健康と青汁タイトル小 <1965年1月15日発行 第101号>
 目次




1. 講座 ウドン・ソバ

     医学博士 遠藤 仁郎 


 
ウドン  

     米飯のかわりにウドン、ともよくいわれます。また、ウドン好きには頭のよい人が多いようにも感じられます。ウドンもパンと同様、原料は小麦粉。したがって、栄養的にすぐれているので、たしかに米飯よりはよい筈です。しかし、これでも、まず問題は粉の白さ。昔のウドンはもっと黒かったが、今のはまっ白、とても美しい。パンの白いのと同じことがいえるわけです。その上、ウドンでは、粉を練って適当の太さに切り、湯がく。ここに、も一つの問題があります。小麦粉が米よりよい、というのは、小麦粉にビタミンBが多いからです。が、これは水にとけるので、湯がきの水の中に相当のものが、とけこんでゆきます。そして、ほかにも、カルシウムその他がとけ出して行きます。それは、あの湯がき汁を味わってみれば、すぐわかります。塩加減して飲んでごらんなさい。とてもおいしい。あのうまい成分が、とけて、捨てられてしまうのですから、それだけ、栄養分にマイナスがつきます。また、今では、大量生産されるので、日をもたす必要上、防腐剤もつかわれています。

      干ウドン
       干ウドンではながく貯えておくので、その間にビタミンがこわれます。また、うっかりするとカビがはえ、商品価値が下るので、カビ止めも加えられるでしょうが、はたして、これらの薬品が、すべて、安全なものばかりかどうか、少なからず気がかりです。それに、食塩がかなり多く加えられるので、塩ぬきします。ここで、塩とともに、水にとけるビタミンやミネラルなどが抜けてゆきます。
       ですから、ウドンを食べることが、米飯を食べることと比べて、熱量の少いこと(白米飯145カロリー、ウドン116カロリー)以外には、はたして、どれだけよいか、少々あやしくなって来ます。もっとも、もともと粉を練ったものですから、消化のよい点はあるかもしれません。けれども、ウドンはかんではうまくない、といって丸呑みするものが多いので、この点でも、はたして、どうでしょうか。
       それはともかく、ウドンもパンと同じく、純正、かつ、新鮮な小麦粉から、家庭でつくり、湯がき汁のすたらぬよう、適当に味つけして飲むなり、他の調理に使うなり、ロスのないようにしよくかんで食べる、ならば、大変よい食物であることに、間違いはありません。
       それにしても、栄養的に米飯よりはよい、というだけで、もちろん、ウドンならばいくら食ってもよい、というものではありません。また、戦時中応召して、1回2合の兵食に、ウドン汁(本当にウドンだけしかはいっていない汁)がおかずとして添えてあったのに魂消たことがありますが、これでは、結局ご飯ばかり食っているようなもので、全くもっての外のことです。西洋料理にもウドンを添えたのがありますが、あれも主食代りで、決して副食=野菜代りとしてそえてあるのではありません。ウドンはあくまで主食=ご飯の代りにすべきもので十分の野菜がそえられなければ、完全な食べものになるものではありません。
       小麦粉が栄養バランスの関係から、ほぼ半搗米と同じで、完全食にするには約2倍量の良質菜っ葉(大根葉)が必要であることは、前号「パン」の項で記したとおりです。ウドンは、材料小麦粉の目方のほぼ3倍になっていますから、ウドンには約7割くらいの菜っ葉が必要という勘定になります。したがって、ふつうのアシライのように、生ネギのほんの少々だけというのでは、もとよりダメ。

      青ヌタ
       洋食のウドン(マカロニやスパゲッチ)には、トマトケチャップなどがよくかけてあるようですが、あの流儀をならって「青ヌタ」はどうでしょう。良質菜っ葉をすりつぶし適宜、酢、油、食塩、香辛料などで調味して、ウドンにまぶして食うのです。シソやタデ、ワサビ菜やカラシ菜、パセリやセロリなどを加えればなおおいしいものになるでしょう。適当な材料菜の葉がなければ、青汁粉をねってつくればよろしい。

      グリンウドン
       それにしても、ウドンに釣り合うだけ十分の菜っ葉をそえることは、ちょっとむつかしいでしょうから、小麦粉に青汁粉か緑葉乾燥末を、1‐2割ていど加えたグリン・ウドンにすることです。こうすれば、パンのばあいと同様、栄養的にずっとよくなる(から少しの野菜だけですむ)ばかりでなく、フスマを十分に利用することもできるし、粉を漂白することもなくなる、という大きな利益があるわけです。


 
ソバ

     ソバ粉は、白米に比べ、栄養的にはずっとすぐれています。熱量は殆んど同じ。カルシウムも鉄も多いが燐も多い。カルシウム対燐比は1:13.6。ビタミンBは断然多く、カロリーにちょうど相当している(表)。もちろん十分に良質菜っ葉をそえなければ完全食にはならないが、その分量は玄米と同じく同量。つまりソバ粉100グラムに対し大根葉100で、うまく釣り合いがとれるので(図)、白米はもとより、半搗米や小麦粉よりもはるかによいわけです。

     調理法としては、純粋の粉だけのソバがきや、蒸しパンや、団子などは、栄養分のロスが少く、味もよろしい。ふつうのソバ切り(ゆでソバ)では、小麦粉が相当混っているうえ、ウドン同様、ゆでる時に、折角多いビタミンやカルシウムその他かなりの成分が煮汁の中に失われます。ソバ湯がうまいのはそのためで、これは、かならず利用すべきです。干ソバでは、干しウドンと同じく、貯蔵中のビタミンのロス、加工の際に添加される薬剤の懸念もさけられません。

