健康と青汁タイトル小 <1967年11月15日発行 第135号>
 目次




1. 食べ方

     医学博士 遠藤 仁郎 

    食事の時間

     食事の時間は、規則正しいに越したことはないが、なにも、ひどくそれにこだわる必要はありません。
     「一切の疾病は宿食を本と為す(大般涅槃経)」
     「飢えて食い渇して飲む」で、もっと大切なことは、「空腹を覚えて食べる」ことです。
     つまり、消化の状に応ずべきだということで、胃が消化を終り、空虚になったのち、一定時間の休息によって疲労を完全に回復し、食欲が出るにおよんで、はじめて食べる。これが、もっとも自然的で、もっとも正しい健康的な食べ方です。
     したがって、食事の時間は、むしろ不規則なのが自然ともいえるし、時間をきめるなら、次の食事時間に、うまく空腹になるよう食量を加減すべきだ、ということになります。
     しかし、現在多くの人は習慣的に、時間が来れば食事し、そのたびに満腹するまで食べているので、真の空腹は殆んど知らぬばかりか、いわば、宿食に食事をかさね、それだけでも、いつも負担は過重されているわけです。
     まして、食欲もないのに強いて食べさせられている病人などは、飽食の上に、なおも飽食を強いられているのと同然で、不自然かつ不合理きわまる暴挙にもひとしいものです。莫強食(千金万)。

    食事の量

     毎回の食事の量はどうでしょうか。
     むつかしくいえば、体格、体重、年令、性別、活動の状や食習慣により、またその人の消化能、食欲にもよります。
     そして、いろいろといわれているようですが、結局、ヒポクラテスが、
     「吾人は食餌の分量に関して、一定の基準を求めねばならぬのであるが、その基準こそは、数においても、量においても、ともに身体の自覚する所を以て、之を計る以外の道はない」
     といっている通り、自分できめるほかはありません。
     そして、やはり昔からいう腹八分。
     多く食わず(論語)
     食は過飽すべからず(抱朴子)
     いまだ飽かざるにまず休む(蘇内翰)
     というのが無難なところでしょう。
     大雑把にいって、体力を維持し、心身のはたらきを妨げぬ程度。過ぎず不足せずの最小量が理想といったところ――消化能、食欲に応じ、つねにいく分の余猶を残す。次の食事までに消化しつくし、といって余り強い空腹でもない、いわば快い空腹を感ずる程度に食べておけばよいわけです。
     「極飢して食うを欲せず(抱朴子)」。
     「常に飽中飢あり飢中飽あるが如からしむるを欲す(千金万)」。
     ただし、これはあくまで原則。
     元気のよい子供や若いものは、時には大いに食い、大いに飲み、また時には飲まず食わず、飢渇に堪え、あらゆる条件に対処しうる能力を養うべきでしょう。

    食事の回数

     食事の回数また同様。習慣、職業などにより、また消化能のいかんによるべきで、1日1食でも、2食でも、3食でも、あるいは4・5・6回にわけて少量づつ食べてもよろしい。
     「主食の外に朝食をとるか、或は1日1食にするかということは大した問題とはならぬものである。それは、一に、その人の習慣にしたがうべきである(ヒポクラテス)」。
     わが国では、上代から1日2食でした。神仏の供物は今も朝夕2回であるのは、その遺風。
     江戸の中期から3食になったが、激労時には、たとえば農繁期には4・5・6回も食べています。現在ふつう3食ですが、軽労者や中年以後は1〜2食でよろしい。
     二木博士は、40以後は1食でよい。フレッチャ−も1食を推賞。西洋養生訓も、食は淡白、日に2回と訓えています。また、ハッチソンによれば南阿のカフィール族は、食べるよりは働くことを好み、ただ1回大量の食をとるのみだといいます。

    主食事

     わが国では、ふつう夕食が主食事になっています。英仏やスイスでも同じですが、ドイツでは昼食が主食事だそうです。
     それは、夕食があまりおそくなり、夜間の負担が過大になるのはよくない、というので、「養生要集にいう、夜食恒に飽満せざれ、人をして無病ならしむ、これ養生の要術なり(医心方)」
    とあるのと同じわけでしょうが、どの食事を主食事にするかは、やはり一般慣習あるいは仕事の都合によってきめるべきでしょう。

    間食

     間食はなるべくさけるべきです。
     「間食は寿命を蝕む悪魔」
     「人間は健康者においても、不定時の排泄と不定時の充実とは同じく不快を感ずる(ヒポクラテス)」。

