<1964年2月15日発行 第90号>
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目次
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1.講座 乾燥青汁
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医学博士 遠藤 仁郎
健康上にも、また治病上にも、欠くことのできないものは、毎日の食が完全であるということです。私どもは、この目的のために、もっとも簡便なのは、良質の生ナッパをうんと食べることだ、と多年主張して来ました。(緑葉食)。そして、私どもが青汁をすすめているのも、これが、十分の生ナッパの摂取を可能にする、もっとも簡単な方便だと考えるからです。
しかし、いろいろの事情で、良質の生野菜がなかったり、青汁ののめないような場合には、次善の方法として、まず乾燥緑葉末を利用するしかありません。それには、葉がうすくて乾燥しやすく粉砕しやすいのと、たいがいのばあい、どこでも材料が大量にえられるなどの点から、大根葉がいちばん具合がよいのではないかと考えられます(「緑葉食青汁の実際」参照)。
すばらしく大きくなり収量も多いので、ケールやキャベツの葉もよい筈なのですが、これらは葉が分厚いため乾燥しにくいこと、また繊維がつよくて粉砕しにくい上に、よほどていねいに砕いても、舌触りがも一つどうも感心できません。
で、これらは、むしろしぼった汁つまり青汁を乾燥するほうがよいわけです。
それに、これがうまくゆくと、毎年繁茂期にムダに捨てられている莫大な量の葉の利用にも都合がよいので、かねて、私どもの間では、研究課題の一つになっていました。
最近になって大阪の田辺氏が特許製法を完成し、ようやく製品も出まわるようになりました。もっとも、まだ試作程度で、量産というところまではいっていないので、コストの点にいささか難があるにはあります。見かけはちょうど抹茶のようで、味も悪くないし、成分もなかなかすぐれているようです。
もちろん、生の青汁にくらべるわけにはゆきませんし、いわゆる「生の力」というものにいたっては、全く期待できないことはいうまでもありません。けれども、十分の量を摂れば、相当の効果もあげることができます。
利用法
水にとかして「青汁」にしてみると、確かに生の青汁よりは、ずっと飲みよいし、牛乳や粉乳、ココアやキナコなどを入れると、なおさらです。サイダーやソーダ水、その他の飲みものに入れても、なかなかよいグリンドリンクになります。
しかし、別にわざわざ水や湯にとかす必要はないのですから、粉のまま、粉薬のように飲むのもよいでしょう。毎食茶さじで2―3杯か大さじで1杯も飲めば、相当量の青野菜を食べることになります。
ながい旅行に出るときや船員、東北や北海道といった雪国の冬の間、あるいは野菜や青汁のきらいな人にとって、おそらく、ちょっと、これにまさるものはないでしょう。
ふりかけ(グリンふりかけ)
そのままでもよいし、ゴマ塩、出しじゃこの粉末など、適宜調味料を入れて。
飯やおかずにふりかけ、味噌汁その他の汁物に入れて、おいしく食べられます。
コロッケやキントン(芋豆、栗、百合などの)にまぜ入れてもよろしい(グリンコロッケ、グリンキントン)
餅や柿餅につきこむのも結構です(グリン餅)。また、すべての粉料理にまぜる。
穀、豆、芋などの粉に、この乾燥青汁を2割も入れると、それだけでも殆んど完全にちかい食べ物になります。グリンパン、グリンうどん、グリンそば、グリンビスケット、グリンせんべい、というわけ。
その他の菓子など、あらゆる粉製品に入れ、また、団子やテンプラのころもに(グリン団子、グリンテンプラ)。
こうすることの利点の一つは、まず栄養のバランスがよくなること。
次には、現在、殆んどすべてのものが、見かけをよくするために、粉の漂白をしたり、色づけしたりされて、栄養価を損じたり、薬品や色素の害が加ったりしているわけですが、乾燥青汁で緑色がつくことで、粉の漂白をする必要もなければ、色づけする必要もなくなります。
市販のすべての製品がそうなることがもっとも望ましいが、せめて手始めとして、次代をになう学童の給食用のパン、うどん、ビスケットなど、また、家庭での手製の料理やおやつだけでも、そうなってほいものです。
今ではコスト高で、ちょっと勿体ないですが、やがて、ずっと安くなることでしょうし、利用方法は工夫しだいで、いくらでもあることですから、一つ大いに活用したいものです。
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2.倉敷安全青野菜の会発足
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友成 左近
この度、倉敷の青汁教室で遠藤先生のご指導をうけている仲間が、倉敷安全青野菜の会をつくった。
常食する青野菜は 安全清浄であること
倉敷で青汁教室が開かれるようになったのは、37年1月である。以来、毎月第3金曜日の夜、遠藤先生に緑葉食・青汁のご指導を仰いでいる。この間に、健康をはかるには、なにはさておき、青野菜を沢山、それも、できるだけ生で食べなければならないことが、よく分かってきた。と同時に、この青野菜は、青汁用でも生食用でも漬物その他調理用でも、栄養上できるだけ優秀な品種であるだけでなく、堆肥その他の有機質肥料を十分施して栽培した栄養価の高いものであり、また危険な滲透性農薬や下肥を絶対に施さない安全清浄なものでなければならないことが、よく分かってきた。
