健康と青汁タイトル小 <1965年11月15日発行 第111号>
 目次




1. 鶏卵

     医学博士 遠藤 仁郎 

     卵には、一つの生命が発生するものだけに、それに必要なすべての栄養分がそなわっています。
     まず、すぐれた良質蛋白質があります(人の蛋白質にちかく、乳と肉との中間)。熱量も多い。ビタミンA、B、Dともに多い。(もっともCは少いが)カルシウムはやや乏しいが、これは雛の発育には卵殻のカルシウムが利用されるからです。燐にとみ酸性度は強いがカルシウム対燐の比は1:3.5。但し、脂肪やコレステロールが多いので、過ぎれば動脈硬化の原因となるおそれがあります。アメリカでは中年以後は週2ヶくらいに制限せよ、といわれているということです。それにしても、卵が栄養価の高い優れた食品であることに間違いはない。しかし、決してすべての栄養分が全部そろった完全な食物ではないので、不足するミネラル、ビタミンを補うためには、やはり良質野菜を十分に添えなければなりません。
     それは表や図で明らかなように、同量(卵100グラムに菜っ葉100グラム)でよろしい。食べ方としては、昔から精がつくといって生卵が好まれていますが、過ぎるとある種のビタミンの不足をおこすことがあるそうですし(もちろん1日1ヶや2ヶでは問題でないが)、細菌(サルモネラ菌など)の点でも考慮を要するものがないでもないようです。ですから、健康鶏の新鮮卵以外は、調理するほうが無難というものでしょう。

     けれども現在のように養鶏業として飼われる場合、まず鶏舎が問題。運動どころか、ろくろく身動きも出来なければ、日光にもあたらず、風通しもよくない狭い、アパート住いといった、全くもって不自然きわまる環境に窒居することを余儀なくされており、ついばむべき土もなければ糞もありません。
     そして飼料は、科学的配合と称し、完全飼料と称せられてはいますが、その実、まことに不完全な濃厚飼料――しかも飼料そのものの質や安全性にも不安がなくもない――があたえられる、という状態。まこと、鶏はただ卵を生むことだけのための機械にひとしいものです。こうした不自然かつ不合理な環境と飼料で飼われている鶏が、本当に健康であり得る筈がありません。廃鶏の多いことは、それを端的に物語っています。

     この廃鶏について愉快な話があります。ある青汁ファンのお寺さんの子供しが、どこかから廃鶏をもらって来ました。そのうちつぶして食べようと、家内一同楽しみにしながら、青汁のしぼりカスを与えていたところがです。奴さんだんだん元気になって、せっせと卵を生み出し、とうとう食べ損なってしまった、というのです。
     実際、養鶏場の鶏はどんどんダメになります。それは当然のこととされているのだそうですが、余りひどくては商売にならぬので、いろいろの薬をつかいます。アパートにも金をかけ、冬場は暖房、夏場は冷房、でもあるまいが、温度の調節をうまくしてやらぬと卵をうまぬ、いや斃れてしまう。全く手の焼けること夥しい。これが現在の科学的養鶏の実態のようですが、もともと山野に住んでいたのを飼いならしたにすぎず、寒さにも暑さにも強い筈の鶏に、暖冷房が必要であったり、人間なみの薬をのまねばならぬとは、なんともおかしな話ではありませんか。

     それはともかく、そうした鶏のうむ卵が果して健康でありうるでしょうか。それに、飼料の栽培にあたって使用される農薬、病弱あるいは病鶏をまもるために用いられる薬品なども、僅ではあろうが、卵の中にはいって行くでしょう。そして、中毒したり、あるいは過敏反応をおこす下地をつくることにもなりましょう。こう見て来ると、すぐれた栄養食品として、病弱者や子供、老人に賞用されている卵が、実は、国民健康をすすめる食品というよりは、むしろ、国民健康を損う食品になってしまっているのではないでしょうか。
     本当の健康卵というものは、決して今ふつうに見られる、ああいうものではありません。黄味の色からして、まず違います。そして、全体に張りがあり、半月状にもり上っており、味も香いも、まるで違います。これでも面白い話があります。ある青年。からだが弱かったが、私どものいう通りの方法でケールを栽培し、青汁を十分に飲んで丈夫になりました。かねて鶏を少し飼っていたが、青汁のカスをやるようになって産卵率がうんと上った。そして町の料理屋へおさめたところ、そこの女将のいわく。「これが本当の卵だ。あんた方の卵はウチで引請ける。よそへまわしてはならぬ」という惚れこみよう。お蔭で二重の得をさせてもらった、とこの青年は相好を崩していました。(注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1,B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)

     
    熱量蛋白質カルシウムB1B2
    鶏卵15612.7652302.6 8001003000
    仝100+
    大根葉100
    20517.92552604.0380020060090
     
    カロリーgmgmgmg国際単位ガンマガンマmg


 
2. 水銀系農薬の毒性

    東京理大教授 T.I. 

