<1978年4月15日発行 第260号>
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目次
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1. 青汁に憑かれて35年
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医学博士 遠藤 仁郎
ナッパ・青汁に関心をもちだして(というよりは、むしろ、憑かれてしまってというほうがあたっているかも知れないが)、ちょうど35年になる。その間、ずいぶんいろいろなことがあったが、さすがに、もう、青汁の評価は、どうやら、きまって来たようだ。しかし、まだ誤解されているところもかなりあるので、この際、もういちど、昨年の5月号の「私どもの青汁」を書き直してのせることにした。
青汁はナマのナッパのしぼり汁
ただし、これが、50〜60年もまえ西欧でいわれた液状菜食や、戦後はいってきたハウザー食、あるいは、さいきんブームの生野菜汁とちがうのは、これらがいずれも、ナマの野菜・果物のしぼり汁でさえあれば、何でもよいのにたいし、私のは、緑のナッパ、それも、質のよい、つまり、すべてのビタミンにとみ、吸収されやすいかたちのミネラルにもとんだ緑のナッパだけにかぎられた、文字どおりの青い汁であることである。なお、この生葉汁の応用は、今にはじまったことではなく、搗汁、擣汁、杵汁などの名称で医心方や本草綱目にも数多くの記載が見られる。ねらいは、これによって食を完全にし、食のあやまり(欠陥栄養)のための体不調をのぞき、ますます健康になり、病気を防ぎ、治りをよくしようというもの。
現在の習慣食
現在一般に、精製穀・動物食にかたむき、野菜のとり方が少ない。しかも、高度に加工され(精製・調理)、濃厚に味つけされた贅美食の飽食。酒・菓子類の乱用。ために、熱量・蛋白質が多すぎ、これらに釣り合うべきミネラル(ことにアルカリ、カルシウム)・ビタミンは甚しく不足するという不完全(欠陥)栄養になっており、あまつさえ、不自然・不合理な生産法、加工食品の氾濫のため、食品自体すでに劣質化し、有害有毒化さえしている。その他、環境の汚染、運動、鍛錬の不足、ストレスの過剰、喫煙・強烈な嗜好品・薬品類や放射線の乱用など、あまりにも不自然・不合理な日常生活もあずかって、代謝は不完全となり、血のにごり(悪血)をまねき、これが不健康や厄介な病気の多発を原因しているのではないか、とかんがえられる。
緑葉食
ところが、良質ナッパには、すべての栄養素がそろっており、習慣食に不足がちなミネラル(アルカリ・カルシウムなど)やビタミンが極めて豊富なので、せめて、これだけでも十分にとって(緑葉食)、栄養を完全にすれば、代謝はそれだけうまく行われ、血がきれいになり、すべての細胞・組織・臓器のはたらきがよくなり、体力がつき、抵抗力(自然の防衛能・治癒能)はたかまり、健康となり、病気しにくく、治りよくもなるだろう。
青汁
このバランスをとるために必要なナッパの量は、厚生省発表の全国平均食から割り出すと、おおよそ1日500グラム。このナッパの栄養分を完全に利用し、その効果を十分に発揮するには、ナマのままをよくかんで食べるほかないが、それは容易でないので、しぼり汁にしよう(青汁)。500グラムのナッパも汁にすればわずか2合だから飲むのはなんでもない。したがって、こどもでも老人でもらくに必要なだけのナッパをとることができる。
材料
材料としては、緑色が濃くて、ホウレンソウ・フダンソウ以外のナッパであればどれでもよい。条件さえそろえば、その他の栽培物あるいは野生草木の葉も利用できる。けれども私どもはケール(キャベツの原種)を主体にしている。それは、ケールが質も味もよく、雪深い地方をのぞき、年中いつでも青々とした大きな葉を大量に供給することができるからだ。
安全であること
青汁の材料ナッパは安全(清浄であり、農薬汚染のない)でなければならない。現在市販の野菜類は、清浄ではあっても、大なり小なり農薬に汚染されている。一般のように少量を食べるには問題はなかろうが、青汁のばあいは大量なので、危険がないとはいえない。
自然農法
良質・安全な材料の供給には、化学肥料や農薬をつかわない、昔流の自然(健康)農法が適当。耕地はなるべく深耕し、肥料には堆肥を主とし、石灰、木灰、鶏糞、油粕、魚粉などの有機質肥料を施す。このようにすると、ミネラル・ビタミンにとみ、味のよい良質ナッパが得られるうえ、病・害虫にもつよいので農薬の必要もない。また、さいきんやかましくなった硝酸塩の含量も比較的少ない。
青汁のつくり方
水で洗ってスリバチでするか、ミンチ(青汁用がある)でつくる。ミキサーでもよい(2分間にできるよう加減する。5分間もかけるとビタミンCはなくなってしまう)。ドロドロにつぶれたものを荒めの布でしぼりとる。電気ジューサーならば、しぼる手数もはぶける(但し、メーカーにより、かなり性能に差がある)。
飲み方
しぼりとったそのままでも、適宜味なおししてもよい。但し、味なおしにすすめられているリンゴやニンジンはアスコルビナーゼ(ビタミンCをこわす酵素)があり、一緒にすりつぶすと、折角多いCが減るので勿体ない。どうしても欲しければ、別々に汁にし、飲むとき混ぜる。冷たすぎるときは、熱い牛乳・湯・茶などを注いで加減する(火や湯煎ではCのロスが大きい)。食前・後・間のいつでもよい。しいていえば、なるべくつくりたて(時間がたつだけ味や匂いが悪くなり、のみづらくなる)。すぐ飲めないときは冷蔵庫に入れておく。薬とのさしさわりはない。
飲む量