安全清浄青野菜の入手は 極めて困難
けれども、こうした良質で安全清浄な青野菜の入手は極めて困難である。
もっとも、倉敷では、遠藤青汁友の会の支部があるので、こうした青野菜で作った青汁を配達してくれる。だか、これは、配達後すぐ飲んでも、やはり作って時間がたっているので、どうも味がよくない。まして時間がたつと、かなり飲みにくい。また時間がたつにつれて、だんだん栄養価も劣ってくる心配がある。青汁は、できるだけ家庭で作り、作りたてを飲むことが最も望ましい。
また倉敷では、青汁用の青野菜を配達してくれる方がいる。けれども、この青野菜が、はたして良質で安全清浄なものであるかどうか、全面的には信用しかねる状態である。配達した青野菜は、品種については、見ればすぐ分かる。栄養価については、食べてみれば、だいたい見当がつく。けれども、安全清浄であるかどうかは、容易に分からない。どこで、どういうふうに、だれが栽培したのか、その人物を信用する以外に、今のところ方法がない。まことに厄介なことであるが、下肥はともかく、農薬を使わずに栽培することは、この頃の農法では、常識はずれであるからだ。だが、恐ろしいのは、この農薬の方である。
安全清浄栽培は 人物によって信用
青汁教室の仲間としては、いささか片意地ながら、せめて大切な青野菜だけは、安全清浄なものをと願い、信用できる人が栽培したものをと願って、方々あたってみた。幸い希望通りに栽培して配達してくる方が、37年10月、仲間に加わってきた。そして、青汁用だけでなく、生食用や漬物用の青野菜も栽培し配達してくれるようになった。
その後1カ年ほど経過する間に、青汁教室の仲間以外からも配達を求めるようになり、まことに喜ばしい成り行きとなったのであるが、早急に、今後の見通しを立てて、栽培を計画しなければならなくなった。
そこで、ただいま配達をうけている者が、とりあえず、こうした会をつくって、お互いに必要な数量を明らかにして栽培に役立て、入手を確実にし、さらに、だんだんと会員をふやしていくことにしたわけである。
需給の調整と栽培の指導
この会は、いうまでもなく、遠藤青汁の会の趣旨に基づいて、良質で安全清浄な青野菜を毎日十二分に食用すること、その普及をはかることを目的としている。そして、普通(需要)会員と栽培会員と配達会員で組織する生産消費組合のようなものである。けれども、当面、会としては、栽培や配達の事実を営むことはさけ、遠藤先生を代表とする世話人を選出して、必要な連絡と指導だけを行なうことにした。すなわち、普通会員の需要を調べて、栽培または配達会員に連絡して需給の調整をしたり、配達価格の斡旋をしたり、栽培または配達会員の入会を認可したり指導したりするわけである。
これ以外に、青野菜の食用や自家栽培、あるいは健康や食養にいての相談も行なうが、これは、これまで通り青汁教室で行なうことにしている。また、この会は、遠藤青汁の会の支部として組織し、年会費200円を集め、代わりに毎月「健康と青汁」紙を無料でとどけ、その他緑葉食・青汁に関する図書の購入斡旋もする。
ところで、この会の最も重大な事業は、栽培会員に、本当に良質で安全清浄な青野菜を栽培するように指導することである。が、これは容易なことでない。そこで、岡山大学農業生物研究所の生理、病理、害虫の先生方や、倉敷保健所の所長さんや、倉敷民芸館の館長さんに顧問をお願いして、ご指導を仰ぐことにしている。
この会の念願と夢
なお、発足時の会員は、栽培会員2名、配達会員1名、普通会員約100名である。配達価格は、青汁用でも生食用漬物用でも、1単位(約260g、約70匁、青汁にして約1合分)10円としている。青汁用は主としてケールであり、生食用漬物用はCO、カキハダイコン、ハツカダイコン、コマツナ、ミヅナ、パセリ、シソ葉などである。
まだ至って貧弱なものであるが、念願していることは、倉敷市民のすべてが、こと青野菜だけは安全清浄なものを食用し、それも、できるだけ沢山生食するように、ということである。夢みていることは、これがキッカケとなって、毎日ぜひ食べねばならい大切な食物が、だんだんと安全食品となるように、ということである。
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3.鷹の知恵
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朝鮮で鷹狩りをして雉を捕らしたら、鷹は近くから飛び出した雉をすぐ捕らずに、態々遠方迄追って行ってから捕った。それが上手な熟練した鷹だと聞いて不思議に思ったら、鷹匠や勢子がすぐ来られないやうに遠方へ行くのだ。人の来る間に雉の脳味噌を食べるのである。動物の味覚は栄養の豊富なものへと自然に向いている。(大河内正敏著味覚)
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4.もっとも手取り早い「弘益人間」
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ソウル J.K.