    夜食

     とくに慎むべきもの。
     夜は全身の機能の休養すべきとき。消化器にもなるべく十分の休養をあたうべきです。
     「百人の医師を呼ぶより夜食と夜更しをやめよ」(スペイン俚諺)


 
2. 青汁教室 食養生についての断想(5)
前回参照

     友成 左近 

     しっかり食べる、といえば、ごはんを沢山食べること、ごちそう、といえば、肉や魚や卵の多いこと、おいしいもの、といえば、甘いお菓子、けいきをつけよう、といえば、お酒、ということになっているようだ。
     だが、いずれも、すきれば、健康を損なう。青野菜が不足しておれば、なおさらである。青野菜を十二分に添えていない食物は、どんなすばらしいものでも、病気にかかる素地をつくる。
     毎日毎度、まずはさておき青野菜を、しっかり食べるように、すすめるのは、どんな食品でも栄養成分が不調和であるが、それに青野菜を、それ相当量ずつ加えたら、ただそれだけで、うまく調和するからだ。
     青野菜以外に、これに代わり、これに勝って、手近で、重宝なものはないのだ。
     「青野菜を生でしっかり食べて下さい」とすすめると、「はい、キャベツを生で沢山食べています」と答える人が少なくない。
     野菜のうちで、青野菜を金とすれば、キャベツは、銅といったところであるのに、野菜の値打についての理解は、ふつう、こういった程度なのであろうか。
     コーヒー代一杯を倹約して食品成分表を手に入れ、あるいは中学や高校の家庭科教科書でもよい、もう少し食物の性質を心得てほしいものだ。
     ことは、生命と健康にかかわることであれば。
     毎日毎度の食物に野菜果物が大切であるからといって、キャベツやリンゴといったものばかり食べていては、たいした効果はない。パセリがすぐれているからといって、ほんのちょんぴり添えてみても、同様である。
     カンジンなことは、質と量である。栄養成分上すぐれた良質のものを、それ相当量とり入れなければならないのだ。
     食養生に、せっせとリンゴを食べるのは、貯蓄に、一円硬貨をためるようなものである。無意味ではないが、成果は容易にあがらない。
     「青野菜を生でしっかり食べて下さい」とすすめると、「レタスなら」と答える人が少なくない。  レタスでも、けっこうではあるが、ただこれだけでは、ちょっとやそっと食べても、栄養上、効果は容易にあがらない、ということをアタマに入れておく必要がある。
     ホウレンソウを野菜の王様と考えるのは、東大卒業生を格別立派な人物と考えるようなものだ。
     確かに青野菜で、各種のビタミン、とくにAは多いが、カルシウムや鉄の吸収が劣り、おまけに、あまり沢山食べていると腎臓結石ができる危険があり、青野菜のうちでは、栄養上そう優れたものではない。それに、そううまいものでもない。
     大根を買って、ネッコだけ持って帰るのは、有名店で買物をして、包装した箱だけ持って帰るのと、あまりちがわない。カンジン・カナメなものを忘れている。
     キウリを青野菜と考え、しっかり食べて丈夫になろうとするのは、割箸を材木と考え、これを集めて住み家を建てようとするようなものだ。
     ひと口に野菜果物といっても、その栄養成分には、ピンからキリまである。
     最も優れているものは、パセリ・シソ葉・ニンジン葉・それからダイコン葉・カブ葉・コマツナ・キョウナ・シュンキクといった、なかのなかまで緑色の濃い青野菜だ。
     つぎが、ニンジン・カボチャ、それからミカン・カキ・トマトといった、なかのなかまで黄色のものだ。青野菜に比べると、はるかに劣るが、食べれば、それ相応に効果がある。
     最後が、キャベツ・ハクサイ・タマネギ・ダイコン・キウリ・ナス・リンゴ・バナナ・モモ・ナシ・ブドウといった白色のものだ。食べてムダではないが、効果はあまり期待できない。
     なお、各種のイモ・乾燥したマメは、野菜ではない。

     (付記)
     この断想は、毎度の青汁教室で、遠藤先生が繰り返しお話しになっていること、これに学んで参会者が自ら体験して話し出したことどもです。 


次号参照

3. 楽観だけではすまない 日本の出生率低下傾向 人工妊娠中絶は最小限度に

    人口と出生率

     地球上の人類は年々猛烈な速さで増加しており、このまま進めば、今世紀の終わりには60億に達するだろうと推定されている。これに対し、食糧増加はとうてい追いつけず、遠からず世界的食糧危機がやってくると警告されている。現に地域的には毎年のように飢餓の発生が報告され、インドのように慢性化した食糧不足に悩んでいる国もある。一部の学者はこの世界的人口過剰に対する対策の急務を叫んでいる。少なくとも、いわゆる人口学者たちは口をそろえて、出生のコントロールを世界的規模で行なうべきであると主張している。

