<1976年12月15日発行 第244号>
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目次
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1. 乳癌
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医学博士 遠藤 仁郎
乳癌は、穀・芋を常食しており、胃癌の多い、アジア・アフリカの低開発国には少なく、肉食がさかんで、胃癌の少ない、アメリカや西欧の先進国には非常に多い。
日本は、これまで、世界一少ない文明国といわれていたが、近来、日常生活とくに食の欧米化とともに、しだいに、ことに都会に、ふえて来た(田舎にはまだ少ない)。
高脂肪食
そして、高脂肪(動物性飽和脂肪)食が、もっとも有力な原因とされている。
動物実験でも、高脂肪食で乳癌ができやすい。
なお、乳癌の多発している国の上位10か国に共通していることは、牛乳、チーズ、バター、クリームなど酪農製品の食べすぎであり、乳脂肪に含まれているエストロゲン前駆物質に問題があるのかも知れない、という
(Fratkin 日経メディカル 52号より)。
エストロゲン
エストロゲンは卵巣ホルモンの一つだが、乳癌との関係については、卵巣をとり去ると、乳癌の経過に好影響がみられ、動物では乳癌ができにくいこと、発癌物質をあたえた動物にエストロゲンをあたえると、発癌しやすいこと、などが知られている。
もっとも、エストロゲン自体には発癌性はなく、ただ発癌物質の作用を助長するだけだ、という。
発癌因子
ところで、乳癌も他の癌と同じく、発癌因子によって、抵抗のよわっている乳腺細胞が癌性化することにはじまるのだろう。
発癌因子には、汚染された大気・水・食物などによってとり入れられるものや、体内で発生するもの。あるいは薬品・放射線など、化学的・物理的なものが主であろう。
ビールス
しかし、生物学的のもの(ビールス)もあるかも知れない。
ネズミの乳癌はビールスによるそうだが、そのビールスと殆んど区別できないビールスが人乳にもあり、ことに、乳癌家系の婦人の乳汁に多くみとめられる、という。
ただし、このビールスと乳癌との関係については、まだ確実なことはわかっていない。
抵抗力低下
遺伝的に乳癌にかかりやすい家系がある。
また、過去に乳腺の病気のあったもの、ことに閉経後の乳腺のシコリ、あるいは、放射線治療をうけたものも、かかりやすい。
これらは、生れつき、あるいは病的に乳腺の抵抗力がよわっているからであろうか。
また、多くの高脂肪食家にみられる全身的の抵抗力の低下もあずかっていることだろう。
それは、高脂肪食が、ただ脂肪のとりすぎというだけではなく、肉・糖・精製穀食にかたより、野菜ことに有色菜の乏しい、栄養的に不完全な(熱量・蛋白質にはとんでいるが、ミネラル・ビタミン、また繊維にも乏しい)欠陥食であるうえ、各種有害有毒(発癌物質をふくめた)物に汚染されているおそれも多分にあること。
さらに、タバコ、酒、薬の乱用や、運動の不足、精神的ストレス過剰といった、日常生活の不自然・不合理化の結果、とかく、悪血(血の濁り)をまねきやすく、ために、一般ならびに局所の抵抗力・免疫能の低下をまぬかれないであろう、と考えられるからだ。
ホルモン系の変調
乳腺は、もともとホルモン系との関係がふかい。
乳癌が、子供の多い女性や、十分に授乳した女性には少なく、独身・晩婚、あるいは授乳しないか、授乳期間の短かった女性に多いのは、正常の生殖機能をいとなむことによって、ホルモン系が正常に保たれ、乳癌にたいする抵抗力にも有利に影響するのに反し、それが抑制されるばあい、ホルモン系の不調をまねき、抵抗力・防衛能にも不利に影響するのであろう。
また、高脂肪食、ことに乳脂肪のとりすぎにしても、おそらく、ホルモン系の不調をもたらすことによって、乳癌にたいする抵抗力がよわめられるのではないだろうか。
なお、初潮年令の若い、ことに12〜10才以下で来潮するもの(つまり性的早熟)や、体格の大きいもの(発育過良)に乳癌の危険度が大きいといわれているが、これまた、おそらく、高脂肪食(というより肉食を主とする美贅食の飽食)によるホルモン系の変調と関係があるのだろう。
予防
ともあれ、乳癌の予防には、なるべく、発癌物質をさけること、とともに、一般抵抗力・防衛能の強化をはかること。すなわち、発癌物質汚染のおそれあるものはもとより、すべて有害有毒食品はつとめてさけ、なるべく、自然の、安全良質食品のみをえらび、うまくバランスのとれた完全食を、なるべく自然のままか、自然にちかいかたちで食べること。
緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食。
あるいは、せめて青汁だけでも十分(少なくとも1日3合、もとの材料7〜800グラム以上)のむ。
菓子、コーヒー、酒、タバコ、薬品類の乱用をさけ適度の運動、環境の改善など、日常生活の合理化、自然化につとむべきであろう。
乳癌素因
なお、このことは、乳癌の危険が大きいといわれている女性。