同好の士へ、出版物は輪読、ケールの種子と「健康と青汁」は無料配布しました。
読者中、緑葉食生活に共鳴しながらも、真の実行は、ケールを植え、その青汁を飲みつづけて、はじめて真の賛同者になるようです。
ケールの種子が足りなくて、十分にその需めに応じかねました。
ソウル、木浦、順天、始興等、数地域の友人に種子をわけてやって、試作試飲せしめました。
小生のように耕地のないもの数人は、同好の士金栄坤氏の所有地約20坪を借りうけ(ソウル市郊外、風光明眉なる牛耳洞にある六堂先生の碑石南方100米地点)、毎日曜日、弁当持参、共同耕作をして、今年3月播種。6月より飲みつづけていますが、その間、他の薬は一切のまず、青汁のみによって、
(1)崔銀吉氏は糖尿病が完全に治り
(2)小生は高血圧200近くあったのが、142に低下し、数年来の水虫が完治。
(3)金淳操氏夫人は、数年来の腎臓病が大変軽くなり、
(4)趙準氏夫人は、頭の中で飛行機がとんでいるみたいに騒がしく、体も衰弱を極めていたのがよくなり、
(5)李寿成氏は、高血圧で一度倒れたこともありましたが、漢方薬と青汁と併用して大分軽快しています。
明春は青汁のみを服用して治療を試行する筈です。
(6)金栄坤氏家族は、特に病気はないが、食生活改善のため飲んでいますが、みな好効果をおさめています。
11月からは、寒冷のため成長とまり、ケールは飲めず、大根の葉も辛くて飲めず、人参の根を毎朝かじっています。
初霜にケールの葉の萎れるのを見ると、ソウルでの越冬はむつかしく、来夏の採種は出来ないのではないかと心配しています。
先生のおっしゃる完全食こそ健康の基本であり、しかも、病気もあまり費用を要せずに癒るのであるから、緑葉食・青汁の普及こそ、もっとも手取り早い「公益人間」であると信じ、われわれケール共同耕作中の同人は、喜び勇んで、明春、大いに青汁ケールの栽培の普及をはかる予定です。(1963・12・3)
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5.扁桃腺もトラホームも
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木更津市 S.Y.
一昨年9月にケールの種をいただきましてより、早速つくりはじめ、今では1日もかかせない位になりました。
主人が一昨年亡くなりましてより、寝具経営しておりますので、海岸では鋸山会館、山では鹿野山のカントリークラブというように、車で走りまわることもずいぶんありますが、青汁をのみはじめて、しみじみ疲れなくなりました。
また中学3年の娘の扁桃腺も、この1月頃から、左がずっと小くなりましたし、小学3年頃から、ずいぶん病院通いしましたトラホームも、4月の検査では、「なし」でほっといたしました。
朝まだきケール取る手に露しとど
虫の音を聞きつつ野菊手折りけり
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6.二十年来の水虫
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7.心臓病よくなる
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倉敷市 H.M.
春頃からつとめて青汁をのみ出しましたところ、家内は心臓が悪く、坂道を登ったり、ちょっと急激に動きますと動悸がはげしく、背中がうづき、風邪をひきますと心臓が苦しくなり、医薬もあまり効がなく、暗い毎日をおくっていましたが、青汁をのみはじめてから、前記のような症状が、しだいにうすらぎ、現在では殆んど忘れたように軽快になり、元気に家事を切りまわして居ります。
たまに無理をして疲労が重った時なぞ、肩のこりや動悸をうったえることがありますが、とても以前と比較にならぬほど楽になりました。
私も今年の夏は暑さにも負けず、あまり疲労を感ぜずにすごすことが出来ました。
また近所の、心臓の悪いお婆さんに、毎朝あげて居りますが、この人も青汁に感謝している1人です。
二伸 昨年は未曽有の大降雪にケールは12月から3月初旬まで雪の下に埋没していましたが、雪どけと共に又新芽を出し今年は種子が沢山とれましたので御送附しようと思っていましたが、ちょうど百坪程の畠で自家用野菜を栽培している知人から頼まれてゆずってあげました。ケールが寒気や雪の下に埋っても強いことがわかりました。
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8.キャベツの青い葉で
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富士市 M.Y.
