<1976年3月15日発行 第235号>
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目次
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1. 子どもの健康と母親の食べもの
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医学博士 遠藤 仁郎
こどもの健康、ひいてはこどもの将来には、母親の食べものが、少なからず関係する。
それは、胎生期から哺乳期のこどもの健康は、1にかかって母親の食べものにあるし、離乳後の健康を左右するこどもの食習慣や嗜好も、また、殆んど母親によってきめられてしまうからだ。
胎生期
妊娠中の栄養のまちがい、妊娠中の感染(ことにビールス)や中毒(妊娠中毒その他喫煙、飲酒などでも)、あるいは、薬剤、放射線などによって、胎児に発育異常(奇形その他)を生じたり、流産・死産などをおこすことはよく知られている。
胎児の、これらの傷害因子にたいする感受性は、胎生の早い時期ほどはなはだしく、受胎後20〜30日(〜60日)が最高といわれる。
が、これらの影響は、そういう、形にあらわれた変化だけでなく、ただ、機能的に劣った、抵抗力のよわい組織・臓器といった変化を生じ、それが、後の発病の素地になることも少なくないであろう。
風疹
(3日ハシカ)にかかった母親から生れたこどもに、目・耳・心臓・脳の奇形や発育不全をみるほか、血液系・リンパ系・神経系その他に異常があること。
原爆に被災し、あるいはレントゲン照射をうけた母親のこどもに白血病が多発すること。
切迫流産に使用された合成女性ホルモン(動物で発癌性が知られていた)のため、生後十数〜20年もたって発癌すること。すなわち、母体には何ら影響がないのに、胎児には、後の発癌の下地がつくられていること。
妊婦食の不適当なため、こどもにウ歯の素地ができ上るということ。
などなど、いずれも、こうした関係をものがたっている。
栄養の必要性
また、妊婦の病気、たとえば感染(細菌やビールスなど)にしても、本当に健康体であれば、かかることはないし、したがって、薬剤や放射線の危険にさらされることもない。
妊婦の、この健康(抵抗力・免疫力・防衛力)を保証するものは、正しい栄養を中心とする合理的日常生活であり、そういう条件下では、妊婦中毒などといったこともおこるものではない。
そこで、妊娠中の食事は、栄養そのものとしても、また、感染や中毒、その他の傷害因子の影響を防ぐためにも、きわめて大切。
すなわち、こどもの健康の基礎は、妊娠中の母親の食べものによって決まるわけで、妊娠食の適否は、こどもの、そして、その将来を支配するもの、といっても少しもいいすぎではあるまい。
現在の妊婦食
さて、現在、妊婦には一般に高蛋白食の必要が強調され、動物食がすすめられている。
その結果、胎児の発育はたしかによくなった。
しかし、反面、未熟児、流・早産・死産など、妊娠障害も決して少なくない。
これは、妊婦食があまりに肉食に偏りすぎた、不完全かつ不自然な食になっているからではあるまいか。
なぜそうなったか
もともと、この高蛋白食は、第二次大戦の欧州で、生めよふやせよ運動の一環として推奨された、牛乳(良質蛋白とともにミネラル・ビタミンにとむ)中心の栄養法だった。それが、わが国では、単に蛋白質だけの多い食と誤解され、肉よ魚よということになった。なるほど、肉や魚は良質蛋白源としてはすぐれている。けれども、ビタミンやミネラルには乏しく、大量(2〜3倍)の良質ナッパがそえられなければ完全食にはならない(牛乳では1/10量のナッパでよい)。
で、野菜ことに良質ナッパの少ない習慣食(精製穀や糖分にかたよった)に、肉・魚が加えられると、食全体としての不完全度は、いっそう甚しくなる。
そのうえ、今では、食品自体が劣質化し、有害有毒化さえしている。すなわち、食品生産法の不自然・不合理化によって、ビタミン・ミネラルに乏しくなっただけでなく、蛋白質さえも劣質化しており、高度の加工(精製や調理)は、さらに、それらの消耗の度を加えていること。農・畜・水産用薬品、産業廃棄物、洗剤、各種添加物などによる汚染。既成食品、加工・貯蔵食品など、有害有毒かも知れない食品の氾濫。これら汚染物の中には、発育障害(奇形)を原因するばかりか、肝・腎・造血器などの重要臓器をおかし、あるいは発癌性のあるものも少なくない。
というありさまで、本当に安心して食べられるものは殆んどないのが実状。
こうして、現在の妊婦食は、あまりにも不合理・不自然になっている。(授乳婦食、離乳後の幼児食もまた同じ。)
畜産家の悩み
さいきんの畜産家のあいだで、大きな悩みになっているのは、奇形仔や病弱仔、未熟仔、死産などの多いことだという(養鶏・養魚も同じ)。その原因が、不自然きわまる飼育法、とくに飼料にあることは疑いの余地はあるまい。
これら家畜の飼料には、農薬や産業廃棄物に汚染された(DDT、BHC、ドリン剤、PCB)、あるいはカビているかも知れない穀・豆・芋類、また、汚染魚粉、危険視されている石油酵母などが配合されており、さらに、発育促進剤(上記合成女性ホルモンもその一つ、抗生剤、その他。つい近頃禁止されたAF2さえも)が添加されている。