少なくとも1日2合(もとのナッパ500グラム)。調子のよくない時はそれ以上。3合でも、5合、6合(もとの材料750グラム〜1.5キロ)でも飲みたい。栄養のバランスということでは説明がつかないが、こうした大量を飲んではじめて、しかも、奇蹟といいたいほどの効果が出ることがある。何か未知の微量成分(痕跡ミネラルあるいはフラボン体などといったものか)の効果であろう。
しかし、飲みはじめは少量から、しだいにならしてゆく。そして根気よくつづけること。薬のように早急に効果が出るものではない。一月、二月、三月、半年、一年、二年、三年ねばっているうちに、体質がかわってくるとみえ、時には、思いもかけぬ効果が出る。
不治の筋萎縮症といわれ、熱心に実行した一女性は、二年間は殆ど変化がなかったが、三年目から効果があらわれ、ついに完治にちかい状態になった。青汁は薬ではなく、日常食の欠陥を補う方便だから、一時的では意味がなく、生涯つづけるべきものだ。なお、つねに食全体としてのバランスをとることが大切で、そのためには、とかく過食になりがちな主食をひかえ、糖分(菓子、味つけの砂糖)は極力へらし、動物食品もすぎないよう注意する。
イモ・マメ・ナッパ・青汁
また、なるべく安全な食品をえらび、危険な農薬や工場・鉱山の廃棄物、あるいは添加物などに汚染された食品や、そのおそれのある加工食品、既成食品など、有害有毒食品はつとめてさけること。そのため、私どもは、主食には、栄養的にも安全性にもすぐれたイモ類を、蛋白食には大豆ものを主としこれに十分の良質安全なナッパを主体とする野菜・山菜・海藻・くだものなどをそえたイモ・マメ・ナッパ・青汁食をすすめている。なお、調理は簡単に、調味はなるべくうすくする。
青汁絶食
比較的はやく効果の出るのは青汁絶食。絶食して、青汁だけを飲めるだけ多くのむ。これを2〜3日ないし数日つづけてみる。痛み(神経痛、化膿痛、頭痛、歯痛など)がすみやかによくなり、高血圧がうまく下る。喘息発作がおさまり、腎炎、肝炎その他の初めに試み、しばしば著効をみる。
注腸・鼻腔注入
扁桃炎や、意識障害などで飲めないばあいは、注腸・鼻腔注入してもよい。
健康食
緑葉食・青汁にしても、イモ・マメ・ナッパ・青汁食にしても、栄養の完全化・安全化(合理化・自然化)がねらいだから、本来は健康食、病気予防食である。体調よくなり、疲れず、仕事の能率があがる。スタミナがつく。老化がおくれ、若がえる(年とともに量を増すとよいようだ)。からだの弱いもの、病気のものはもとより、頑健と思っているものも、ころばぬさきの杖として、せめて、青汁だけでも飲むべきだと思う。
病気しなくなる
カゼをひかず、化膿しなくなる。虫がわかず、虫歯ができない。暑がり(夏バテ)、寒がり、冷え症がなおり、肩こり、腰痛、耳鳴り、メマイ、乗物よいがなくなる。月経・妊娠・更年期などの障害もほとんどでない。ともかく、ほんとうの健康は、これによって得られ、長生きもできるのではないか、という気がする。
丈夫なこどもをうむため
もっともすすめたいのは、丈夫なこどもをうむために妊婦がのむこと。ナッパ・青汁を中心とした安全完全食をとれば、妊婦の健康状態はいつも良好。したがって薬害や放射線害をうけることもなく、妊娠の経過は順調。産はかるく、乳の出もよい。生児はむやみに大きくはないし(3キロもつれ)、皺だらけの顔はしているが、元気はよく、骨組はつよい。よく出る乳で着実に大きくなる(むかしからいう、小さくうんで大きくそだてるの理想どおりになる)。
赤坊にもなるべくはやく
赤坊にも、なるべく早くから飲ます。サジでなめさす程度ならば、生後すぐからでもよい。もちろんキジのまま、砂糖は絶対入れない。だんだん増してゆくと、やがて、5勺でも1合でも平気でのむようになる。そして、発育がよく、イジもよい。めったに病気せず、そだてよい。また、物心つく頃になると、青汁は大の好物で、あまい菓子(すく筈の)はいやがるという、世にも不思議な現象におどろかされる。これは、今のこどもの健康が、甚しく砂糖によって毒されている事実と思い合わせ、注目すべきことといってよかろう。
青汁給食
弱いこどもの多くは偏食。ことに野菜嫌いのためだが、青汁給食を実施している幼稚園や小学校のすばらしい成績―体格・体力・健康状態だけでなく頭もよくなる―から、その普及をいのらずにはいられない。
病気のなおりがよくなる
青汁だけで治る病気もあり、少なくとも、多くの病気のなおりをたすける。食欲が出る。通じがよくなる(青汁で時に便秘することもあるが、多くは快通する。また、バターと併用して、たいていの下痢がとまる)。血色がよくなり、よく眠れるようになる。多くのばあい、大した薬をつかわなくてもすむし、薬の副作用もかなり緩和されるようだ。したがって、どんな病気にもよいわけだし、ちかごろ多くなった肝炎・腎炎(カリウムがいつも問題にされるが、透析をすすめられた例にも著効がみられたのがある)。
胃(十二指腸)潰瘍、結石症(胆石・腎石)、糖尿病、痛風、肥満、高血圧(は下り、低血圧は上る)、動脈硬化(脳卒中、心筋梗塞)、喘息、リウマチ、その他のアレルギー症、神経痛、筋肉痛、ノイローゼ、自律神経症、レイノー、メニエール、むちうち、書痙、てんかんなどにもよいようだ。熱病にはぜひ飲ませたい。疔、癰、ひょう疽、扁桃炎、虫垂炎など。青汁だけでも結構よくなり、難治性の蓄膿症も青汁をしっかりやれば大抵なおる。結核にもよい。火傷や外傷、手術創のなおりがよい。
治癒はほとんど望めないといわれているレントゲン火傷部の手術創さえ完治した例がある。骨折にもよい。肌がきれいになり、ニキビやソバカスがとれる。湿疹・ジンマシンによく、水虫も治ってしまう。腋臭、口臭、鼻臭によく、白内障、緑内障にもよい。
葡萄膜炎で2年間ステロイド治療をうけ、ついに緑内障を併発、途方にくれていたのが、青汁絶食、ついでイモ・マメ・ナッパ・青汁食2ヶ月で完治し、その後も好調をつづけている。バセドウ、ベーチェット、SLE(膠原病)、再生不良性貧血、筋萎縮症などにもよかった。