わたくしども夫婦で、昨年の11月から、欠かさず青汁をしてのんで居ります。
おかげで二人とも便通も順調で、体によいことは何ということなく感じられます。
当地はキャベツの産地なので、農家から苗をわけてもらって、青い葉を外側からはいでは汁にして居ります。早速ケールをつくるつもりで居ります。
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9.ヒビ、アカギレの予防に
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奈良県 E.K.
雪のため、私どもの地方は青汁は飲めません。
だけど先生の大根葉の乾燥を読んでから、去年の秋に早速いたしました。
その粉末を毎日飲んでいます。
また、ミカンの皮を全部とっておき、その汁もコップに1杯は飲んでいます。
そしてそのカスは捨てずに、ガーゼにつつみ手を洗うたびに洗っています。
そしたら、今年は、ちっともヒビ、アカギレがきれず、うそのようです。
娘の時から、手足のアカギレにはとっても困ったものですが、今年は、手もすべすべして、いくら水仕事をても、ちっとも荒れず、うれしく思っております。
大根葉とミカンの効果に感心させられ、今もかかさずやっている次第でございます。(37・2・6)
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10.きれいな血
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横浜市 I.
私は一刑事です。神経痛のため先日病院へ行きました。血液検査をするため血をとりましたが、一緒にとった他の4、5名の方の血と並べてみて、私の血だけとてもきれいな色をしているのにびっくりしました。医師も「とてもきれいですな」と云って居られましたが、青汁を飲んでいるとは話しませんでした。青汁をのみ、緑葉食にするとこうゆう事になるのでしょうか。尚、職業柄夜勤などもありますが、疲れなくなりました。
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11.ケール餅
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玉島市 S.T.
材料 糯米 1升 塩 少々 青野菜(ケール)をすりつぶした物1升程
1. 米は前日によく洗い一晩かしておく。
2. 蒸し器に米を入れこれをよく蒸す。
3. よく蒸せたら其の上に青野菜のすりつぶした物を入れしばらく蒸す。
4. 蒸し上がったものを餅搗で塩少々を入れて搗く。
5. 搗き上がった物を一寸厚み位にのばしておき適当な堅さになったら切る。
この他青汁を使ってもよいお餅が出来ます
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12.試煉
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深山 旅愁
暖い春を迎えるためには
寒い冬を潜って行かなくてはいけない
それは人生にも云える
雨はもっと叩くだろう
風はもっと揺振るだろう
だが、それに弱音を吐いては駄目だ
ひとすじ希望を見つめて・・・・・
こつこつと歩こう
ねばり強い心に育てるために
雨よ もっと叩いてくれ
風よ もっと揺振ってくれ
暖い春を肌に感じるためには
きびしい霜を踏んで行かねばいけない
けわしい山の斜面にこそ
枝ぶりの良い樹木はあることを・・・・・
そんな姿になりたい
そんな姿になるように修業しよう
1963・12・7
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13.健康生活讃歌
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久留米市 S.M.
―いつまでも若く楽しく美しく―
1、 仙人は不養生せず腹たてず
物欲しがらずという歌を思い、
せめては百才の寿は義務なりと、
いつまでも若く楽しく美しく
2、 人はみな菜食主義の腹八分
グリーンジュースや生野菜
うましうましと、家中がむつみ交して、
いつまでも若く楽しく美しく
3、 腹たたば走りてみよや蝸牛、
大黒様もみそなわす
心素直にニッコリと、
無欲恬淡、
いつまでも若く楽しく美しく
4、 年とればこそ小ぎれいに、
おのがじじ好みの娯楽スポーツで、
消耗度をば防ぎつつ、自然の友といつまでも
若く楽しく美しく
5、 天地人三才の恩感じては
心身一如の理を悟り、
日々に新たにまた新たに、日毎年毎いつまでも
若く楽しく美しく
(終)
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14.自然にポカポカとして
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水戸市 T.H.
昨年10月17日より青汁を飲用いたし、1日増しに体力がついてまいりました。
7年くらい前より電気アンカを使用して床休いたしておりましたが、本年は一度もアンカを使用せず、床についてから十分くらいのうちに体温により自然にポカポカとして寒冷を感じませんので、青汁の恩恵であると信じて居ります。
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15.質問箱:ニンジンの根はビタミンCをこわす?
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栃木 Y.K.
問
人参の葉は青汁に適しているが、根はビタミンCをこわす成分があるので、ジュースにするより、油をつかって調理するほうがよいでしょうか。
答
そうです。生食でも、すりおろしたり、ジュースにするより、そのままパリパリ食べるか、短冊切りにしておいて食べるのがよいわけです。
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