健康と青汁タイトル小 <1965年12月15日発行 第112号>
 目次




1. 牛乳

     医学博士 遠藤 仁郎 

     牛乳、山羊乳ともにすぐれた食品。おそらく動物食品の中でもっとも完全にちかいもの。それは、乳が乳児の唯一の食べものであることからもわかりましょう。したがって、母親の食べものさえ正しければ、母乳は理想的の乳児食の筈です。事実、乳にはすぐれた良質蛋白質があり、脂肪があり、脂肪があり、カルシウムは多く、ビタミンもそろっています。
     もっとも牛乳や山羊乳ではCは少く、市乳などではまず○です。それは、乳児が母乳だけしか飲まないのに、子牛や子山羊は、生れおち、よちよち歩きしか出来ぬ時から、もうやわらかい草を食べます。そこで、草に多いCは節約されてでもいるのでしょうか。

     また、一般の乳には鉄が少いが、それは、乳児でも仔獣でも、母胎内で十分の鉄をたくわえているからです。つまり、乳は乳児または仔獣には適するようにできており、それらにとっては完全な食になっているようです。
     しかし、それ以外のものにとっては、最良の食品ではあっても、決してまだ完全な食品ではありません。また、乳の脂肪(したがってクリームやバタも)はコレステロールにとみ、血管ことに冠状動脈に硬化をおこしやすいといわれ、動脈硬化のおそれのあるものには、全乳よりは脱脂乳のほうが適当だとされています。

     もっとも、今時の市販の乳は、すき透りかねない程うすいものが多いし、あるいは脱脂粉乳をとかしたものかも知れないので、そう大して気にするには及ばぬかも知れませんが。ともかく、牛乳には良質の蛋白質や脂肪があり、カルシウムは多いしビタミンもだいたいあるのですから、乳に少い鉄やCにもとむ良質菜の少量をそえれば(乳100にたいし大根葉僅か10グラムで)それだけで完全な食になります。
     したがって、乳を飲めば野菜は少くてすむわけであり、乳菜食が健康食でもあるわけです。そしてまた、乳をよく飲む人や、よく利用する地方には長寿者が多いというのは、世界中共通した事実のようです。

    生乳
     市乳は本来生乳の筈ですが、乳の生産には年間非常にムラがあり、気候のよい、そして青草の多い時には出る量が多いが、そうでない時には少くなります。
     真面目な業者は生産最低量を基準に販路を制限するそうですが、儲けさえすればの多くの業者は、少しでも多くの利益をあげるために最高生産量の線ギリギリまで、いやもっと上まで販路を拡げます。
     そこで、当然何らかの策――うすめるか、貯蔵物ことに粉乳をとかして混入するといったこと――を講ずるほかなくなります。現在の市乳には、まず生乳はないと極言するものさえある所以です。牛乳の大部分が加工されている事実からも、あながち根拠のないことでもなさそうだといった気がせぬのでもありません。
     もっとも粉乳だとて、もともと栄養のたかい乳からつくったものですし、製造過程中いく分のロス(約10%といわれています)はあるにしても、相当立派な食品であることに間違いはありません。一方、生乳とはいうものの、それは決してしぼり立ての新鮮乳という意味のものではないのですから、たとえ粉乳をとかした乳でも、そう大して違いはないというものかも知れません。それはともかく、問題はむしろ、乳の質そのものと、混在するあるいは添加されているかも知れぬ薬品です。

    乳質
     乳質のよしあしは乳獣のおかれる環境と、あたえられる飼料とによります。山羊はふつう放牧されているので、まず問題はありませんが、乳牛の多くのものは不自然不健康な牧舎につながれ、余りにも不自然不合理な飼料――科学的と称せられている不完全濃厚飼料があたえられています。これでは、出る乳が健康であり、良質であろう筈がないではありませんか。

    混在する農薬
     また、あたえられる飼料に農薬が含まれていないでしょうか。たとえば、米糠には水銀があります。青草にはDDT・BHC・砒素・水銀・燐含有その他の農薬がふりかかっていたり、あるいは永い間に土壌中にたまって、根から吸い上げられている農薬が、少しづつでも乳の中に出て来てはいないでしょうか。

    治療薬
     また、不健康な乳牛の発病予防や治療のために使用される薬品が、乳の中に移行し、ために、乳酸発酵が妨げられ、チーズ製造が困難になっているそうですが、それはともかく、人体、ことに乳児が、そのために感作されて、たまたまペニシリン注射で恐ろしいショックをおこすことにもなるそうです。そういう心配はないでしょうか。