     それにしても、アシライの青物が、一般に、余り少なすぎます。ソバを完全にするためには、純粋のソバ粉で同量、混ぜこむ小麦粉には2倍の良質菜っ葉が必要です。ふつうのソバには、ソバ粉が3割で、小麦粉7割ですから、ソバ100グラムに釣り合う菜っ葉は、ソバ粉に30グラム、小麦粉に140グラム、計170グラム。ゆでると約3倍にふえるので、ゆでソバ100に対し菜っ葉は50‐60が必要というわけ。ですから、もっと、もっと青味を多くすべきで、なるべくは青ヌタを利用したいものです。また、少しでもよくする意味で、青汁粉または乾燥緑葉末を加えてグリン・ソバにしたいものです。

     なお、ソバは「くろむぎ」ともいわれるように、特有の黒い色をしている筈なのに、今頃のソバはしだいに色がうすくなり、あるいは白っぽくなってしまっています。これは、混ぜる小麦粉が多くなっているのでなければ、ソバ粉自身が漂白されているのかも知れません。まさかと思うが、もしそうすれば、白い小麦粉と同じ心配が、ここにもあるわけです。

     また、即席ラーメンなどといったインスタントものになると、あやしげな色がつけてあったり、得体の知れぬ薬がはいっている疑いもあり、ラーメンばかり食っていて、肝臓を悪くした、という人もあるほどです。グリン・ソバにすれば、栄養上のバランスがよくなるばかりでなく、こうした馬鹿げた細工がさけられるだけでも、どれだけ健康的か知れぬでしょう。それはともかく、このすぐれたそばも、年々産額 が減り、純粋の粉の入手もしだいにむつかしくなっているのは、いかにもさびしいことです。

     カロリー蛋白質カルシウムB1B2
    ソバ粉34910.9223003.500.300.100
    白 米3516.261500.400.090.030
    玄 米3377.4103001.100.360.100
    ソバ粉100
    大根葉100
    39816.12123304.930000.400.4090


 
 
2. 青汁教室 おいしい青野菜の食べ方(8)
おいしい青汁の作り方飲み方 その3
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     友成 左近 

    青汁の作り方
     青汁を、おいしく正しく飲むには、材料や道具の選択についで、作り方に、およそ、つぎのような点に、よく注意を払うことが大切です。

    新鮮な材料で
     まずもって、できるだけ新鮮な青汁材料で作ることです。鮮度がおち、しなびてくると、それだけ成分も減ってきます。味も悪くなります。すりつぶしにくくもなります。もっとも望ましいのは、畑からとりたてを、すぐ洗って、葉がピンとはっている間に作ることです。けれども、そうはいかないのが実状です。そこで、畑からとったら、できるだけ早く、しなびないうちに洗うことです。元葉のまま、できるだけ傷つけないように洗います。そして、ツユをつけたまま、ビニールの袋がフタつきの容器に入れ、おさえつけないように、空気も多少かわるようにして、保存します。できれば冷蔵庫に入れるようにします。(とくに夏分は)。なお、さいたり、きざんだりするのは、作る直前にします。他から届けてもらう場合にも同様です。できるだけ早く、よく洗って保存します。少々しなびていても、すぐ洗って、ツユをつけてやったら、やがてピンとしてきます。

    万事、清潔に
     つぎに、万事できるだけ清潔に作ることです。なにぶん生のまま食用するのですから、清潔には格別注意を払わなければなりません。とくに夏季とその前後には、そうです。

      材料の清潔
       第一に、材料をよく洗って、清潔に取り扱うことです。もともと安全清浄栽培をしたものですから、土やゴミを洗い落とせばよいわけです。それには、水道の水を流しながら3回ほど洗えば、けっこうです。ドロが沢山ついておれば、やわらかいブラシを使います。(夏分など、アマコその他の虫が少々ついていても、別にタワシでゴシゴシ洗い落す必要はありません。)。洗ったら、これも水道の水でよく洗った容器に入れて、清潔に保存します。なお、水道の水にはカルキが入っているので、カルキをわざわざ入れて洗う必要はありません。水道のない場合は、そのまま飲める水であれば、それでけっこうです。心配であれば、適量カルキを入れたらよいでしょう。(実をいえば、細菌で汚染されていなければ、くみたての水の方が体によいのです)。けれども、前にも述べたように、決して中性洗剤を使ってはなりません。これを使えば、確かにドロはよく落ちます。けれども、別にそう危険ではないドロを落とした代わりに、肝臓や腎臓その他に慢性中毒を引き起こす、危険な薬剤をしみこませます。そして、これは、あとで少々水洗いをしても、とうてい取れきれないのです。

      道具の清潔
       第二に、青汁を作る道具を清潔にすることです。それには、使う直前に、必ず、水道の水を流しながら、よく洗うことです。それから、使った後も、すぐよく洗って、水気を切った後、清潔な布か何かで覆いをして、ゴミがかからず、ハエその他の虫がとまらないようにします。とくに、しぼり布は、使った後、汁をよく洗い落して、日光にあてて乾かすようにします。使う前には、夏でも冬でも、熱湯にひたして洗います。これは、清潔をはかる以外に布目に、はいった汁のねばりを洗い落とすためです。これを怠ると、うまく汁が出ないようになります。マナイタ、ホウチョウの柄などの木質も、布と同様に、格別清潔に注意します。

