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健康と青汁タイトル小 <1975年1月15日発行 第221号>
 目次




1. こうしたら癌も防げるのでないか(1)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     難病中の難病の癌。なろうことなら罹りたくない。しかし、現代医学は、そのめざましい進歩にもかかわらず、まだ原因は不明(ビールスらしいというデータはふえつつあるようだが)。予防にも適確なきめてを知らず、ただ、発癌物質(発癌因子、発癌促進因子)を除き、遠ざけるよう心懸けるほかあるまい、といっているにすぎない。

    発癌物質
     しかし、発癌物質は、化学工業のすさましい発展にともない、いたるところにまき散らされ、大気も、土も水も、食物も汚染されてしまい、薬剤(医療用・産業用・その他)にも、放射線にも危険いっぱい。まるで、発癌物質にとり囲まれているようなものだ。

    抵抗性
     癌は、ふつう、不治と考えられている。けれども、ごく稀にではあるが、自然に治るものがある。また丹毒にかかったり、ハシカその他のビールス感染で腫瘍がよくなることがあり、さいきんではBCG(弱毒性結核菌)その他の細菌やビールスの接種による治療も試みられていること。あるいは、乳児ことに、初乳から母乳をのんでいる乳児には癌が少ないし、経過も比較的よいといわれていること(母乳ことに初乳には免疫成分が多い)。など、ともに、免疫力の強化による効果を思わしめる。
     また、逆に、癌が老人に多いこと。食欲がよく、体力さかんな間は進行がおそいが、手術その他で、体力が衰えたり食欲がなくなると、急に悪化すること。免疫抑制剤で発癌率が高まること(たとえば、腎移植で免疫抑制剤をうけたものに、癌ができやすい)。など、いずれも、体力、免疫力の低下とともに、癌が進行したり、発生することをしめしている。

    条件しだい
     これらの事実からすれば、個体の条件のいかんによっては、癌に抵抗しうること――細菌やビールスの感染で、病原体の毒力と個体の防衛力(抵抗力、免疫力)のいかんによって、治・不治がきまるように――癌でもまた、体力・抵抗力・免疫力しだいでは、よくなったり、治ることもありそうに感じられる。

    文明国に多い
     また癌が自然食をとり、自然的生活をおくっている未開民族には少なく、工業化がすすみ、加工食品を多く食べている先進文明国に多いことは、産業廃棄物その他による環境や商品の汚染とともに、食糧生産方法の不自然(農薬・化学肥料、ハウス栽培。畜水産の薬剤依存など)。高度の加工(精製・調理など)、既成食品の氾濫。による食品の質的低下(栄養素ことにビタミン類・ミネラル類、とくに痕跡ミネラル分の損耗)。さらには、美贅食(精製穀・肉)にかたよった不完全食(熱量・蛋白質にはとんでいるが、ビタミン・ミネラルは甚しく不足している)の飽食。過度の喫煙や飲酒、甘味品摂取。放射線や医薬品の乱用、精神的ストレスの過剰、運動不足。また、感染症や外傷の減少、あるいはそれらの早期治療のため、免疫体生産の訓練ができなくなっていること。などによって、体力・抵抗力や免疫力の減衰をまねいている結果ではなかろうか。

    日常生活、ことに食の合理化、自然化
     そうだとすると、この業病をまぬかられるには、できるだけ発癌物質を除くよう、また、遠ざけるよう、つとむべきことはいうまでもない。が、それとともに、適度の運動、鍛錬。あるいは各種刺戟法を講ずるなど。また、日常生活の合理化、自然化をはかり、細胞や組織、臓器の老化を防ぎ、若がえりにつとめ、もって個体の全機能、ひいては、体力・免疫力をたかめ、癌にたいする防衛力・抵抗力を強化すべきであり、その中心をなすものは、何としても、まず、食の合理化、すなわち、完全化、安全化=自然化であろう。