    乳粉
     製造過程中の栄養分のロスはもとより、農薬や畜産用の薬剤、さらには加工途上に加えられる薬品にも、少しも油断はできません。何としても神ならぬ人間のすること。その間にどんな手違いや間違いが起らぬとは保証の限りでありません。
     現に、あれほどのメーカーの製品でさえ恐ろしい中毒事件がおきたほどです。これは、加工過程中に使われた薬品が工業用の粗製品だったので砒素が含まれていたためでした。その上、ビタミンや鉄が添加されているのはよいとしても、理解に苦しむのは、殆んどすべての粉乳に砂糖――それもかなり多量の――が入れてあることです。

     
    熱量蛋白質カルシ
    ウム
    B1B2
    牛乳(市乳)592.9100900.110030150φ
    同100+
    大根葉10
    63.93.42119930.24400401809
    人乳611.435250.212020305
    山羊乳623.1120350.1120401401
    粉(含脂)49525.98907301.070025013005
    乳(脱脂)35934.812009801.02030016005
     
    カロリーgmgmgmg国際単位ガンマガンマmg

    (注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上であれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)


 
2. 婦人乳

     近き頃、京師に一老男子ありて、婦人の乳汁を飲む事を好み、初産の婦人の乳房堅くて乳汁出がたきものを吸出して、乳汁の道を通ずといふにより、新産の婦人は皆此老人をまねきて乳を吸出さしむ。
     此老人日夜諸方に招かれて乳汁のみを飲み、他の飲食せずといふ。五雑爼に、穣城の人、年二百四十才、他の飲食を断じて、唯乳汁のみ食用して壮健なりと。京師の老人も長寿を保つべきにや。奇事なり。

    北窓瑣談  


    漢の丞相張蒼は偶、小術を得て、婦人の乳汁を唆ひ、一百八十歳を得。
    抱朴子  



3. (青汁教室) 青汁のねらい(その1) 最近の健康状態

     どんな病気にかかっている方にも、どことなく体具合の悪い方にも、また妊娠中の方にも、授乳中の方にも、赤ちゃんにも、さらに、これこの通り丈夫ですという、子供にも、青少年にも、成人にも、老人にも、とにかく、どなたにも、私は、まずはさておき、青汁を飲むようにすすめています。

    青汁をすすめるねらいは
     病気を治療するときにも病気を予防するためにも、また、よりいっそう丈夫になるためにも、あるいは、丈夫な赤ちゃんを生んで、さらに丈夫に育てるためにも、また心身ともに健やかに長生きをするためにも、いろいろ大切なことがありますが、なかでも、毎日の食物が、栄養上うまく調和した、完全栄養であることが、最も大切です。
     ところが、この頃は、どことも、これが著しく不調和であり不完全なのです。その上、多かれ少なかれ、有害有毒とさえなっているのです。これを改善するには、これまた、いろいろな工夫が大切ですが、さしずめ青汁を、毎日、しっかりと、正しく、飲めば、ただそれだけで、よほど完全栄養に近づくのです。
     そして、これが手がかりとなって、食物について正しい理解が深まり、また正しく食べる修練がつんで、だんだんと毎日の食物が改善され、よりいっそう完全栄養に近づくのです。青汁をすすめるのは、こうしたことをねらっているのであって、さしあたり、こうする以外に、これに勝る有効な手がかりがないのです。
     これを、もっと詳しく説明すると、こうです。まず最初に、最近の日本人の健康状態や病気の様子について、ひとこと説明しましょう。

    平均寿命はのびたが厄介な病気がふえた
     最近わが国では、平均寿命は、ずいぶん、のびてきたようですが、病気にかかる人、どことなく体具合が悪い人は、いっこうに、へってこないようです。それどころか、逆にふえてきているようです。とりわけ動脈硬化、高血圧、ガン、神経痛、肝臓炎、腎臓炎といった、まことに厄介な病気にかかる人が、目立って、ふえてきているようです。こんな病気は(腎臓病を除いて)かつては、老年になって、やむをえない老化現象として、とかく、かかり易い老人病だったのです。
     それが、最近では、中年でかかり易い成人病となっています。さらに、青少年でも、もうすでに、こんな病気にかかっている人が、かなりいるのです。