      手の清潔
       第三に、作るときの手を清潔にすることです。とくに爪は短く切って、ブラシを使って、指先までよく洗うことが大切です。が、この場合も、水道の水を流しながら、よく洗うだけで、けっこうです。けれども、洗った後、ただ水気をふりおとすだけにして、決して手ふきを使わないことが大切です。手ふきは、少々気をつけていても、案外不潔なものです。その他用具についても同様です。使う前に洗ったら、決して布巾を使わないようにします。

    作り方の要領
     それから、すりつぶして汁をしぼるときにも、いろいろ注意が必要ですが、その要領は、だいたい、こうです。

      スリバチの場合
       固いジクは取り除いて、ツユのついたまま、適当にまるめて棒状にします。それを手にもって、スリバチの筋目に直角にすりつけて、おろしていくようにします。それから、スリコギですったり、軽くついたりします。十分つぶれてドロドロになってから、しぼり袋(予めボールに入れておいて)にとって、両手で固くしぼり、カスを捨てて、これをくりかえします。この場合、あまり小さいスリバチではラチがありません。また、初めから、スリコギですっては、なかなかつぶれません。細かくさいたり、きざんでおいても、そうです。しぼるとき、袋の外から、指先で中味をよくもむようにして、しぼります。なお、冬分は、汁にねばりが強いので、うまく汁が出ないことがあります。こんな場合は、少しぬるま湯を、スリバチに入れて、よくすりまぜてから、袋にとるようにします。なお、しぼりカスの目方が、当初の青野菜(固いジクを取り除いた後)の30%以下であれば、十分すりつぶして、しぼりとれたものと思われます。もっとも、材料や季節によって、かなり異なってきます。

      ミンチの場合
       ごく固いジクは取り除いて、ツユのついたまま、細長く引きさきます。それから、ミンチをまわしながら、2枚か3枚位ずつ、ハシからさしこんで、引きこませるようにして、すりつぶしていきます。出口にボールをおき、その中に袋の口を開いておき、ドロドロになった青野菜がおちこむようにします。そして、手でしぼるのに、ほどよい量になったら、しぼり、カスを捨てて、くりかえします。この場合、一度に沢山入れたり、また、ジクやスジを取り除きすぎたり、小さくちぎったり、きざんだりして入れると、重くなったり、つまったりして、調子よくいきません。こうなったら、少し逆にまわしてみると、調子がよくなります。また、最後に水を少し入れると、後の掃除がし易くなります。しぼり方の要領やカスの目方は、すりばちの場合と同様です。(なお、学校、病院、職場その他で、大量に作る場合は、今のところ、動力つきの大型ミンチを使い、また、しぼり器その他を使っています)。

      ミキサーの場合
       固いジクやスジを、できるだけ取り除いて、できるだけ小さくきざみます。それから、ポットに水を適量入れ、まづ1回量の半分位を入れて、スイッチをかけます。だいたいつぶれたら、残り半量を入れ足していって、頃合いをみて、スイッチを切り、ボールの中の袋に取って、しぼり、カスを捨てて、くりかえします。この場合、ジクやスジが多かったり、きざみ方が大きかったり、あるいは一度に沢山入れたりすると、モーターの負担が重くなり、時にやけたりします。また、かけている時間が短かすぎると、カスが多くなり、長すぎると、ビタミンの一部のこわれ方がはげしくなり、味も悪くなります。おおよその目安は1分間少々でしょう。なお、初めに入れる水に、食塩を少し(青汁にかかすかに塩気を応じる程度)入れておくと、ビタミンCのこわれ方が、いくぶん少くなるでしょう。なお、初めに入れる水の代わりに牛乳を入れると、成分もよくなり、のみ易くもなって、大いにけっこうです。けれども、2度目に作るときの水に、青汁の分量がふえるのをきらって、1度目の青汁を入れるようなことは、やめます。成分がよけいにこわれ、また味も悪くなるからです。しぼり方の要領は、ミンチの場合と同様です。が、カスの目方は、30%をこえ、40%以上となることがあります。

      ジューサーの場合
       固いジクは、できるだけよく取り除いて、適当にひきさきます。それを手先で細長くまるめるようにして、さしこみ付属の器具で、おさえつけます。このジューサーは、汁とカスが分離して出るので、しぼる必要はないわけです。なお、最後に水を少し入れると、後の掃除がし易くなります。カスの目方は、だいたい30%以下です。

    道具の手入れ
     なお、道具は、つねに清潔に扱う以外に、よく手入れをしなければなりません。使った度毎に、カスが残らないように洗うこと、洗った後は早めに水気をきること、湿気のない安全な場所に保管すること、布や木は日光にあてて乾かすこと、必要なところに油をさすこと、それからムリな使い方をしないこと、などが大切です。それから、とくに、スリバチの目、ミンチやミキサーのナイフ、ジューサーのオロシガネ、こういった大切な部品がいたんできたら、ほどほどに取り換えることが大切です。

