<1969年6月15日発行 第154号>
|
目次
|
|
|
1. ミソ(味噌)
|
医学博士 遠藤 仁郎
原料の大豆が良質蛋白にとみ、カルシウムやビタミンBにとんでいるので、それらの、ともに不足している白米飯に偏った従来の習慣食の欠陥を補うのに適しているわけです。
平和にして、中を補し、脾胃を調へ、人を益す。
一切病人之を忌まず
(大和本草)
しかし、何分、食塩の分量が多いため(約10%)、とても、十分の量は食べにくいし、十分に摂ろうとすれば、どうしても、食塩の害がさけられなくなります。
事実また、わが国の習慣食には欠かすことの出来ないものになっているし、同時に、食塩過剰摂取の原因にもなっています。
そこで、味噌は栄養食品というよりは、単なる調味料とみなすべきものです。
以前の田舎では、味噌はたいてい自家製でした。毎年、春に仕込み、少くとも1年はねかしました。
ながくねかす程よいとされ、よく熟した三年味噌五年味噌を食べるのを誇りとしていました。
医者と味噌は古いほどよい。
今では、農家でも殆んどつくらず、市販品を利用するようになっていますが、市販品には、質の劣るものもあり(原料に大豆以外の雑豆あるいは芋がつかわれている)。
着色したものもあれば、人工甘味のはいったものも少くありません(最近までズルチンがはいっていました)。
防腐剤もつかわれています(近頃の味噌にはカビもはえません)。
毎日食べるものだけに、せめて味噌くらいは良質安全なものであってほしいものです。
純正品として売り出されているものがないではありませんが、果して、どこまで信用出来るでしょうか。
ことごとに疑わねばならぬことは、まことに情ないことですが、それが今の世相なのです。
戦時中や戦後には、かなりやっていた家があったように、簡単につくれるのだから、味噌くらいは家庭でつくりたい。大豆を水に浸けて十分ふくらませ、軟らかくなるまでトロ火で煮き、つぶし(スリバチかミンチで)、適宜米麹をまぜ、目方で約1割の食塩を加えて、よく搗きまぜておく。
それだけです。
ながく置くほどよいのですが、窮屈な住居では、少量づつの速成も止むを得ません。
食べ方
味噌汁が、もっとも多いようですが、汁にすると塩味がうすくなり、つい、使用量がふえ、食塩の摂取量が多くなります。
で、むしろ、ヒシオのようにナメ味噌にする。
無塩食でも、時折、味噌をなめれば、ほんの少量で、十分おいしく食べられます。
昔は、そうしたもののようです。
なめ味噌
その他のナメ味噌には、柚の皮をすりこんだ柚味噌、ゴマ・クルミ・カヤなどをすりこんだゴマ味噌・クルミ味噌・カヤ味噌。
タイ・カツオ田麩をまぜたタイ味噌・カツオ味噌。
イリコ・イナゴを炒ってまぜたイリコ味噌・イナゴ味噌。
これらも、純正なものであれば、ただの味噌よりは、栄養価が高くなっているだけでも、ずっとよいわけです。
事実、また、病人や子供たちに好まれています。
けれども、市販品には着色・人工甘味・防腐剤その他の添加物の危険があるので、つとめて、自家製にしたいものです。
ヒシオ味噌
もともと甘味のあるものですが、この頃の市販品の甘さのあくどさは、確かに人工甘味によるものです。
それに色もつけてあり、防腐剤もつかわれているようです。
これも、なるべく、家で安全なものをつくりましょう。
子供のころ、母がつくっていたのをよく覚えていますが、夏の土曜に、むした豆と麦を、新しいムシロにくるんで、ねかしておくと、やがて黄色いカビがつく。
頃あいをはかって、適宜の食塩を加えて練り、強い陽当りに出して熟成させる、という簡単なものでした。
今では「ヒシオの素」が売り出されているので、もっと楽に、おいしいヒシオが出来ます。
| アマ味噌 | カラ味噌 | 豆味噌 | |
淡色 | 赤色 |
熱量 | 178 | 158 | 156 | 180 | カロリー |
