<1970年8月15日発行 第168号>
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目次
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1. 下痢健康法
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医学博士 遠藤 仁郎
「長生を得んと欲すれば腸中まさに清かるべし。不老を得んと欲すれば腸中滓(かす)なかるべし。」
屠蘇をはじめ、諸書の長生不老薬は、すべて、整腸薬が主剤になっている。
ローランドの健康法には
「毎日便通あらしめ、1週1回は緩下剤にて腸内を清掃せよ」
とある。下剤をのむと、腸の中に停滞している渣をすっかり出してしまうから、腸の負担がなくなり、疲労が回復する。腸内での異常分解産物がなくなるので、そうした分解物の処理にあたっている肝臓の負担も軽くなり、疲労がとれ働きが活溌になる。
また、腸からの水分の分泌がたかまり、それとともに、血液や組織の中に停滞している老廃物がとり去られ、からだ中が掃除され、血液が浄化される。
そこで、腸や肝臓だけでなく、すべての働きがよくなるので、健康状態も、病気の治りもよくなり、長生きも出来ようというもの。
中でも、小児は、とかく過剰栄養になりがちなので、昔から下剤と吐剤が適当といわれている。
たとえば、初生児の病気を、古くは、胎便の異常刺戟によるとして、下剤や浣腸で治療した。
小児の熱病や食欲不振、また、強情でしつけのむつかしい子にも、浣腸や下剤が処方された。
「大黄なくは小児の療治を如何せん」(雨森宗真松蔭医談)
ドイツ医学で小児に好んで用いられた小児散も、大黄が主剤。
日曜に教会に行くには、からだを潔めなければならぬ、というので、子供の時から、金曜日にヒマシ油をのむことになっているところもあるそうだ。
通じ薬を習慣的に毎日のむことは、つとめて避けねばならぬことだが、ここで用いられているのがヒマシ油だということは注目すべきだ。
というのは、さいきんの通じ薬は小さい錠剤になっていて、便利なのと、飲みよい、いや飲みよすぎるために、つい癖になりがちだが、ヒマシ油にはそうした心配がないからだ。
ヒマシ油は、以前はよくつかわれた。食あたりや、赤痢、疫痢には欠かせぬものだったし、外科手術の準備の下剤もヒマシ油だった。
しかし、いやな匂いのする、ドロっとした油で、扱いも面倒だし、味はまことによろしくない。
飲みよくする工夫もいろいろされてはいたようだが、とても、度々飲もうといった気をおこす物好きは、おそらく無かろうという代物で、くせになる気づかいのないところがヒマシ油のとりえ、というものでもあるわけだ。
同じように、飲みにくいが工合のよい通じ薬に硫苦(硫酸マグネシウム)がある。
ふつう水薬になっているから、持ちはこびに不便だし、あの苦がさは、塩酸や単舎を入れてみても、どうもなずめない。たまにのむのはともかく、毎日は、とてもやりきれぬ。
さらによいのは、薬でなく食物で、つまりうんとナッパを食い、青汁をのむことだ。
これでも、かなり下げることがある。もっともナッパの場合、かみ方が足らぬと、本当に胃腸をいためる恐れがあるから、むしろ青汁の方が無難だ。3合でも4合5合でものんでみる。すると、青汁そのままのような便が出る。
それでも、必要なだけの栄養分は吸収されているから、下剤でただ下げるよりは「分」がよいというもの。
こうした時折の下痢(下痢というより腸の大掃除だ)は、誰れにもよいことなのだが、とくに大切なのは、ご馳走(白米飯・肉・卵・糖・菓子・酒といった)をいつも腹一杯食い、運動は不足。とかく便秘気味になっているもの。
中でも、血色がよく、人一倍元気で、よくふとった、あるいはふとりすぎ傾向のあるもの、また、いわゆる成人病(高血圧・動脉硬化・糖尿病)・痛風・リウマチ・神経痛・コリ。
あまい菓子を食べすぎている子供たち。ことに肥りすぎてやせるのに困っている子供たち。
つとめて運動するとともに、毎日の便通に注意し、時々、少くとも週1回くらいはうんと青汁をのむか、ヒマシ油、硫苦といった通じ薬をのんで腸を掃除することだ。