    付記
    この稿は、毎月第3金曜日の夜、倉敷中央病院の古久賀会舘で開かれている青汁教室で、遠藤先生がお話しになったことを、主題にそって、まとめたものです。


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3. 庭園と家運

     水野南北の相法の極意は、「それ人は食を本とす。人を相するに先づ食の多少を開き、是に依て生活の吉凶を辨ずるに万に一の失なし」というのであって、その修身録には何もかも感心させられることばかりだが、なかでも特に注意をひいたのは巻一の三十三「庭園と家運」の章だった。

     曰く、「然れども、先祖の徳厚くして、家運大いに宜しければ、家は衰へずといへども、決して盛になること能はず。この類は世に多くあり。ためし見るべし。必ず富家は病人絶えざることあり。故に築山泉水等ある人、家盛んなることを欲せば、はやくこれを取り、我念ずる所の神仏をこれに祭り、おのれが食を減じて、日々これを神に献じ奉り、而してその食を非人に施すべし。然る時は自然と家盛になるべし。尤も我れ十分に食して献ずるといへども家盛になること能はず。唯おのれの食を献じて家盛になることを祈るにしかず。出世発達の相見えるとも、庭前に花壇を築き、これを楽しむ人は生涯発達なし。これみな高位高官の楽しむ所なり。故にこれをなすものは自ら天地の徳を損じ終にことをなさず。尤も富家に於て高位の来たる家は、これをゆるすといへどもおのれが楽しみをゆるさず。それ地は万物の母にして、種だに下すときは悉く生ず。若し庭広ければ青物の食物の類を作ること、これを以て天地の徳を積むといふ。それ天地相応して物を生じ、これをもって人命を養ふ所の徳。己れより作れば、皆これ己れが徳なり。この貴き徳を知らず、己れが楽しみ作るゆえに自然と徳を損じ、終に発達なし。世に多く花壇のごとく美にして食物を作り、これを楽しむ者ありこれ等の類を見るにみな相応の立身出世あって家次第に栄ゆ。みな天地の益々盛んなり。よって悉くその人の食に順ず。


 
4. 新春に贈る医学知識5題
 
 
 妊婦の禁食  

     昔から妊婦の食べていけものが色々ある。その多くは片輪ものが生れるといわれる。文部省迷信調査会の調べによれば、兎では兎唇(三つ口)、蚤では6本指や毛深い子、鴨や家鴨では鴨趾、マンボやナマコでは骨なし、鮫では鮫肌、タコではタコ胞(胞状鬼胎)、タコの足では頭髪のちちれた子、蛤では舌を出す子、チヌ、ススキでは流産、鳩では口から子を生む、といった類。
     そしてその無意味であることについて、「迷信の実態」には赤松金芳氏が、「もともと妊娠中には、その後に来る分娩、産褥、授乳にそなえるため、平常以上に体力を造らねばならぬから、滋養豊富なものを与え、殊に蛋白質の多い方がよい。その他カルシウム、ビタミンを与えることはいうまでもない。この意味から言えば、前記の脂肪、肉類、魚類の蛋白質類は禁止すべきでなく、かえって多量に与えるべきである。但し妊娠末期には腎臓を保護する意味で余り多く与えることは注意を要する」、と説かれ、「迷信と俗信」には日野寿一氏が、「兎を食べると兎唇の児が生れる」をとりあげて、「我国の全都道府県に亘って、これほど広く且つ平等に分布している食禁俗信は他に例がない・・・・・・西洋でも妊娠中兎を食べると兎唇の子が生れるという俗信がつきまとっている。この迷信ほど世界的に共通なるは他に例がない・・・・・・人の唇ができるのは胎齢3‐8週間で・・・・・・兎唇になるかならぬかは受胎後3ヶ月以内にきまってしまう。はっきり妊娠と自覚するのはこの頃である。妊娠と気がついてから兎をたべようがたべまいが、それはもはや兎唇の成立に影響はない・・・・・・」、とその誤について詳しい説明があり、「昔から妊娠中期末期になってはじめて食物の禁忌をやかましくいうが、それは全く意味のないことである。妊娠すれば胎児のためにも母体のためにも、妊娠前半期は非妊時の約3割、後半期は4‐5割多く栄養物を必要とする。殊に4‐5月以後は胎児の発育、分娩の労作及びその際の出血、次で産褥の回復、乳汁分泌に備えて動物性蛋白を多く摂取する必要がある。それにも拘らず、やれ四つ足を食ってはいけない、魚を食ってはいけない、蟹をたべてはいけないのと、動物性食餌の摂取を制限するのは、とんでもない問題である」、と結んでいられる。