    食の合理化

    1、完全食
     体力・抵抗力の維持・増進のためには、すべての栄養素がそろい、バランスがうまくとれている完全食でなければならない。
    熱量  十分の熱量。しかし、過剰、ことに糖質や脂肪の過剰はよくない。癌は、だいたい美食飽食家に多い。これは、ただ熱量が多すぎるためだけではなく、美贅食がとかく栄養的にかたよった不完全食になっており、代謝の不完全、ひいては、悪血(血の濁り)をまねきやすく、ために、体力・抵抗力をよわめる結果となっているからであろう。
    糖質  動物実験で、糖質の多い食では、その乏しい食にくらべ、癌の進行が甚しいという。米食地方に胃癌の多い事実と思いあわせ、糖質とくに砂糖や精製穀(白米飯、白パン、白メン類など)の過食はさくべきであろう。
    脂肪  欧米流の肉食では大腸癌が多い。これは、脂肪にとみ、植物繊維が乏しいため、腸内細菌叢に変化を生じ、脂肪や胆汁酸の分解が高度となり、発癌性の分解産物ができる可能性があるうえ、便秘にかたむき、発癌物質(腸内発生および外来性の)との接触時間がながくなるためであろう、といわれている。
     また、肉食は、とかく不完全食になりやすく、代謝が不完全となり、血の濁りをまし、体力・抵抗力に不利にはたらくからでもあろう。ともあれ、脂肪にとむ肉類やチーズ、バターや牛豚脂などの過食はつつしむべきであろう。
    植物脂肪  また、植物脂肪の過食もよくないらしい。現在、欧米先進国で最大の関心事は、心臓冠状動脈の障害(狭心症、心筋梗塞など)の多発だが、これが、動物脂肪の過食による血液コレステロールの増加のためとされ、その対策として、血液コレステロール低下作用のある植物脂肪(ヤシ脂を除く)がすすめられていることは周知のとおりだ。ところが、なるほど、そうすると、冠状動脈障害は減るが、癌死がふえて来る、という。だとすると、脂肪は、動物性、植物性をとわず、ほどほどにすべきで、あまり食べすぎるのは考えもののようだ。
    蛋白質  十分の蛋白質が必要であることはいうまでもない。不足し、栄養失調になると、細菌やビールスに対してだけでなく、癌にも抵抗力がおとろえる。けれども、かたよった蛋白過剰は、代謝を負担し、悪血(血の濁り)の原因となるし、腸管内で発癌物質のできる可能性もある。
    ミネラル  栄養のバランスをとり、代謝を完全にするためには、また、癌防衛力の強化をはかるためにも、十分のミネラルことにカルシウムが必要。(石灰岩土壌地域には癌がすくない)なお、痕跡ミネラルの適量に癌防衛的作用があるという、最近の研究は注目すべきであろう。
     微量のゲルマニウム、適量のセレン(多すぎれば発癌性)が、動物実験で、発癌を抑制すること。微量の銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルトなどが、発癌物質ベンツピレンを分解する酵素の作用を促進すること(つまり発癌物質の分解をすすめる)。
     土壌中にモリブデンが不足すると発癌が促進されること(植物中に硝酸塩がふえ、これが亜硝酸になり、アミンと結合して、発癌性ナイトロサミンを生ずることで。後章参照)。
     そして、癌の多発地には土壌中の痕跡ミネラルの欠乏が考えられる、といわれていること。(また、カルシウムや痕跡ミネラルによって、水銀、カドミウム、鉛などの公害物質の害が、ある程度防がれる、ともいう。)
     これらの点から、ミネラル(痕跡ミネラルをふくめて)は十分に、むしろ、多すぎるくらいのほうが安全のように感じられる。(痕跡ミネラルは、あるかないかの極く微量だが、これなしには正常の機能は営めない。しかも、多すぎても少なすぎてもよくない)
    ビタミン  代謝の完全をはかり悪血を去り、体力・抵抗力の完全を期するためには、十分のビタミンが必要。
    Cと癌  ビタミンCは、発癌性ナイトロサミンの生成を抑える作用があるらしい。亜硝酸塩は、アミノビリンと、一定の条件の下で、ジメチール・ナイトロサミン(強力な肝毒性、発癌性がある)を生じ、肝臓を障害するが、その際、ビタミンCがあたえられると、それが防がれることが、動物実験で証明されている。ほかの発癌物や喫煙(タバコの煙には発癌性がある)でも、ビタミンCが減る。
    B2,A,Cと癌  アゾ色素による発癌を妨げる小麦の成分はビタミンB2だといわれているし、(後章米の項参照)さいきんアイスランドの研究では、胃癌とビタミンA・Cの不足との関係がいわれているなど、ビタミンにも発癌にたいし抑止的の作用があるらしい。いずれにしても、ビタミン類は、ミネラル類と同じく十分に、いや、むしろ多すぎるくらいにある方がよいようだ。
    バランスの
    あり方
     そこで、癌に対抗する完全食のバランスのあり方としては、熱量は、十分だが、すぎないよう。とくに、糖質や脂肪はひかえめ。蛋白質は十分。そして、ミネラルやビタミンには十分余裕のある、むしろ、多すぎるくらいの栄養が望ましいといえそうだ。

    (つづく)


次号参照

2. 煙・煤と癌

     タバコの煙、工場や暖房その他の煙・煤。自動車や航空機(ことにディーゼル車やゼット機)の排気ガスなどには、強力な発癌物質(ベンツピレン、ベンツアントラセンなど)があり、吸入して肺癌多発の有力な原因とみなされている。また飲みこまれて胃にはいり、胃癌の原因にもなる。なお、煙や煤にあるフェノールは、亜硝酸塩と結合すると、パラニトロフェノール(強力な発癌性がある)になる可能性もあるという。煙でいぶしてつくる燻製品や、焙り焼きした肉(テキ、バーベキュー)にも発癌性があり、(燻製の羊肉1キロのベンツピレンの量はタバコ250本にあたるという)。
     アイスランドやフィンランドなど燻製の肉や魚をよく食べるところには胃癌が多い(アイスランドでは胃癌死亡率は35%以上だという)。ウエストマン島でも、胃癌が多く死亡率平均32%、女性は50%に及んでいるというが、ここでは燻製品は食べていない。しかし、飲料水は、煤をかぶった屋根からあつめた雨水なので、煤で汚れた水が原因だろう、といわれている。
     また、ユタ州の2ヶ所の軟(歴青)炭鉱山には、ユタの他の炭礦の3倍も胃癌が多いが、これは軟炭の煤にベンツピレンが多いこと、煙が微細な煤になって吸入され、のみこまれるため、と説明されている。ポーランドでも、工業地区に胃癌が多い(農村にくらべ2〜3倍多い)が、これも大気汚染に関係するものと考えられている。



3. 反対のいろいろ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     緑葉食・青汁をはじめて30年。かなり認識されて来たようにもみえるが、まだまだ反対も少なくない。