そうすることは、また、ただそれによって、血を浄め、、からだの働きをよくして健康に役立つだけでなく、そういう嫌なことをしないでも済むような、日常生活の改善ということへの覚悟をかためるためにも役立つだろう。
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2. 青汁に加えて毎日 イモ・マメ・ナッパで
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総会での先生のお話から
その一
青汁は、別に決して、なにか特定の病気の治療薬や予防薬ではなく、ただもう毎日の食物で、ほかならぬ青野菜・緑葉を最も有効に、そして多量に食べこむ方便である。そしてそのねらいは、栄養に調和をはかって完全な栄養にして、健康をよりいっそう増進することであるが、このごろ盛んに宣伝されている栄養剤や保健薬のようなものではない。
けれども毎日せっせと青汁をのんでいると、いな、そうして初めて、どんな栄養剤や保健薬にもまして本当に栄養が完全になり、しんそこから健康になるのだ。
そして体力、わけても万病に対する抵抗力が強化されて、ちょっとやそっとでは病気にかからず、かかっても治りやすくなるのだ。
青野菜が必要不可欠なのは
そのわけは、こうだ。健康に生きていくには、その土台に完全な栄養が必要不可欠であるが、それは毎日の食物でとりいれているわけである。ところが、お互い日本人は食習慣から、熱量と蛋白質はほぼ必要なだけはとっており、人によっては必要以上にとりすぎている。
けれども、これが体内で栄養として利用されるのに必要な、カルシウムその他のミネラルと各種のビタミンが、ほとんどすべての人に著しく不足している。
それはたとえば、風呂をわかすのに、燃料は十分つぎこんでいるが、空気はほどよく通わせていないようなものだ。ために、あちこち体具合がおかしくなって仕事に精が出ず、あれこれと病気にかかり、かかれば容易に治らないのは、当然の成り行きである。
ところで、こうしたミネラルとビタミンを十二分に補足するには、良質の青野菜をもっと多量にとらねばならず、それも、できるだけ生のまま食べるのが有効である。
これ以外に、これに代わる妙手はないのであって、栄養剤では、そうたいした効果はなく、ときに副作用までも引き起こすことがあるのだ。
青汁にして日に1合以上いな2合ほど飲むのは
それでは、日にどれくらい食べたらよいかというと、お互い日本人の実状からみて、ふつうの成人で、ごくおおまかにいって、もう300g、いな500gほどふやす必要がある。
ところで、これだけの青野菜を生のまま食べるとなると、どうしてもやわらかめのものとなる。
それも、よくかんで食べないと、栄養成分がうまく吸収されず、また胃腸もいためる。だがそうなると、とかく成分の劣ったものばかりになりやすく、歯や胃腸の弱い人は、なおさらである。
そして、そうしたものでも、実状ほとんどすべての人に、必要なだけ十分入手することが困難である。
けれども、これをすりつぶして汁だけとって青汁にすれば、多少まずくはなるが、必要な成分が最も効率よく吸収され、胃腸をいためる恐れもない。
その上、どんな固い青野菜でも、さらに広く家畜の飼料その他の緑葉でも利用でき、それだけ良質の材料が入手しやすくなる。広く青汁に使われているケールは、もともと家畜の飼料なのだ。
そこで実際上の工夫としては、毎度の食物に青野菜を、煮たものでもよし、生であればさらによし、とにかくできるだけふやすと共に、それ以外に青汁を、日に1合以上、いな2合ほど飲むことが大切である。生の青野菜約250gから1合の青汁がとれるからだ。
ただしホウレンソウやフダンソウの類は、成分上、生食にも、ましてや青汁には不適格である。
イモ・マメ・ナッパが有効適切なのは
ところが、ただそれだけでは、人により病気によって、期待通りに効果があらわれてこない場合がある。それは、毎日の食物に栄養上著しく不調和なものが多く、ために、それだけ多量に青野菜をとらねばならないからである。
その主なものは白米(白い麦やパンやウドンもほぼ同様)と切り身だけの魚や肉だ。
その上、ほとんどすべての食品が、原材料からして農薬その他で多少とも有毒化しており、さらに、広く使われている加工食品には、これまた有毒な添加物が多少とも加わっており、それに、成分もかなり低下しているからだ。