中年以降の独身者、晩婚者、既婚者でも子がないか少ない(1〜2名)もの、授乳しなかったか、授乳期間の短かったもの、肥満、高血圧、糖尿病のあるもの、職業婦人、血縁に乳癌のあるもの、既往に乳腺の病気をしたもの、乳腺の放射線治療をうけたことのあるもの、初潮の早いもの、体格の大きいもの、毎日脂濃い肉食や乳製品を多くとっているもの、ピル(内服避妊薬)をのんでいるもの(エストロゲンが主薬になっている)、などには、とくに大切であろう。
(51・5)
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2. 食物はつとめて家庭の手作りで(1)
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友成 左近
ここ20年来、国民経済が高度に成長して、人々の生活は各面にわたって、以前とは比較しがたいほど豊かになり便利になってきました。
そして、人生で最も深刻な、食に飢える、といったことは殆んど全くなくなっています。
が、それで果たして以前より仕合わせになっているかといえば、必ずしもそうとはいいかねるところがいろいろあるようです。
とりわけ、人生なにより大切な健康が蝕ばまれている人々が多くなり、それが若年層ほど著しいようです。
それにはいろいろ事由があるわけですが、基調に、生活に必要なモノもサービスも、家庭の手作りより市販の方が便利であり有利であり、また優れていると考えてか、とかく市販に依存して、働くというのは、そのカネをかせぐため、といった生活態度があるようです。
であれば、幸い成長してきた国民経済に対処して、仕合わせに、とりわけ心身ともに健やかに生活していくには、生活に必要なモノもサービスも、その本当の意義と価値を考えて、当座の便不便や損得ばかり考えずに、実状家庭でまかなえる限り、つとめて家族互いに手を労してまかなうことが大切であって、そこを生活の最も重要な根幹であり、そして健康保持の最も重要な土台である食物について考えてみましょう。
家庭の手作りというのは
現代社会では、農家もさることながら非農家では、食料品は殆んどすべて市販でまかない、それも、それ相当に加工したものです。
が、最近は、この加工が以前は専ら家庭でしていた調理段階にまで及んでいる、既製の出来合い食品が目立って多くなっています。
たとえばウドンは、原材料である小麦を一次加工した小麦粉を買って手打ちで作り、あるいは二次加工した乾メンを買って茹で、ダシも家庭でとって調理していました。
が、最近は、茹でた玉ウドンを、さらには既製のダシまで買って調理したり、その手も省いて、調理加工までしたインスタントラーメンを買って、家庭ではただ熱湯をかけるだけといった場合が多くなり、また、手っ取り早く出前をとったり、外食したり、自動販売機で買う場合も少なくないようです。
こうしたことは各種各様の食物についても同様ですが、毎日の食物をこうした既製食品でまかなっていると、その依存度が高ければ高いほど、それだけ健康が心身両面にわたって損なわれ、これが成長期の子どもほど著しいのが実状です。
そこで大切なことは、毎日の食物は、実状家庭の手にかなう限り、つとめて原材料を(といって前記のウドンについていえば、小麦粉や手打ちウドンのように、家庭で加工するのは設備などの点で至難なものは、一次または二次加工したものを、またダシには煮干イワシ、カツオ節、コンブなどを)買い入れて、調理は家庭ですることです。
また原材料も、たとえば野菜などのように非農家でも作れるものは、屋敷内外に作る余地があれば最大限に活用して自作することが大切であって、ここで家庭の手作りというのは、こういう意味あいのことです。
この意義と派生効果
こういうふうに毎日の食物を、いわば時流に逆行して、つとめて家庭の手作りでまかなうのは、まずもって人生なにより大切な健康の最も重要な土台である栄養を、十分に、それも安全にまかなうためであって、市販の加工食品わけても既製食品に依存すればするほど、それがますます困難になるからです。
従ってこの手作りは、毎度の主要食であれ菓子その他の嗜好食であれ、市販の既製食品や料飲店などの飲食物にならったものではなく、材料の取り合わせ方も調理法も、従って見た目も味わいも、どこまでも栄養と安全の理にかなうと共に簡素なものであり、そして家庭の手作りならではのものであることが肝要です。
とはいっても、人々だれしも程度の差こそあれ、とかく安易に市販ですませたり、ふつう世間並のご馳走にならったりするところがあります。
であれば、それではとうてい健康は保っていけないことをシカと理解して、家庭互いに注意し合って慎まねばならないので、この点つぎに稿をあらためてみることにします。
ところで、こうつとめるのは、もともと一家の主婦をはじめ家族一人一人に、互いに健康を念願する心情があるからであって、こうした愛情は、健康と共に人生なにより大切なことであり、家庭生活の最も重要な基盤です。
が、この心情は、そこに必要なことがらを身をもってかなえていく間に、そうした働きと互いに因となり果となって、より深く養なわれるのであって、それを人だのみにばかりしてはなりません。
であれば、この必要なことがらのうち最も重要なのが毎日の食物であるので、そこをシカと分別して、まずもってこれをつとめてみずから手作りでまかなっていくことが大切です。従ってまた、こうつとめていると、とくに手作りする当人には言い知れぬ喜びが起こって、ある種の生きがいを感じます。というのは、人間生活の最も重要な基源は手を広く自由に使うことであって、人々だれしも心の底から求める生きがいは、この手を存分に使って生活していく間に、しぜんと感じてくるからです。