    毛嫌い
     なかには、ただの毛嫌いといった無邪気なのもある。

    アクがあるから
     銀座のクッキングスクールの校長さんのように、アクがあるから、味が悪いから、一度に沢山のむから、よくないといった他愛のないものもある。
     ふつうそのまま食べている、栄養価が高くて香りのよいシソの葉でも、すりつぶして青汁にすると、いわゆるアクが出て、ドス黒い色になり、味も匂いも悪くなる。しかし、あのアクをもこめてのシソの葉だ。つまり、アクも栄養の一部。よいものの一部が、決して、悪いものであろう筈がない。アクは「悪」ではなく、「善」だというわけだ。
     それに、アクなるものの本体も、も一つハッキリしてはいない。どうも、そのまま食べれば何のことはないのに、いろいろ手を加えているうちに、色が悪くなったり、味や匂いがヘンになると、アクだといって嫌うだけのようだ。

    陰性体質
     主に民療家のいわれることだが、青汁は陰性の強いものだから、陽性の人にはよかろうが、陰性のものにはよくない、という反対。漢方では、体質に陽性と陰性の二つがあるとされている。陽性というのは、よく肥って頑丈な体格で、血色も元気もよいもの(いわゆる実証)。そういう人には陰性(冷性)の食べ物、つまり菜食がよい。
     しかし、反対の陰性のものは、細長い体格で、一般にひ弱く、胃腸下垂、胃弱、便秘、低血圧、貧血などのあるもの(虚証)で、これには肉・魚や卵など陽性(熱性)の食べものがよく、陰性(冷性)の野菜や果物はさらに陰性をつのらせるからよろしくない。むしろ禁忌だ。だから、ナッパからつくった青汁など、もってのほかだというわけ。
     いかにもスジが通っているように、一応はきこえる。しかし、私どもの考えでは、陰性の体質も、決して陰性の食べものだけに原因されるのではない。要は、栄養のあやまり、不完全食の結果だ。つまり、そのために招かれた代謝変調(血の濁り)によって、もともと弱かった素質がハッキリ出ただけのことだ。だから、そのひ弱さを治すためには、何としてもまず正しい食、すなわち完全な栄養の補給が根本だ。そして青汁は、この不完全な習慣食に不足している良質ナッパを補うもっとも適切な方便なのだ。だから、青汁を飲んで悪かろう筈は少しもない。事実、また、それまでどうしても健康になれなかったのが、青汁によって、はじめて本当に元気になったという例はいくらでもある。

    胃下垂
     胃下垂によくないというのも同じ。胃下垂には水がいけないといわれるので、青汁もよくないと考えられているためだ。青汁はなるほど水だ。しかし、これはただの水ではない。もともとナッパのなかにあった水分で、もしナッパとしてであれば全然問題にされない筈のものだ。栄養を完全にするために食べる野菜には問題はないのに、それからとった汁はいけない、という道理はどこにもあり得ないではないか。もし、胃がダブつくのがいけないなら、一度に沢山でなく、少しづつ飲めばよろしい。

    緑内障
     緑内障にも水分を多くとることが禁じられているので、青汁もよくないといわれる。が、私は、むしろ大いに飲んでみるべきではないか、と考えている。緑内障は、眼球の内圧がたかまっておこるもので、いろいろの原因があるようだし、なぜ眼圧が上るかについてもまだ十分には解明されていない、ということだ。水分がきらわれるのは、おそらく、水分がからだにたまることも、その原因条件の一つと考えられているからであろう。とすると、水分のたまるのをさけるよう、なるべく利尿のつくことが望ましいわけだ。したがって、ふつうのように、精製穀食(白米飯、白パンなど)や糖分(味つけの砂糖や菓子)などを過食していて(これらはいずれも水分をからだに滞留するようにはたらく)、大量の水分をとることは慎しまなければなるまい。ただし青汁は別だ。なぜかというと、青汁は水には相違ないが、ただの水ではなく、野菜ことにビタミン・ミネラルにとんだ良質緑葉菜の汁であり、ただの水よりは、ずっと強く利尿的にはたらく水だ。だから、どんな場合でも飲んで悪い筈はないし、まして、同時に精製穀や糖分をへらし、野菜・果物を十分に配した完全食(たとえばイモ・マメ・ナッパ食)のばあいは、少しも差支えないばかりか、大いに有利な条件をあたえるものといえよう。また、徹底した完全食と青汁一日6合で、奇蹟にちかい卓効をみることがある。

    無酸症
     胃酸の高すぎるのにはよかろうが、低酸や無酸症にはよくない、という反対説もある。しかし、胃酸が高すぎるのも低すぎるのも、結局は、平素の食べ方の間ちがいに原因しているのだから、同じく青汁で食を正しくすればよろしい。