そこで大切なことは、そうした食物まで改めて、日に一食、いな二食は、できれば三食とも、白米はジャガイモでも、サツマイモでも、とにかく芋に、魚や肉は大豆にすることである。
それは、白米や魚や肉では、栄養に調和をはかるのに、青野菜を(最もありふれた大根葉で)、ともに原材料の目方で、2倍から3倍ほど添えなければならないが、芋や大豆では、半分ほどですむからである。
その上、芋や大豆は実状、農薬その他で有毒化している場合が最も少ないからだ。
イモ・マメ・ナッパで工夫するには
それでは、イモ・マメ・ナッパをどれくらい食べたらよいかというと、総会の昼食でその基本を示した通り、一食分として、芋200g、大豆30g、青野菜200gである。
そして、芋と大豆は、ただやわらかく蒸したり煮たりしただけであり、青野菜は、洗って少しツユをつけたまま、ほどよく冷やしてピンとさせ、もちろん生のまま、固いジクだけとって適当に手でちぎり、生の油と酢と少量の塩で調味しただけである。(なお総会では、これ以外に青汁1合と豆乳1合を加え、また調味には、さらにチリメンイリコ10gと、イリゴマとニラとワカメを少量加えて、味と成分を強化した)。
ところで、お互い、実状、毎日毎度こうした基本的な食構成だけで食事をすることは、好みや変化や材料入手その他の都合で、いろいろ困難である。
そこで工夫したいことはこうだ。まず主として熱量をとる芋には、玄米(ただし安全なもの)、玄小麦やソバその他の雑穀粉、大豆以外の豆などをあれこれと、ほどほどに加えたり、ときに代えたりすること。
そして、白米や白いパンやウドンは極力ひかえることである。
つぎに主として蛋白質をとる大豆には、まるごと食べる小魚、レバーやモツ、卵、牛乳、トウフなどをあれこれと、ほどほどに加えたり、ときに代えたりすること。
そして、切り身だけの魚や肉、あるいはハムやソーセージなどは極力ひかえることである。
とくに加工食品は、添加物のはいっていない安全なものでない限り、とくにそうだ。さらに主としてミネラルとビタミンをとる青野菜には、黄色や白色の野菜を加えてもよいが、まえにもふれたように毎度の食物に、煮たものでもよいから、できるだけ沢山そえ、さらに生のものを、つとめて沢山そえ、それ以外に必ず青汁を、日に1合といわず2合以上飲むことである。
そして、三度の食物のうち、芋や大豆だけにする度数や度合が少なければ少ないほど、それだけさらに沢山青汁を飲むことである。
なお、とくに青汁材料には必ず、栽培に農薬を使っていない安全なものを使うことが肝要である。
(それではさて、こう工夫すると効果はどうか、そして、それはどういうわけか、次号で。文責在友成)
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3. アメリカ便り
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ロス J.I.
知人の大農場主の下で働くインド人の労務者を存じておりますが、口にするものは厳選したナマの野菜とナマの果物。他は水を飲みますだけ。それでいて、他の労働者と同じ、あるいは、それ以上に働きつづけてケロリどころではなく、いとも朗らかでございます。
もっともこの人はヨギで呼吸法も独特なことはわかりますが、“食餌法”が先行する、とはっきり申しました。私どもの「安全食品の店」に連れて来て、並んだ食品を見せると、莞爾として「一歩は踏み出したね」てなこと申します。
「フーンまだ第一歩かいナ。遠藤先生のみおしえには第三歩位は近づいている筈だが」と会員一同苦笑いたします。
先日は、林檎園に就働者がスプレイの農薬にあてられて全員ダウン。
ここまでは日本と同じですが、それを罰する規制が当局により小気味よく行われます。
チクロ入り製品の回収を業者に泣きつかれて政府が延期したなどいう、故国ニッポンからのニュースで聞いて呆れるより、私どもはゲラゲラ笑い出しました。
当地の遠藤宗による「青キチ」の話題も色々ございます。
一度は必ず参上して、11年前、週刊文春「我は青汁教祖」という先生と令夫人の記事以来崇敬の先生のご声咳に接したく、老の楽しみの一つに致しております
ロス D.I.
