健康と青汁タイトル小 <1963年1月15日発行 第77号>
 目次




1. 胃潰瘍(2)
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     医学博士 遠藤 仁郎 

     3 調理
     なるべく簡単に。ナッパ類はつとめて生食。潰瘍の出来るような人の食にはビタミンCが少いといわれていますが、これは食構成が不適当なだけでなく、煮すぎるからでもありましょう。また、潰瘍の発生を防ぐ作用があるというビタミンUは、ながく貯蔵したり、熱をあてると壊れやすいものです。生で食べれば、そのどれもを充分にとることが出来ます。なお、ナッパ類は、生がいちばんかみつぶしやすいので、消化吸収の率もよいわけです。

     4 調味
     なるべくうす味。味が濃いと胃にもたれます。その上食塩は胃酸を多くしますし、糖分がすぎると栄養のバランスをみだします。また調味料そのものも、なるべく自然のままのものまたは添加物のない純正安全なものばかりにしたいものです。

     5 咀嚼
     ともかくよくかむこと。少くとも一口30回、多いほどよろしい。ご飯なら、口の中でオモユのようになるまで。胃が悪いから「ご飯」を「カユ」にし、「おさい」は「うらごし」にする、というのは、かまぬことを前提にしてのことです。かたいものでも、よくかみさえすれば、少しも差支はありません。かめない場合は、まず歯をなおすこと。それも出来なければ、やむを得ず、何もかもすりつぶして食べる。但し、それでもよくかみ、つばとよく混ぜて。こうすれば、食の量は少くてすむし、過冷、過熱、あるいは刺戟物の害も防ぐことが出来ます。

     6 食事時間
     規則正しい方がよいことはよろしい。しかし別に、そう窮屈にこだわる必要はありません。要するに、よくかめばよいので、不規則な食事よりもかみ方の足らぬことの方がずっとよくありません。

     7 嗜好品

      菓子  ほとんど熱量源、ことに澱粉と砂糖ばかり。これに釣り合うべきミネラルやビタミンが乏しいため、栄養のバランスをこわします。その上添加物(色素や人工甘味など)の害ももありますから、つとめて避くべきです。(菓子ずきには潰瘍が多いものです)
      冷菓  アイスクリーム、アイスキャンデー同様。純正品の少量はよいでしょうが。
       アルコールの強いものは直接に胃を傷け、これが慢性になると潰瘍にもなりやすい。また栄養のバランスをみだすことは砂糖や菓子と同じです。もとより病状、酒の種類や量にもよることですが、なるべく避くべきもの。
       茶そのものは少しも差支ないのですが、問題はお茶うけの菓子にあります。紅茶、コーヒーも同様、砂糖に注意。
      清涼飲料  純正品、たとえばプレーンソーダなど、少量はよろしい。大量は炭酸ガスのため危険なことがあります。
      人工着色  人口甘味、人工香料のはいったジュース類、サイダー、ラムネは避けること。
      喫煙  直接には胃炎をおこし、また神経を刺戟して間接に潰瘍素質をつくります。嗜好品のうちではもっともよくないもの。つとめてやめること。精々2−3本ないし数本に制限。また、なるべく長いキセルで吸うこと。

     8 便通
     通じが悪いと潰瘍は治りにくいので、いつも快く通ずるよう気をつけること。今までの普通の潰瘍食は消化のよいものが主であるため、便秘傾向になり、却って治りを妨げています。(といって、薬で加減すると、これがまた癖になってしまいます)なるべく線維の多いものことに生の青ナッパをよくかんで食べ(かみ切れぬものは出す=かみ出し)、自然の便通をはかります。

     こういう風な食べ方にすれば、自然、食べる量はへり(腹八分)胃の負担は軽くなり、栄養のバランスもとれて来ます。そして一面、気分は落付いて来、神経の興奮性も低まり、物事に動じなくなり、よくねむり、疲れなくなるので、いろいろのストレスに対する抵抗力も増して来ます。
     そして、よほど頑固な胃病でも、おいおいよくなって来るものですし、食べ物の選択も、そうやかましくやらなくてもよいようになりますから、食養生もずっとやりよくなります。

    食禁
     どんな病ででもですが、とくに潰瘍では、やれあれはいけない。これはいけないと、禁食品が多いものです。しかし、いたずらに食禁をきびしくするより、「安全純正食品による完全食」という原則の下に、なるべく寛大にし、融通性をもたせ、禁食品はなるべく少くすべきです。
     食養生は、一時的の投薬とはちがい、厳格にいえば生涯つづけなければ意味のないものです。それだけに、余り厳格にすぎては実行しにくい。「良い」、「悪い」、といったところが、それは人により、また分量によることなので、たとえ「悪い」というものでも、ためしに少しだけ食べてみて、何ともなければ、それはちっとも差支はありません。
     このように、完全食という条件の下でさえあれば、安心して食べられる食品をしだいにふやしてゆくことが出来るので、食養生はさらにやりよくなるわけです。



2. 入院雜感(下)
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     友成 左近 

    好き嫌いの根強さ
     また、野菜をしっかり食べねばと、よく分ってはいるが、「分っちゃいるけど」で、どうしても食べられない、生の青野菜ときては、どうしても、青汁なんぞトッテも、見るのも大嫌い、という人が少なくないようです。食べ物についての好き嫌いは、ほんとに根強いものだ、とは思いますが、体を丈夫にすることと、好き嫌いの感情に従ってしまうことと、どちらが大切ですか、と聞きたくなります。だが、私自身についても、そうしたことがありはせぬか、いな、おおありだ、と反省されます。好き嫌いがないようにするのは、まことに至難なことであり、また、あっても、そう差し支えのないことであり、あるほうが食事に楽しみが生じるわけですが、これにあまり左右されないように、完全栄養食ができるようにするには、どうしたらよいものか、つくづくむつかしい問題だと思われます。