蛋白質 | 10.0 | 12.6 | 14.0 | 16.8 | グラム |
脂肪 | 1.7 | 3.4 | 5.0 | 6.9 | グラム |
糖質 | 30.8 | 19.4 | 14.3 | 13.6 | グラム |
カルシウム | 70 | 90 | 115 | 140 | ミリグラム |
燐 | 120 | 160 | 190 | 240 | ミリグラム |
鉄 | 3.0 | 4.0 | 4.0 | 6.5 | ミリグラム |
ビタミンA | 0 | 0 | 0 | 0 | 国際単位 |
B1 | 0.05 | 0.03 | 0.03 | 0.04 | ミリグラム |
B2 | 0.10 | 0.10 | 0.10 | 0.12 | ミリグラム |
C | 0 | 0 | 0 | 0 | ミリグラム |
食塩 | 5.3 | 10.4 | 11.7 | 9.7 | グラム |
| 米味噌 白味噌 | 江戸味噌 信州味噌 | 仙台味噌 田舎味噌
麦味噌 | 八丁味噌 名古屋 味噌 | |
|
|
2. 味噌汁
|
味噌汁は甚だ後世のものなり。唐土には今になしといふ。
日本も応仁の頃より以後にもやあらん。
それゆえ、内の御膳に儀式にては味噌汁を用いらるることなし。
但し汁にせず味噌のままにて食用にせることは昔よりあることなり。
今のひしほのごとく其まま食せるなり。
北窓瑣談
|
|
3. ノウゼンハレン
|
|
|
4. 塩(食塩) |
医学博士 遠藤 仁郎
「太陽と塩ほど有用なものはない」といわれますが、調味料としても、「味は塩にあり」「塩ほどうまいものはない」です。
また、絶対に欠かすことの出来ない大切な栄養素の一つでもあります。
そして、「塩は万病に奇効を奏する。出来るだけ十分にとれ」ととなえる一派(石塚左玄氏)もあるほどです。
しかし、食べすぎると高血圧を原因することはよく知られていますし、わが国に胃癌の多いのは、塩からいもの(漬物・塩魚・佃煮など)を食べすぎるからだ、ともいわれています。
古くから、多くの食養家が、塩の過食をいましめ、減塩食や無塩食をすすめている所以でしょう。
たとえば、村井弦斉氏は多年山中に入り、無塩生活をした経験から、塩の害を力説し、塩断ちすることで体抵抗力は著しくたかめられる、としています。
また、昔から神仏への願かけの際に、よく「塩のもの断ち」ということをやりました。
これは、塩がそれほど断ちがたいものであると同時に、そうすることによって心身を浄め、強めると信じられていたからでしょう。
それはともかく、一体、どれくらいの塩を食べるのが適当なのでしょうか。
ふつう、毎日の尿に出る食塩の量が、大体10〜15グラムなので、それくらいを摂るのがよいだろうと考えられているようです。
けれども、この数字は、決して、それだけの塩を食べねばならぬということではなく、ただ、調べてみると、それだけの食塩が尿に出ている。
つまり、それくらい食べている(食べた食塩の大部分が尿に出るので)ということをあらわしているにすぎません。
学者の説によれば、絶対に必要な食塩量は、特別の場合(強い発汗・下痢・嘔吐などで甚しく食塩を喪失するような場合)を除き、それよりもずっと少く、1日僅か2〜3グラムでよいのだそうです。
しかも、この程度の食塩は、ふつうの混食では、自然に十分含まれています。
ですから、塩断ちしても少しも差支はないわけで、それ以上は、ただ、舌の好みによって習慣的に食べているだけのことだ、というわけです。
|
|
5. 青ぬた
|
生葉っ葉をすりつぶすか、青汁粉末、乾燥葉末をねってドロドロにしたもの。
油、酢、少量の食塩と適宜の薬味を入れる。
飯、パン、ウドン、ソバ、その他イモにもマメにも、肉や魚、卵など。また野菜の料理など、どんなものにもうんとかけて食べる。
|
|
6. 塩気についての一体験
|
倉敷市 H.T.
