食べものをひかえ、血液コレステロールを高めるような諸条件をさけること、あるいは、血液コレステロールを下げる薬(コレステロール低下剤)によって、血液コレステロールをへらすことが根本だ、とされるようにもなっている。
わが国では
ところが、わが国では、それが、さらに広く、一般の動脉硬化の原因であるかのように、すなわち、過コレステロール血症=動脉硬化の原因であるかのようにうけとられ、コレステロールの多いものが極端におそれられだした(いわゆるコレステロール・アレルギー)。
たしかに、わが国でも、生活様式の欧米化とともに、血液コレステロールの高いものがふえて、心筋梗塞も多くなってきている。
また、欧米型の脳卒中――脳の血管の硬化で血管がつまる脳血栓――もふえており、これも血液コレステロールの高いものに多い、といわれている。
けれども、わが国に、もともと多かった脳出血――脳の血管が硬化してもろくなり、それが破れておこる脳卒中――では、血液コレステロールは必ずしもふえていない。
どころか、むしろ、血液コレステロールの少ないものに、かえって、おきやすいとさえいわれている。
その他、一般の動脉硬化も、必ずしも過コレステロール血症を伴ってはいない。
だから、血液コレステロールの増加=動脉硬化の原因とはいいにくいわけだ。
心筋梗塞でも
そのうえ、過コレステロール血症との関係が、もっとも深いとされている心筋梗塞でも、血液コレステロールの多いものが必ずかかるわけではないし、食べものその他に気をつけたり、薬をのんで、コレステロールを下げてみても、心筋梗塞の発病率も死亡率にも、大したちがいがみられない、という事実もわかってきた。
そして、莫大な経費と労力をつぎこんで確立したかにみえた、心筋梗塞の血液コレステロール説も、どうやら、見当ちがいのカラブリだったらしい。
研究は、もいちど、フリダシにもどって、あたらしくやり直すほかあるまい、とまでいっている学者もあらわれる、という始末だ。
ましてや、そのほかの動脉硬化はいうまでもない。
真因は何か
それはともかく、心筋梗塞の、つまり、冠状動脈の硬化の真の原因はなにか、まだ、わかっていない。
わかっていることは、一般に生活が贅沢な欧米先進国に多いこと。
そして、その真似をしているところにも、しだいにふえていること、であり、その事実から想像できるように、おそらく、その原因には、食のあやまり、運動の不足、ストレスの過剰、環境の悪化、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病など、多くの危険因子が複雑にからみあっていることであろう。
コレステロールだけではない
食べものにしても、コレステロールに富む肥肉・バター・卵だけでなく、砂糖・精製穀にかたより、高度に加工され、濃厚に調味された美贅食の飽食。酒・コーヒーの乱用など、はなはだしく不完全な欠陥栄養になっているうえ、有害有毒食品の影響もさけられないだろう。
したがって、代謝の不完全、血のにごりをまねきやすいわけで、けっして、コレステロールのみの問題ではなかろう。
そこで、欧米食で嗜食されている肥肉類・内臓・鶏卵・バターなどの過食はともかく、イカ・タコ・エビ・小魚や貝類などの海産物までもが、ただ、コレステロール含有量が大きいだけの理由によって、ひどく恐れられるのは、むしろ、滑稽というものではあるまいか。
というのは、これら海産物を、昔から愛好しているわが国には――また、とくに大量にとっている漁村にも――もともと心筋梗塞は無かったという事実からでも、それは理解にかたくないからだ。
要はバランス
すべて食べものは、つねに全体としてのバランスの上にたって論ずべきで、ただ1〜2の成分をとりあげて云々すべきものではない。
コレステロールにしたところが、ただ、その分量だけが問題ではなく、食全体として完全であるかどうかが大切であり、バランスをうまくとるために、とかく不足しがちなビタミンやアルカリ・カルシウムその他のミネラルに、十分余裕をもたすように、それらに富む良質ナッパを欠かさないよう心がくべきだ。
また、安全性にも十分気をつけることで、これらの点に配慮し、つねに代謝を完全にし、血をきれいにするようつとめていさえすれば少々コレステロールの多いものにも、少しもビクビクすることはあるまい、と私はかんがえている。
(53・2)
|
|
2. コレステロール含有量
|
|
|
3. 医療自明の前提要件(5)
|
前回参照 |
友成 左近