    病気の治療は患者が片方かついで
     病院にいると、どうも分からないことが、いろいろあります。せっかく入院して治療してもらっているのに、出されたクスリを反古箱にほりこんでいる、といった人をちょいちょい見うけます。いったい、どんな料見なのでしょうか。
     よく考えてみると、今日は専門的分業の世の中です。食堂に行けば食事ができ、洋服屋に行けば洋服が買えます。病院に行けば病気を治してくれます。だが、病気は、患者の方で、病院の治療に相応した養生をしなければ、とうていうまく治っていかないことは、いうまでもありません。注射にしろ、クスリにしろ、手術にしろ、一般看護にしろ、病院の治療によく従い、積極的に力をあわせ、患者の方で片方かつがなければ、うまく治らないわけです。
     病気の治療や健康保持などは、専門家に任せてしまって、自分は気ままにしてよい、というふうにはいかないわけです。こうした点をカンちがいすると、クスリを反古箱にほりこむようなことが起こるのかも知れません。こうした点をよく弁えていないと、正しい食養生などは、とうていできないわけです。病院の給食以外に青汁を飲む、というようなことは、及びもつかぬわけです。
     もっとも、人間の考えること、することは、だれでも、そうそう、いつでも、すべてに行きとどき、真面目であるわけではなく、時には、ウッカリすることナゲヤリになることもあるわけです。まして入院して特殊な環境で暮していると、なんとなくイヤになり、不真面目になったり、ヤケクソになったりすることもありがちでしょう。クスリなんか反古箱に食わせてやれともなるわけでしょう。
     私も、入院中度々心がさわぎ、一度は、なんともいえずイヤになり、トタンに動物的本能が盛んになったのか、ウッカリ食べすぎて、あげさげしました。病人とくに入院患者におこってくる、こうした心の波立ちを静めることも、治療に大切であることが、よく分かりました。と共に、これは、なかなかむつかしいことだ、ということも。

    健康保険の完全実施を
     入院していると、お互いの間で、時に入院料や治療費のことが話題にのぼります。一家の仕事や収入のこともそうです。これが気がかりになって、治療なかばで退院していく人もあるようです。幸い私は、健康保険にはいっているので、入院中の個室料を除いては、そう費用はかかりません。月々の給料もはいりました。ありがたいことです。
     健康保険は、ぜひ、すべての国民に完全に実施して、せめて入院治療費だけは心配しないですむようになってほしいものです。「カネのきれめがイノチのきれめ」ということがピンとくるようなことがあり、ヒシヒシとその感を深くします。と共に、体に故障を感じたら、いつでも無料で気楽に診療がうけられ、また、定期の健康診断が無料で実施され、病気の早期の発見治療が行きわたり、手おくれとなることがないようになってほしいものです。
     さらに、容易に病気にかからず、いつも心身ともにはればれしく暮していけるように、社会衛生、健康増進が広く行きわたってほしいものです。

    青汁は健康増進の基
     ところで、青汁は、そうおいしいものではないが、毎日のんでいると、確かに病気の治療だけでなく、健康増進に大いに役立ちます。また、食事を完全栄養食に改める手がかりともなります。さらに、そうおいしくないことが、かえって、食事に気をつけて健康をはからねば、という気持を引き立てるようです。

    (おわり)



3. 寄せられた「ちまた」の声(1) 青汁は有毒である

    松山市 G.O. 

    『青汁は有毒である』 ー安全な飲み方という著書を分析するー

     銀座の料理学校長清水桂一氏のこの著書はその主題は有毒とし、安全な飲み方という矛盾を表に出している。その内容に至っては甚だしい誤謬に終始しているから私はその主たるところを反論して全国の青汁ファンに答える。

    (原文は本)
    (評は小川)
    「原文」216頁
     都の衛生研究所にも国立の衛生試験所にもケールの分析表はない、青汁は有毒でないという証明は衛生試験所にはない勿論厚生省にもない。青汁は有毒でないという研究をするのには大変な費用と時間がかかる。貧乏国日本には当分この研究は不可能であろう。

    「原文」213頁
     ケールは有毒であると私は直感的に思っている、その正しくないかどうかは百年後でないとはっきり証明できない。

    「評」
     ケールを有毒とする根拠はない。その青汁の効果は全国で証明済である。ずぶの素人の清水氏が直感で決めて公表したことは暴論という外はない。

    「原文」198頁
     (問答)
     「つまり青汁は有毒であるときめて、有毒であるが体のためになるものもあるから毒な部分を解毒するように何かまぜてのんだらいいというわけでしょう」
     「案外頭がいいな」
     「おだてちゃ困りますよ青汁にはビタミン、ミネラルというものが活性でつまり生きたビタミン、生きたミネラルとして入っている。ところが毒物もまじっているからこの毒物の方は解毒されてしまえば、これは、しめたものだ。こうでしょう、あんたのねらいは」
     「申分ないね」
     「毒物は何だかわからないが人間は毒を排出するはたらきを持っているから、その臓器が疲れず弱らず働くような何かを一しょにのめばよいというわけだ、そうでしょう」
     「エネルゲンという名前で甘草飲料粉末が発売されてるんだ。こいつを青汁に入れてみたらうまいんだ、これならのめる」
     ――
     「青汁は有毒であると青汁党をおどかして叱られるといけないので――そいつを青汁に入れて飲めとは考えましたね。づるいや、そんなことなら私だって知っている」
     「青汁はエネルゲンを入れておいしくしてよくかんで少量のめばいい、そうすれば有毒な青汁が有効に働く」

    「評」
     この人をくった文意昔から問うにおちず語るにおちるそのものズバリである。本の末尾に私製はがきの注文書が付いている念のいれようである。本書のねらいの一つはここにある。