    低血圧
     高血圧にはよいが、低血圧にはよくないというのも同じ。
     
    栄養不足
     緑葉食・青汁、イモマメ・ナッパ・青汁といった食べ方では、栄養が不足する。ことに蛋白質が不足して栄養失調になり、体力・抵抗力をよわめる。もっと肉や魚や卵といった、いわゆる「滋養」のあるものを食べなければいけない、というもので、折角のみはじめ、調子が出だしているのに、惜しいことに、中止してしまう多くの原因はこれだ。いかにも科学的の反論で、理路まことに整然としているようにみえる。けれども、実は大きなヌカリがこれにもある。いわば、気はきいているが間のぬけた妄説だ。緑葉食・青汁だの、イモ・マメ・ナッパ・青汁食だのといっているので、野菜ばかり食べるのだと勘ちがいされるのももっとものことだ。しかし、これまでの習慣食にナッパ・青汁を添える緑葉食・青汁のばあいはもとより、とくに栄養の不足しやすいと考えられるイモ・マメ・ナッパ食にしても、熱量や蛋白質の絶対量は決して不足はしていない。
     それに、良質緑葉菜には、含量こそ少ないが熱量も蛋白質もあり、しかも、その蛋白質は動物蛋白に匹敵する優秀なものだ。そのことは、象、犀、キリン、馬、牛などの草食獣の食料が、自然の状態ではただ草木の緑葉にかぎられていることからもわかろう。また、化学分析からもその優秀性は証明されている。そのうえ、緑葉には熱量や蛋白質を節約する能力がある(豊富なミネラル・ビタミンのため、栄養素の利用効率がよいので)。つまり、ふつうの習慣食のように、ミネラル・ビタミンの不足の甚しい不完全栄養のばあいよりは、ずっと必要量は少なくてすむ。そこで、栄養不足のようにみえても、決してそうではなく、むしろ十分に余裕のある食べ方になっている。
     なお、安全性の点でも有利(農薬汚染さえなければ)。実際、徹底した純イモ・マメ・ナッパ・青汁食だけをつづけても、栄養失調性の変化がみられることはないし、若干の動物食品が配伍されるならば、いっそう蛋白不足に陥るおそれはない。(この食養法は、要するに、ナッパを十分に補給して栄養を完全にするのが目的であって、決して動物食品の摂取を排斥するものでも、否定するものでもない)また、ナッパ食・青汁をやりだすと動物食にたいする欲求の減る事実も、蛋白質が十分に補給されていることを裏書するものでもあろう。
     なお、安全な蛋白源の確保の困難な、そして、世界的食糧不足のさけばれている今日、良質安全な緑葉の利用はもっともっと注目されてよいのではないだろうか。

    その他の反対
     そのほか商売の邪魔になるからというのもあるそうだが、これは、もちろん論外だ。



4. 母乳のよさ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     母乳栄養児のほうが、人工栄養児よりも、病気にたいする抵抗力がつよい。
     呼吸器や消化器の感染に罹かる率は、母乳栄養児が最低、人工栄養児が最高、混合栄養児が中間だ、という。
     また、母乳、ことに産後最初に出る「初乳」はとくに大切で、これをのまさないと丈夫にそだたぬ、といわれていた。
     しかし、それが何のためであるか、科学的に説明のつかない間は、まるで迷信であるかのように考えられていた。また、衛生状態が悪くて感染症の多いところでは、いかにも、母乳の優秀性がはっきりあらわれるが、衛生状態がよくなって感染症がへって来ると、そのよさがめだたなくなる。そこで、とかく、母乳の価値がうたがわれたり、無視される傾向がつよかった。
     ところが、最近の研究によって、母乳に、すべての病原体にたいする有力な免疫体(IgA)があること、ことに初乳に、それが極めて高濃度に含まれていることがわかった。もっとも、当初は、この免疫体は腸から吸収されないので、はたして母乳から乳児につたわるかどうか、疑問視されていた。しかし、今では、この免疫体で胃腸管がおおわれるだけで、すべての病原体にたいし強い抵抗(防衛能)を発揮することがはっきりして来た。
     また、生後すぐに牛乳をのましておきる牛乳アレルギーおよびその他のアレルギーも、胃腸管がこの免疫体でおおわれていると、防ぐことができる。さらには、乳児に癌性の病気の少ないのも、母乳、ことに初乳のせいではあるまいか、ともいわれているほどだ。なお、母乳にはこのほかラクトフェリンという、鉄を含む抗菌(とくに大腸菌にたいし強くはたらく)作用物質もある。いずれにしても、これらの事実は、ながい間につみ重ねられた経験上のおしえは、たとえ現在の科学で説明しえないとしても、決して、一概に非科学的と否定し去るべきでないこと。すなわち、それは、ただ、現在の知識では説明できない。いや説明する能力がないだけのことだ。ということを如実にしめしている、といってよかろう。(49・8)



5. 母乳の抗癌性

     嬰児期には癌は非常に稀であり、予後も、長じたものよりもずっとよい。これは、免疫的の因子によるものらしい。しかも、この因子は母体から受動的に受けるものが主のようだ。そして、その免疫能は初生時に最高で、自動的防衛能があらわれるまでに、しだいに減じてゆくのだが、癌にたいしても同じことがいえるようで、母乳から移行する抗体は僅かだろうが、癌細胞をおさえるに十分であるらしい。
     

    (Lowry,Lancet 74.4.6日号より)



6. パラフィン

     ミカン類、乾果物、菓子、チューインガム、チーズなど、見かけの美しい、つやつやしたものは、被覆剤としてパラフィンが塗ってある。このパラフィンは、精製品は無難だが、精製不十分な粗悪品には発癌性が残っている。もしや、そういういかがわしいものが、つかわれていないだろうか。



7. 伝不習乎―青汁の伝聞伝達にあたって―

     友成 左近 

     遠藤先生に教えて頂きながら青汁食養生につとめ、また、その効果をだんだんと体験するにつれて人にもこれをすすめていますが、そこで改めて意義深くかみしめていることばは「伝不習乎」(論語学而編第四節中の一句)です。(貝塚茂樹著・講談社現代新書「論語」、下村湖人訳・角川文庫「現代訳論語」、武内義雄訳注・岩波文庫「論語」その他を参照)

    両様の読解
     これは、曽子が「吾日三省吾身」(吾日に三たび吾が身を省みる――私は毎日その日の自分の行動を、つぎの三箇条に照らして自己反省してみることにしています)といっている第三の箇条であって、この読解は古注新注によって少し異なっています。