癌にもよいらしい。抗癌剤や放射線の副作用を防ぐようだから、これらの治療のさいや、術後の再発予防にも、ぜひやってみてほしい。などなど。とはいえ、けっして万能ではもちろんなく、いつも効くとも限らない。けれども、熱心にやっていれば、多くのばあい、なにがしかの効はある。
したがって、すすんだ現代医学をもってしても治しにくいような病気には、ともかく、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食、あるいは、せめて青汁だけでもうんと(少なくとも1日4〜6合、もとのナッパ1〜1.5キロ以上)のむといった、徹底した食を熱心につづけてみるべきだ、と私はかんがえている。それはともかく、何分、食べもののことだから、嗜好上の難点はやむを得ないとしても、禁忌ということがほとんどないこと、病気によって若干の手加減を加えるだけで、すべてのばあい応用できることなどから、少なくとも、食事療法はずっとたやすくなる。
融通無礙食
なお、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食とはいっても、けっして、それ以外には何も食べてはならぬ、という窮屈なことを主張するつもりは毛頭ない。要は、できるだけ安全かつ完全な食にしようというのであり、これに徹して、ナッパ・青汁に十分の余裕をもたしておくと、安全性と分量にさえ気をつければ、何(肉・魚・卵・米飯・パン・菓子・酒などにしても)を食べて差支えないわけだから、食事はむしろ反対に、ずっと自由になる(融通無礙食)。
安全食品の供給
そこで、すべての食品が良質・安全でありたいが、農作物は上記の自然(健康)農法によればよく、その健康作物を飼料にすれば、良質・安全な健康畜産物も、また、それら健康農・畜産物を原料とする良質・安全な加工食品の供給も、けっして不可能ではない。もっとも、現時点においては、いずれも小規模の自家用、ないし、せいぜい同好グループの需要をみたす程度に限られている。したがって、根本的には、行政や生産者の姿勢が健康優先にきりかえられないかぎり、いかんともなしがたいのが、いかんながら、わが国の現実の姿のようだ。
日常生活の合理化・自然化
なお、この食の合理化・自然化とともに、適度の運動、十分の鍛錬、ストレスの解消。喫煙・その他強烈な嗜好品・薬品・放射線の乱用をつつしむなど、日常生活諸般の合理化・自然化および環境の浄化がはかられなければ、真の健康の望みえないこと、また、いうまでもない。(53・2)
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2. 五十肩
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医学博士 遠藤 仁郎
五十腕、五十手。四十肩、六十肩ともいわれる。その年ごろになって肩や腕が痛んでくるもの。また、似たものにヒザが腫れ痛むのがある。
私の経験
まず、私の経験を語ろう。はじめて肩に痛みを感じたのは40才の冬。戦時中、召集されて姫路の陸軍病院にいた時。原因らしいものは何もなく、ある日、ふと、手をあげた途端、肩がひどく痛んだ。平素の業務や敬礼には何の支障もないが、電車やバスのつり革につかまる時などはげしい痛みが感じられた。暖くなるとともになくなったので、寒さのせいだったのだろうくらいにかんがえていたが、どうやら五十肩のはしりだったらしい(四十肩)。
はっきりしたのが出たのは、ちょうど50才の時。とくに後上にあげる運動でひどく痛み、3〜4ヶ月つづいて、全くもと通りになった。60才になると、肩には異常はなかったが、こんどはヒザの痛みがあらわれた(六十ヒザ)。それも、ふつうに歩くには何のことはないのに、急な山坂を下りたり、田甫のアゼを飛びこえる時などに痛んだ。少し腫れてもいたようだ。たまたま、そのころ、おやじとおふくろの何回忌かの法事があり、久し振りに坐ったところ、それまでは何時間でもできた正坐が、とても苦しかった。但し、これらの苦痛も2〜3ヶ月だけだった。最後は70才の冬、また肩が、後上方にあげるとき痛んだ。しかし、ごく軽い痛みで1ヶ月あまりでなくなってしまった(七十肩)。このように、私のばあい、ちょうど10年ごと、しかも代がわりごとに現われている(あと2年あまりで80になるが、そこで、また出るかどうか、いささか興味をもっている)。
五十肩の原因
五十肩の原因については、まだ、はっきりしたことはわかっていないようだが、おそらく、10年ごとくらいに、何かからだに変調――おそらくホルモン系のものだろうが――があらわれ、そのために、主に関節の異常がおこり、その変調がおさまると、正常にもどるのであろう。また、食を中心とする日常生活の不自然・不合理化といったことによる血のにごりのために、関節の反応性が変化し、感じやすくなっているのでもあろう。
たとえば私のばあい、ふつう50才ごろにでる症状が、はやくも40才で出たのは、私に、そうした素質、すなわち、感じやすい関節をもっていたからであろう。しかも、それは、多分、1日6合の白米飯という当時の兵食、やけくそ半分飲みまくっていた酒などの不摂生がたたっていた(血のにごりを強めていた)ためであったろう。また、ふつう、五十肩はかなりの苦痛を伴い、その期間も半〜1年、あるいはそれ以上に及ぶことも少なくないのに、私のばあい四十肩の前歴をもちながら、苦痛そのものは比較的かるく(薬をのむほどではなかった)、期間も3〜4ヶ月と短かかったのは、つとめてナッパを食べ、青汁をのみ、栄養のバランスに気をつけていたためではなかったか(43〜4歳ごろから緑葉食・青汁を実行していた)、とかんがえられる。