    「原文」215頁
    (清水氏が厚生省食品衛生課で係官と話した問答)
     「厚生省として青汁を販売していけないというような法文があるんですか」
     「あります通牒ですよ。食品衛生課長が出しています全国にです」
     ――
     「ケールという葉の販売はどうなんです」
     「一般野菜と見てますから別にケールの販売は禁止してません」
     「ケールが有毒であるとしたらどうなんです」
     「一般に食品が有毒であるというときは、その規定がありますからそれで取締ります」
     「ケールとか青汁に対して厚生省は別に手をつけていないのですか」
     「別に何もしていません有毒だとしても何が有毒かわからないと検査するのに困難でしょう」
     「青汁の分析はないのですね」
     「一般の人に青汁を販売することは禁止しましたが、会員にはよいとしてあります。これは家族の人達に作って渡すというような場合それは禁止しないということです。店頭で販売して買った時が会員であるというようなのは違犯です」

    「原文」219頁
     身体の悪い人が飲んでみる(自発的に)ことは厚生省でも禁止はしていない。自分で青汁をしぼって飲むのならいいといっている。

    「評」
     厚生省は青汁の飲用はいいとしている。会員制で青汁を供給しない、店頭で誰彼れなしに、ラムネ、サイダーの如く売ることを禁止している。清水氏の広告は青汁にありもしない毒があるといって、厚生省が飲用も禁止した、ケールも毒があるから百貨店が売らなくなったという受取り方を大衆にあたえ特に青汁の愛用者の注目を集めて自著を多く売りつけようとしたことがもう一つのねらいである。
     清水氏の説は22頁の金魚の実験、28頁の牛乳論、148頁の舌の感覚論、159頁の青汁の不向な体質論、167頁の青汁と水虫の論、190頁の大量は鰻も有害という式の考え方の青汁論。192頁の毒で病気がなおるを青汁もそうだと考えているところなど誤った思考が余りにも多いけれども重要でもないからスペースの関係で説明を略する。
     清水氏の説の中で34頁の食物論、39頁の微量原素の必要論、169頁の青汁の普及はすばらしいという判断などこの三四点には同意が出来ることをつけ加えておく。



4. 「ちまた」の声(2) 清水桂一氏に呈す

    福岡県 Y.K. 

     私は青汁を飲用し感謝をしているものです。最近、清水桂一氏著「青汁は有毒である」との本を購入し次のように所感を清水氏に送りましたので報告いたします。

     拝啓、私は最近ケールの青汁を飲みはじめたもので、その後体調が非常によろしく、これは寿命を10年は伸ばしてくれるのではないかと思っている矢先、貴著「青汁は有毒である」との本が出た。これは大変と思い早速購入いたしました。
     然るに、いくら読んでもケールの青汁が有毒であるとの記述は見当らない。有毒であるかも知れんと述べられている点はありますが、科学的の裏付がない。現代人の我々は、これではついて行けない。然もこれは書名と一致しない。
     然し、厚生省で青汁の販売を中止したのならば、有毒ではないかと思いよく調べましたが、これは青汁が有毒なためではなく、食品衛生上の取扱いの問題である。
     ケールの青汁飲用に心配はいらぬ。デパートがケールの販売を止めた。これもケールの青汁が有毒なためではなく寄生虫の付著を心配したためである。ケールを自家産すれば心配ない。
     以上のようで、本書は書名と内容が一致しない。羊頭狗肉である。その上、本名と関係のない記事が多い。これはページ数を増すためだろうが感心しない。青汁の普及している今日「青汁は有毒である」との書名でよく売れましょう。然し私は、今後、清水桂一の名前のある本は一切買わないことにきめました。これは私一人ではありますまい。
    以上


5. 不食河豚説

     医学博士 遠藤 仁郎 

     松蔭先生の幽室文稿に不食河豚説というのがあります。

     「世に言ふ河豚毒ありと。其の之を嗜む者特に衆し。余独り食はず。死を懼るるに非ず、名を懼るるなり。夫れ死は人の必ず有る所、固より懼るるに足らず。然れども死生亦大なり。苟も一魚の小を以て死生の大を致すは顧ふに士名を辱めずや。或は謂ふ河豚必ずしも毒あらずと、然れども死は人の必ずある所にして又予期すべからず。且世固より病無くして死する者あり。況んや其の万に一毒あり嗜みて之を食はば、安んぞ其れ偶死して名を辱めざるを保たんや。或は謂ふ河豚の美衆魚の比に非す、食はざれば其の美を知らずと。夫れ清人悪む所の阿片煙、その味蓋し美ならざるに非ず、其の味愈々美なれば則ち其の毒愈々深し、故に今日河豚を嗜む者は必ず他日阿片を貧る者なり」。
     よくあたるからか、めったにあたらぬからか、テッポウと名をとり、雷と名に負うているだけに、たまにではありますが確かにあたり、ひょっとすると生命をとられます。私自身でも今までに少くとも三人はそれでやられたのでみています。
     これで死ぬのはほんとうに死んだのではない、往々蘇きかえることがある。だから急いで埋葬するものでない。昔は首だけ出して土にいけたものだ、などともいわれていますし、古い物の本には色々毒消しになる草の名などもあげてあります。
     また、むかし鞆の浦で大漁があったとき、中毒が続出したが、ツワブキで治ったという話もあります。
     すると、緑葉食や青汁をやっておればめったにあたりもすまいし、治ることもあるかも知れません。けれど私の患者の場合は、そんなことは知らなかったずっと以前のことでしたし、学校では無論そんなことは教えてくれません。
     よいという方法はいろいろ講じてみたが、息をひきとってしまったので、死亡診断書を書いて渡したまででした。今でも大概はそうであろうではないかと思います。
     こうした言伝えを知っている老人でもおれば、「ちょっと待て」ということにもなるかも知れませんが、だいたいみんなせっかちですから、息をふきかえしても、もう墓石の下か焼場の竃の中でしょう。いずれにしても、うっかりフグなどで死んではつまりません。