     先般東京で開催された第11回大平洋学術会議においてもこれが問題となり、わが国のめざましい出生率低下が話題となった。世界の学者からみると、わずか10年足らずの間に出生率が半分になったことは確かに驚異的事実にちがいない。その秘密がどこにあるかを知りたがるのは当然といえる。
     わが国において、受胎調節の普及がめざましいことは否定できない。出生率の低下にこれが大きく働いていることは確かである。しかし一方、人工妊娠中絶の普及も世界に類をみないところで、これが出生率低下に拍車をかけていることも確かである。人口過剰に悩むアジア諸国の中にあって、ひとりめざましい出生率低下を実現した国として、人々から驚嘆の目でながめられているわが国としては、いささかうしろめいた感じである。

    人工妊娠中絶とその障害

     わが国の人工妊娠中絶件数は、昭和28年以来100万人を突破し昭和33年では112万8千件となっている。その後幾分減少し、とくに数年は100万以下となっている。しかし、実際にどの程度減少しているかとなると、まだ問題はあるように思われる。
     いずれにしても、わが国では人工妊娠中絶がきわめて安値に行なわれている。そのためにいろいろ障害があるだろうことはだれでもが考えるところで、人によっては45%程度に何らかの障害があると極言する人もある。しかし、実際にはどうだろうか。
     この点に関し、3年前より森山豊前東大教授が中心となり、人工妊娠中絶障害調査委員会がその実態調査を行なった。その結果が、日本家族計画連盟から発表されているが、それによると、人工妊娠中絶直後の月経はやや遅延するが、永続的な変化はない。また、中絶後の妊娠の際、その分娩にもあまり大きな障害は認められない。しかし、中絶後にはかなりの率において、子宮外妊娠、習慣流早産が発生する。これらの障害発生率と対照の正常分娩後の同種類の障害発生率とを比較すると、習慣流早産率は、明らかに高い。しかし、子宮外妊娠、続発不妊率は、対照よりやや高い程度で、著差はない。

    障害率は低くない

     こういう結論からみると、人工妊娠中絶後の障害率は対照例に比して著差がないということになるが、それだけで人工妊娠中絶の後障害率が少ないというわけにはいかない。とくに、人工妊娠中絶後に不妊、子宮外妊娠があるということと、すでに子供のある婦人が正常産後に不妊、子宮外妊娠があるということでは、意味が非常に異なるのである。
     また、この調査では中絶後何らかの目的で病院を訪れた婦人のみが調査対象となっているので、中絶後直接障害で死亡したとか、中絶後不妊となって、その後病院を訪れないような例は、調査対象に入っていないことにも問題があり、この調査で人工妊娠中絶の障害が対照とくらべて著差がないといっても、直ちに人工妊娠中絶の障害は少ないと考えるわけにはいかないのである。やはり人工妊娠中絶は必要最小限度に行なうべきもので、出生のコントロールとしては、受胎調節一本にしばるべきである。

    むすび

     ところが、わが国の例にならって、世界各国とも人工妊娠中絶普及への傾向がみられ始めている。まことに悲しむべき傾向である。わが国としても、責任がある。かりに、人工妊娠中絶の障害がないとしても、現状のままルーズな形で人工妊娠中絶を公認していいかどうか。まして、その直接障害、後障害について、まだ問題の残っている以上、真剣に今後のあり方を考える必要があるだろう。 

    クリニク・タイムス 275号より



4. 熱心に続けたい

    東京都 K.O. 

     ケールが入手できないので、野菜(小松菜)をしぼり、初めの頃は1合位。夏季は7・8月ごろ2合位、毎日のみました。
     約8ヶ月ほど飲みましたころ血圧検査を受けましたところ、私は年令70才でして、190もありましたものが、160に下りまして、血圧不安はなくなりましたので、真に嬉しく、今日まで毎日続けて、1合ないし2合を毎日飲んでいますが、食事は1度くらい欠がしても、青汁は欠かすことなく、のまずにいましたら物足らぬ故、必ず飲んでおります。
     他の人々にすすめても、飲み難いとて続行していませぬが、真に惜しいことと思っております。
     私は熱心に続けたいと思っています。


 
5. 長年の痔疾

    坂出市 T.S. 