自然に治るもの
五十肩の症状は、ひどいものから軽いものまで、いろいろある。しかし、病変そのものはただ、関節周囲の組織がこわばり、かたくなり、痛みを感じやすくなっているだけで、やがて時期がくると、緩み、軟らかくなり、ついに、完全にもと通りに回復する。つまり、ほったらかしておいても、自然に、しかも完全になおる性質のもの。したがって、病気というよりは、むしろ、そういう状態にすぎない。とすると、治療法も、あまりたちいった手は加えず、ことに痛みにはよくきくかも知れないが、あとに故障を残すおそれがないでもない関節内注射などといったことは、つとめてさけ、なるべく自然にまかすほうがよいのではなかろうか。
痛みをへらす
そのためには、なるべく無難な方法で苦痛をへらす工夫が必要だが、それには
- 局所にたいしては、
あたためる(罨法、入浴、入湯もよかろう)。
マッサージ(もむ、軽くたたくなど)。
かるい運動(痛まない程度の)。
などで局所の血のめぐりをよくし、組織をやわらげること。
- 食べもの
バランスのよくとれた完全食とし、有害有毒食品をさけ(安全食)、なるべく血のにごりをへらすこと。穀・肉・脂・糖など酸性食品(痛みをつよめる)はつとめてさけ、良質ナッパを主とする野菜・山菜・海藻・果物などアルカリ食品(痛みをやわらげる)を多くすること。
つまり、緑葉食・青汁。イモ・マメ・ナッパ・青汁食。あるいは、せめて、青汁だけでも十分――少なくとも1日2〜3合、もとのナッパ500〜750グラム以上――のむこと。
そして、ときには、青汁絶食(ほかの食事は一切やめ、青汁だけのめるだけ多くのむ)をやってみる。なお、調理は簡単、調味はうすくし、嗜好品にも十分気をつける。ことに菓子・酒。コーヒー・紅茶は砂糖ぬきにするなど。
こうすれば、症状はずっとかるく、治りも早いだろう。(52・11)
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3. クスリと青汁
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クスリはなるべくつかいたくない。しかし、病気によってはどうしても、しかもきつい薬も止むをえないことがある。そういうとき、急を要する病気では、ともかくクスリをつかい、同時に青汁をしっかり飲む。そうでもないばあいは、まず、しばらく、青汁中心の食養生をやってみ、それでもうまくゆかねば、クスリということにしてもよかろう。
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4. なおればよい
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病気は、要するになおればよい。なおし方やその理論ではなく、なおるかどうかが問題。それが、どういう治療法であろうと、たとえ、いかに非科学的にみえ、平凡あるいは野蛮きわまる方法であろうと、病気がなおれば、それでよい。反対に、たとえ、いかに科学的に理論づけられた立派なものであっても、実効があがらなければ、なんの価値もない。
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5. 有益な人生
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有益な人生は、あらゆる生物の福利を望む人、他人の財産をほしがらない人、真実を語る人、平安を旨とする人、反省する人、軽卒でない人、義務と財と愛からなる人生の三目的を互いに矛盾なく手に入れる人、尊敬に値する人を尊敬する人、知識と学問と心の平和を自分のものとしている人、老人をいたわる人、愛欲・怒り・妬み・慢心・誇りの感情をよく制御する人、常にいろいろな布施を行う人、常に苦行し、知識をもち心の安定している人、最高我を知る人、物事に専念する人、この世とあの世をよく考える人、記憶力と思慮にたけた人――これらの人にあたるといわれる。これらと反対の人々の人生は無益である。
(チャラカ・サンヒター、矢野道雄訳、 日本臨牀 36・2、昭53・2より)
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6. 医療の理想
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医療の理想として、むかしか Cito,tuto et Jucunae(早く、確実に、そして快く)といわれている。なるべく早く、なるべく確実になおるほどすぐれており、そのうえ、身体的にも精神的にも負担のないものほどよい。たとえ、いかに早くても完全でなかったり、危険や苦痛を伴ったり、あとに故障が残り、あるいは経済的負担が大きくても、けっして理想的とはいえない。
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7. 農薬は一切使わず 「おかやま土と健康の会」
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農薬は一切使わず
「おかやま土と健康の会」
農薬、化学肥料をいっさい使わないで堆(たい)肥など有機肥料で育てた野菜の“産直”が岡山市でも始まった。岡山県食品の安全を守る会(岡山市野田屋町、小坂豊会長)が主体となり、発足した「おかやま土と健康の会」(仮称)がそれだ。岡山県内の農家十数軒に契約栽培してもらった野菜や卵を各会員の間に届ける仕組み。同会では「今月いっぱいで配送ルートの整備など終え“産直”の輪を広げていきたい」と意欲を燃やしている。
陽春四月!!