       雪の夜フグだんべいと藪医おき(川柳)

     寒い冬の夜につきもの。味も格別よい相ですし、ポカポカとからだのあたたまるのが何より快いんだということですが、あれは皮膚の血管が麻痺してくるからです。舌の先がしびれ、頭もぼやけて来て一種恍惚とした気持になるそうですが、ともに神経のやられるしるしだと思うと、いかにも気味の悪い話です。
     私はたった一度だけ、どうしても食べねばならぬ羽目になって、ほんのちょっぴり食べたことがありますが、生命を賭けてまで食わねばならぬ程の味とは、どうしても、思えませんでした。やっぱし私は松蔭先生にしたがいます。
    (25、10)(遠藤仁郎)


6. 縁のご飯

    東 S.S. 

     現在、チキンケール、かきは大根、その他の青葉など栽培して(二坪位のところ)、青汁をつくって飲んでいますが、今日は、青汁で一寸変った御飯の食べ方を読者の方々にお知らせしたいと思います。
     毎年青シソを栽培しますので、他の青葉と一緒にまぜて青汁をつくり、御飯にかけて食べたところ、香りもよく、味もよく、見た眼も緑の御飯といって、夏の食欲を増進してくれます。この青汁をつくる時、必ず植物油と塩少々を入れてやっています。正油と化学調味料を用いると尚一層緑の御飯の味がよくなります。

    (36、8、18)


7. これで結構やれる

    仙台市 K.S. 

     私は普段腺病質で、年中医薬にたより居った一人でしたが、最近は元気溌剌として、毎日の勤務に一日も休んだことありません。論より証拠。第一胃腸が治ったこと、便秘のなくなったこと、少し無理をしてもちっとも疲れないこと、小生の体験で明かです。
     これからも大いに青汁の奨励に努力して、世の一人でも多くの病人の方をともに助けて行きたいと考えています。青汁を連用いたすようになってからは、牛乳も卵も肉も殆んど摂りませんが、体の調子は一寸も狂いません。
     但し一回一食主義で、よくかんでたべることです。これを実行しています。人間も動物と同様、別に栄養食うんぬんにこだわらず、毎日菜食主義でも、結構、ある程度の重労働にたゆることを体験いたしました。
     最近はインスタント食とか、様々の加工品も沢山出来ておりますが、多くの人々は食品障害を起しているようですけれども、そんな心配もなく、結構楽しい人生をおくって行けるものだから、青汁の効用に感謝いたし居ります。
     但し、毎日これを実行することは相当の試練と努力が必要なることを自覚して居ります。

    (36、7、6)


8. 青汁教室

     倉敷では、昭和37年1月より、毎月第三土曜日の夜、約二時間、本町の誓願寺で、公開無料の青汁教室が開かれ、遠藤先生を中心として、青汁と食改善に関する、よろず相談が行なわれています。その一部をお伝えしたのが、この記事です。なお出席者は毎回約20名です。

    (友成左近)

    病気にかかるのは 病気をふせぐには


    カゼをひくのは
     青汁を飲んでいると、不思議とカゼをひかなくなりますが、ひいても早く治るようですが……
     全くそうです。しょっちゅうカゼをひいていた人も青汁を飲み始めると、いつの間にか、ひかなくなるし、ひいても早くぬけるようです。

      カゼをひきやすい人 あまりひかない人
       いったい、カゼをひくのは、ひとつには、カゼの病原菌を鼻から口から吸いこむからです。けれども、カゼの病源菌は、とくに流行時には、だれでも同様に吸いこんでいるわけですが、めったにひかない人もあれば、すぐひく人もあります。ひいたらサイゴなかなかぬけない人もあれば、少しクスンクスンした程度で治ってしまう人もあります。
       それは、人その人によって体力、抵抗力、栄養状態がちがっているからです。で、カゼをひくのは、カゼの病源菌が直接の原因ではありますが、それよりもっと重大な原因は、栄養状態が悪くて病源菌に対する抵抗力が弱い、というカゼをひきやすい素地です。

      カゼは万病のもとというのは
       カゼは万病のもと、といわれているのは、ひとつには、タカがカゼ位と考えて養生を怠っていると、いろいろな病気を引き起こすぞ、という意味でしょう。が、もっと深い意味は、カゼをひいたのは、もともと、ひきやすい素地があったからであり、これは、カゼに限らず、いろいろな病気にもかかりやすい素地であるぞ、ということです。
       ところで、青汁を毎日せっせと飲んでいると、体の栄養状態がよくなり、抵抗力が強くなるので、めったにカゼをひかなくなるし、ひいても早く治るのです。それは、こういうわけです。

      カゼをひきやすいのは
       私たちの体は、もともと、いろいろな病源菌がはいってきても、これをやっつけて、ちょっとやそっとでは病気にかからないように、うまくはたらくものなのです。けれども、別に魔法を使っているのではなく、いろいろな栄養素がよくそろっていなければ、うまくはたらかないのです。そして、この栄養素は、いうまでもなく、毎日毎度の食べ物で補なっているのです。で、食べ物が悪く、とりわけ、その取り合わせがかたよっていると、栄養状態が悪くなり、病源菌をやっつける抵抗力が弱くなるわけです。これは、カゼに限ったわけではなく、どんな病気でも、かかりやすい人、かかったら治りにくい人は、だれでも同様に、食べ物にかたよりがひどいのです。

