<1973年6月15日発行 第202号>
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目次
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1. こどもの骨折
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医学博士 遠藤 仁郎
いぜんの子供たちは、今とは比べものにならぬほどの乱暴な遊びをやっていたし、怪我することも決して少なくはなかった。しかし、骨折するなどということは、そうむやみにはなかった。
それが、最近は、そう大した怪我でもないのに骨折をおこす子供がめっきりふえて来ているそうだ。なぜか。答はきわめて簡単。食べもののまちがいと日常生活の不自然化(運動、ことに戸外運動・鍛錬の不足)による骨の発育の不完全化・脆弱化。
このごろの子供たちの食べものは、精製穀(白パン・白米飯)、ことに肉、卵、糖、脂にかたより、野菜、とくに良質ナッパのとり方が少ない。で、熱量、蛋白質(ことに動物性蛋白)は十分か、むしろ十二分。動物蛋白が多いと、からだは大きくなろうとする。しかし、それを支える丈夫な骨格をつくるのに必要なミネラル、ことにカルシウムははなはだ少ない。
それは、穀類はもともとミネラル、ことにカルシウムに乏しいが、精白・精製によって、さらに乏しくなる。肉類も同じく、総じてミネラルに乏しい(卵にはやや多く、乳、乳製品はカルシウムにとんでいるが、とり方はそう多くない)。
そして、もっともミネラルにとむ良質ナッパのとり方は、さらに少ないからだ。しかも、穀・肉・卵・糖などの酸性食品が多いと、その酸の中和のためにカルシウムが奪われる。そのうえ、カルシウムの利用には、カルシウム:燐の比が1:1〜2が最適とされているが、このような食事では、燐の方が多すぎるので、カルシウムの利用にはさらに不利となる。
なお、日光にあたることが少なくてビタミンDが十分でなければ、吸収はいっそうわるくなる。そこで骨は、どうしても細くのび(脊丈はたかくなる)、うすくなるほかないわけで、戸外運動・鍛錬の不足とあいまって軟弱な骨格となってしまう。
もっとも、骨の形成はそう簡単なものではなく、いろいろのミネラル(弗素、亜鉛その他の痕跡成分をふくめて)、ビタミン類が複雑に関係しているが、それらミネラルやビタミン類は、食品の生産方法の不自然化、すなわち、農産では、土壌の荒廃、化学肥料・農薬の乱用。畜産では、飼料の不合理(不自然、不完全)化、水産では、水質汚濁のうえに薬剤の乱用などによっても、乏しくなって来ている。
また、食品の加工(精製・調理)によって、ミネラル・ビタミンの損耗はさらに甚しくなっているし、乱用ははなはだしい雑多な食品添加物の影響も、全然ないとはいえないのではないか。それはともかく、こうして子供たちの食は、熱量・蛋白質は十分〜十二分でも、ミネラルやビタミンとの間には甚しい不均衡を生じ、それが、健康状態の劣悪化と、骨格の劣弱化をもたらし、骨折しやすくなっているにちがいあるまい。
いや子供だけではない。若ものたちにも、スキーシーズンには骨折事故が頻発しているし(無理な装具のためといわれてはいるようだが)、老人ともなれば(年とともに骨はうすくもろくなるものであるが)、ちょっと転んだり、尻もちをついただけも骨折するのが、ぐんとふえているのも、全く同じ原因からであろう。
ところで、イギリスのエリス博士の調査によると、菜食者では、普通食(精製穀・肉・糖・脂などの酸性食にかたむいた)者にくらべ、骨のレントゲン陰影はずっと濃く(骨質がよくしまって堅いことをしめす)、年令の影響も少ない。
たとえば、70代(70〜79才)の菜食者の骨の平均の濃さは、普通(酸性)食者の50代(50〜59才)の平均よりも濃いし、菜食者では、69才以後の骨の変化が少ないが、普通(酸性)食者では年とともに変化がどんどん進行する。という(Br.m.J.1972.12.30号)。
つまり、才食者では、もともと骨が緻密であり、年が寄っても変化(うすくなったりもろくなること)が少ない。したがって少々のことでは骨折することもない、というわけだ。これは、青汁が骨折の治癒に著効を奏する、という事実と一致するデータで、骨折の治療や予防にとって、いかに正しい食(完全化・自然化)が大切であり、日常生活の合理化(戸外運動・鍛錬など)が必要であるかをしめすものといってよかろう。
(48・2)
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2. 青汁を飲む心(2)
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前回参照 |
友成 左近
青汁を毎日飲むのは、まえにみたように、そのはじめは、病気その他なんぞ身におぼえのあるところへ、体験者にすすめられたものの、なんとも風変わりで、まずくて飲みずらく、その意義・効能もよくは分からなかったのです。が、身をもってした体験による親身なすすめに信頼して、これを飲んだら健康になるだろうと、飲みずらいのは辛抱して、とにかく毎日飲んでみたわけです。