とはいっても、人々だれでも、ときにこれを空しく感じて厭い、ほかになにか生きがいを感じることはないかと願い求める場合があります。
が、それはムリというものであれば、この意義をシカと自覚して、これが習い性とならないように慎まねばならないので、この点も稿をあらためてみることにします。
なおもうひとつ、生活はモノにしてもサービスにしても多面にわたっていますが、各面相互に関連し合って、めいめい全体的に統一していますが、毎日の食物がその最も重要な根幹です。
従って、これをつとめて手作りでまかなっておれば、その心がけがしぜんと生活各面に波及してきます。
であれば、そこは積極的に心がけて、たとえば衣服や調度品その他広く生活用品をつとめて手作りでまかない、また、家庭とりわけ子どもの看護や学習や遊びなどにも、つとめて身をもってあたることが大切です。
そうすれば、というよりも、そうして初めて、家族一同、心身ともに健やかに生活していけるようになるのであって、万事市販にたより、また人だのみにしていては、とうていそうはいかないので、この点も稿をあらためてみることにします。
(51・5・1)
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3. 咳どめ
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咳は、ふつう、気管や気管支に痰がたまり、それが刺戟になって出る。
つまり、痰をとり除くための自然のはたらきで、痰がとれれば、それで止む筈のものだ。
しかし、痰がねばって取れにくいと、気持が悪いので強くせく。
その咳がさらに刺戟になって、いっそうひどく咳く、といったことになる。
そういう時には、痰をうすめて出やすくすれば、咳もらくになる。
昔からよくつかわれた咳どめ薬の多くはそれだ。
また、痰はないのに出る咳もある(から咳き)。
これは、気管や気管支が感じやすくなっているためで、カゼの初めや、カゼの治ったあとなどに、冷たい空気や乾燥した空気、タバコの煙やその他刺戟性のガスを吸ったり、酒をのんで充血するなので、咳が出る。
その咳が咳をよんで、とめどもなく出る。
そして、時には、血管がやぶれて出血したり、頭部がうっ血して、メマイ、嘔吐、はては意識をなくする、といったことにもなる。
これには、ふつうの痰とり薬は無効で、興奮している神経を鎮めるために麻薬をつかうこともある。
しかし、程度にもよるが、気を落つけて、我慢していると、存外おさまって来るものだ。
そのさい、マジナイとして、眼玉をおさえたり、喉仏の両側を強く圧へつけるのもよい。
また、頚に手をおいたり、頚や胸に温湿布をするのも効果的だ。
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4. 乳癌と初産年令
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WHOがおこなった大規模な国際協力研究の結果、共通して、乳癌に最大の危険をしめたのは初産年令の高いことで、これが、もっとも重要であることがわかった。
初産年令の高い人は、妊娠期間や授乳期間のため、必然的に分娩回数が少ない。
また、結婚年令の高い人は、当然、初産年令が高くなる。
教育年数の長い人は、他の女性にくらべ結婚がおくれ、かつ初産が高年になる。
福祉国家では女性の教育年数が長いなどのため、結婚年令が高いか、または、初産年令が高くて乳癌が高率になったと考えられる。
また、この人たちは、一般に授乳期間も短かった。
で、乳癌の第一次予防、すなわち、発生防止のための対策として、女性は、20才代に第一子を産み、ついで、適当に、第二子、第三子を産み、それぞれの子に母乳をあたえ、母体が適当の栄養をとることだ。)。
(湯浅秀 国立公衆衛生院、癌の臨床第62集、昭51・4より)
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5. サルのカゼ
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京大霊長類研究所の大沢済先生のお話。
サルの社会や生態を研究している仲間に聞くと、野生のサルもカゼをひくらしく、咳をしたり、鼻水を垂らしているサルもいるという。
ただ、そのために寝込んだりする様子はなさそうである。
飼育されているサルはカゼもひくし、肺炎になることもある。
捕獲されたサルの群れに肺炎がひろがり、バタバタと死んでいった悲惨な例がある。
自然の状態でもカゼくらいひくかもしれない。
ただ寒さに対する適応の能力が自由に発揮できるような条件の下では、その症状が軽くてすむのであろう。
(臨床科学 昭50・11月)
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6. 50年度学校保健統計
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7. しぼりカスで快通
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姫路市 S.M.