有機農法安全野菜のおすすめ
「最近の野菜には、どんな有害な農薬が使われ、含まれているかわからない」と不安をもらす家庭の主婦は多い。それというのも45年に農薬取締法が改正されるまでは水俣病の原因となった水銀を含んだ農薬や、母乳にまで残留して問題になったBHCが野菜づくりに使われていたからだ。
最近ではあまり毒性の強い農薬は姿を消したが、それでも今も農薬はふんだんに使われている。そこで農薬をいっさい使用せず、堆肥やきゅう肥などの有機肥料だけで“安全”に栽培された作物が注目を集め、岡山県食品の安全を守る会では一昨年秋ごろから細々と有機農法で生産した野菜の共同購入を続けていた。
当初はごく一握りの農家や会員が作ったものを全員に配るという程度のもの。会員間の要望が強いため昨年10月から赤磐郡吉井町、勝田郡勝田町など県北部の有機農法を行っている農家で組織する「愛農会」のメンバーと提携、とれた野菜は毎週金曜日に岡山市三浜町、津島、雄町など市内6ヵ所に運び、希望者に配る形にした。
これは大々的に“産直”するための実験段階。
この間に得た“教訓”をもとに始めたのが「おかやま土と健康の会」。
2月1日から会員募集を始めたが、すでに出資金は予定額の150万円以上集まっており、会員も160世帯ほどが加入している。同会ではすでに850キロ積みのワゴンを購入、今月から配送を始めている。生産農家も岡山県愛農会が中心となり、農家十数軒、養鶏農家二軒と契約しており、一農家最低一作目以上ということでトマト、ナス、キュウリ、ピーマン、キャベツ。ホウレン草、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモなどの作付けが決まっている。
このほか主力の卵は週に500キロ程度、みそ、しょうゆ、塩、洗剤、塩干物など加工食品なども会員の希望に応じて共同購入する。価格は岡山市中央卸売市場の卸値を参考にし、卸値の上限価格に10〜15%程度の運送費、人件費など諸経費を加えたものとする。
「多少、割高となるがしかたがない」という。
配送方法は会員を10人単位でグループ化、そのグループの班長が注文を取り、配送責任者に連絡する。責任者は生産農家に連絡、必要数量を運送。各班ごとに配達するというもの。
ここで一番問題なのは野菜類は天候に大変作用されやすい点。大量に余るほど出来た時とか逆に出来が悪かった時、農家の経済的な補てんはどうするのかなど難問も多い。が、配送専従者となった三垣允人さんは「有機農法を育てるためには生産者と消費者がお互いに理解し合い、手をつないでいかなくてはいけない。こうした運動が少しでも農家が農業や化学肥料を使わない方向に向いてくれれば…」と話している。
(52・4・7 山陽夕刊)
畜産農家と連係プレー ―鳴門―
有吉佐和子の小説「複合汚染」以来、消費者の間で化学肥料をやめ、有機肥料を使った“自然野菜”を求める声が高まっているが、逆に農家の方からは「人件費の高い現状で数十倍もの労力がいるたい肥づくりは事実上不可能」「化学肥料を使い、余った時間でアルバイトしないと食べて行けない日本農業の構造こそ問題」など反発の声が出ている。
しかし、鳴門市の畜産農家と野菜農家が連係プレーで畜産公害をなくし、自然野菜を生産するという方法を思いついた。それは「有機肥料工場」の建設。来年3月に運転開始をめざしていま、5つの農協が共同でその設計に取り組んでいる。この方法は
- 畜産農家が畜舎の敷きワラのかわりにオガクズを敷きつめ、ふん尿をしみ込ませる
- 飽和状態になると畜舎から取り出してたい肥舎などへ積み、発酵させ一次処理をする
- ある程度発酵すると肥料工場のトラックが回収
- 大型パネルに特殊発酵菌を加えて高温で二次発酵し、乾燥させると粒状の肥料に変化、袋詰めにして農家へ渡す
というやり方。
いま、各地で普及しはじめたパネル発酵法を大型にし、集団参加で大量生産するものだ。
鳴門市では、オガクズにふん尿をしみ込ませた「オガクズたい肥」だけで、サツマイモとダイコンを栽培するといった有機農業復活への動きがここ数年前から高まっており、鳴門農業普及事務所がサツマイモを対象に化学肥料などを使った普通畑とオガクズたい肥の畑との生育比較試験をした結果では、オガクズたい肥をやった畑の収量が普通畑の1.56倍の増収になった。また、色つやも良く病虫害にも強いこともわかり、有機肥料への期待が農家の間で高まった。
鳴門市内には130戸の農家で乳牛700頭、肥育牛2500頭、豚1200頭が飼われているが、そのふん尿の始末が悩みだったが、これをそっくり工場で二次加工し、粒状肥料にすると年間ざっと1万トン生産できる見込みという。同市はサツマイモ、ダイコンの生産地として知られ、のべ1000ヘクタールで栽培されているだけにこれらの肥料は十分消費できる。
工場は同市里浦町の海岸50アールに7千万円で建設、肥料1トンあたり1万円という安い値段で野菜農家に分配する。これで畜産農家からオガクズたい肥を回収する費用をはじめ生産費を十分まかなえるという。同市の5農協が共同出資し、共同で運営にあたる計画だ。
(50・9・27 朝日)
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8. 医療自明の前提要件(1)
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友成 左近
医療について当節、過信と不信が錯綜しているようです。が、こうしたことについて私たちは、常々遠藤先生にご指導いただき、めいめい及ばずながらもみずから体験して、互いに話し合っているので、多少ともその事由が分かって、いたずらに過信もせず不信もいだかずに療養につとめ、また病気の予防にも心がけるようになっています。で、はじめにそれを要約してみると、
まず医療は、そこに必要な養生に、当の患者がみずからつとめることを、自明の前提要件にしているのであるが、医者もさることながら当の患者が、これが自明であるためか、とかく忘れもし怠りもして、その効果が妨げられている場合が多い、ということです。従って、病気にかかったときには、医者にかかっているからといって、ただ安易に医療だけにたよることなく、そこに必要な養生につとめ、とりわけ実状最も重要な食養生には最善をつくすことが大切である、ということです。