      白米飯と菓子が多く青野菜が少なすぎる
       この最も目立っている点は、ごはん(とくに白米飯)や菓子や砂糖を食べすぎ、果物や野菜(とくに生の青野菜)をなにほども食べない、ということです。それに、ごちそうを食べよう、栄養をつけようと、ヤタラに肉や魚や卵をふやし、ますますごはんを沢山食べ、それだけ野菜をへらす、ということです。
       このため、体が生き働くもとになる熱量素は必要以上に補なっているが、これが熱量、エネルギーに変わっていくために必要なビタミンやミネラルが不足しているのです。たとえていえば、カマドにマキをヤタラにつぎこんでいるが、空気を十分入れないため、煙をくすぼらしているようなものです。
       また、体の筋骨のもとになる構成素とくに蛋白質はほどほどに、場合によっては必要以上に補なっているが、これが筋骨に変わっていくために必要なビタミンやミネラルが不足しているのです。たとえていえば、工場に部品はせっせと運びこんでいるが油や、工具が不足しているため、機械はカタピシャとなっているのに、そばには補修用部品が山とつまれて、乱雑になっているようなものです。その上、ミネラル(とくにカルシウム)その他の栄養素が不足しているので、煙や不用部品の掃除整頓がうまくできず、自由な身動きができなくなっているようなものです。

      生の青野菜を日に300グラム以上
       そこで、私たちの体の栄養状態をよくして抵抗力を強くするには、なにはさておき、果物野菜(とくにビタミンとミネラルの最も多い生の青野菜)をもっと沢山食べること、ごはん(とくに白米飯)や菓子砂糖をウンと控えること、肉や魚はほどほどに食べること、こうして食べ物の取り合わせ、摂取した栄養素の釣り合いに調和をはかることが大切です。
       では、生の青野菜をどれ位食べたらよいかというと人その人によって、いちがいにはいえませんが、およその目安は毎日300グラムいな500グラム以上というところです。

      青汁にしないと十分にとれない
       ところが、これだけの青野菜を生のまま食べるとなると、野菜には消化しない固いセンイが多いので、少々歯が丈夫な人でも、胃腸がかないません。また、よくかみつぶして食べないと大切な栄養成分の消化吸収が悪いのです。そこで、すりつぶして汁だけしぼり取って飲もう、というのが青汁のねらいです。
       汁にすれば、200グラムの青野菜が約1合となるので、毎日300グラム500グラムとるのに、そう苦労はないわけです。しかも、汁の中には、青野菜の大切な成分が殆んどすべてとけこんでおり、消化吸収は至ってよく、胃腸をいためる心配もないのです。その上、普通の青野菜よりはるかに栄養成分の優れている飼料用の青葉が利用できるわけです。ケールはもともと飼料用作物なのです。

      青汁を飲んでいると御飯や菓子がへってくる
       そこで、青汁を毎日1合ないし2合以上飲み、さらに生の青野菜をつとめて沢山、よくかんで食べるようにすれば、胃袋には限りがあるので、ごはんを食べすぎなくなります。また、こうしていると、栄養状態がよくなってくるので、野菜や果物がおいしくなり、お菓子など甘いものは、そう沢山ほしくなくなってきます。こうなれば、栄養状態はいよいよよくなり、抵抗力が強くなって、ちょっとやそっとではカゼをひかなくなり、ひいても、すぐ治るようになるのです。

      流行時の心がけ
       とはいっても、やはりナマミのことですから、とくに流行時には、病源菌の多い人ごみには不必要に行かないようにしたり、外出して帰ったら、ハナをかんだり(わざとクシャミまでして)、手や顔を洗ったり、うがいをしたりして、病源菌が体内にはいらないように心がけることが大切です。また、ひいたナと思ったら、夜は十分眠り、無理な仕事は控えて、体が疲れないようにすることが大切です。さらに、早めに予防注射をして免疫をつけることも適切です。


    赤痢がはやるのは
     この頃、冬でも赤痢がはやるようですが……
     かっては、赤痢がはやるのは、夏分、バイキンが繁殖し易い時だけでしたが、この頃では年中たえないようになっています。それは、こういうわけです。

      その原因は
       第一に、いわゆる健康保菌者がふえたからです。赤痢で医者にかかると、強制的に隔離病舎に入れられるし、他方、薬屋へ行けば特効薬を売ってくれるので、下痢がつづく場合、とくに赤痢のような症状がある場合には、医者にかからず、薬屋で特効薬を買って、自分で素人治療をする人が多くなってきました。そして、下痢が止まれば、もう治療をやめて外出したり仕事についたりします。けれども、度々検便をして、赤痢菌が全くなくなるまで治療をしていないので、別に症状はなくても、まだ赤痢菌をもっている場合があるわけです。ところが、体内は温いので、冬でもたえず繁殖しているため、年中、家庭や職場で、大便と共に、赤痢菌をまきちらすようになるわけです。
       第二に、便所が、まだ大部分不潔であるからです。水洗便所であり、用便後の手洗いが十分行なわれるなら、健康保菌者のまきちらす赤痢菌も、だいたい防ぐことができるのですが、くみ取り便所と不完全な手洗いでは、少々消毒しても、とうてい完全に防ぐことができません。
       第三に、この頃の赤痢菌は非常に強くなっているからです。赤痢の特効薬は強力な抗生物質ですが、健康保菌者の赤痢菌は、これに耐えぬいて生きのびたものですから、非常に強くなっています。このため、こうした赤痢菌が体内にはいると、かっては、かからなくてすむだけの体力をもっていた人でも、この頃は、かかる恐れがあるわけです。
       第四に、赤痢菌については、免疫が弱く、その上なが続きしないからです。赤痢は、腸チフスなどとちがって、一度かかってもまたかかる、というふうに、免疫が弱いのです。このため、ワクチンで予防しても効果が少ないので、予防のきめ手が弱いのです。で、いったん体内に赤痢菌がはいると、体力がよほど強くないと、かかる恐れがあるわけです。
       第五に、前にも云いました通り、この頃、食べ物にかたよりがはげしく、栄養状態が悪く、病源菌に対する抵抗力の弱い人が非常に多いからです。