     これらの俗信は、そのまま受けとれば、なるほど馬鹿気きっている。妊娠と気づく頃はもう胎児の形態は出来上った後だから、今さら食禁をきびしうしてみても、それは確に無駄だ。さらばといってこれらの動物食品を遠慮なく食べてよいかどうか。赤松氏はカルシウムやビタミンの必要をとかれながら、「末期を除いて禁ずべきでない」といわれ、日野氏は「かかる食品を制限するのはとんでもない問題だ」とおっしゃる。
     胎児の発育のため母体のため多量の蛋白質の必要なことは否定しない。しかし同時にミネラル、ビタミン類の必要なことはいうまでもない。ところで、これらの食品(だけでなく肉類は獣鳥魚介を問わずすべてであるが)は、多少のちがいはあるにしても、概ね良蛋白源というのみで、カルシウムやビタミンは甚だ乏しい。ために過食や偏食で各種の妊娠中毒症の起りやすいことはよく知られたことで、戦時中肉食がへって妊娠中毒症がへり、戦後食糧事情の好転、肉食の増加とともにまたふえて来た事実は明にその間の消息を物語っている。
     栄養の欠陥で妊娠中毒や胎児の発育不全のあること、そしてその改善でこれらが防止されることが欧米の諸国で強調されてはいる。けれどもこの改善というのは、決して蛋白質だけの増加を意味するものではなく、よく釣合のとれた栄養、つまり良質蛋白とともにミネラルにもビタミンにも富んだ食餌によってである。邦食はもともと穀食に傾く。それだけでもミネラルやビタミンには乏しい。そこへ、同じくというよりは一層それらの条件の悪い肉類を増すとなると、食餌の不完全度はさらに甚しくなる。余程ミネラル、ビタミンを豊富に、むしろ過剰に与えるくらいにせねば調和はとれぬ。
     だから古人が肉食を戒めたのは少しも間違ってはいない。栄養素全体としての釣合ということを深く考慮することなく、蛋白質を補うことが大切だから肉類は差支ない、いやもっと多く食べねばならぬというのは、余りにも片手落な主張である。何しろ科学的の知識のなかった時代の人のいったことだ。「妊婦が」とか、「片輪者」とかいった所は当っていなかったろうが、要は偏食の害を戒めたものだ。言葉そのものの非科学性にばかりこだわらず、底にある精神、ながい経験から生れたいましめの精神だけは酌みとってよいではなかろうか。


 
 ドイツ製ホルモン剤で胎児の性が転換? デンマーク政府警告

     デンマーク政府は8日、ドイツ製のホルモン剤“プリモルト”を妊娠中に服用すると、生れてくる女児が奇形児になったり、性転換が起ったりするおそれがあると発表した。この薬はベルリンのシェーリンク社の製品で、黄体ホルモンを含んでいる。発表によると、妊娠中にこの薬を飲んだ母親から生れる女児の19%は多かれ少なかれ、その外形上の性的特徴に変化が現れるおそれがあり、男児に似た女児が生れることもある。その変化はサリドマイド服用の場合ほどひどいものではないが、誤った服用は胎児に悪影響があるので、デンマーク政府は同社に対し、プリモルトの従来の広告をやめ、新しい広告を出す場合はその副作用の明記を要求している。

    38.1.10朝日


 
 心筋梗塞の後療法

     高コレステロール血症が、動脈硬化症や心筋梗塞の直接原因であるとの証拠はないが、血清コレステロール値を低下させることは、動脈硬化症およびその合併症にとって、ある程度有意義と考えられている。
     この方法として、Bereridgeらは1955年に、トウモロコシ油の利用を提唱している。グラスゴー王立病院のWatsonは、これまで、心筋梗塞の再発作を防ぐため、各種の抗凝固剤を用いてみたが、ほとんど効果を認めなかったため、トウモロコシ油を添加した食事を与えることを試み、4年間に亘り、観察を続けて来た。その結果について、最近のBrit.med J.は次のように報じている。

     トウモロコシ油というのは、トウモロコシの胚芽中に40%くらい含まれている植物油で、工業上に用いられるが、食用にも供せられるというものであるが、まず炭水化物、蛋白質、脂肪などを適当に配合した総カロリー1600〜2000位の食事に、トウモロコシ油57グラムを添加し、約2000〜2600カロリーの食事を調理し、これを心筋梗塞発作をおこした患者28例に長期に亘って摂取せしめた。
     その結果、患者の70%において、血清コレステロール値は、最大25%の低下、2年間の平均でも15%の低下を示した。さらに、治療食の摂取を途中で中止した7例について観察すると、治療前平均292mg/dlであったものが、3ヵ月後には222mg/dlまで下っていたのに、1年後治療を中止すると、308mg/dlまで上昇、再び治療食の摂取をはじめると、280mg/dlにまで低下した。
     これらのデータは。全て推計学的に検討された結果、トウモロコシ油に血清コレステロール値を低下させる作用のあることが証明された。
     ところで、これらの患者の心筋梗塞の予後はどうであろうか。最初の2年以内に4名(14.3%)が死亡したが、これらは、いずれも再発作によるものである。治療開始2年後、治療を中止した2例は夫々16ヵ月後、18ヵ月後に死亡し、他の1例は治療26ヵ月目に死亡してしまったが、現在治療食を継続中の21例の平均生存期間は39.4ヵ月である。以上の結果からみて、本療法の効果は、非常に高いものとはいえないにしても、心筋梗塞の後療法として、余り確実な方法がない今日、長期に亘り、しかも患者の苦痛なしに行ない得る点で、一考に価する療法ではなかろうか。

    いずみ 39.4月号


 
 力士の病気

     場所がはじまると、力士のケガと病気が話題になる。ケイコ場のケガは、はじめとあがりしなに多い。これは、“準備運動の不足と気のゆるみだ”といわれている。内臓の病気は、カゼ、下痢、ジンマシン、糖尿病、リウマチなどが多く結核は少ない。
     “この力士の病気のほとんどは、一口にいえば食い過ぎが原因だ”と相撲協会診療所の岩崎博士はいっている。力士の内臓(脾臓、腎臓、肝臓など)は人の2〜3倍も大きくなるが、膵臓だけは比較的大きくならず、体の容積や食べる量に比してインシュリンが不足しがちで、これが力士にもっと多い糖尿病の原因と見なされる。引退するとケガはなおるが、内蔵の病気は悪化する場合が多い。これは、運動不足になるのに、食べものはあまり減らないからで、胃炎、胃かいよう、肝臓病、高血圧などは圧倒的に多い。食べ過ぎの運動不足が親方たちの病気の原因である。