お送り下さいました沢山の「健康と青汁」も、「食の危機と青汁」もまいりました。
昨日、8日の午後、第2回目の私の話を、パイオニヤセンターでいたしますのに、ちょうど間に合いましたので、皆さんに1枚づつ差し上げ、「食の危機と青汁」もすすめました。
私の、この運動に、大変に興味を持った人がありまして、このよき運動に会をつくり、月1回とか、2回とか、座談会を持ち、大いに盛んにしようではないかと、力を入れてくれる方も出来、私はほんとうに嬉しく存じます。
私は、とても元気で、昨日なぞ、午後1時に家を出て、1時半にはじまる会に出席し、2時半から話をはじめ、40分程はなし、それから3、40分デモンストレートをやり、宅へ帰りましたらば5時半でしたが、少しも疲れをおぼえませんで、朝は5時に目ざめ、いつもと少しも変りはありません。
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4. ポーランド
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5. ガン発生の恐れ
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海産物成分と反応
発色剤を使うな
国立予防衛生研
最近出回っている色のうすいタラコに添加されている発色剤は、海産物特有の成分と反応して発ガン物質を作る恐れがあり、早急に使用を禁ずべきだと国立予防衛生研究所・食品衛生部の俣野景典主任研究官らが警告している。
色の薄いタラコも危険
発色剤というのは硝酸、亜硝酸のカリウム塩、ソーダ塩で、それ自体に色はなく肉類の色素タンパクに結合してうす赤い肉色を固定化する働きをする。
古くから畜肉ハムなどのピンク色を着けるために使われてきたが、最近では魚肉ハム、ソーセージ、イクラ、スジコなどとともにタラコにも使われている。ところが海産物に含まれるトリメチルアミンオキサイドやその分解物のトリメチルアミン、ジメチルアミンと発色剤の亜硝酸とが反応してジメチルニトロアミン(DMNA)という有毒物質が生成されることがわかってきた。
DMNAは極微量で動物に急性肝出血や、悪性肝ガンを高率に発生させることが知られており、シロネズミにわずか2−5PPMずつ2ヵ月食べさせたら肝ガンが発生したとの報告もある。
俣野主任研究官らは数年前に、ノルウェーで飼料用ニシン魚粉に含まれていたDMNAのために牛、ミンクなどが肝障害で大量に死亡した例を知り、亜硝酸の危険性を追求した。
その結果、タラコに亜硝酸を多量に使うとDMNAが生成されることが理論的に明らかとなった。
タラコには食品添加物として亜硝酸ソーダは許可されていないが、全く同じ働きをして魚肉中で亜硝酸となる硝酸カリなどについての使用規制はない。
タラコは年々需要が伸び、43年度に2万5000トンも生産されているが、昨年から添加物の害が問題化し、真っ赤に着色したタラコは好まれなくなった。
かわりに業者は、明るい色とおいしそうなつやの出る発色剤を使い始めた。このため硝酸カリより効果のよい亜硝酸ソーダの不正、大量使用も半ば常識化しているという。
東京都衛生研究所の調査でも亜硝酸を30−40PPMも含むタラコがみつかっている。俣野主任研究官らはこうした現状に対し、タラコの発色剤を早急にやめるよう行政当局と業界に警告している。
(45・6・1 産経)
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6. カラスムギ
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7. 小児ゼンソク
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広島県 T.N.
ニンジン葉を主に飲ませています。はじめ朝夕5勺づつにしていましたら下痢をするので、今5勺1回にしています。
4才ですが、菓子をやめ、お八つは果物かオカキぐらいにし、味つけにも気をつけています。
飲み出して2週間。毎朝ひどかったゼンソクもずっと少く、時々軽いのが出ますが、薬ですぐ治り、病院もやめ、毎日幼稚園の運動会の練習も出来るようになりました。
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8. サツマイモの葉
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9. エンサイの青汁
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東京都 H.E.
春にお送りいただきましたエンサイ、芽の出はじめには、虫にたべられ、日暮から、何度か虫取りをして、大切に育てました。
おかげさまで、大変によく大きくなりまして、毎日青汁がいただけますので、子供が、夏中元気にくらせる、といってよろこんでいます。
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10. 青汁の恩恵
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兵庫県 A.H.
前々年貴会からケールの種をご恵与いただき、人様にも私も、青汁を十分飲用さしていただきました。
一軒の家は、入院してもよくならなかった糖尿病患者が、ほとんど快方に向い、元気に働いておられます。
その方のお母さんは、持病の頭やみでしたが、すっかり忘れてしまわれた様子です。肩こり症、便秘症、高血圧と、ずいぶん多くの方達が青汁の恩恵をうけました。
今年はうんと苗をつくり人様にもおわけして、せいぜい健康な体をつくってもらう考えです。
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11. 元気ですごす
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岡山市 T.H.
毎朝、青汁をのんで、元気にすごしております。
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12. 着色料の害
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食品(原料食品にも加工食品にも)、薬品、化粧品などの着色料。古くは天然色素だったが、今は殆んど合成色素ばかり。
肝臓、腎臓、造血器(血液をつくるところ)をおかすもの、あるいは胎児に有害なもの、また発癌性のものも少くない。
厳格にいって、確実に無害なものは僅か3種類だけ。
現在、無害といわれているものでも、中毒性、発癌性、催奇性(奇形をつくる性質)について、絶えず調査し監視しなければならぬ、と注意されている。
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13. 質問箱
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コラム紹介
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