こうした家畜にみとめられていることが、どうして人間だけに起らずに済むだろうか。
厚生省が、先天性異常がさいきんふえている、と発表している事実(8ヶ月以降の死産児の先天性異常は、昭和25年に0・7%であったものが、47年には8・9%になっている)は、まさに、これをものがたるものであろう。
また、癌その他いろいろの難病・奇病がふえていることにも、こうしたことが関係しているのではあるまいか。
正しい妊婦食
妊婦の健康をまもり、病気(感染・妊娠中毒その他)を防ぎ、薬剤や放射線などの危険をさけ、本当に健康なこどもを生むためには、妊婦食は絶対に完全食でなければならず、また、安全食でなければならない。
食の合理化・自然化。緑葉食・青汁。イモ・マメ・ナッパ・青汁食。せめて青汁だけでも十分(1日3合以上)のむ。
こうした自然食(合理的完全食)をとっていれば、妊娠の経過は順調。
つわりその他の障害もおこらず、ふつうの日常生活をおくることができ、運動の不足することもなく、体力十分で、出産もかるい。
生児は、むしろ痩せ、見かけは貧弱だが、骨組はつよく、元気もよい。
乳はよく出る、吸う力はつよいで、グングン大きくなる(小さく生んで大きくそだてる)、知能の発達もよい。
乳幼児期
乳児期
新生児期はもとより、その後も、時期のはやいほど、すべての機能は幼稚で不完全なので、抵抗力はよわく病気しやすい。
そして、病気そのものによる、または、その治療のための薬剤の影響(直接、あるいは母乳をとおしての)もうけやすい。
(肝臓の解毒能、腎臓の排泄能ともに不完全であるだけに副作用がつよい)
そこで、さいわい回復し得ても、どこかに弱点(抵抗力のよわいところ)を生じ、後の発病の素地を残す可能性も少なくないわけだ。
この時期のこどもにとって、もっとも大切なものが正しい栄養であることは、初乳からの乳栄養児が、人工栄養児にくらべ、感染その他(アレルギーなど)にたいし、抵抗力が強いこと(癌にもつよいといわれている)をみても明らかであろう。
そういう質のよい母乳を十分に得るためにも、また母体の健康のためにも、授乳婦の食は妊婦食と同じく、つねに完全食であり安全食でなければならない。
幼児期
離乳後からの幼児期は、こどもの将来の基礎つくりの時期であり、食習慣のきまる時であるが、これまた殆んど母親によって方向づけられてしまう。
ともかく、母親の食べものは、こどもの生涯を決する。
おろそかにしてはならない。 (50・3) (遠藤)
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2. つけこみ感染
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医学博士 遠藤 仁郎
ちかごろ、困っているものに、つけこみ感染とか、日和見感染といわれる現象がある。
ある病原菌の感染の治療に、抗生剤をつかっているうちに、そのバイキンと一緒に、腸内に共棲している健常菌(大腸菌や乳酸菌など)がやられてしまう。
この共棲菌(大腸菌や乳酸菌)は、正常には、腸管内でビタミンをつくったり、侵入して来るバイキン(チフス菌やコレラ菌)の感染を防いだり、また、腸内にいる雑多なバイキン類の繁殖をおさえるなど、いわば、腸内感染の防衛に協力している。
この協力防衛菌が、抗生剤にやられていなくなると、これらにおさえられていた雑菌ども(抗生剤には強いので)が、この時とばかりはびこって来る(これを菌交代現象という)。
が、これら雑菌は、もともと弱力菌で、体力・抵抗力さえあれば、そう無やみに感染をおこすなどということはないのだが、病気のためからだが衰弱していたり、いろいろの治療薬(ことに副腎皮質ホルモンや抗生剤・抗癌剤など)のために抵抗力、免疫力が弱められると、その弱り目につけこんで、日和見していたやつがあばれ出し、感染をおこすようになる。
そういう、よわり目にたたり目といった感染であり、適確な治療法もないだけに、始末に困りきっているといわけだ。これが予防には、結局、体力・抵抗力の維持をはかるしかないから、こういう心配のあるようなばあいには、とくに十分の青汁を中心とする完全食に徹底すべきであろう。 (50・3)
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3. 聖人と酒
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4. 訪台記(3)
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医学博士 遠藤 仁郎
雙渓
もと金鉱山があったというかなり高い山(地図に基隆山589Mとあるのがそれか)を越え、バスはだいたい蘇澳線の鉄道ぞいに走っている。
やがて、同行米田氏(横浜)の思い出の地、雙渓。
ここで、26キロもあるという大ばけ鰻を見せてもらう。
米田氏の懐古談
車中でされた感慨深い米田氏の懐古談。
戦時中、軍属として運送船に乗組んでいられた米田氏は、この沖合で敵の魚雷攻撃をうけ、僚船の中には轟沈したものもあり、多数の将兵が海中になげ出された。
鮫に喰われるもの、溺れるもの、力つきて波に沈むもの。戦友の悲惨な姿を目のあたりにしながら漂流十数時間のうち、漁船に救助され九死に一生を得、この雙渓に滞在していられた。
石城