       古注によれば、「習わざるを伝えしか」と読んで、「かつて先生に教えて頂いたことを、十分納得するまで実践復習せずに、弟子たちに教えてしまったのではないか」と解し、
       新注によれば、「伝えて習わざるか」と読んで、「先生に教えて頂いたことを、十分納得するまで実践復習していないのではないか」と解しています。

     なお論語は、孔子とその弟子たちのことばを、孫弟子あたりが収録したもので、曽子は孔子の弟子です。が、師より46も年下という最年少の弟子で、親しく教えを受けたのは5年たらずでした。が、孔子を最高至尊の師として忠実に仕え、また非常に謙遜で誠実な努力家であって、孔子の没後、その祖国にとどまって、師の学園の正統を継いだ人物です。
     そこで、曽子の「三省」を、孔子に師事している弟子として語ったことば、という観点にたてば、「伝えて習わざるか」という新注の読解になり、曽子がその弟子たちに、孔子の学園の継承者として語ったことば、という観点にたてば、「習わざるを伝えしか」という古注の読解になるわけです。が、そうした考案はともかく、青汁食養生を先生に教えて頂き、またこれを人にすすめているうちに、このことばを両様に読解して、改めて意義深くかみしめ、及ばずながらもみずからそう心がけ、また、口はばったいことながら、人にもそうすすめるようになったのですが、それは蛇足ながらこういうしだいです。

    教えて頂く立場から
     まず、教えて頂くのは、なによりもまず自分の健康をはかるためですが、それには、いかにも分かりきったことながら、教えて頂いたことをみずから実行しなければ、およそ無意味なことであり、その意義もとうていよくは分かりません。たとえ多少は分かっても、ただたんにモノ知りになっただけで、それもやがては忘れ去ってしまいます。
     ところで、人生なにごとについてもそうですが、とくに食事については、生来身につけてきた常識や習慣や好み通りにしたく、とかくそれに執着するのが実情です。が、青汁食養生は人々ふつうのそれとは少々かけはなれています。そこで実行には、その意義がよく分かってこなければ、とうていふみきれず、たとえよく分かってきても、なお習慣や好みにひかれて容易にふみきれないのが実情です。それに、習慣や好みの筋にそっていないことには、とかくケギライの感情が先立って心を閉ざし、その意義をマトモに分かろうともしないのが、これまた実情です。
     けれども青汁食養生は、人間の生理・栄養という自然の厳然とした法則に忠実に従ったものです。そこで、その意義がよく分からなくても、またケギライの風情があっても、とにかく教えて頂いた通りに実行していけば、事実だんだんと効果があらわれてきます。そしてそうなると、しだいにケギライの感情が消えて心が開き、その意義もよく分かってきます。そして人々だれでも、この、とにかく実行していく、ということはできます。
     実行は主として意思に基づくものであって、知識や感情だけに左右されるものではないからです。そして健康をはかろうという意思は、人々だれでも備わっており、だからこそ教えて頂いているわけです。そしてこの実行には、その意義が(新たな知識としては)よく分からなくても、それが健康に役立ち、少なくとも有害ではない、という判断がつけば、とにかくふみきることができますが、青汁食養生は、中学校や高校で学んだ知識からでも、よく考えれば、そう判断することができます。たとえ判断がつきかねても、教えて頂く先生に接すれば(また書物を通して間接に接しても)、その人柄や業績から、そう信頼することができ、信頼するからこそ教えて頂くわけです。そこで、幸い縁あって先生に教えて頂いているからには、「伝えて習わざるか」と反省して、教えて頂いた通りに、とにかくひとつずつ実行して、その効果を体験すると共に、素人なりにもその意義を筋道たてて理解していかねばならないわけです。

    人にすすめる立場から
     ところで、先生に教えて頂いて、青汁食養生の効果を体験すると、しぜん人にも伝えてすすめるようになります。が、それには「習わざるを伝えしか」と反省して、さらに深く体験すると共に、素人なりにも(というよりも素人らしく)その意義・方法をさらに広く筋道たてて理解してからにしなければなりません。
     ましてや人に伝えるために新たに教えて頂いて、まだみずから体験していないことは、なおさらです。それはいうまでもなく、その意義・方法が正確に通じるように伝えると共に、自信をもって心の底からすすめるためです。でないと、なにぶん青汁食養生には、人々ふつうの常識や習慣や好みとはかけはなれているところが多いため、とかく無縁なことと聞き流されときには、そんなバカなことと笑われ、余計なオセッカイと嫌われるからです。
     また、幸い縁あって聞きいれてくれても、つい誤解誤用して、それほど効果があらわれなかったり、ときには思わぬ逆効果さえあらわれることがあるからです。が、せっかくすすめるからには、聞きいれてほしく、その効果を共に喜びたいのが実情であり、さらに重大なことは、かけがえのない生命にかかわることであれば、決して逆効果があらわれるようなことがあってはなりません。
     ところが青汁食養生は、的確に活用すれば、その効果が意外とすばらしいので、その効果を体験すると、その喜びのあまりか、つい無造作に人にすすめることがあり、ために、相手によっては、ことをあやまる場合があります。そこで、人にすすめる以上は、「習わざるを伝えしか」と反省して、よく注意して伝えなければなりません。
     また、ときに人によっては、ご親切心からか、知ったかぶりをするためか、この効果を人から伝え聞いただけで、みずからは体験もせず、その意義・方法もよく分からないままにすすめたり、あるいは、あれこれと指図がましいことをいったりしますが、これは堅くつつしまなければならないことです。従って、人からすすめられたことには、「習わざるを伝えしか」と、そこはよく見定めて、少なくとも当人みずからシカと体験していかないことは、テイよく聞き流すことが大切です。
     なお、こうしたことは青汁食養生に限らず、人々だれでも平素、生活各面について互いにあれこれと教えられもし教えもしている以上、そこでも「伝不習乎」を両様に読解して座右の銘にしたいものです。