前記のように医療は、予防面においても治療面においても、そこに必要な養生に、人々めいめいみずからつとめることを、自明の前提要件にしているのであって、この養生で実状最も重要なのが食養生です。
そして、食養生というのは、人々それぞれ習慣食を改めて完全栄養をはかることですが、青汁食養では、人々ふつうの習慣食で最も著しく不足している良質青野菜を、必要なだけ十二分に、すなわちその10倍以上と多量に増やすこと、従って、その最も有効適切な食べ方として、それを青汁にして飲むことを必須要件にして、これを食養生の大黒柱にしています。
そこで青汁食養生は、当節数多い食養生のうちで最も適確なのであって、それは要約つぎのようなしだいです。(なお、この良質青野菜には必ず安全なものを使うことにしていますが、ここでは栄養面だけについてみることにします。)
完全栄養に良質青野菜がそれ相当量に必要不可欠
人々ふつうの習慣食に取り入れている各種の食品は、市販の食品成分表をみれば、だれでもよく分かるように、ただひとつ良質青野菜以外はいずれも、完全栄養に必要な各種のミネラルやビタミンがあれこれと不足しています。
そして、これをどんなに工夫して取り合わせても、ただひとつ良質青野菜をそれ相当量取り合わせなければ、とうてい完全栄養ははかれないのですが、いうなれば、どんな食品でも、ただひとつ良質青野菜をそれ相当量取り合わせたら、それでほぼ完全な栄養がはかれるのであって、それほどこれは各種の成分、とりわけミネラルもビタミンも格別豊富なのです。
ところで、人々ふつうの習慣食では、主としてエネルギー分をねらった米や麦なども、また蛋白質をねらった魚や肉や卵なども、必要なだけは十分に、人によっては必要以上にとっているのであって、これが不足しているのは、ごく特殊な場合だけです。
が、これが栄養として利用されるのに必要な各種のミネラルもビタミンも格別豊富な良質青野菜が(日に約50gと)極めて少なく、ために栄養が著しく不調和不完全になっているのが実状です。
青汁にして飲むのは
では、さしあたり習慣食のままで、ほぼ完全な栄養をはかるには、これがどれだけ必要か、というと、厚生省調査の栄養摂取の実状などからいうと、少なくとも日に約500g(めいめい体重の1%)です。
そして、その成分を最高度に活用するには、新鮮なうちに生のまま、よくかみつぶして食べることが大切です。
が、なにぶん固い繊維が多いので、これだけ多量となると、歯が丈夫な人でも胃腸にさわるおそれがあり、それ以上に多量となると、なおさらです。
そこで、よくかみつぶす代わりにジューサーなどですりつぶしたうえ、固い繊維は大部分取り除いて、青汁にして飲むわけです。
こうすれば、この青汁には大切な栄養分が殆んどすべて(生きたまま溶け出ており、また便通などに大切な繊維も、胃腸にさわらないようにすりつぶされて、ほどよく残っています。そして、もとの青野菜500gが約2合の青汁になるので、(少しまずくなっていることさえ辛抱すれば)だれでも日に2合以上はけっこう飲め、それに、どんなに歯が弱い人でも胃腸にさわるおそれはありません。
またこうすれば、広く青汁に使われているケールなどのように、ふつうの青野菜より年間通してはるかに多量に収穫でき、それに成分も優れ味もよい家畜の飼料も使えるので、冬でも夏でも十二分に食べることができるようになります。
そこで、さしあたり習慣食のままで日に約2合の青汁を飲めば、ほぼ完全な栄養がはかれるので、それだけ体力が強化して健康が増進し、とりわけ病気の治癒が促進するわけです。
それに、他の食物でとるエネルギー分も蛋白質も、これまで不十分に利用されていたのが十分に利用されるため、これまでより少量にしても栄養上不足しないので、そうすれば胃腸その他の負担が軽くなって、病気の治癒にますます好都合になります。
もうひとつ、他のどんな食物でも、必要以上に食べすぎたら栄養や健康に障害を招くのですが、ただひとつ良質青野菜は青汁にして飲めば、日に1Kgいな1.5kg以上と、実状どんなに多量に食べても、栄養にも健康にも障害を招くことはないのです。
そして、多ければ多いほど、既知未知すべての栄養分が十二分にとれて、よりいっそう本当に完全な栄養がはかれるようになり、それだけ体力とりわけ治癒力が、人知でははかりしれないほど強化してくるのであって、それは、今日の医学で治療至難といわれている難病でも、日に4合6合以上と飲んで、だんだんと軽快もし全治もしている実例が示している通りです。
(つづく)
|
次回参照 |
|
4. 青汁に感謝
|
台湾 K.T.