雙渓からその海岸に出、おびただしい遺体がうち上げられたという岬をまわると、石城という日南海岸を思わせる海岸の小駅。数軒の高砂族の民家がある。そこに、米田氏の当時のことを、父親から聞いて知っているという人があり、米田氏の感激はいっそうたかまる。
宜蘭
温泉湯の礁渓、このあたりの中心地宜蘭をすぎ、羅東で小休止。
林栄波氏の製材(台湾桧)工場見学。
良質の桧は、北回帰線以北の2000〜2500M級の山にそだったもので、ここのは、阿里山と並び称せられている大平山(1500M)産の由。
事務室の壁には、
天下両難あり、天に登る難し、人を求むる更に難し。
地上両苦あり、貧窮苦し、病死更に苦し。
世界両険あり、江湖険し、人心更に険し。
人間両薄あり、春氷薄し、人情更に薄し。
其難を知り、其苦を忍び、其険を測り、其薄に耐え、世に処すべし矣。
という司馬温公の処世訓がかかげてあった。 (遠藤)
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次号参照 |
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5. 新春だより
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札幌 高橋左武郎
自然食ブームを苦々しく思っております。
青汁によって開眼して20年近く当時を思いおこし感無量です。
東京 頼正山
毎号のご執筆、大変役にたつので、北京の子供らにおくっています。
大阪市 勝島喜一郎
三高卒業55年の一部二部三部合同の会は、四条烏丸西南角の旅行会館に、5月4日正午集合で行うことに幹事できめました。貴兄の本を読んで、毎日青汁を飲み続けて15年。それに、毎朝1キロ駈足。夕方には6キロ強歩。いたって健康です。是非出席して、青汁の話をして下さい。
小田原市 加藤一作
先生の学説実証に感激のあまり、知友に300通発信しました。
健康保持のため、皆、実行してくれるものと信じます。
東京 河野裕行
癌学会等でも、ようやくのこと、宿主例に注目するようになりましたが、人が助かりそうな方法があっても、容易には見むきしない医学会の不思議を痛感いたします。
静岡 藤田多紀志
自然にかえることを、今ほど、人類に教えている時代はありません。
さらに、ここに、緑葉食青汁による健康運動を推進してゆきたいものと痛感いたします。
大阪府 久保田加久子
主人の心筋梗塞も、私の腎臓も、まずまず平穏でございます。
島根県 山田弘
先生のお力により多くの人々が助かりました。
新年とともに、多々益々拡大し、ご厚恩に浴したいと存じます。
大分県 小川忍
青汁歴13年になりました。体調は順調です。病気で休んだことはありません。
家内も胃を4分の3切除して3年になりましたが、青汁をさかんにのんで順調に行っています。
台湾 呂百川
思えば、初めて先生のご指導を受けて、一縷の希望を抱いて、初一念を貫徹する決心をして、青汁療法に専念してから13年の歳月が流れました。そして、緩慢ではありましたが、病状が次第に快方に向い、体力がついて、復職が可能となり、一家の生計を立てなおすことが出来ました。
ご恩は万の一も報ゆることが出来ません。当地の青汁普及にできうる限り尽力いたします。
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6. 総会のこばれ話
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50年5月の総会で。
瀬戸君(塩釜)
腎炎で10年間静養。
その間、カゼひきやすく、ひくと必ず蛋白が出、体調不良、ということのくりかえしだった。
癌溢血の叔父が青汁でよくなったことから、のみ出した。
からだが軽くなり、カゼをひかなくなった。
それまで、1年に、少なくとも1回、1週間くらい欠勤していたが、昨年は1日も休まず、カゼ気味でも青汁を濃くしてのめば、そのままおし切れるようになった。
金田夫人(塩釜)
昨年の夏、胃潰瘍で貧血し、やせ、手術をすすめられた。
10月から、イモ・マメ・ナッパ・青汁食を熱心に実行。青汁は毎日4〜5合。
3ヶ月で「カゲ」はなくなり、食欲すすみ、顔色もよくなった。
また、かなりきつかった背の痛もとれた。
五十嵐夫人(新庄)
1年まえから眼がおかしくなり、昨年10月、緑内障と診断された。
いらい、青汁は毎日6合(粉末併用)、イモ・マメ・ナッパ食を徹底的にやったところ、1ヶ月足らずで好転。
2ヶ月あまりですっかりよくなった。
島田氏(市川)
ホウレンソウの青汁がよいと、ある本に書いてあったので、熱心にやっていた。
たまたまヘルニア(脱腸)の手術をうけたが、傷口が糸で結びにくいほどもろくなっていた。
(ホウレンソウは緑色は濃いが、成分的に劣っており、腎臓に石が出来ることもある。青菜の中では最低品で、青汁には絶対不向き)
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7. モグラとりの名案のご教示を
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8. ケールが2本
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東京都 H.T.