    メジカル・ダイジェストNo.72(1964)


 
 妊娠に対する喫煙の影響

     Bernhardは流産、未熟児、中毒症、死産が喫煙婦人に多いといい、又Simpsonも煙草を吸はない婦人に比し約2倍の未熟児出産を指摘している。1本の煙草には6〜8mgのニコチンを含むが、98%までが吸収され一過性に交感、副交感神経を興奮せしめ、ひきつづいて暫時抑制効果を示すのみならず副腎髄質よりは、アドレナリンを放出、末梢血管を収縮せしめて胎盤への血流障害、ひいては胎児の発育に悪影響を及ぼすという。著者らは、957名の喫煙妊婦を1043名の煙草をすわない妊婦と比較し、喫煙婦人で平均230g程新生児体重が少なく、未熟児も2、5倍程多く又流産もやや多かったという。
     こうしたことはニコチンが胎盤血行動態に影響したためであり、未熟児、流産の既往症があり、原因の明らかでないものには種々検討すると同時に、喫煙常習の妊婦では煙草を止める様にすすめることが必要であるという。

    「くすり春秋」から


 
 
5. 禁煙と野菜ジュース(私の健康法)

    岡山家裁所長 M.M. 

     32年秋から1年4ヵ月、結核で自宅療養して以来、つとめて無理をしないで過すようになった。それまでは深夜まで判決ととっ組み、酒、たばこをふんだんにたしなむ生活で、不摂生な生活だった。とくに戦後は凶悪事件が激増し、勤務も過重だったので、その疲が一度に出たものと思う。病気以後たばこはぷっつりやめた。おかげですっかり健康体になり体重も、7、8キロふえたが、禁煙以外、別に積極的な健康法はなく、好きなときに好きなものを食べることと、なるべく規則正しい生活を送っているぐらいのものだ。
     食事はパン食と飯が半々くらい。朝は野菜のジュースをコップに2はいほどのむ、昼食に牛乳とパン、夜ご飯一ぜんとさかな。私はお菓子よりは酒をのむ方が胃腸の調子がよいので、夜少したしなむ。若いころにくらべて、肉を食わなくなったが、肉食の場合もなるべく柔らかく煮たものをとるようにしている。
     睡眠時間は7時間ほどで、夜10時に寝て朝5時半か6時には目がさめ、8時前ごろまでふとんの中で新聞を読んで過す。徹夜したあとにはどうにも身体の調子がよくないが、翌日はできるだけ熟睡し、疲れを残さないようにしている。毎朝、出勤前に見るテレビの健康の時間で、自分の生活ぶりをふり返るが、理にかなっていることが多く、健康保持上、大して間違っていないと安心している。それ以外では医師の忠告を受けもせず、人間ドックに入った経験もない。身体を動かすため、たまには散歩でもしょうかと思うが、気分の向いたとき、近くの京山あたりへ登るくらいで、週休ものんびり官舎で過ごしている。
     子供たちは独立してしまい、家庭的にも気がかりはなく、いつも気楽な気持ちでいるようつとめている。若いころから、それほど弱い身体とは思わずにいて、中年になって病気になり、健康のありがたさがよくわかった。一病息災というが、病気はしないに限る。せっかく生まれてきた世の中だから、できるだけ大事にして長生きしたいと思っており、消極的だが、仕事に見合ったムリをしない生活を続けたい。

    山陽新聞(昭38.11.29)



6. 「健康と青汁」100号を迎えて
前号参照クリック

    京都府 I.N. 

    1. そこで満70才で某大学病院で糖尿病外来特診治療、1年9ヵ月インシュリン注射と、各種内服薬を用いましたが、一向に効果がないのみか、主治医は、現代医学ではこの種痼疾は一生病で全治困難なりとの宣告にがっかり致しました。
    2. ここに於て、最近3ヶ年丹波三日市の日本食養道場に於て、食養治療を実行しておりますが、30年来宿業糖尿病と、これに起因する網膜血管硬化症は、見事100日で尿糖(1)、血糖正常値(90前後)となり、爾来屡々するテストにも、何等異状ないのみか、視力も回復して、眼鏡さえ不要の日々によろこんでおります。尚難聴の補聴器も不要となり、幼少からの蓄膿慢性症も何時のまにか忘れて仕舞う結果に驚いております。
    3. 名古屋市の某式サナトリュームから、大谷氏が当道場へ転じて来ました。キャベツ青汁3ヶ月。厳正なる治療を実施しての結果、何とした事か、見るも憫れな姿で、死相さえ現れている様相ありましたのが、当道場の食養治療2ヶ月でメキメキ効果を収めました。この場合、体質的に適合しなかったのか、栄養のバランスに欠陥があったのか、誰にでも個人差、季節差、日常食事の選択、即ち質と量如何に不拘、青汁は多い程よいとは云えないのじゃないかと存じます。