人類の救星遠藤先生、隠明寺先生を始め、青汁の会の皆様今日は。
私は、只今、遠藤先生のご紹介にあずかりました、中華民国台湾の陳錦坤と申す者でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、5月14日から16日まで3日間、東京で開催されます、ロータリークラブ世界大会を後にいたしまして、盛大なる本総会に皆様方とお会い出来得ました光栄、且又、年来の宿願をはたした私の嬉しさは何よりの幸福だと思います。
このたび、青汁の会創立廿周年を迎え、まことに同慶の至りに存じます。
衷心より敬意を表する次第でございます。
これは皆、偉大なる遠藤先生、隠明寺先生を始め、皆様方の御貢献によるたまものだと感謝致してやみません。
このように、ただで成果を得ました私、今後、何か皆様方に役立つ事がありましたら御用命下さいますようお願いいたします。
生存競争のはげしい世の間で多忙を重ねる私は、青汁で無理した身体を健康にしました。
本当に青汁に感謝いたしております。
それでは、青汁と私の体験を報告させていただきます。
青汁と私の縁故は、数年前、遠藤先生、隠明寺先生のご訪台に始まり、この間こつこつ継続いたしました。
青汁は私を助け、私の事業を思うがままに発展させていただきました。
又、私一家9名の世帯を青汁で病気なしの健康家庭にしてもらいました。
私の体験を報告させて頂きます。
- 青汁は良質なる催眠剤であると私は信じました。不眠症に青汁を飲みますとすっかりねむれます。
- 過労に尿があかくなった時、青汁第一でございました。
- お酒の暴飲回復に非常によろしゅうございました。
- 青汁を大量飲んでねあせがなおりました。
- 青汁を継続的に飲みまして、おなかがへっこんでしまいました。
- 青汁でめがねをすてました。
- 5年前にかかった父親(76才)の高血圧がなおり元気になりました。
尚、疑問の点でございますが、ケールに何か特殊成分があるじゃないかと思われます。
最後に私は、このケールの青汁が中華民国台湾に普及できますよう、皆様方にご協力とご指導をお願い申し上げます。
では遠藤先生、隠明寺先生を始め皆様方のご健康をお祈りいたしますと共に、皆様方のご訪台を楽しみにお待ちいたします。
|
|
5. 脂肪と血液コレステロール
|
飽和脂肪酸にとむ動物性脂肪、ことにバターや牛豚脂は、血液コレステロールをたかめるが、不飽和脂肪酸にとむ植物性脂肪(ヤシ脂を除く植物油)は、血液コレステロールを増さないか、むしろ減らす作用がある。
この作用は米糠油、コーン油、小麦胚芽油、サフラワー(紅花子)油、ヒマワリ子油など、ことに著しい。
そして、米糠油:サフラワー油7:3の割に混ぜたものの作用が、もっとも著しい。
(鈴木・大島、国立衛研研究報告昭45)
しかし、脂肪の総量があまり多い、たとえば、脂肪が総カロリーの40%を占めるようなばあいは、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸との比を1.3対1.0までたかめても、不飽和脂肪酸のコレステロール低下作用の効果はあらわれない、という。
|
|
6. 血液コレステロールと大豆
|
血液コレステロールは、一般に、肉食者に高く、菜食者に低いが、これは、飽和脂肪の量と蛋白質によるらしい。
Sirtoriらによると、食餌中の動物蛋白を大豆蛋白にかえると、血液コレステロールは2週間後には14%、3週間後には21%減り、その減り方は、飽和脂肪やコレステロールを減らしたばあいより、はるかに強かった。
また、大豆食に、コレステロール500ミリグラムを加えてみても、コレステロール低下効果には差がなかったという、(Lancet.I:275,1977)。
つまり、大豆のコレステロール低下作用は、脂肪の差や、コレステロールの含量によるのでなく、理由はわからないが、大豆蛋白の効果と思われる。
(Lancet,J:291,1977)
|
|
7. 韓国だより
|
京畿道 T.K.