すると、やがてその効果があらわれてきて、その意義・効能がまずカラダに分かり、それにつれて、さらにアタマにもよく分かってきて、いよいよ精出して毎日飲みつづけたわけです。
そしてそのうち、この意義・効能がさらに深くカラダにもアタマにもよく分かってきて、これを飲んで初めて本当に健康がはかれるのだ、と確信して、これを友人知人にもすすめるようになり、やがて、まずいことはまずいが、そのまずいところがえもいえず、というふうになり、また少しは習慣化もして毎日飲んでいるしだいです。
習慣や好みよりも健康と生命を大切に
そこで、青汁を飲むのは、いうまでもなく健康をはかるためですが、そこでトクと心しているのは、食事は、習慣や好みよりも健康と生命を大切にして、ということです。
習慣のままにではなく栄養の理法に従って
従って、青汁を毎日飲むのは、この健康の最も重要な土台である栄養を、十分まかなうためですが、そこでトクと心しているのは、食事は、ただ全く習慣や好みのままにではなく、好き嫌いは感じるままに感じながらも、できるだけ栄養の事実・理法に従って、ということです。
そして、その最も重要な決め手が青汁であれば、どんなにまずかろうと、まずもってこの青汁を飲んで、と心しているわけです。
人々だれでも食事は、めいめい身につけている習慣や、それが心理的に着色した好みに従っています。けれどもこれには、人その人によって程度の差はありますが、栄養の事実・理法には、必ずしも的確にそっていないところがいろいろあるのが実状です。
従って、ただ全く習慣や好みのままでは、とうてい栄養は十分にまかなえず、ことは健康と生命にかかわってくるので、これはなんとか改めなければなりません。しょっちゅう病気をする人、カラダ具合が悪くなった場合、そして病気、それも生命にかかわるような病気にかかった場合は、なおさらです。
それでは、どう改めたらよいか、というと、いろいろ多面にわたっています。が、これまで科学的に調査研究されていることから綜合的に判断すると、その決め手として最も重要なことは、青野菜をもっと沢山食べることです。このごろの習慣食の実状からみた、おおよその目安は、良質のもので自分の体重の1%以上です。そして、この最も有効適切な食べ方は、これを青汁にして飲むことです。
これをさしおいて、他であれこれと改めてみても、多少の効果はあっても、たいした効果はありません。けれどもこれは、人々ふつうに身につけている習慣や好みにはあいません。
ところが、食事の習慣や好みは、もともとめいめい固有の生理的生得的な欲求と本能に根ざしたものであり、生後の養育その他の社会生活で学習しながら、自分の食欲をみたし自分のカラダを養なって、文字通り身につけてきたものです。
心理的にも生理的にもなれなじんでいるので、人々だれでも、これには格別強く執着します。従って、これを改めることには、それも青汁のように風変わりで、まずいものとなると、心理的に強く抵抗を感じて、生皮をはぐような思いがし、生理的にも一時異変が起こることがあるので、これは決して容易なことではありません。
こんなまずいものを飲まなくても、他になにか打つ手はないものか、病気は早く治ってほしいが、青汁はどうも、というのが人々ふつうの心情です。人によっては、こんなまずいものまで飲んで、健康になろうとは願わない、死んでも飲みたくないと、口に出していうことさえあります。
けれど、人間に最も、いな絶対的に大切なものは、めいめいかけがえのない生命です。この生命を支えていくのが健康です。習慣通り好み通りにしたいのはヤマヤマながら、それよりも健康と生命を大切にしなければ、というのが人々だれにも共通した真実です。
ところで、この生命と健康の最も重要な土台は栄養ですが、この栄養の成り立ちは、人々の習慣や好みにはかかわりのない、厳然とした自然の事実であって、これは、人為的にとうてい変えることはできません。その理法に従って食事をしなければ、栄養は十分まかなえず、そのもっとも重要な決め手が青汁なのです。
それにひきかえ、人々の習慣や好みは、もともとこの事実・理法に従うようにつとめてきた、人類長年の経験から学習したものではありますが、しょせん他ならぬ人間がつくりあげたものです。長い歴史の間にも、また個人的にも、たえずうつりかわっており、これは、その気になれば変え改めることができます。
青汁を精出して毎日飲んでいるのは、そのはじめは、縁あって、そこを体験者にすすめられて、その気になり、まずく飲みずらいものではあったが、それは感じるままに感じながら、習慣や好みよりも健康と生命を大切に、と心して、この青汁を飲んで健康をはかろうとつとめたわけです。
そしてその後も、そう心するように、互いにいましめあって、別にそうおいしいものではないが、その青汁を飲んで、できるだけ栄養の事実・理法に従って栄養をまかない、健康をはかろうと心しているしだいです。
(つづく)