8. 入浴

     医学博士 遠藤 仁郎 

     夕食まえのひと風呂は、夏も冬もなく、まことにたのしいもの。さて、あつ湯がよいか、ぬる湯がよいか、特別のことのないかぎり、好みにしたがえばよい。
     だいたい、日本人は欧米人にくらべ熱好きだし、強健な人は熱好き、虚弱なものはぬる湯を好む。こどもの頃、あつい湯に入れられ、陰嚢をにぎりしめて我慢させられた覚えがあるが、あれも鍛錬というものであろう。ぬるい方は、カゼさえひかねばよいわけだし、たとえブルブル震えても、やはりこれも鍛錬。また、馴れれば、年中、水風呂で結構だ。30年ものあいだ、水風呂ばかりつかって、いたって元気。カゼひとつひかず、若い連中と山野を跋渉。夏山で夕立にあいズブ濡れになったがビクともしなかったという90ちかい老健脚家がいられた。
     しかし、これらは、いずれも健康なものでのことで、弱いものや病人は、むやみなことをやってはならぬ。入浴時間また同様。きまりはない。いわゆる烏の行水のもあれば、ずいぶんゆっくりとつかる人もある。元気のよいものはそれもよい。せいぜい汗をかくだけで、とかく濁りがちな血が浄められ、気分はせいせいしようというもの。
     しかし、異常のあるものには注意が肝要。ことに、熱風呂の長湯にはよほど慎重でなければならぬ。目安になるのは疲労。浴後のつかれが残るようなばあいは禁忌だ。
     今は昔語りだが、肺結核の入浴にはひどく神経をつかった。ともすると喀血したり、急に悪化することがあったからだ。
     今で問題になるのは、肝炎、高血圧、腎炎などだろうか。
    肝炎  入浴して皮膚のはたらきをよくすることや、汗を出して血液浄化をはかることが悪い筈はないのだが、なにぶんにも、後の疲れがひどい。ぐったりしてしまって、食事はとれず、夜はねむれぬ、といったことにさえなり、その回復にもひまどる。刺戟がつよすぎるためだから、適温で短時間入浴するか、あるいは、ただ汗を流すだけにとどめるなど、疲労したり、疲労の残らないよう加減すべきだ。
    高血圧など  高血圧、動脈効果、あるいは心疾など、血行器の異常のあるばあい、浴温が適当であれば、皮膚の血管がひろがり、そこに包含される血液量が増えるため、心臓の負担はかるくなる。また、血行がよくなり、血圧が下るので、入浴はむしろこのましいことなのだ。けれども、いきなり熱い風呂にとびこんだり、長湯するとか、寒い時節に、あたたかい居間や浴場から出た途端によく事故がおきる。暖房のよくきいた部屋ならばともかく、一般のわれわれの家での冬の入浴には、よほど気をつけなければならぬ。
    腎炎  腎炎でも入浴はやかましく禁じられる。安静が大切な急性期は、もちろん禁忌だが、ボツボツ動けだすと、はいりたくもなる。皮膚は腎臓のはたらきを助けてもいるので(皮膚呼吸や発汗で尿成分をいくぶん排出している)、入浴して皮膚を清潔にし、温めるのは、腎臓の負担をかるくすることになる。また、皮膚があたたまると、反射的に腎臓の血管がひろがり血流がよくなるので、治りをすすめることにもなる。腎炎で、安静と食事と保温が三大原則になっているのも、そのため。そこで、気候のよいころならば少しも差支ないばかりか、むしろ、すすめてよいくらいだ。問題は、やはり寒い時節で、あたたかい時をえらんで、適温、短時間入浴するか、清拭だけにとどめるのが無難だ。
     入浴回数は、健康者では好みにより、また季節にもより、春秋の好季節には、いくらか間隔をおいてもよかろうが、夏や冬は毎日でもはいりたい。
     病人では、病状、体力に応じ適宜加減する。ところで、入浴の目的はふつう皮膚の清潔。これについて養生家の説くところによれば、あまり石鹸をつかい皮膚の脂肪をとりすぎるのはよくない。入浴は毎日でもよいが、なるべく手拭でこすって垢をとり、石鹸は週1回くらいが適当だ、という。なお、肌があれる場合は油をすりこむ。熱帯地方ではヤシ脂をぬるそうだが、古代ギリシャ、ローマ時代には、マッサージをかねて香油がこのまれた。
     「油を以て身に塗り、塵穢を澡浴し、新浄の衣を著し云々」(妙法蓮華経)
     また、浴後、冷水をあびたり、冷タオルで摩擦すれば、湯ざめを防ぎ、鍛錬にもなる。



9. 母乳“復権” もう一度見直そう
   人工乳の赤ちゃん死亡率なんと4倍

     赤ちゃんに母乳を…という母乳のみなおし運動がしだいにたかまっているが、県では来年度、保健所や愛育委員会などの総力をあげて“赤ちゃんを母乳で育てましょう”運動に取り組むことにしていま運動の進め方を検討している。
     人工乳に比べると母乳栄養は