     農薬の中でも最も毒性が高く、水俣病を起し得るEMC、EMPなどでは、その使用には特に注意がはらわれなければならない。また、最も使用量の多いPMAでは、幸い水俣病は発症しないが、肝臓に相当量の水銀蓄積を来し、組織を破壊することからやはり十分な注意が必要である。
     最近農村地帯に起る肝臓障害も、農薬の使用と全く無関係ではないかも知れない。そして農作物に残留する可能性のある農薬としては、水銀剤のように慢性の中毒を起しうる物質を使用するのは好ましくないから、やはり水銀剤に変わるべき殺菌剤を開発し、水銀剤の使用はさけるべきであろう。
     また最近は農薬ばかりでなく、工業用水が地下水規制等により不足がちになっている為に、大量に必要とする冷却水、洗滌水等の高度利用が行なわれているが、その結果水に微生物が繁殖して、パイプをつまらせたりする。それを防止するのに殺菌剤が使用されるわけであるが、殺菌剤として有機水銀化分物の中で最も危険なEMPが極めて大量に石油化学の冷却水、ゴム工業、都市ガスの洗滌水等に使用されている。中でもパルプ工業の洗滌用には一工場あたり年間数十トンにのぼるEMPが使用されている。冷却水の場合は循環してくり返し用いられるが洗滌水の場合はそのまま廃水として河や海に放流されているのであるから魚介などが汚染されて、第二、第三の水俣病を起さないという保証はない。
     かの不幸なる水俣病の場合は、有機水銀化合物は合成途中に副生したものが廃水に流された事により起ったものであった。そしてその恐るべき毒性がはっきりと知られている現在、それを添加したものを河や海に放流している事実を知って慄然としない者がおるであろうか。関係会社の猛省はもとより、行政当局の適切な指導を望みたい。

    化学療法1965・1月号



3. 健康教室ニュース おぼるるもの藁をつかむ

    大分市 K.E. 

     私の場合健康法というよりむしろ治病と健康法と言えると思います。私は14年前頑固な皮膚病で入院もし湯治等凡ゆる手をつくしましたが、根治困難との事で半ばあきらめ乍らも治療を続けていました。更に31年2月に心筋梗塞症発作で倒れ、再起不能は勿論、生命も絶望視されつつ県病院に入院。爾来退院後も度々の発作で県、国立病院、私立病院等5回も入院して稍小康を保つ様にはなりましたが、尚度々発作は起り愈々終焉の近づく事を意識せぬ訳にはゆかなかったのです。
     更に35年8月には男性の終着病とまで云われる最もいまわしい前立腺肥大症にかかり入院しましたが、これで入院も7回目。此の病気には手術の外、薬療法はないとのことでしたが、手術は心筋梗塞症のため不可能。いよいよ絶体絶命どうにでもなれという厭世的な気持になりました。
     此頃野菜ジュースの話をきき、おぼれもの藁をもつかむ例の様に愛用することを決意して、岡山の遠藤博士の青汁の会よりケール(カンランの原種)の種子の分譲をうけ栽培し、毎日コップ二三杯と人参汁一杯を続けることにしました。これが丁度4、5年前でした。
     これを呑みつづけるうちに心臓病の発作も遠ざかるのみならず、頗る軽くなり、皮膚病も自然痕跡もなく全治。又前立肥大症もいつとはなしに快復し健康時と変りない迄になりました。主治医も心筋梗塞症も非常に調子がよくあなたの病気がこんな状態になることはめずらしい奇蹟とまでいわれました。
     昨年4月下旬より1ヶ月半ばかり旅行しましたが何等の疲労も覚えず、最近はヘリコプターにも乗って見ましたが何等の異常がないので自分乍ら驚いている次第でございます。之も毎日愛飲する野菜ジュースと医薬の賜と感謝し一日として怠った事はありません。最近は家内と娘も毎朝一杯、私が大体三杯5合位つくって呑んでいます。私も今死んでも10年間永生きしたわけですから心残りはありませんが尚適当な運動と心の平静に努め野菜ジュースを愛用して一日でも永生きすることに心がけたいと思っています。
     甚だ手前味噌を並べたようですが、私の治病と健康法を御紹介いたしました。尚機会でもありましたら詳細に体験発表をさせていただく事にします。

    気はながく、心はまるく、腹たてず、口つつしめば、命ながけれ


 
4. 18年来のレウマチ

    千葉県 M.S. 