1昨年の初秋まいたケールが、ベト病をのがれたのが2本元気です。
去年、晩秋まきが、殆んど芽を出しましたが、寒さに負け、僅かになりましたので枯草をかぶせました。
ジウサーで絞ると、中々うまく絞れません。
味は美味とは申されませんが、体にはいいようです。
寒くておっくうなので、おひたしに致しましたら、全く美味です。
たった2本なので、今は眺めています。
かわりにコマツナをうでます。ホウレン草よりも好きです。
保育園の散歩でみつけたノビル。細いですが、卵とじなどとてもいいですね。やわらかいです。
会報は友達にもお見せしています。
でも私は食いしん坊にて、紅茶が好きなので困ります。
甘いお菓子も好きですが、その時は生野菜を多くいただきます。
玄米か半搗米。みそ汁は毎日。干物、めざしが好きです。豆はお腹が張ります。
食いしん坊をなおしていただくよう聖母様に頼みましょう。
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9. 青汁に始まる1日
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呉市 H.M.
朝食に、青汁飲み始めて約15年。
過去、アレルギー体質に悩まされ、あらゆる医薬品使用したけど駄目でした。
春より初冬に至るまでの皮フ疾患。それも何時しか忘れるようになった此頃です。
1日のスタートは、青汁より始まる私です。
常に若々しく、健康で、快活でいられるのは、青汁のお陰だと信じておます。
より多くの方達に、早く、この喜びを味わってほしいと望みます。
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10. アル中の奇形
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アルコール中毒の母親から奇形が生まれるかどうか、結論がでていなかったが、ジョーンズらによると、慢性アル中の8名の母親から、頭蓋や顔面、四肢、心臓などにいろいろの奇形児が生まれた。
これで、動物でも人間でも異常があらわれることが明らかになった。
(Jones ら Lancet, 1973. 6. 9 号)
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11. 妊婦の喫煙
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喫煙で妊娠率の低いこと、胎児の発育がわるく、自然流産や死産、産後の死亡の危険の大きいことはよく知られている。また、その後の発育だけでなく、知能の発達も劣り、7才になっても読書力のおくれていることもある。
なお、死亡児には、先天性の心疾が多い(喫煙母の1000児につき先天性心疾7・3にたいし、喫煙しない母からは4・7だった)という。 (Nature, 231,1971)
そして、これは、ただニコチンだけでなく、おそらく、血中のCO(一酸化炭素)の増加(胎児のCOは母体のそれよりも濃度がたかい)にも関係があるだろう、といわれている。
さいきん、女性の間に喫煙の習慣がかなりひろがってきているが(専売公社の調べで8%が女性)、その影響は、このように、ひとりその本人だけにとどまらず、胎児におよぼすところが少ないのだから、少なくとも妊婦だけは、絶対のむべきではない。
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12. よくなっていたのに
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大分県 K.M.
糖尿で困っておりましたところ、青汁を愛飲させていただいて、大変快方にむかい、よろこんでおりました。
7月頃よりケールもなくなり、青汁も途絶えて、また糖が下りるようになり心配なので、ケールの種子をおねがいいたします。
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13. 感謝でいっぱい
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14. 慢性のリウマチ
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15. 新生児異常
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16. 質問箱
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大分県 B.
問
はじめは大きな葉になって重宝しましたが、しだいに小さくなってしまいました。種子の変質かと思いますので、本部のよい種子をわけて下さい
答
いくらでも差上げますが、おそらく種子のせいではなくて、土地がやせて来たからです。
草木の葉や、古たたみのわら、台所の残りものなど、つまり堆肥や緑肥をしっかり施して下さい。
土がよくなるにつれて、またよく出来だします。
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