      食事を正しく改めて抵抗力を強くする
       それで、赤痢を予防するには、いうまでもなく、まずもって一般的に衛生に心がけることが大切です。と共に食事の仕方を正しく改めて、体力、抵抗力を強くすることが大切です。

      完全治療をする
       そして、もし赤痢のような症状が起こったら、手おくれなく、また決して素人治療をせず、必ず早目に医師の治療をうけて、完全治療をすることが大切です。でないと、健康保菌者となることがあり、年中赤痢菌をばらまいて人々に迷惑をかけ、また自分自身も、体力が弱ると再発して苦労するわけです。


    高血圧を妨ぐには
     ひと年とりますと、高血圧や脳卒中が心配となるのですが……
     この頃、高血圧患者が目立ってふえてきました。死亡原因も、高血圧・脳卒中が第一位となっています。しかも、高血圧で倒れるのは、一家の働き盛りになってからであり、その上中風になって体に自由がきかなくなることもあるので、これは、ぜひ防ぎたいものです。

      高血圧・脳卒中とは
       高血圧・脳卒中というのは、分かり易くいえば、だいたいこうです。血管とくに脳の細い血管が、いろいろな原因で、固く、弾力が少なく、もろくなります。もろくなっている血管は、耐えきれなくなって、破れることがあるわけです。こうなると、脳内に出血がおこり、脳卒中や中風がおこるのです。

      高血圧は美食の大食から
       そこで、高血圧、脳卒中を防ぐには、まずもって、血管が固くなり、もろくなるのを防げばよいわけです。
       ところで、血管がもろくなるのは、カゼや赤痢などのようにバイキンの作用によるのではなく、いわば全く、食事にかたよりがはげしくて、栄養状態が悪いからです。この最大のかたよりは、白米飯や菓子や砂糖の食べすぎ、それから肉や魚や卵や油の食べすぎです。そして、そのため、野菜果物は、とくに生の青野菜は、なにほども食べないことです。いわゆる美食の大食です。
       従って、熱量素や蛋白質や脂肪は必要以上に多すぎるのに、ビタミンとミネラルは必要以下に著しく不足しているのです。こうなると、たとえば機械の組立をする場合のように、熱量素や蛋白質や脂肪は、不足しているビタミンとミネラルの摂取量に相応する分量だけしか、体内で利用されないので、栄養状態が悪くなり、血管の組織が(体の組織もともに)うまく更生していかず、だんだん老朽化して、固く、もろくなっていくわけです。その上、利用されなかった熱量素や蛋白質や脂肪は、体内にたまって、禍いをするのです。

      生の青野菜を多量に 米麦肉魚は必要なだけ
       こういうわけで、高血圧を予防するには、米・麦・砂糖(とくに精白したもの)や肉・魚・卵・油などは、必要なだけとり、決して食べすぎないようにすることと共に、こうした食物に含まれている熱量素と蛋白質と脂肪が体内で完全に利用されるように、各種のビタミンとミネラルが最も豊富に含まれている生の青野菜を沢山とるようにすることが大切です。
       生の青野菜を、毎日300グラムいな500グラム以上と、沢山とって、米麦や肉魚が、そう沢山食べられないようにすればよいのです。

      生の青野菜、青汁は多ければ多いほどよい
       なお、念のため申しますと、米・麦・油と肉・魚・卵など(熱量素と蛋白質と脂肪)は、必要量だけは、ぜひ食べねばなりません。けれども、必要以上にとった分、また野菜果物の摂取量に相応した分量以上の分は、すべてムダとなり、その上、栄養の妨げとなります。けれども、生の青野菜、とくに、その固いセンイを取り除いた青汁は、いくら沢山とっても、決して栄養の妨げにはなりません。
       それは、消化がよいだけでなく、そこに含まれているビタミン・ミネラルは、栄養剤のビタミン・ミネラルとちがって、どんなに沢山とっても、決して差し支えはないからです。その上多ければ多いほど、熱量素と蛋白質と脂肪が十二分に利用されるので、それだけ米麦や肉魚が少なくてもすむようになるのです。さらに、生の青野菜や青汁は、いくら沢山とっても、水分が多いので、ムダとなるほど沢山とれるものではありません。

      若いうちから注意して
       ところで、高血圧になるのは、カゼや赤痢などとちがって、急にかかるものではなく、長い間に、気づかないままに、徐々に、かかるのです。「中年は26才から」といわれているように、血管の発育は、だいたい25才位でとまり、それから徐々に老化し始めるので、若いうちから、とくに食べ物には気をつけて、老化を早めないようにすることが大切です。

      高血圧となったら
       もし高血圧となった場合は、手遅れにならないように、できるだけ早く医師にかかって、それ相応の薬治療と摂生をすることが肝要です。とくに食事その他の摂生に注意しなければ、いくら薬治療をしても、とうてい治りません。食べ方としては、生の青野菜を、少なくとも毎日600グラム(青汁にして3合)以上とり、米麦油や肉魚卵は、体重がへっていく位、ウンと少なくすることが肝要です。

    (以下次号)



9. ホウレン草と結石の問題(2) 特にその体験と古典による考察
以前参照

    千葉大学教授 M.S. 