小生の住家(ソウル)は、再開発地域に指定され、市場に建設されることになり、鄙農芸苑に移居することになりました。
有機農法によるケールの栽培を試みております。
従前も、16年間、1回も農薬をつかったことはありませんが、化学肥料は追肥として点播または、クモも死なない濃度の0.25〜0.5%の尿素の葉面散布をして来ました。
今年からは化学肥料もつかわないでやってゆこうと思っております。
堆肥は、日本有機農業研究会出版の「有機農法」(J.I.Rodale著PAYDIRTの訳本)にあるSir A.Howardのインドール法によって作ったものをつかい、一方、韓国の姜泰奉(タイホウ)牧師が16年来つかっている(下肥と農薬は一切つかわずに)「有機液肥」のタンクをこしらえ、大小便、米のとぎ汁、洗面・風呂の廃水、厨房のゴミは勿論、軟い若葉(とくにヨモギ、大根の葉、コンフリの葉が良い)を刈りとって、タンクの中で腐熟させる。
タンクの中は三区劃に仕切り、腐熟した底面の液が第二のタンクに、次にまた第三のタンクに移る仕組みにして、人糞尿が少なくとも6ヶ月以上、1年くらい腐熟し、蛆を入れたら死ぬ由ですから、寄生虫も死ぬものと思われます。
これを、今年、私も建造使用し、よかったら、改めてご報告申し上げるつもりです。
(78・4)
|
|
8. ひどい神経症も少しづつ
|
神奈川県 S.O.
青汁を知って丸3年。20年以上もなやみの種であった神経症、神経過敏症が少しづつよくなり、会社もやすまなくなりました。
向精神薬はよくないと知りつつのんでおり、その副作用を消去するため2合づつのんでおります。
夏のまずい時も、神経症状の苦しさから思えば何の苦労もありません。
(もっと多く、少なくとも1日3合以上のんでみて下さい。)
|
|
9. 一人でも多くの人に
|
北九州市 H.M.
クスリつけになって、からだ全体に浮腫の来た人が、青汁飲用5日間で、大量の尿が出て7キロやせた人がいます。
その他、青汁の効用数多く経験しておりますので、一人でも多くの人に知っていただきたいと思っています。
|
|
10. まちがいを反省
|
名古屋市 K.H.
主人は歯が悪いせいで、野菜のセンイをつらがります。
ですから、大根おろし、味噌汁のネギくらい。
しかも肉類が好きなのです。
それで病気してしまいました。
わたしの至らなかった故と、ご本を拝見いたしまして、今更ながら反省しています。
ケールの種、栽培法などご指導おねがいいたします。
|
|
11. フッソ入り飲料水 発ガンの危険性
|
米の博士が警告
【ハートフォード(米コネチカット州)16日UPI・ES=時事】
米国制ガン協会の創設者であるディーン・バーク博士は15日、全米保健連盟ニューイングランド支部の大会で講演し、虫歯予防のため水道水にフッ化物を添加することは虫歯を予防するという利益よりも、ガンを発生させる危険性の方が高いため禁止すべきであると述べた。
同博士によると、年間35万人を数えるガンによる死者のうち十分の一はフッ化物入りの飲料水を飲んでいたという事実と関係があるという。
同博士はさらに、フッ化物は歯の抵抗力をせいぜい5−10%高めるにすぎず、これは思春期までに虫歯の数を1人1本減らすだけだと指摘した。これに対し現在9千3百万人の米国民がフッ化物を添加した水道水を飲んでいるが、こうした地域におけるガンによる死亡率は非常に高いとされている。
(53・4・18 サンケイ)
|
|
12. トリの足
|
シアトル M.S.
日本の商社は、米国からトリの足(黄色の足です)毎年、250万トン輸入しています。
あれを粉末にし、トリのスープとして、ウドンやソウメンなどに使っているのです。
中国人は、あの足だけの料理をつくります。
白人がきらうので、売らなくなりましたが、中国人家庭では食べています。
|
|
13. 質問箱 肝硬変で腹に水
|
高知県 M.
問
肝硬変で腹に水がたまっています。青汁のんでもよいでしょうか?
答
肝臓の病気には青汁は絶対必要です(栄養を完全にするため)。
また青汁には利尿作用があるので腹水にもよい筈です。
少量からはじめ、しだいに増し、いつも尿量の範囲内にしておけば無難でしょう。
|
|
コラム紹介
|
|
|
|
ご意見・ご要望はこちらへ
|
|
|
|