家庭の事情で青汁を休んでいましたところ、今年になって、体調がかわり、高血圧のようなので、青汁とともに医薬ものみ、だいたい平常に戻りました。
どうも、便秘気味で気持がよくないので、青汁のしぼりカスを、少し油いためして食べてみたところ、大便のぐあいがカラリと変り、快通し出し、からだの調子もよくなってきました。
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8. 半身不随者が自家用車運転
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倉敷市 S.S.
高血圧、入院2ヶ月。
車椅子、T字杖の半身不随者が、禁酒厳守3ヶ年。
青汁飲用2ヶ年半。
以来、いまでは自家用車を運転の現状です。
医師の言を守ることと、精神力以来なし、と考えました次第ですし青汁は一生つづける決心です。
午前6時起床、ケールの葉を採りに畑へ出るのが日課ですし、楽しみです。
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9. 心臓の故障があれば
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- なるべく安静。
直接心臓にこたえたり、疲れの残るほどの運動はさける。
但し、あまり安静にすぎ、ベッタリ臥ているのがよいとばかりはいえない。
心臓の力に応ずる程度のかるい運動はむしろ大切。
- 完全(安全)食の少食。
緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ、青汁食。
せめて青汁だけでも十分のむ。
但し、少量づつ、何回かに分け、総量は尿量の範囲にとどめる。
- 酒、菓子ひかえめ。
タバコやめる。
- 便通、毎日快通(腹がはると心臓にこたえる)。
- よくねむり、心の安静、いらぬ心配やとりこし苦労はしないこと。
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10. ひざの骨の痛み
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福岡市 Y.
材料があまりありませんので、いまの所、大根葉とキャベツ、ミカンを、毎朝ジューサーでしぼって、コップ1杯のんでおります。
左足のひざの骨が常にいたんでおりましたのが、青汁をのみはじめて、しばらくして、よくなりました。
この頃は痛みません。
青汁のききめと感謝しております。
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11. 風邪のこじれ
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京都府 K.S.
「自然食のすすめ、青汁と健康」を読んだのは数年まえでした。
このたび、母が風邪をこじらして、全身がつらくなって、医者からは、「検査の結果、どこも悪くない」といわれるし、本人は苦しがるし、どうしたものかと悩んでおりました。
ある人のすすめで、青汁をはじめましたら、だんだんに回復してまいりました。
現在は、軽い仕事をしながら養生しております。
有難うございました。
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12. カゼ・ビールス
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札幌市 T.S.
カゼ・ビールスは、発病の前日から、約1週間のあいだが、もっとも多い。
鼻汁には多くいるが、ノドには少なく、ツバやセキ、クシャミにも少ない。
指についていると長く生きているから、手洗いを励行し、目をこすったり、鼻をいじらないこと。
また、鼻汁は紙よりはハンカチでかむこと。
(北山徹 小児 昭50・8月号より)
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13. 白血病の寝汗
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14. シソの葉の青汁
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15. 質問箱 汁がねばってくる
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大阪府 Y.G.
問
寒くなってから、青汁がとれにくくなりました。
どうすればよろしいか?
答
汁がねばってくるからです。
水かぬるま湯でとかし出すようにして、
しぼって下さい。
それでもまだ、かなり、大切な成分が残っていますから、
カスも利用するよう工夫して下さい。
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コラム紹介
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くよくよしてもはじまらぬ、
とりこし苦労はなおのこと、
ただこの1日をよくいきよう
真の幸福は、
ただ、
その今有てる物に満足して安んするにあり
セネカ
善くすごされた処の生活の自覚と、
善くなされたあまたの行為の思出とは、
またとなく悦ばしいものである
キケロ
心を足心に収めてよく百一の病を治す
仏佗
宮崎県の西米良では
宮田(神社の供御田)をつくるに
山の枯木アヲキの葉を用い、
下肥を用いない
民俗学辞典
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