      ▽病気に対する抵抗力がある
      ▽死亡率、罹患率が低い
      ▽アレルギー症状が少ない
      ▽栄養成分のバランスがとれている
      ▽発育が良好
      ▽情緒的発達がよい
      ▽母体の産後の回復が早い

     ―などの利点があげられている。
     ちなみに、乳児の死亡率をみると、母乳の赤ちゃん1に対し、人工乳の赤ちゃんは4.1倍も高いとされており、これひとつみても赤ちゃんには母乳が大切だということがわかる。
     しかし、母乳に対する意識は年々低下しており、母乳で育てられる赤ちゃんがだんだん減少の傾向にある。県衛生部の調べでは、44年度には、赤ちゃんの32.4%が母乳を飲んでいたものが、48年度には27.9%に減少し、逆に人工乳は、36.3%から43.1%に増加している。原因は、人工乳の栄養に対する過大評価から安易に哺乳していること、母乳が十分に出ているかどうかがわかりにくい―などのほかに、

    • 「乳房の形がくずれるから」というような美容の問題や、
    • PCBなどによって母乳が汚染されているかも…という心配、
    • さらに働く婦人が多くなっていること

     などがあげられる。
     県下では、さる45年から、県愛育委員会が、母乳を飲ませることを活動の重点目標にして、家庭訪問や母親学級、婚前学級などを通じて、機会あるごとに母乳の大切さを訴えてきた。県衛生部でも従来、母子衛生の総合予算の中で、母乳促進事業を行ってきたが、まだまだ、母乳に対する認識は全般的に浅い。そこで衛生部では来年度母乳運動のための特別な予算を組み入れ、強力なPR活動を行っていくことにした。
    (49・10・25 サンケイ)



10. 抗ヒスタミン剤で奇形児? 米の学者動物実験

     【モントリオール(カナダ)27日発=AP】27日モントリオールで開かれたアメリカ科学振興協会(AAAS)の年次大会で、米政府公衆衛生局のC・T・G・キング博士は、乗物酔いや妊娠中のつわりに対して広く使われている抗ヒスタミン剤は、先天的な奇形児が生れる原因になることが動物実験でわかったと報告した。同博士によると、妊娠中のネズミにこれらの抗ヒスタミン剤を与えた結果では、その子に口蓋(がい)破裂、アゴや口の未発達などの多くの奇形が現れたほか、骨格にも奇形が出ることがわかったという。米国では現在、メクリジン、サイクリジン、クロルサイクリジンの3種類の抗ヒスタミン剤が市販されており、うち2種類は医師の処方なしでも購入できる。キング博士はこれらの薬品が62年スウェーデンで「先天的奇形児ができる危険がある」と販売停止になったこと、フランスでも市販を許しておくべきかどうかについて検討が行われていることなどを例にあげこの動物実験の結果が人間の場合にもそのままあてはまるとはまだいい切れないが、この結果を無視することは許されない」と語った。

    (39・12・29 朝日)



11. ヨガの食事とソックリ

    ロス Y.I. 

     健康と青汁の会報は、毎月太平洋を渡って届けられるどの新聞雑誌よりも有難く拝読いたします。世相百般「狂乱状況」はここアメリカとて同列。いえ、日本よりむしろスケールにおいて、大ではないかと見ても仕方がないことは、電波で活字で、マスメヂアの流れこみのため、皆様よくご存じの通りでございます。
     利いた風に「然し」と書き添えますと人類の智恵は良識は、脉々と生きつづける。憂慮をはねかえすにこの道ありと模索する。
     私に一番身近なことを一つだけ模み上げましょうなら、「ヨガ」を知ったことでございます。ヨガは、欧米人の及ばない東洋の叡知の名のもとに、近来とみに学ばれだし、当地にもヨガ道場が出来、通いはじめて1年になりました。宗教オンチの私が、体の病気は医学に、心の病気は宗教に、の疑問を一挙に解決してくれたのがヨガの「宗医一者」でした。
     初めて導師(インド人)の前に座りましたとき、私の姿勢、目の光り、皮膚の色を見ただけで、心身の健康度をピシリ申し渡された時、十年来実行の「遠藤青汁毎日愛飲」が大いに点数をかせいだことが実感されて、胸が熱うなりました。講義と実演のむつかしい本能法、呼吸法、整体法とすすみ、食事法に来ました時、私は、全く驚嘆、感激の一方、満足、自尊にまで及びました。
     実は、この一事を申上げたいばかりに、駄文長々と前書きをしたのでございます。三千年のむかし、チベットの奥、ヒマラヤの麓でヨガの行者たちの、自然にして完全健康長寿の食法と遠藤青汁教祖博士のそれが、ピッタリ、ソックリ一致しております。お蔭をもちまして、道場通いたった1年で、この道の初段ともいうべき允可証を、導師の先生から拝受いたしました。先生有難うございます。ここに更めて深謝の辞をのべさせていただきました。