    古典による二、三の考察 私は、上述のような云い伝えに興味を覚え、その由来を知るべく試みに李時珍の有名な本草綱目(明、万暦6年、1578)をひもといて見た。即ち次のような示唆多い記載を発見することが出来たのである。

      菠薐、菠菜、菠斬草、赤根菜

     菜及び根、気味甘冷にして滑、毒無し、士良曰く微毒あり、多く食えば人をして脚弱からしめ腰痛を発し冷気を動かす、腹冷を患う者は必ず腹を破る、ゴマメと同じく食わざればかく乱を発す、五臓を利し腸胃の熱を通じ酒毒を解き丹石を服する人之を食う佳なり、血脈を通じ胸膈を開き気を下し、中を調え渇を止め燥を潤おす、根尤も良し、北人肉麺を食って之を食えばやすく、南人スッポン、水米を食って之を食えば即ち冷す、故に多く食えば大小腸を冷やす、久病大便渋滞して通ぜざる者及び痔漏の人常に宜し、滑以て穴を養って自然に利す

     凡そ以上のような記載である。周知の如く本草綱目は李時珍が27年間の年月を費やして二千種に近い薬草、食物或いは動植物、鉱物等の効能を詳しく記載したもので何れも多年の経験をもとにしたものであろうが、古今東西にその類の無い尨大にして貴重な文献である。
     今その内容を吟味するに、一部難解な字句も有るが、要するにホウレン草には今日の言葉で云うならば、第一に緩下作用が有る点を明記しておる事に気がつくであろう。私自身この本草綱目を読んで一年前の下痢に近い便通の原因も凡そ知り得たわけである。何となればホウレン草をやめるようになってから、いつとはなしに下痢の傾向は忘れるように治ってしまったからである。ホウレン草の緩下作用に関する本草綱目の記載は誤り無いと思われる処で、痔によいと云う点も充分理解し得るのである。
     私は同じような記載を貝原益軒の之も有名な大和本草にも発見することが出来た。ちなみに同書は益軒80才の時(宝永5年、1708)の著にかかるものであるが、ホウレン草に就いて次のように書いておる。
     春、とうを取て熱湯に浸たし日にほして収め食すべし、生なるは味美なれども性冷利、多く食すべからず、人に益あらず、微毒あり、俗に云う婦人鉄漿を以て歯を染めてその日にホウレンを食えば死すと、未だその是非は知らず、云々。
     即ち右の記載からもホウレン草には緩下作用の有ろう事が考えられる。今日までこの点に就ては誰も知らなかったのではあるまいか。先の医師会雑誌にもこの点に就ては一言も触れていない事からも容易に察せられる処である。何れにしても、ホウレン草にはどの程度に緩下作用が有るか、又それは如何なる成分によるかも今後改めて検討さるべき処であろう。
     なお古典に云う冷の意味は充分には明らかでない。然し、冷にして滑、又は冷利と表現されるホウレン草の性質は、吾々の見逃していた処ではなかったろうか。民間に云い伝えられる産後の婦人には血を荒らす故に良くないと云う意味も、身体、殊に腹を冷やし、更にその緩下作用の故に出血を長引かせたりする傾向のある事をさしたものとも考えられるのである。
     ホウレン草のしぼり汁が堕胎に用いられたと云う云い伝えも、そこに根拠が有るのではないかと思う。
     次に、ホウレン草による結石の点であるが、この点に就ては本草綱目にも明らかな記載はない。然し前記医師会雑誌にも見る如く、ホウレン草による結石はアルカリ食品を主にしておる人には出来易いが、蓚酸カルシュームは酸性の溶液中では溶けるから、白米や肉類の如き酸性食品を主にしておる人には尿は酸性となり出来ないわけである云々……という記事を見る時、数百年も前の本草綱目に酸性食品と見られる肉まんじゅうの如きものと食べればやすし云々……と云った点は、或いは当時既に結石の点を経験的に知っていたものか、更に別の理由によるものか知る由もないが、真に示唆に富んだ言葉であり、むしろ驚くべき経験であると思う。
    (以下次号)


次号参照

10. 寄せられた「ちまた」の声(3) 青汁は有毒でない 愛飲者の皆さんへ

    明石市 M.K. 

     昔から「問うには落ちず語るに落ちた」とか「馬脚を顕はす」と云う言葉があります。
     最近の新聞紙上に大きく「青汁は有毒である」という本の広告が出て居ります。青汁は有毒である−厚生省は青汁の販売を禁止し、有名デパートはケールの販売を中止した云々と書いてあります。
     いかにも青汁が有毒であるから厚生省が販売を禁止したかの様な印象を与え、錯覚、誤認へ誘導するに十分な書方であります。
     インチキと云う直感は濃かったのですが、一応基本の内容を調べて見ますと、文面に一貫性がなく、字句曖昧矛盾が多いので其要旨、要領を掴むに困難でありますから、其文を崩さぬ様に抽出して検討要約して見ますと、厚生省食品衛生課では

    1. 最近市中で青汁を絞って瓶に詰めて販売しているが、牛乳でさへも殺菌をして温度10度以下に保存する事になっているのに、青汁は製造中に殺菌工程を経ず其まま瓶に詰めて飲料として販売する事は、細菌学的にも飲料法によって一般の人に青汁を販売する事は禁止したが、会員には良いとしてあります。それは家族の人達に作って渡すと云う様な場合、それは禁止しません。
    2. ケールや青汁については厚生省は何もしていない。右の様に厚生省の係官は云ったと此の本に書いた所もあります。「斯様な理由で厚生省が青汁の販売を禁止したとか、或は一、二の店がケールの販売を止めたから青汁は有毒である」と云う道理はどこへ、こねつけても成立ちません。『寧ろ厚生省は青汁は有毒と認めていない』と裏書証明した事になります。