     先生も、冠頭青汁講座に於て、常に指摘、御指示下さいます食事々情、その質と量調理に対する御注意に注目致したいと痛感するものであります。因に当道場に於ける普通人の食事は、主食を玄米飯とし(玄米餅、粟、小麦粉、米粉、そば粉、うどん、干そば等穀物食)、副食としては、野菜(牛蒡、人参、蓮根、葱、玉葱)と野草(たんぽぽ、おうばこ、せり、ふき、あざみ、など根や葉)煮付、フライ、和物等の少量、海草(昆布、若布、ひじき、海苔)。
     1日2食10時と17時、朝食には必ず味噌汁を用います。起床6時、就寝21時。入浴1週1回としています。病人に対しては夫々相当なる食箋料理を調理、給食いたします。例えば、玄米スープ、クリーム葛粉、そばかき、玄米飯、玄米餅等の主食に副食についても自然薯など加味されます。玄米飯に対する胡麻塩、梅干、沢庵、鉄華味噌等必ずあります。お茶は、特定の三年番茶を用います。尤も味噌、醤油、梅干、沢庵は何れも古式の三年物を使用致しております。
     尚砂糖を主として、サッカリン、ズルチン等甘味料、味の素、その他調味料、化学食品は一切使用しない事。動物質の蛋白質、脂肪、牛乳、鶏卵、果物の禁食も特徴の主なるものです。以上粗雑なる事柄を申し上げて擱筆いたします。青汁と健康紙の将来については国民の健康と世界平和の為め倍々健全隆盛なる生長を希望して止まない次第であります。



7. 「青汁は多いほどよい」ということ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     別項、中北氏の文中に、一青年が青汁をやり栄養失調状態になったこと、そして、私どもがつねにいっている「青汁は多いほどよい」ということが誤解されていたらしいこと、が述べられています。
     私どもが青汁をすすめているのは、非常に偏っている現在の習慣食の欠陥をなおし、完全な健康食にしょうとするのが目的で、そのためには、良質菜っ葉の生食にこすものはないが、その十分の摂取は実際になかなか困難なので、青汁にしょうというのです。しかも、それには、相当大量の菜っ葉が必要で、ふつう一般の食べ方からすれば、ちょっと想像外ともいうべきほどなので、「多いほどよい」という言い方をしているのです。けれども、飽くまで、全体としてバランスがとれ、しかもビタミンやミネラルには余裕のあるほどよい、という意味です。全体の調和をとるためにいく分加減することはあっても、主食や蛋白食をやめてしまったり、ひどく制限して、ただ菜っ葉さえ食べればよい、青汁さえ飲んでいればよい、と主張しているのではありません。くれぐれも誤解のないようお願いします。



8. 遠藤先生来講

    高崎市 Y.H. 

     11月13日午前11時30分遠藤先生御夫妻高崎駅に御到着。小生宅にて昼食。午後2時より市役所へ住谷市長、野口病院長野口俊太郎先生、角田病院長角田公男先生訪問挨拶。同夜座談会と健康相談。
     翌14日午前10時高崎名所高崎観音山、白衣観音、洞窟観音より少林山ハイキングコースを一周。山は一面に紅葉し非常に美しい望めであった。先生御夫妻も大いに楽しまれた様子。お伴した私達も楽しい思い出となった。
     午後2時より高崎市立城南小学校に於て「青汁の効用に就いて」の講演会開催。来聴者百数十名、盛会であった。未飲用者半数以上あり。高崎市民の青汁に対する関心が高まりつつある事がわかる。野口先生角田先生の応援演説あり質問も盛であった。



9. 効果に驚ろく

    岐阜県 S.H. 

     昨年来胃腸障害にて困窮いたして居りました矢先、「青汁の効用」を購読。4月末、一家そろって服用いたしておりますが、77才の老父母をはじめ、家中健康。ことに私の胃腸障害もほとんど自覚症がなくなる程度となり、今さらながら効果の大なるに驚愕いたしております。



10. 糖尿病に

    寝屋川市 H.K. 

     「青汁の効用」を拝読させていただきましたものですが、主人の糖尿病が大変よいように思います。口中のかわきもとれ、歯ぐきの浮いたのもなおって来ました。



11. ひどい咳が

    木更津市 S.Y. 

     ケールを育てて早や3年になります。末娘が寒になりますとひどい咳で、生まれながらにノドが細いとかで、小学5年にもなれば、普通の人と同じになりますといわれましたり、今度は扁桃腺肥大でとった方がよいと申されますが、兄が可哀相だから今少しなどといっておりますうち、先生の青汁の話を拝読。中学1年の秋からのませはじめまして、2年目の秋冬には全く咳が出なくなりました。毎年3月になりますと、とくにひどい咳で一緒に死ねたらと思う夜もございました。学校から早引きしますとすぐお医者様に往診していただき、ずいぶんいろいろな薬ものませ、看病で私もねむれぬ夜は度々でございました。おかげ様で、中学3年には冬中少しも出ず、戦後最高の高校入試の勉強も、毎夜おそく学校からかえって来て、よくもつづくものと思っておりましたが、一度も風邪もひかず、県立東高校に入学いたしました。これひとえに青汁のおかげと家中よろこんでおります。また、お友達のご主人がひどい痔の方でしたが、10日で出血がとまったといいまして、すっかりケールの愛用者になりまして、今では裏の畑はケールでいっぱいでございます。



12. 主治医も不思議がる

    武蔵野市 M.H. 