    病気にかかるいろいろな原因
     いったい病気にかかるのも、どことなく体具合が悪くなるのも、人その人によって、それ相応に、原因があるわけです。もって生まれた素質が丈夫でない場合や、その後の生活で養なわれた体力が劣っている場合です。
     また、空気、水、日光その他の生活環境が非衛生である場合や、人間関係に悩みが多い場合です。さらに、体力を越えて運動(とくに労働)をしすぎる場合や、体力に相応した運動が不足している場合です。
     あるいは、体力や運動に相応した休養が不足している場合です。
     こうした原因と共に、そして、それにもまして重大な原因は、毎日の食物が栄養上うまく調和していない場合です。
     その上、こんな食物を、体力や運動に比べて、とりすぎている場合(ときには不足している場合)です。
     その上、農薬や洗剤や、甘味剤、着色剤、漂白剤、防腐剤といった食品添加剤など、かつては思いもよらなかった有害有毒物を、毎日、食物と共に、少なからず食べこんでいる場合です。
     そして、体具合が悪いといっては、よく効くと宣伝されているクスリを買って乱用している場合です。
     いずれにしても、こうした原因が、人その人によって、いろいろ重なりあって、体具合が悪くなったり、病気にかかったりするのです。ところが、この頃は、こうした傾向が、目立って、はげしくなっているのです。
     病気にかかる人が少なくならないのは、このためです。これこの通り丈夫ですという人にも、実は、それほど丈夫でない場合が、案外、少なくないのです。

    厄介な病気がふえてきたのは
     もっとも、医学や医療制度や公衆衛生の発展によって、ある種の病気の予防や治療が普及して、そうした病気にかかる人や死亡する人は、確かに少なくなっています。平均寿命がのびてきたのは、おそらく、このためでしょう。
     けれども、そこには、まだまだ発達し普及していない方面がいろいろあります。その手の及びかねる方面もいろいろあります。この頃、体具合の悪い人や厄介な病気にかかる人がふえてきたのは、主として、この方面からでしょう。とくに、かつては老人病であったものが成人病となり、その上、死亡順位の最高位を占めるようになり、さらに青少年でもかかるようになったのは、おそらく、この方面からでしょう。

    まずはさておき青汁で完全栄養をはかること
     そこで私は、他にもいろいろすすめたいことがありますが、まずはさておき青野菜を、それも生の青野菜を毎日しっかり食べるように、その方便として、青汁を飲むように、そうして毎日の食物に完全栄養をはかるように、すすめているのです。
     そして、この青野菜、青汁材料は、必ず無害無毒であり、できるだけ栄養成分の優れているものを利用し、また、危険な農業や下肥をいっさい使わずに栽培した安全清浄なものを使用し、さらに、甘味剤その他危険な添加物を加えない純粋なものを飲用するように、すすめています。それは、こういうわけです。

    (つづく)
    付記
     この稿は、毎月第三金曜日の夜、倉敷中央病院の古久賀会館で開かれている青汁教室で、遠藤先生がくりかえし強調されていることの一端をまとめたものです。(友成左近)


 
4. 青汁の効用

    今治市 S.O. 

     師走と言うのに、ここ瀬戸内海に面した私の町は、オーバーを着ることがなく温暖で、生きた魚に恵まれ生活費も経済企画庁の調査では、日本一安いという環境に育ちながら、子供のころより病気ばかりして、40才を迎えたこの頃、やっと健康になったような気がします。
     それと言うのも、10ヶ月前より青汁を飲み始めたからではないでしょうか。その思いつきが人にすすめられるのでなく、又、マスコミの影響でもなし、今から15年前まで5年間、倉敷に住いして、あの古風な都くらしきへの郷愁から、いろいろの思い出が美術館、土蔵、向市場、そして中央病院の遠藤先生、立入先生、そのときお世話になった人々。その頃は青汁の効果について、学術的にすばらしいものであるということを耳にしていたせいでもありましょう。
     毎朝配達して下さる中年の気位あるご婦人が、今朝、机の上に機関誌を恵贈下さったので、目を通して見ると、驚いたことに、友成先生の記事を拝見することが出来、心おどるものがありました。先生には一方ならぬご厄介になったことがありました。又その上、私が弱かった(心身共に)とき、この町までわざわざ見舞に来て下さったこともありました。
     おかげさまで現在どうにかやっております。仕事の方も衛生教育や、保健婦さんの係をしておりますので、機会あるごとに青汁の話をすすめておりますが、友成先生のご近況を知ることができたのも青汁の効用でしょう。


 
5. ケールのおかげ

    長野県 M.T. 