そしてこの食養生には、青汁食養生が実状最も的確であって、たとえどんなに嫌いでも、これに精出さなければ、せっかく食養生につとめても、予期したほどの効果があらわれない場合が多い、ということです。
医療の性質
そこで、まず医療の性質についてですが、これは、いかにも分かりきったことながら、生きている患者に施しているのであって、それは、生きた体は生きている限り、どんな病気にも抵抗し、もし抵抗しきれなくなって病気にかかっても、なお抵抗して、みずから治っていく体力を備えているからで、医療は、当の患者がこうした体力を備えていることを、当然自明の前提にしているのです。
そしてこの体力は、これまた分かりきったことながら、当の患者がみずからつとめる養生によって養なわれるのであって、医療は、そこに必要な養生に、当の患者がみずからつとめることを、自明の前提要件にしているわけです。従って医療は、そこに必要な養生に当の患者が不案内であれば、というよりも不案内である場合が多いので、まずもってその指導をするわけです。が、ただそれだけでは、病気の治癒がおくれる場合が多く、さらには余病を併発することもあり、そして、その間の苦痛は耐えがたく、ときには不幸を招くこともあるので、必要に応じて、養生とは筋道のちがったクスリや手術といった手段を講じて、病気の治癒を促進するのであって、ふつう医療という場合は、こうした意味あいのものです。
従って医療は、別に決して生きた体の治癒力や、それを養なう当の患者の養生に取って代わるものではなく、どこまでもそれを補助する性質のものです。それも、養生とは筋道がちがっているので、「クスリは毒」といわれているように、もともと生きた体に加えてはならないものなのですが、必要やむをえず加えるわけであって、こういう意味で医療は必要悪といった性質のものです。なお、予防面についても事情は同様であって、ふつう予防といえばワクチンですが、これも治療薬と同様に、生きた体の抵抗力を補強するために必要やむをえず使う性質のものです。
過信や不信の事由
ところで当節、この医療に過信と不信が錯綜しているのですが、まず過信が起こってきたのは、予防面もさることながら、とくに治療面で、それも、とりわけ治療薬に、以前とはダンちがいに有効なものが、最近急速にいろいろ新たに開発されたからでしょう。従って、医者にかかってクスリをもらえば、とりわけ注射をしてもらえば、そう苦しまずに、また、あれこれ面倒な養生もせずに、早く治る場合が多くなったわけです。それに、国民皆保険のもとに、人々だれでも、以前とははるかに容易に医者にかかれるようになったのです。ために、病気の予防もさることながら、かかれば、しごく安易に医者にかかり、そして早くよく効くクスリを、注射をと求め、そこに必要な養生はとかく忘れもし厭いもし怠りもする場合が多くなったわけです。
それに、医学界においても、治療面の研究が急速にすすみ、これまでにない成果をあげているため、それに忙殺してか、とかく養生面の研究がおくれているのが実状です。従って医者も、つい養生面の理解と指導を怠りがちになっているため、患者のこうした傾向を助長しているわけです。
そのうえ、今日の医療制度では、診療報酬が治療面に、とりわけ薬剤面に偏って、養生指導などは軽視されているので、医者としても、長時間かかる面倒な養生指導はとかく敬遠しがちになるため、なおさらに助長しているわけです。けれども医療は、もともと当の患者が、そこに必要な養生につとめることを前提要件にしているので、これではとうてい、信頼もし予期もしていた通りには治ってこない場合が多いわけです。
それだけではなく、ますます進行もし余病も併発する場合が少なくないため、過信のあまり、つい不信をいだくようにもなるわけです。かといって、当面の苦痛は耐えがたく、他にあれこれたよっても、そこに必要な養生を怠っている限り、この苦痛はとうてい免れないので、やはり医療にたよらないわけにはいかず、ために信・不信が錯綜してくるわけです。
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次号参照 |
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9. 便堀り
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医学博士 遠藤 仁郎
ひどい便秘のばあい、硬くなった糞塊が、肛門のすぐ上からいっぱいつまっていて、浣腸しても、薬だけ流れ出し、便は一向に出てこないことがある。そういう時には、肛門から指を入れて(ツバつきのゴム指嚢をはめ、ワゼリンか油をぬって)、つまっている便を掘り出す。ほじっている間に、その刺戟で、上からだんだんおりて来るので、時には、驚くほど多量の、便器に一杯も二杯もの便が出る。そして、あらかた掘り出したところで浣腸すると、またウント出て来るといったことがある。だから、ただ浣腸しただけで、出ないからといって、そのままにせず、かならず指で探ってみなければならない。浣腸も下剤もきかず、食欲はなく、衰弱がひどくて、癌かも知れないといわれていたのが、ほじり出してから浣腸し、下剤をつかって、通便がうまくつき出し、食欲も出、すっかり元気をとりもどした人もある。
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10. 坐薬
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医学博士 遠藤 仁郎
肛門から坐薬をさして便を導くもの。古いところでは、傷寒論に「蜜導の方」というのがある。「蜜七合一味、銅器に入れ、微火にて煎ず。やや凝り、飴の状に似たる時、手にて捻て挺となし、指の大の如くす。長さ二寸許。穀道に入る。」蜜を煮つめて飴のようにし、捻って指大、二寸ばかりの棒にして、肛門に入れる。今では、カカオ脂が主剤になっているが、かるい直腸刺戟剤を入れたのもある。これも、クセになることは同じ。