     約3年まえ(2年9ヶ月)、高血圧のため軽度の脳出血にて、約2ヶ月入院、自宅にて約5ヶ月治療。それからずっと会社に出勤しておりました。今から約2年4ヶ月くらい前、ある医師のすすめにより「青汁」をのみ始め、最初は何もわからず、ホウレンソウにて、約8ヶ月のみました。先生の著書を手にしてからは、コマツ菜、ダイコンの葉カブの葉、キャベツなどにて青汁をつくり、毎日、朝夕1合づつは必ずのんでおります。本年4月ころより、血圧がだんだん下り、130ミリ――140ミリ程度になり、主治医も不思議に思っているようなしだいです。知覚神経もやられましたが、これは仲々治りません。



13. 支部の運営について

    山形支部長 K.K. 

     「健康と青汁」が100号になるとは、お目出度い事です。処で紙上で近頃会員があまり増えない、それでこの新聞の経営も?か楽でない様なことが報ぜられて、考えさせられる事があるので、ペンを執って見ました。
     当支部は発足してから3年目に入って居ります。此頃思うここは、支部の経営と云うこともラクなものでないと云う事です。経営と云うと経済的に解釈されますが、それを否定して論ずるワケでもないが、兎に角支部長などと云っても一人一人の会費を受けて、会計簿につけ、名簿につけ、本部に送金手続と20分はかかる様な気がします。
     他人に頼むほどの仕事量でないので、自分でするより外ありません。当支部は120人ほどの会員です。月によって大いに相違しますが、多い月は30名位本部に送金しなければなりません。相当の時間がかかります。然しこれの反対給付など受けている人は先づないでしょう。だから口悪う云えば、支部長などと云う役の人は少し変人がからなくては出来ないものの様な気がするのです。
     次に支部と読者つまり会員との関係ですが、支部がなかったら購読料を送金して読むと云う様な人はよほど熱心の人で、当支部会員の内継続して何年も読む方は、もし支部がなかったら半分以下になるのでないかと思うのです。「前金切」の通知をしたり、集金したり、又支部にはたまに会合とか、配給(ケール)があるので、払ってくれるのかと思って居ります。だから会員の増加は、支部運営の如何にかかって居るのでないかと思うのです。紙上には支部運営についても、一欄を設け名案をお互聞かせて貰えないでしょうか。支部の運営が甘い考えや態度で出来るものでないにつけ、永い年月この「青汁」のため、挺身された遠藤先生や諸先輩に、頭が下るばかりです。

    (39.11.9)



14. 詩 人生の鞭

     深山 旅愁 

     苦しみがたりぬ 苦しもう
     もっと苦しもう
     こころを涙で濡らすのだ
     そこから そこから 湧いた勇気が
     そこで そこで 力が掴んだ希望が
     人生に・・・・・・・・・・・・
     本当のほほえみを くれるのだ
     鞭がたりぬ 鞭うとう
     もっと鞭うとう
     もっと もっと 鞭うとう

    1964.1.17



15. 某八十翁の人生観

    旦 S.T. 

    人生僅か八十年、四十年は寝て暮す
    其又半分昼寝する、残るは僅か二十年
    酔生夢死とは此事か、嗚呼残念だ残念だ
    じたばたしても甲斐はない、陽気に暮そじゃないですか
    餘生十日になったとて、呑気に暮そじゃないですか

    同翁身辺の小歓喜

    張り混ぜの屏風正面に炬燵守る
    控え目に食べし腹にて次の膳
    朝暫し風なき時の日向ぼこ
    寒波にもめげぬ曽孫の鬨の声
    炬燵にて温めし掌にて顔を撫づ
    旧知よりのたよりもたらす郵便さん
    たまさかに帛着る老の肌触り
    金婚をとくに過ぎたる妻もあり
    大冷蔵庫中に一点炬燵の火
    老大の筆も及ばぬ雪の峰
    炬燵守横寝となりてラジオ聴く
    クシャミ止めに鼻の横脇こすりけり
    二分間体操の後の深呼吸
    女の呉れしエバーソフトの褥もあり
    酷寒も峠越えしの朗報かな



16. 質問箱

    大分県 Y.G. 


     青汁は今日こしらえたものでも、明日になりても効能に変わりはなきや


     つくって時間がたつだけ変質し、味もにおいも悪くなります(これはとくに夏期に甚しい)。しかし効能はあります。どれだけちがうか、はっきりしたことは申し上げられませんが。



19. コラム紹介

    十二少
     善く生を摂するものは
     常に心を少くし
     念を少くし
     慾を少くし
     事を少くし
     語を少くし
     笑を少くし
     喜を少くし
     怒を少くし
     好を少くし
     悪を少くす

    (千金方)



    人生の言葉
    体験から得た教訓は、後歩者のテキストに活かしましょう。
    多くの場合に、その全部を出し切らない方が良いようだ。
    やはり、三分ほどは余裕を持って置く方が良いのです。
    (旅愁)



    一つの真理
    ある程度、書きなれた作家達の同人誌には期待が持てる。
    他人を心から泣かす為には、先ず自分が本当に泣かねばならない。
    頭の廻転の如何が成功の鍵であり、現代の事業の勝負はアイディア決定する。
    (沙門悟)



    川柳
    医者どのの不自由な里は賀振舞
    九十の賀まで医者の恩なし
    養生をすすめる人が煩はせ
    医者の言うことを守れぱ夜は長し



    福は事少きより 福なるは莫く
    禍は心多きより 禍なるは莫し
    唯だ事に苦しむ者方に事少きの禍たるを知る
    唯だ心を平にする者始めて心多きの禍たるを知る
    (菜根譚)








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