     又外来輸入のケールが有毒であると書いてある一方では、ケールは有毒であるか否かは百年後でないとハッキリした証明は出来ないとも書いてあります。更に又青汁は有毒であるがこの薬を併用して飲めば安全であると云う売薬の宣伝も書いてあります。錯覚や誤認のありません様諸賢の公正な御判断と御認識を希望致します。
     尚『論より証拠』と云います「多分こうなるだろう」と先へ先へと際限なく演繹的な空想を走らせるよりも、実際にかずかずの実験を繰返して其結果を集積して突留めた其帰納的な実績は、これは絶対の真実でありますから此の世に唯一つしかない不動のものであります。
     此所に居ります筆者を含めて四人の生きた実在者が、我身を以って体験した実例の結果を御参考に書添えます。

    1. は昭和20年終戦時、フィリッピンから強度のマラリヤで歩行も困難のまま辛ろうじて復員、当時唯一の治療薬キニーネの入手不能のため、ヨモギの青汁を絞って飲み完全に根治致し、爾来軍人上りらしい強健さで働いております。
    2. は強度の神経痛で動きも困難でしたが、青汁を飲んで今は病気を忘れた様に活躍しております。
    3. は高血圧220ミリで倒れ、現在二年目で青汁で130ミリ台に落着いて元気になっています。
    4. は同じく高血圧226ミリで倒れ現在六年目、青汁を飲んでいますが、最近二年は血圧140乃至150ミリ台に安定致し、前々から神経痛、肩コリ等は今は全く忘れています。



11. 「ちまた」の声(4) 奇怪な青汁有毒説 人間を金魚あつかいとは

     銀座クッキング・スクール校長・清水桂一氏が最近「青汁は有毒である」という著書を出版したことから、青汁の効果について是非論がにぎやからしい。
     実は筆者も、県出納長の青井氏にすすめられて一年ほど前から愛用、友人にも卓効を宣伝して青汁党に引きこんでいるので、有毒説を聞き捨てにするわけには参らぬのである。いうまでもなく、青汁をいまのように普及させたのは倉敷中央病院の内科部長遠藤仁郎氏である。

     その著書にあるように「まず食欲が出て疲れがとれ、ハダが美しく髪の毛のつやもよくなる。また不眠、更年期障害や不妊症、胃炎、高血圧、心臓衰弱、動脈硬化、糖尿病、腎臓炎、胆石、ゼンソク、神経痛、リウマチ、ヒフ病など百種ほどの病状によい」という効用が、ウソでなかったからこそ「青汁ブーム」が起こったに違いあるまい。
     それが「有毒」とは一体なにごとであるか。清水説によると「野菜のアクに毒物がある」という。
     一例としてタマネギの汁を金魚鉢に入れたら、30分後に金魚が死んだ―と書いているが、冗談じゃない。人間と金魚をいっしょにされてたまるか。しかも「生野菜のままならよいが、汁はいけない」という論法は、どう考えても納得いたしかねる―というほかないのである。
     野菜のアクも、種類によりけりであろう。人間にだってアクの強いやつもおれば、弱いのや全く無いものもいる。いい加減な研究で青汁党を不安にさせるような本を出して一儲けしようとたくらむ人間こそ、有毒なアクの持ち主といえないか。ここらで遠藤先生のご登場を願い清水説の毒物をつまみ出してもらいたいものである。

    (11、16夕刊新聞)



12. ミカン皮の天ぷら

    真金町 M.O. 

     いつぞやの紙上の「茶がらの天ぷら」にヒントを得まして、それ以来「ミカン皮の天ぷら」をやって居ります。夏ミカンの皮もやってみましたが、これは少々かたくてあまりよくありませんが、食べられないことはありません。やはり普通のミカンであれば、我々には少しも気になりませんし、むしろ少々ピリッとした所があり、風味もあって、私の好物になって居ります。



13. (童謡)まりつきごっこ

     深山 旅愁 

    むらのあきちの まりつきごっこ
    あかいごむまり はずんでいるよ
    トントン トントン トントン トントン
    たれがたくさん つくのでしょうか
    いしのぢぞさん みていてね


    おかをにこにこ まりつきごっこ
    かげもはずんで うかれているよ
    トントン トントン トントン トントン
    ふえをふきふき ことりがはやす
    かわりばんごの てまりつき


    あかいゆうひの まりつきごっこ
    よいのみょうじょう ひかっているよ
    トントン トントン トントン トントン
    きょうはこれまで おうちへかえろ
    いしのじぞさん またあした


    1961、7、28



14. (歌謡)好きなメロンちゃん

     深山 旅愁 

    メロンちゃん と 呼んだらネ
    なにも下むく ことないヨ
    好きな 好きな メロンちゃん
    君は懐(な)つこい 目をしてる
    ……とても好きなのサ

    僕にだっこを させてよナ ナア
    メロンちゃん と 呼ぶのはネ
    君がメロンの ようだから
    好きな 好きな メロンちゃん
    君は甘ぽく 匂ってる
    ……とても好きなのサ

    僕に夢を みさせてナ ナア
    メロンちゃん と 呼んだらネ
    きまり悪がる ことないヨ
    好きな 好きな メロンちゃん
    君は可愛い 顔してる
    ……とても好きなのサ

    僕にほおずり させてよナ ナア

    1962、10、14



15. 質問箱:しぼり難いときは?

     問
     冬になるとケールの青汁はとてもしぼりにくくなるのですが、どうすればよいのでしょうか。?

     答
     冬にはケールの葉の汁気が少くなり、大変ねばって来ます。目の荒い布でしぼって下さい。それでも残るようであれば、中の水でもみ、とかし出すようにして下さい。



コラム紹介

    速にせむと欲するなかれ、
    小利を見ることなかれ、
    速にせんと欲するときは則ち達せず、
    小利を見るときは則ち大事成らず

    (論語)



    信言は美ならず 美言は信あらず
    善者は弁せず 弁する者は善からず
    知者は博からず 博き者は知らず
    (老子)



    邦道あるときは言を危ただ(正)しくし
    行を危ただしくす
    邦道なきときは行を危しくして言は孫(順)う
    (論語)








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