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11. 浣腸
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排便がなくて気持が悪くなんとか早く出したいと思うとき、下剤は急の間にあいかねる(ふつうの緩下剤は、早くても数時間たたないと効果があらわれない)ので、たいてい浣腸になる。しかし、これとて下剤と同様、ながい間にはクセになる。
浣腸はエジプトの聖鳥イビスから始ったという。この鳥には、クチバシで水を肛門に注入するという伝説がある。これは、トート王と混同されたものらしく、エジプト文字のトート王はイビス鳥であらわされている。おそらく、王が創めたのだろう。もっとも、王様が発明するということはめったにないことだから、多分、侍医がはじめたのだろう、といわれている。
古代エジプト、メソポタミヤ、インドでも、ひろく知られていた。ギリシヤでは重要な治療法とされていたし、欧州中世では、潟血、潟下剤とともにさかんに行われ、浣腸器は、当時の医家にはなくてはならぬ医療器であった。はじめ、動物の膀胱に小管をつけた器。15世紀になってポンプ式のものがPaduaの医家Gatenariaによって発明されたという。ふつう、グリセリンがつかわれているが、ただの水(温水・冷水)でも、温泉水でも、海水・食塩水・食醋水(5%)でもよい。すべりをよくするためには、油や石鹸水がつかわれるが、青汁ことに粘りのあるオクラ、コンフリー、サツマイモ、トロロアオイや桑の葉の青汁は、いっそう効果的だろう。漢方では、土瓜根の搗汁(聖済総録)、香油(ゴマ油、医学正伝)、猪胆に醋少許を和し(傷寒論)、葦筒・竹管などで入れた。
コンフリーについてのご注意
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12. 大麻喫煙
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いま、若ものたちの間で世界的に流行しているの喫煙で、種々の脳障害が出ることが知られているがCampfell博士によると(Lancet 71.12.4)、平均22才の男子10例(喫煙歴3〜11年)について、レントゲン検査で、脳の萎縮を証明している。
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13. 胆のうと便通
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胆のうは、肝臓から出る胆汁を濃縮して、たくわえるところ 便秘ぐせの人には、よくここに石ができる(胆石)。おそらく、便秘で胆汁になにがしかの変化がおこること。また、便秘があると、腸内の大腸菌が腸壁から侵入しやすいことや、血のにごりのため、抵抗力がよわり炎症(胆のう炎など)をおこしやすくなっているからであろう。理窟はともあれ、胆石や胆のう炎では、まず便秘をなおすことが大切。
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14. 胆石と便通
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胆石の発作は、便秘でおきやすいし、治りにくい。下剤をかけて、数回下すだけでも、うまくおさまることがある。ゴム管をのんで治そうという十二指腸ゾンデ法というのがあるが、そのときゴム管に入れる薬は下剤の硫苦(硫酸マグネシウム)液だ。
これをさすと、反射的に胆のうが収縮し、胆管の出口の括約筋がゆるんで、胆汁がドッと流れ出る。それとともに石を出そうというわけ。また、石は出ないまでも、石の大きくなるのを防いだり、バイ菌の感染で炎症をおこすことを防ぎ、発作の予防になる。ただ、下剤をのんで下痢するだけでも、同じ効がある。その故であろう、古くから、胆石や胆のうの病気には、硫苦や硫曹(硫酸ソウダ)、あるいは、それらが主剤になっている人工カルルス泉塩など、塩類下剤が特効があるとされている。
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15. 化膿と下り
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16. ツバキ
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牧野先生によると、
「葉が厚いから厚葉木の意から、その首のアが略されたものと謂ひ、
光沢があるからのテルが縮るとツになるので。
或は、艶葉木の意でツバキになった、ともいはれる。
漢名で山茶。支那では、嫩葉を茶として飲むので、山茶の名がある。
ツバキにあてた椿は、春に盛に花が咲く故に、
木扁に春を書いてツバキと訓ませたもの。
即、ツバキの椿は和字である。故に、その字に字音といふものがない」(植物記)
民俗学辞典には、「椿は国字。この木を随一の春の木と認めたから。ツバキは霜雪にたへ忍んで、春の歓びを伝へるのに、最も敏感であったため、上世の朝廷でも、正月の卯杖、卯槌には必ずこの木を用いたし、椿は春の再来を占ふ大切な木になっていた。」とある。
茶にするほか、食用にもなる。「若芽若葉に煮てくふべし。老葉はイリコにすべし。」(救荒本草抜萃)
薬用には、「尿閉 椿の葉を黒焼、白湯にて用ひてよし。」(薬屋虚言噺)「鰹中毒 山椿葉煎用。」(此君堂薬方)などとある。葉はかたいが、よく搗いて水でとかし出せば、青汁にもなる。
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17. こゝにも青汁のお蔭 ―書痙退治のこと―
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金光町 S.K.