     今度、「青汁の効用」を拝読する機会を得まして、長年の痔疾にたいして、これこそ根本的な療法だと感じ、早速、実施しましたところ、便通がよくなり、炎天下にもかかわらず、元気が出たように思い、よろこんでいる次第です。
     以後、青汁を継続して、1日も早く健康を回復し、病める人々に一助になればと念願しています。


 
6. 青汁の効果

    玉島 M.N. 

     私は永く青汁を飲用して居る者であります。一言諸賢の皆さんに飲用の効果についてお話申し上げます。
     青汁は1日飲んで早速効果があらわれるものではありません。私の効果を感じた事は、四季の感冒にかからないのが第一。つぎに無法の過食をせないかぎり胃腸病に冒されないと思います。
     私は血圧がいつも高いのですが、血管を強くする効きめも相当あるのではありませんか。お蔭さまで今日まで達者で働いております。
     御飲用の皆様に永久に飲用なさいまして御健康なお体になられますようおすすめいたします。


 
7. 工合がよい

    新潟市 T.E. 

     5年前、軽い中風に罹り、翌年右眼が見えなくなり左眼は霧のかかったようにボンヤリとしか見えず、その後今日まで、廃人同様にくらしております。
     たまたま、最近、「青汁の効用」を借りて読みました。近所に自生している草やトゲのあるアカシヤなどで少々づつこしらえて飲みましたら、工合がよろしいので、今後も続けたいと存じます。


 
8. 楽しみに飲む

    本渡市 N.T. 

     只今ケール百本あまり植えて、毎日、家族4人、楽しみに飲んでいます。
     本年は、例年にない、降雨がなく、ケールも伸びが悪いので、毎日毎日水かけに追われていますが、それでも見事に栄えています。


 
9. 北海道のケール

    札幌市 H.A. 

     ケール栽培については、5・6年前より、色々試みておりますが、昨年度は温床を作り、冬期間も食用に供しようと致しましたが、寒い北海道のこととて、寒中は零下8度(温床中)にもなり、あわや全滅とも思われましたが、どうにか枯死をまぬかれました。
     このような低温下で栽培したケールの種子は耐寒性も強いと思いますか、如何がなものでございましょうか。採種しだい御送付申し上げますので、ご試験願い上げます。
     写真は札幌で栽培したケールでございます。
     寒い北海道では、この位になって最大です。


 
10. 心強い限り

    足利市 N.H. 

     家のケールも4ヶ月目、もう5寸くらいになりました。
     毎日、かわいがって育てて来ましたので、12月になって、表に植えるのが、寒くて可哀そうのようです。
     濃いグリーンの葉を、勢いよくのばして、太陽の光をうけている姿は心強いかぎりです。


 
11. 韓国だより 冬の材料の供給

    光州市 M.B. 

     貴会発行の「健康と青汁」によりますと、わが韓国にも、貴会皆さまのお陰様にて、ケール普及に、各地で熱をあげて居ります。
     小生の居るところは、日本の関西地方に等しい気候で、越冬に容易なところでありまして、現在、冬期にはソウルの緑汁会にも分譲いたして居りますが、大邱の皆さまも冬期には材料に困難していらっしゃるとのこと、もし依頼があれば、冬期の材料供給につとめたいと存じます。
     註 朴さんの住所は
     光州市鶴洞1区151と木浦市山亭洞1044です。


 
12. 原料を確保したい

    日南市 T.T. 

     永いこと気管支ゼンソクで悩みつづけ、最近は十二指腸カイヨウで手術をすすめられましたが、同僚のすすめもあって、目下、青汁を飲用し、大変、結果がよいようですので、ケールを栽培して、その原料を確保したいと思います。


 
13. 日1日と

    富山県 K.N. 

     近年、胃腸を病み、苦しんでいましたところ、昨年「青汁の効用」なる書を読み、ふかくうなづくところあり、会の方々におねがいしまして、ケールつくりに精出しました。
     そのケールの青汁を一心にのみ続けまして、日1日と健康をとりもどしている次第でございます。


 
14. 83でメガネいらず

    岡山県 S.K. 

     40年も前、村井弦斎先生の食物論を20年研究し、玄米・大麦食・生食・生水・松葉食実行。今日83で、メガネいらずで、道楽のハタオリをしています。


 
15. 質問箱

    広島県 H. 


    先生のご本に、肝・腎などには刺戟のない青汁、とありますが、具体的にどういうものをいうのですか。


     刺戟とは、舌を刺すような味のあるのをいうので、その代表的なものは、カラシナ、普通のダイコン、ことに夏ダイコンの葉、ワサビの葉、ニンニクの葉など。
     刺戟のないというのは、そういうキツい味のないもの、という意味です。








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