このほど私は、以前はなんと塩からいものを好んで食べていたものかと、つくづく思い起こしました。
それは、広島出身の友だちから、本場の広島菜の漬物をいただいたので、お昼に、久方ぶりにごはんをたいて、この広島漬にいりごまをかけ、丸干に大根おろしをそえて食べたときです。
別にお醤油をかけたわけではないのに、なんとも塩からく、そして、あと口にただやわらかく煮ただけの大豆を食べて、これが本当においしく感じたのです。
以前は、これが大好物で少しお醤油をかけてごはんにそえたら、なんともいえずおいしかったものです。
けれども、ここ十年来、遠藤先生ご夫妻のお教えに従って、毎日青汁を1合ないし3合のみ、その他の食物もだんだん改め、調味はつとめて薄味にし、とくに塩気は極力ひかえるようにつとめたところ、だんだん薄味が口にあうようになってきました。
そして、外食したり、他家でいただいたりするものが、ときにかなり塩からく感じるようになっていました。
とりわけ2年ほど前、平素の食事にお米をやめ、主食は、朝はパン、昼は芋またはめん類、晩は大豆や芋やパンなどにしてからは、副食はますます薄味になってきました。
そして、以前は食事の度に欠かせなかった漬物が、なくても別にさしつかえないようになり、長年大事に扱っていた糠漬の床を捨ててしまったほどです。
また、丸干や佃煮などの塩物も、そう好んで食べないようになりました。
このため、以前は大好物であった広島漬や丸干が、なんとも塩からく感じたわけでしょう。
また私は、塩気だけでなく、砂糖もつとめてひかえめにしたところ、今では、どうにも味つけがうまくいかない煮物だけに、それも、ほんの少し使うようになっています。
毎朝のむ紅茶には全然いれなくなり、これが本当においしくなっています。
が、コーヒーには、まだ少し(角砂糖4分1以下)いれていますが、これ以上いれると、味がしつこく、あと味悪く感じるようになっています。
そこで、思いあたることですが、ふつう多くの人々が、へいそなにげなしに、おいしくいただいているものは、やはり遠藤先生が常におっしゃっている通り、塩気や砂糖がちょっと多すぎるのではないでしょうか。
そして、これが、このごろ目立って多くなった高血圧その他いろいろな病気の、ひとつの原因となっているのでしょう。
といって、長年食べなれている味を薄味にするのは、私もつくづく経験したことですが、まことにむつかしいことです。
けれども、これとて、やはりひとつの習慣ですから、そこをよく考え、日にちをかけて、とにかく毎日努力していけば、だんだん薄味になってくるわけです。
そして、自然の食物が本来備えている味わいがだんだんわかるようになり、これまで通り、別にそう濃い味つけをしなくても、けっこうおいしくいただけるようになるわけです。
|
|
7. 材料に困る
|
京都市 Y.T.
青汁をはじめましてからもう9年になります。
お蔭様で、身体の始終具合のわるかった母も、それからは、ずっと元気で働いております。
いま時分の季節では、郊外へ出ますと雑草が茂っていますので、それをとって青汁に出来て、大変よいのですが、夏から秋にかけて材料に毎年困っています。
ケールも秋にはあまりとれませんし、雑草も実がついてしまいます。
エンサイ、去年播きましたが、肥料不足のせいか大きくならず、種がとれませんでした。
今年は沢山肥料をやって大きく育てようと思います。
(ケールは春、梅雨の終り頃、秋の初め、10月中下旬と、1年に4回くらいまくと、年中とれます。
但し、深耕することと、タイ肥や緑肥を十分にやることが大切です。エンサイは気候の関係で、こちらでは実はとれません。)
|
|
8. 青なっぱで視力回復
|
倉敷市 O.K.
青なっぱ食で視力が出ました。
青汁教室をまだ知らなかった7・8年前の事です。
私は、右の目が曇り硝子の様になって、見えぬ事に気付き、中央病院で診察を受けました。白内障で、手術をしても十中八九、視力は受けあえぬとの事。
取あえず、一縷の望みを託して手術を受け、先生の御指導通りの絶対安静の3日。
その後の養生をしました。
先づ、体力をつけねばと、「うなぎ」「カツレツ」と、精のつくもの、せっせと持って来て貰らい、食し、お蔭で体重64キロ、身体はピンピンしているのに、視力はどうも思はしくありません。
覚悟はしていても、私は悲しく、何んとかして、見えるようになりたいと思い、先生にもお尋ねしました。
先生は、各人各様で分らぬとの事。私は何んとかして、と思いつづけました。
診察室へ出ると、誰彼となく、病気の事、食物の事、聞きました。
経過のよい人、悪い人、があるのに気付きました。
一番よい人の食事は「青なっぱ野菜食、御飯は少量」。
一番悪い人は御馳走づくめ、肉魚、お菓子、大量に取る人、となり、私はその日から、「青なっぱ食」にしてから、身体が軽い事。
気分が壮快、経過がよろしい。
通院するようになって、食堂に青汁のあるのを見つけ、それを飲む事も私の楽しみの一つとなりました。
半年後、先生から、大丈夫、こんなによく成るとは思わなかった。
視力も1.5まで見えます。
私の右の目は、「青なっぱ食」のお蔭で、思わぬ視力を得ました。
もう一つ片方の目も、1年以内に手術を、と申されていたのに、7年後の今日、まだ字が読めるので、しておりません。
経過の悪い人の中には、こんな方も居られました。筋骨たくましい男の方。
奥様は早くよくなってもらおうと、毎日せっせと御馳走・肉魚・お菓子等はこばれています。
40位の肥えた女の方も、「視力が出ない」となげいていられましたが、朝から「テキ」と申されていた事が、今も耳に残っています。
私の同病室に、2年近く入院していられた方は、偏食で、チョコレート・南京豆ばかり食べていられました。
毎日、病院へ出かけてデーターを取ってみたら、面白いものが出来るのではないかと思う昨今の私です。
|
|
9. 一人でも多くに
|
鹿児島県 S.I.