昭和24年、占領軍の命として、「定員法」による大量な人員整理が行われた。当時、国鉄岡山管理部で人事を担当していた私は、その準備から爾後処理にいたる10か月間、日夜こまかい文字を書き続けたゝめ「書痙」に罹った。これは、タイピスト、ピアニスト、速記者など、常に指先きを酷使するものが襲われる職業病なのである 私の場合、文字が書けなくなるばかりか箸も使えないので、左手にスプーン、フォークで食事をとらなければならなくなった。従って、職場では部下に、家庭では妻に代筆させざるを得ない羽目となった。
当時、鉄道病院も岡大病院、日赤などでも、現代医学では根治の方法がないと宣告され、前途全く暗澹たる心境であった。それでも、ワラをもつかむ思いで、ありとあらゆる療法を試みたが、すべてが無駄であった。
その後、牛乳を毎日3合以上飲んだら、病も進行しないし、いくらか楽になるだろう、との処方を得たので、それを実行したら、半年あまりで箸がもてるようになった。けれども運筆は極めて困難であった。
私は、昨年、ふとしたことから青汁を作り、毎食前1合ずつ飲みはじめた。半年ほどした頃から、驚くべし、拙いながら少しずつ文字が書けるようになり、こんにちでは妻の代筆は全然無用。友人にも進んでたよりを出せるようになり、今までとは変って何事にも積極的になってきた。これこそ本当に青汁さまの効用である!と固く信じるにいたった。思えば、灰色に鎖されたような27年間は、実に辛かった。でも、もう大丈夫である。前途は明るく輝いているのだから。(12月8日)
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18. 種子がとれたら
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名古屋市 S.H.
さっそくケールの種子おくっていただきまして、ありがとう。庭の畑にまきました。種子がとれたら、おなじ血圧の方々にも、さしあげたいと、はりきっています 一粒の種でも百倍になります。うれしくてたまりません。ここは田甫などある所ですので、セリなどたべるよう心がけています。
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19. ケールで健康に
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鳴門市 K.N.
昨年いたヾきましたケールのおかげで、今年は主人も私も健康をとりもどしました。あまり見かけぬ野菜なので、何ですかときかれ、効用など話しては差上げると大そうよろこばれ、ケールの愛好家が増えております。まきつぎしようと、残しておいた種子をどこかへ紛失してしまいましたので、少しお願いいたします。
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20. めぐりあいをよろこぶ
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岐阜市 H.M.
青汁の新聞をみせていただき、先生はじめ奥様とめぐりあわせていただいたことを、実にうれしく、毎日よろこんでおります。どうか、私たちのために、1日も長生きしてくださいますことを、神かけてお祈りいたします。
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21. 貴会の種子がほしい
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高松市 H.K.
青汁のおかげで、毎日、元気に過させていただいています。農家の方にお願いして、農薬等一切使わずに栽培してもらっています。こちらで種子を、一度は百貨店で買いましたが、ちじんだ葉で、とても洗いにくくて困り、種子屋さんで買ったものは発芽しませんでした。貴会のは、いま、大きくなり、毎日飲んでいます。
10月の終り頃まきたいと思います。種子をお願いいたします。
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22. 同志ふえる
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23. 思うにまかせぬ
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24. 市販のケールの種子
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福岡県 M.Y.
数年前、韓国の学友、金重甲君から青汁の本をおくられ、それにより、毎日かかさず、いただいています。夫婦ともしごく健康で、病気したこともありませんが、それも青汁のおかげと思っています。ちいさな庭に十数本ケールをうえていますが、こちらで購入した種子は、品質も悪く、今秋、数回まきましたがすべて発芽しません。どうかよろしくお願いいたします。
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25. 一人前の人間
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東京 G.A.
- 他人に迷惑を掛けない人間に成った時、
- 社会に対して何かお役に立つ事が出来る程の人間に成った時、
- 更に加えて、親や、兄弟姉妹、先輩達の監督の不要人格を備えた人間に成長した時、
この三条件の備った時、始めて人々は「一人前の人間に成った」と祝福される。この様な人こそが社会に対して必要であるのではなかろうか
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26. 質問箱
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京都 E.
問
こどもが弱く、野菜嫌いで困っています。どうしたらよいでしょう。
答
まず菓子をやめ、味つけの砂糖をへらすこと。家内中そろって青汁をのむくせをつけること。そして、栄養のバランスがとれて来ると、正しい食欲が出て、なんでも好き嫌いなく食べるようになります。
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コラム紹介
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聖人、其の醤を得ざれば食ひ給はず。是れ養生の道なり。
醤とはヒシホにあらず。その物に加ふべきあはせ物なり。
今ここにていへば、塩、酒、醤油、酢、蓼、生薑、ワサビ、胡椒、芥子、山椒など、各その食物に宜しき加へ物あり。これを加ふるは、その毒を制するなり。たヾ、その味のそなはりてよからん事をこのむにあらず。(養生訓)
不健康な土壌では動物にも人間にも不健康な蛋白質しかつくれない
ヴォアサン
遠いこと鼻をつまんでのんだ思い出
あめつちのおしえかしこみ人の世のさらしらごとにまどかされまじ
人或る一個の行為を判断する時は、
宜しくいろいろな事情と共にその行為を産み出したる人全体を考えねばならぬ。
然る後に始めてその徳不徳を断ずべきである
モンテーニュ
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