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次回参照 |
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3. ツボクサ
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医学博士 遠藤 仁郎
路傍、田のあぜなどに見かける。多年草。ごくありふれた雑草だが、どうも大した効能があるらしい。
Lucas博士著のNature Medicine(自然薬)によると、パリのMenier博士は、この草に、脳細胞や内分泌腺の若返り効果をしめす未知のビタミンX(Youth Vitamine X)がある、といっているという。
また、この草は、中国の著名な本草家で256才も生きたLi Chung Yun先生が、毎日愛用していたというので有名なんだそうだ。
このLi大人は1677年に生れ、1933年になくなった。23人の夫人にわかれ、亡くなった時は24番目の夫人と住んでいた。大学で長寿に関する講演を28回もし、3時間の講演をした時は、すでに200才をこえていたが、姿勢はよく、とても52才以上には見えず、髪も歯もあった。
その生活は、「心は静かに」、「亀のように坐わり」、「鳩のように歩き」、「犬のようにねむれ」というのであり、厳格な菜食家であった。
そして、二種の薬草からつくった茶を用常していたが、その一つはこのツボクサ。も一つは人参(朝鮮人参)だった。人参(根)以外は、すべて地上に生ずるものばかりを食べていた。などとLucas先生は書かれているのだが、それほどの長寿者が、しかも最近まで生きていたというのに、知られていないのはいかにも不審なので、中国の青汁同志の陳氏に問い合せてみた。
その回答によると、
「中国でも知っている人がない、おそらく架空の人物だろう。アメリカ人はずいぶんいい加減な知識でものを書くから云々。」ということであった。
それはともかく、このツボクサには、強壮効果、栄養効果があり、虚弱者、衰弱者の治療に比類のないもので、消化、吸収をよくし、代謝をすすめ、顔色をよくする。また、大量には強精効果があるという。
これは、あるいはこの草に特殊の有効成分があるのかも知れないが、一般緑葉の効果としても十分理解されることがらだ。煎用のほか、粉末としてもよいとあるが、生食したり、青汁にすれば、いっそう効果的だろう。少々味がきついようだが、材料の足しにはなる。
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4. 夏にそなえて 南洋野菜をおすすめします
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渡辺 忠夫
日本人は一体にセッカチで、季節に先駆けたものを欲しがります。
農家の野菜の栽培も、如何に季節に先んじて、言わば季節外れのものを作って出す事に熱心で、園芸の指導も殆んど、此の点に主眼を置いています。
しかし、昔から言われている通り、天の時を得たものが一番順調な繁栄を示すもので、天の時に従わない行き方には、万事無理が伴います。
ビニールハウスや農薬等の近代的な智恵を働かして、無理を通す事が、あだかも園芸技術そのものの様に考えられていますが、真の天の時を忘れて仕舞うと、大きな矛盾に突き当る事が多いです。
南洋野菜の栽培について言いますと、エンサイ(甕菜)は立夏(本年は5月6日)が播種適季です。
バイアムは夏至(6月21日)頃から、立秋(8月8日)が播種適季です。
エンサイは一度播いて育てれば、秋の冷気が来る迄続けて毎日でも収穫出来ますが、バイアムは播種後20〜30日ぐらいで幼植物が20糎ぐらいに育ったとき収穫して食べて下さい。
大きく育ったバイアムは青汁にするなら兎も角として、サラダや油いため等の料理にするには硬過ぎます。
バイアムは、夏の炎天の太陽エネルギーを迅速に野菜の形に変える、特徴のある南洋野菜です。南洋野菜は、一体に素朴な風味ですが、青汁としてケールの補いに、又銷夏食料として是非作って頂き度くおすすめします。
序にケールの採種について一言。
早く花の咲いたもの、種子の早く熟したものから採種しますと、此の様なセッカチの採種を毎年繰り返す事に原因して、ケールの品質を劣化させます。むしろ開花の遅いもの、品質の優れたものを撰んで採種すれば、多汁巨大なツリー・ケールに近づいて、優良系統のケールに近付け得るかと愚考致している次第です。
日本人が既に徳川時代から実行して、ケール(当時オランダナと呼ばれたもの)から美しい、ハボタンを育種した技術、ケール類の挿木による無性繁殖と併せて、二年子を採種する方法等、ケールの品質向上に応用される事をおすすめします。
(日南市サボテン公園技師長)
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5. まったく不思議
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佐賀県 K.K.