     弟は、今、東京で小さい会社をやっています。今から18年前、東京の物理大学へ入学して関節レウマチになり、どうしようもなく、家に帰って病院生活13年。その間勤めながら病院にいましたが、仲々よくなりません。千葉大学にも11ヶ月もいましたし、熱海の温泉病院にも一年余りいました。そのうち、どこから聞いたのか、生のナッパがよいというので、ご飯一膳に、生ナッパを茶碗二杯くらい食べていました。
     そして、今、風など何年もひかず、すっかり丈夫で、見違えるようになり、夢のようです。この間、友達が、癌の一歩手前になり、あきらめていたところ、私の弟が青汁を教えてから、どの位で治ったかよく知りませんが、今すっかり達者になり、大悦びで会社へ勤めるようになり、命の恩人といわれたそうです。
     というわけで、弟はほんとうに青汁党です。次に私、先月頃から糖尿病といわれ一生治らないとのこと、力を落していました。実家でそれを話したところ、弟の青汁の本が家にあるから読んでみろ、といわれて、主婦の友社の「青汁の効用」というのをみました。私と同じ病気の人が治っているのを見たら、すっかり嬉しくなり、早速、大根や色々しぼって飲みはじめました。まだ4日目ですが、本当に臭くて気持が悪いけど、はじめは牛乳を1合青汁1合の中へ入れましたが、3日目からは塩を少し入れ、割合に飲みよくなりました。弟がいつも、青汁で医者に見放された病気でも治る、といっていたことを思い出して、元気を出して、一生懸命飲みたいと思います。


 
5. 効果におどろく

    東京 T.T. 

     のみはじめて1週間になりますが、鼻や口のまわりに出没していた吹出物が、すっかり影をひそめました。また、就寝には湯タンポが不要になりました。効果の偉大さにおどろいている次第でございます。


 
6. 退職と“山の神病”

     友成 左近 

     夫が退職すると、妻に新たな欲求不満がおこり、身体的な訴えがおこってくることがある、とMinesotaのSt.Paul市の内科医Dr.John F. Briggsはいっている。夫が一日中家にいると、妻は仕事をする日課が乱されたり、夫の過当な批判によって、ストレスをおこすことになる。これは“退職による妻のノイローゼ”(山の神病)とよばれる。予防には、退職の5〜6年前から“退職プログラム”をつくっておき、夫は妻の生活を乱さないようにしなければならない。そして、理解し合い、話し合い、尊敬し合い、助け合い、つかずはなれず、調和するようにもってゆくことである。

    (メジカル・ダイジェスト1965・1)


 
7. 積雪地のケール(越冬研究)

    秋田県 H.H. 

     昨年、わが秋田地方のごとき積雪地帯でもケールの越冬は可能なるものや否やにつき、おたずねしましたところ、回答には、目下試験期であるが、ともかく雪の下に残しておいて見て下さい、とのことでした。
     私は特別の施設をしたのでもありませんが、次に述べるが如き簡単なやり方で殆んど100%にちかい越冬成績を得ました。ただ、単に1ヶ年だけの結果では疑問視さるる向きもあることと思われますが、私の観察感では、越冬状態の経過からみて、自信を得ておりますから、ここにご報告申上げる次第であります。



    1. 10月中旬に中耕を打ち上げケールの根元に土寄せした。
    2. 11月に入れば葉の収穫を制限し、多くの葉を残すことに努力した。
    3. 12月上旬根雪前に長さ1米位の支柱を立て軽く藁で結束した。
    4. 葉の収穫を無計画にして、比較的葉数の少いものは、翌春消雪期までに先端が凍死するようである。
    5. 最近における当地方の消雪期は3月下旬であったが本年(38年)は例年より遅れて4月上旬であった。



8. 明るい気分に

    岐阜県 J.H. 