     大きくのびましたケール――5、60糎ありましょう――を大きな鉢にとりまして、雪の多かった冬中、家の中で眺めたり、毎日一葉づつもぎとって、白菜・リンゴなど入れて、朝はミルク1本とこのグリンジュース1本(これだけが朝食)。
     昼はパン食。夜はまたグリーンジュースと、朝夕かかさず食してまいりました。
     とくに高血圧患者にはかかされない生命力だと思われます。
     これをのんでますと、安心感から非常に精神もおちついていろいろな神経の安定剤になって、最近ではおこりっぽいのも無くなり、朗らかになってまいりました。
     歯科の患者にも大いにすすめています。とくに歯槽膿漏にはなくてはならないものです。肌がきれいになりますので家中、子供まで一生懸命のみはじめました。胃腸のよわい子供も大変よくなってまいりました。ケールのおかげで家中感謝で一杯です。


 
6. 頭痛とぬけ毛

    前橋市 N.K. 

     青汁の効果には今更ながら驚いています。小生41才の男ですが、昨年の春風邪をひき、その後、頭痛がたえず、たえず悩んでおりました。また、夏ごろから抜毛がひどく、二月位の間に頭の頂がうすくなり、医者にかかりましたが好転せず、すっかりまいってしまいました。たまたま書店で青汁の本を見、ぜひこれを試してみようと、ジューサを求め、キャベツで4月の下旬から始めました。効果は徐々にあらわれ、最近は頭痛もだいぶうすらぎ、抜毛も少くなりました。


 
7. 見えぬ所も

    大阪市 K.K. 

     青汁をはじめて、はや三週間。(私は20才で、やせています。胃腸がよわい関係で)まず耳鳴がピタリとおさまり、顔の色、つめの色もよくなり、胃腸も徐々によくなり、おそろしい夏を無事すごせると深く感謝します。そして眼には見えぬが、見えぬ所も必ずや効果をあらわしているでしょう。



8. さよならの歌

     深山 旅愁 

    涙を浮かべた 言葉でも
    君へさよなら 云って帰ろうか
    こころに残した あたたかみ
    いろいろお世話に なりました
    さびしくさよなら 云ったけど
    これが別れの 声にしたくない
    また会える日 あるさようなら
    その日の来るまで 元気でね
    あと振りむいては また向いて
    君へさよなら そっと手を振ろう
    やさしい言葉の 夢のかず
    さよなら云ったが 忘れない



9. 人生の助言

     深山 旅愁 

    表から見れば、現代は倖な時代と云えるかもしれないが、裏からみると決してそうでも無いようだ。

    ――なるかぎり汗を流さないでいて、少しでも多く代償をもらいたがり、出来るだけ身体を動かさないで、おうちゃくに楽しく暮すことを求めたがって居るようだが、科学がそんなことの為に、発達するのでは泣きたくなるだろう。文明はある意味で人間を退化さして行きつつあると云えないだろうか。このあたりで、特に都会やそれに準じる所に暮している人達は、冷静な心で、大自然が如何に生命に必要かを考えてみて欲しいものである。



10. 質問箱:ケール顆粒

    東京 Y. 

     問
    最近、「ケール顆粒」というのが売り出され、僅か2−3グラム飲めばよいように宣伝されていますが、会ではどうお考えですか。

     答
     ケールの葉を冷凍乾燥したもので、もとの葉の約10分の1に濃縮されています。つまり、2−3グラムは、葉で20−30グラムです。ところで私どもは、ケールの青汁で、少くとも1−2合は必要(あるいはもっと多い方がよい)だと考えていますが、それは、もとの葉にすれば少くとも200−400グラムです。
     「顆粒」では20−40グラム飲まねばならぬわけです。確か50グラムが950円(徳用品でも100グラム1600円)ですから、とても高くつき、ちょっと手が出ません(それで2−3グラムでよいと宣伝しているのでしょう。)
     何といっても、もとは只のナッパです。こういうものを飲むのはあまりにも勿体ないことですし、こういうものを売り出すこと自体が、自然の恩恵を冒涜するものであると私どもは考えています。



 コラム紹介

    すべての人がこの世において幸福に暮せるように協力することは各人の義務である

    (ハ・デュモリン 全き人間より)



    色は無常なり 無常なるは即ち苦なり
    雑阿含厭難経








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