昨年(40年)に無料にておくって下さいましたケールを植えて、新鮮なケールの葉の青汁を毎日飲みまして、今は元気に働けるようになりました。
ここに、少ないですけどケールの種子ができましたので送ります。
全国の、病気で困っている人が、少しでも多く、青汁を飲んで、元気になってもらいたい気持でいっぱいです。
|
|
10. みずむし
|
よく効くという薬がいろいろある。
それで一応は治っても、またすぐ出るという厄介なものなので、確実に治す薬を発明したらノーベル賞ものだ、とさえいわれているそうだ。
それが、緑葉食・青汁で簡単に、しかも完全に治ってしまう。
水虫の原因はカビで、どこにでもいる。
だから、いかに、きつい薬でも、結局、ほんの一時おさえにしかすぎず、栄養を正しくして、カビをうけつけぬからだにすることが根本だ、というわけだ。
|
|
11. ナッパ買いが楽しみ
|
神戸市 Y.I.
こちらの市場では、著書にのっているような緑葉菜がありません。
タカ菜・シャクシ菜・山東白菜は毎日売っております。
若葉、カブラ菜は日によってない日もあります。
若菜とダイコン葉は牛乳にまぜて、毎日3合ほどのんでおります。
まだ10日ほどしかなりませんが、体は快調です。
はじめは嫌がっていた子供たちも、今では、学校からかえると、「青汁」というようになり、自分でジューサーでつくって飲んでいます。
主人も会社から帰ると、「青汁」と申すようになりました。
青菜葉を買いに行くのが楽しみになりましたが、思うようなのがないので残念です。
◎ご注意
(市販のナッパ類には農薬の心配があります。十分気をつけて下さい)
|
|
12. 毒虫
|
|
|
13. やはりケールの青汁
|
茨城県 S.K.
昭和37年7月4日以来、ケール青汁を飲用してまいり、その効果を十分に体験いたしました。
その後、なれたこと、またコンフリー食用、また、ジューサーで青汁をつくり、そのあと始末がめんどう、などのため、本来3月より中止いたし、半年になりましたところ、体の調子が悪く、よわくなり、やはり、ケール青汁の効果が、確かにあることを確認し、また、もとのように始めようと考え、ケールを播きつけました。
|
|
|
14. 青汁いろはガルタ
|
岡山市 H.N.
- (ア)赤子なら牛乳よりも青汁をとる
- (イ)祈りても飲めぬ青汁飲む赤子
- (ウ)産む前に青汁捧げよ神の子に
- (エ)偉い人野菜の力を知っている
- (オ)大人でも野菜ギライはエヅク人
- (カ)カンシャクは先生よりも青汁に
- (キ)気立までやさしく育つ野菜党
- (ク)苦しくも頑張る力生む野菜
- (ケ)健全な身体に宿るよい心
- (コ)心まで食習慣が支配する
- (サ)サット立つすなおな気持も野菜から
- (シ)叱られてすなおになおす野菜好き
- (ス)すなおな子青汁野菜が身につく子
- (セ)成績もすなおに伸びる野菜好き
- (ソ)その上に個生が生きる大地(つち)踏んで
- (タ)魂を野菜で浄め肉もよし
- (チ)血を清く野菜と肉が2と1で
- (ツ)常日頃神の心が歯の中に
- (テ)鉄人が夕べの白骨食のいたづら
- (ト)年とって病に苦しむ文化人
|
|
15. 質問箱 「シート」は?
|
岡山県 H.
問
子供がよく食べている「シート」は、青汁にはどうでしょうか
答
シート、スイバ、ギシギシ。寒い時分にもあり酸っぱい味があるので、利用したいところですが、あの酸っぱ味が、実は、蓚酸なので、青汁にして、大量を飲むのは、よくありません。
(少量を混ぜるのは大して問題でないかも知れませんが)イタドリまた同様です。
|
|
コラム紹介
|
|
|
|
ご意見・ご要望はこちらへ
|
|
|
|