     10月下旬から青汁飲用をはじめましたところ、慢性胃炎は大変経過よろしく、目下では自覚症殆んどなくただ早朝胃中よりガスが出る程度になりました。秘結しがちでありました便秘性が大変快方に向い、今では毎朝少量づつながら快よく通じるようになり、不安感からノイローゼ気味で困って居りましたが、昨今ようやく明るい気分に向いつつあります。昨35年2月5日発病の脳卒中後遺症も大分軽快したように思われます。



9. アメリカ便り

     医学博士 遠藤 仁郎 

     米国加州ロスアンゼルスに留学している忰から、次のようなたよりがありました。

     8月末には、研究室のテクニシャン(技術員)達をスキヤキパーティーに呼んでやりました。みどり(家内の名)がおすしを作りました。皆よろこんでくれましたが、ここで興味ある観察を一つご披露しましょう。
     ご存知のように、スキヤキの「ぐ」には、青ネギや大根を使いますが、彼等は大根・青ネギを生のまま、ポリポリやりだしたわけです。青ネギの青い所のついた根っこを生でたべることは珍らしいことではなく、先だってニューヨークへいった時にも、飛行機の中のランチについていました。人参の生を棒のように切って、ランチにもって来る人は多いですし、所謂パーティーには欠かせないもののようです。
     米国の特別料理とは、私どもはホットドッグとハンバーグと思っていますが、米国人のバーベキュー好きにも感心します。それにつきものは輪切りの玉ネギと人参です。また、サラダのヴォリュム(分量)の多いのにも驚いたことは、だいぶ前にも書いたかも知れませんが、一般の日本のレストランで出る野菜サラダのような体裁のよいものではなく、正に菜葉のむしりとったのにドレッシングをかけてある、荒っぽいものです。



10. いつの間にか健康に

    高知県 S.O. 

     青汁を始めましてからまる4年になります。夜目がさめた時、毎晩ではありませんが、手がしびれて、年をとるにつれてだんだん上の方からしびれていましたが、それがすっかりなくなり、弱かった腸がとても丈夫になり、年2、3回目まいがしていたのがなおりました。いつのまにか健康になることがはっきりわかりました。



11. 身体が温まる

    北海道 S.H. 

     アカシアの葉をスリバチですり、家内と二人でのみ実行に入りました。私は飲むと十分くらいで身体が温まって来ます。



12. ねすぎ

     健康法として、睡眠の必要なことはいうまでもないが、さりとてねすぎはよろしくない。
     これについての古人のいましめ

      養生の道、久行、久坐、久臥、久視すること勿れ      (千金方)

      睡眠を貧らず早起せよ                (仙道十五要)

      人喜びて眠れば、眠則ち滋多し            (大般涅槃経)

      睡眠覚醒ともに正しき節度を超ゆることは有害    (ヒポクラテス)

      暁には早起を要し、夜は熟睡を要す。亦是れ養生なり。 (言志老至饉)

       睡の慾をこらへて、いぬる事をすくなくするが養生の道なる事は人知らず。ねぶりを少くすれば無病になるは、元気めぐりやすきが故なり。ねぶり多ければ元気めぐらずして病となる。古人三慾を忍ぶ事をいへり。三慾とは飲食の慾、色の慾、睡の慾なり。
      (養生訓)



13. 童謡 きょうもまた

     深山 旅愁 

      おひさまおじさん こんにちは
      にこにこえがおで きょうもまた
      わたしをみていて くださいな

      ことりのにいさん こんにちは
      きれいなおこえで きょうもまた
      わたしにうたって くださいな

      きんぎょのねえちゃん こんにちは
      ふりそですがたで きょうもまた
      わたしにおどって くださいな

      そよかぜおばさん こんにちは
      やさしいおこえで きょもまた
      わたしにはなして くださいな



14. 青汁頌

     H.Y. 

      脛なくて天下に馳せる青汁の
       秘奥いかにと証明すきみはも
      青汁は医学プラスαの仁術の
       そのαなりときみはいうなり
      有毒というはおろかし青汁は
       ホモサピエンスの知恵を湛えて


     T.N. 

      幾人の医士に見はなさる病身が
       青汁のみて全治うれしゝ
      癌研の博士が癌で逝去する
       病菌除滅の青汁に不知



15. 質問箱:根瘤病

    山形県 Y.S. 

     問
     ケールを本畑に移植すると、本葉5‐6枚になると、根に塊がつき、それがだんだん大きくなって、遂に枯れます。何という病気ですか。予防法はありませんか?

     答
     根瘤病でしょう。酸性土壌のところに出来やすいものです。反当り30‐40貫の石灰を施してアルカリ性にすること。湿地をさけ、排水をよくすること。病株は焼きすてること。



 コラム紹介

    病気はわれわれが何であるかを語ってくれる    英俚

    病気は馬で来足でゆく             (英俚)








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