5年前、十二指腸潰瘍のため2ヶ月の内科入院加療の甲斐あって、完全治癒。めでたく退院。職場にもどり、普通食を食べ始めたら、またまた痛みがぶりかえした。
再度の入院を決意し、今度は手術の覚悟をよぎなくされたとき、たまたま手にしたのが主婦の友社版の「青汁の効用」だった。さっそく、近くの農家から、キャベツの外葉、ニンジン葉、コマツ菜などわけてもらい、ジューサーにかけ、毎日コップ一杯づつ飲みはじめた。
早くも、効果は4日目にあらわれた。即ち、痛みがピタリととまった。血色がよくなり、体に活気があふれて来た。全く不思議なほどの効果だった。これに勇気づけられて、庭の隅を利用して、一坪ほど耕作し、町の種物屋からポルトガルケールの種子を入手し、播いた。青汁の原料を自分でつくることを決意した理由は、農家がつくっているキャベツなどは、農薬がつかってあること、毎日新鮮なキャベツをもらいにゆくことが不可能なこと……などだった。
第1回目の収穫は、初めてにしてはマアマアの出来だった。しかし、自分でつくったケールを毎日ザル一杯づつもいで、ジューサーにかけるよろこびは大きかった。私の毎朝の日課の一つになって、家族全部が協力し飲み合った。親せき、友人たちも、私の青汁党入信ぶりを見学に来た。
倉敷からツリーケールの種子をもらい、これも、見事に成長させた。しかし、3年目ごろから肥料(堆肥・緑肥)、青虫攻撃のため収穫が落ちはじめ、それに加えて、野球部長の仕事を引きうけたため、時間の余裕が全くなくなり、残念ながら、「グリーンジュースの素」に、全面的に切りかえて、今日に至る。
(高校教員)
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6. 長が生きした気持
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兵庫県 M.K.
広畑製鉄所構内では初夏がおとづれ、やり切れない暑さでございます。夕方、家に帰って、青汁を、私も家内もいただいたとき、長が生きをさせていただいたような気持ちで、毎日感謝させていただいています。がんばっています。幸福へ。
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7. わたしの農園
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岡山県 T.A.
ケールをはじめ、ハクサイ、ダイコン、その他、いく種類もの野菜が大きくなって、毎日、安心して、新鮮な野菜おいしくいただいております。
鶏も80%の産卵率で、順調にそだっております。先日、地鶏の30日ヒナを20羽ほどふやし、黄いくちばしのひよ子が草を食べております。
タニシも、春子、夏子、秋子と、小さな子供がいっぱい生れました。
池も少しひろげて、養殖鯉と色鯉を500匹ほど入れ、色とりどりの鯉が池せましと元気よく泳いでおります。こんなところが現在の農園です。
(青木さんは自然健康農法による安全栽培や養殖をやっていられます)
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8. 人間を変えるもの
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9. 昆虫の食草に重宝
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10. 歯の悪いもの
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東京都 T.A.
厚生省で、昭和25年の時点のわが国民の歯科疾患の総量(その2/3以上は虫歯が原因)を、全国の歯科医が、望ましい医療行為に要するスピードで治療に要する時間を算出したところ、一二年を要するということになった、という。さて、年ごとに虫歯のふえて来ている現在では、いったい、何年かかることだろうか。
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11. 骨多孔症と弗素
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弗素が不足すると、子供にはウ歯、女性には骨多孔症があらわれる。が、4〜6PPMの弗素のある水をのむと、著しく減るという。また、茶をのむところには、コーヒーを飲むところより(他の条件は同じでも)骨多孔症が少ない。これは、茶の方が弗素をとり入れることが多いからだ、と説明されている。
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12. 大気中の一酸化炭素と植物
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植物の葉は、日光下において、光合成によって、二酸化炭素(炭酸ガス)を処理し、酸素を放出して、大気浄化に役立っていることは周知のとおり。鯉沼茆吾氏は、一酸化炭素にたいする態度について、1400米の高地と東京都でしらべた。
その結果、強い日光照射によって、マツ、モミなどの植物の葉は、汚染空気中の一酸化炭素に作用し、これを減少させること。そして、高地の夏、紫外線の強い日光下において顕著にみとめられるが、高地の秋においても、また、平地の冬においても、快晴の日には認められることがわかった。
(日本衛生学雑誌、昭47・4月号より)
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13. 海藻とカドミウム
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昭和46年8月、札幌で開催された国際海藻学会で、カナダのマクギル大学胃腸研究所のコリーナ、洪、田中氏等はコンブ、ワカメなどにふくまれているアルギン酸が、人体内でカドミウム等の重金属と結合して、体外に排出する、と発表した。
(菅一男、眼科臨床医報、47、6月号より)
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14. 質問箱
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コラム紹介
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