12. 青汁日誌

     越智 廓明 

     10月29日夜、仮眠からさめて時計を見ると10時15分。
     連日2日間の行事と寝不足で、夕食を終えるやベッドへ入った私であった。私にはまだ二つの作業が残っていた。それは、一日も欠してない青汁しぼりと連関しての廃物利用の風呂沸しが待っているのだ。台所へたって、先ず茶を一っぱい。心を整理した。30分後には全部の作業も終り、青汁の命の水を飲み終った。今日の材料はケール、かぶ菜、人蔘葉。家内の分とも3合。私は、夏の疲れか、9月頃より坐骨神経痛に悩まされた。昨年、10月以降に播いた種子だのに、9割とう立ちして、今夏は青汁材料も少なく、キャベツでどうにか乏しいなりにつないだ故もあり、僧侶で、盆という山をうけて、心身の過労と食の酸性攻撃も重なる因と思った。老化現象か、中々青汁でも一気にいかなかった。幸いに人蔘を作っていて、連日、五六合飲用し続けた。
     やっと10月下旬になって症状が殆どとれてきた。青汁材料に、もう一つ困ったことは、10月に入って、せっかくのケール、人蔘葉迄、虫の異常発生でまたたく間に葉が網の目に、人蔘葉はすじ丈けになってしまったことであった。私宅丈けではなく、ケール作りに熱心な農家の人迄、同じであった。
     29日は、行事が終って皈途、日赤へ。献血に27回目を果した。血圧126と80。比重はよいですなあと、看護婦さんが、又いった。
     今日30日は、1年振りに主治医のもとへ。不整脈、冠動脈硬化の診断を3年前に受けていたので、診断を乞うた。心電図もよろしい。脈も69。3年前より好転しているかと思えば、大変、嬉しい診断であった。申すまでもなく、青汁飲用連年のおかげである。



13. 感謝の日々

    島根県 H.U. 

     青汁を始めてより、今年で5年に相なりまして、78才を元気にすごしてまいりました。ゼンソク、リュウマチ症状もすっかりなくなり、再発もいたしません。畑を打つことも可能に相なりました。その上、毎日、青汁のカスを鶏にやりますところ、他所の鶏は秋は毛がわりをいたしますが、私方のは年中産卵をつづけておりますので、人々が、不思議な鶏だと申しております。青汁新聞により、常日頃、健康に留意し、感謝の日々でございます。



14. 私も日曜百姓

    岡山県 T.T. 

     私どもも、今では日曜百姓をはじめまして、ケールを200本から植え、一家族愛用して、みな様にもおすすめしています。青汁党が一人々々ふえて皆さん健康をよろこんでいらっしゃいます。



15. 糠ぶくろ

     むかしの女性は、肌を美しくするために、石鹸はつかわず、糠ぶくろでていねいにみがいた。米糠には、脂肪、蛋白質、ビタミンB、燐化合物などのほか、脂肪を分解する酵素(リパーゼ)があって、垢をとり、肌を白くする。さいきん、洗剤が有害と知られて、食器洗いなどに糠がつかわれだしているのも同じだ。



16. サツマイモを食べて美しい膚を

     “サツマイモは美容食”といったら驚く人も多いだろうが、医学的にみると実は美容食の分野に入る。というのも美容の第一歩は“美しい膚から”ということになるとサツマイモには美しい膚をつくるもとのビタミンCが多く含まれているからだ。
     ちなみに栄養分析表で調べてみると100g中のビタミンCの含有量はサツマイモが30mgで断然トップ。ほかの野菜では、ジャガイモ15mg、キクイモ6mg、ハチミツ3mg…といった程度。しかも、サツマイモには繊維質も多く、美容の大敵、便秘を防ぐ働きもあるとあってはいよいよだ。
     ただサツマイモには糖分もけっこうあるので多少ふとることも考えられるが、美しい膚は健康的な美しさを演出する―ともいわれるので美人になりたいならサツマイモを見直すことも一つの方法といえそう。

    (49・10・25 山陽)



17.川柳

    看病が死ぬ気になると床を上げ
    邪魔になり手の多い看病
    看病が美しいので匙をなげ
    毒があるとは言ひにくい医者
    看病に薬のやうな顔一つ



18.質問箱

    東京都 S. 

     問
     慢性腎炎で、いつまでもよくならず悲観しています。野菜も果物もとめられていますが、青汁はどうでしょうか。

     答
     腎炎で野菜・果物がいけないのは、腎臓からのカリウムの排泄が悪くなって、血中にたまってくる場合だけです(血を調べてもらえば、すぐわかります)。その心配さえなければ、徹底した緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食をやってみることです。一年二年と頑張って完治した方も少なくありません。



コラム紹介

     大道廃れて仁義あり、
     智慧出でて大偽あり、
     六親和せずして孝慈あり、
     国家昏乱して忠臣あり

    老子



     肉はおほく食すべからざる物なれど、
     たって餌せざれば腸胃うるほはずして蓄積除きがたし。
     殊に老人は精液衰少して腸中常に結す。
     肉をかくべからず。
     七十の者肉にあらざればあかずと孟子ものたまへり。
    ねぬ夜の夢



     純粋の日本といふものの消滅する日の来るのは、もう遠いことではあるまい。恐らくは何処か田舎において、辺陲の島々において、百姓や漁夫の間には、今なほそれ(生粋の日本)が存在していることであらう。都市においてはしかし、今や全然価値なき西洋の「近代文明」(この語は寧ろ外的物質的文明を指す)が、日本の文化(内的精神的文明)をば殆んど食ひ尽した。私は到る処に欧羅巴や亜米利加の罪悪と愚昧の猿真似を見る。
    ケーベル(1848−1923)
    師と友20巻11,12号より



     われらはあまりに他人の腕にたよりすぎて自分自身の力をなくしてしまう
    モンテーニュ



    賀正 青汁生活21年目の祈り 卯年正月
     今年こそ 兎に習うて 緑を食べて いも、豆食べて 野山を駆けて
     皆んな元気で いつも仲よく きもちよく
    東京九段 田辺 弘



     希望は人を成功にみちびく信仰である。
     希望がなければ何事も成就するものでない
    ヘレン・ケラ








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