<1962年12月15日発行 第76号> | ||||||||||
目次 | ||||||||||
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1. 青汁に毒はない | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
銀座クッキングスクールの校長清水桂一氏が、「青汁は有毒である」という著書を出され、その新聞広告には、
有名デパートはケールの販売を中止・・・・・・ 青汁はなぜ有毒か・・・・・・・・・ 青汁をのむと危険な人・・・・・・」 1、厚生省と青汁 生野菜は自由に販売できるのですが、これをしぼって汁にすると、法規上からは、清涼飲料の扱いをうけるので、加熱滅菌しなければならなくなります。しかし、それでは青汁の生命を奪うことになるのでそれもできません。そこで厚生省では、生のままの汁である青汁の市販は、取締り上こまるからやめてくれ、というのです。決して、青汁が有毒だからいけない、というのではありません。それどころか、厚生当局でも、青汁そのものは、大変結構なものだ。国民栄養の改善の上からも、大いに奨励したい、といっているほどなのです。 2、デパートのケール これも、ケールが有毒だから販売を止めたのではありません。清水氏があの著を書かれたのはこの真夏のことのようですが、そのころは、ちょうどケールが一年中でいちばん少い時です。青汁用のケールは年中なければならず、そのように計画栽培するのですが、真夏は天候の関係上とかく不足がち。わけても今年は、あのひどい旱天で、いっそう材料難が甚しかったため、デパートには姿をみせなくなったまでのことです。そして、事実はまるで反対で、今や全国的に、青汁用ケールを扱っているデパートは、しだいにその数を増しつつあります。 3、ケールのこと 清水氏は「ケールは有毒」と直感されたそうですが、決して有毒菜ではありません。ケールはキャベツの原種で、これからキャベツもカリフラワー(花椰菜)もブロッコリーもハボタンもできたのです。南欧の原産で、古くから広く知られており、すぐれた食用および飼料用野菜として愛用されているもの。その成分のよいことは欧米の栄養学書をみれば、はっきりわかります。 4、青汁のこと 青汁の材料には毒のあるものは一切使用しません。そして、ケールその他の材料野菜の栽培にあたっては、堆肥・緑肥を主とし、下肥も農薬も使わないのですから、市販の一般野菜よりもはるかに安全ですし、成分的にもすぐれています。野草や木の葉も同じで、無毒性であることの確かなもの以外は用いません。その上、危険な洗剤類もつかわないのですから、どう考えてみても、そのしぼり汁が有毒である筈がありません。 清水氏は、小松菜の青汁を金魚鉢に入れると金魚が死ぬ、という実験をあげ、青汁の有毒な根拠とされています。しかし、それは、材料に農薬がかかっていたか、あるいは洗剤をつかって洗ったものの汁であったかも知れません。もし、そうでないとしても、金魚は毒にあたって死んだのではなくて、窒息したのかも知れません(すりつぶした菜っ葉も、生きている細胞が沢山あって、呼吸していますから、しだいに水の中の酸素が欠乏して来ます)。 なお私どもの経験では、瀕死の金魚が青汁で蘇きかえっています。また清水氏は、青汁にはアクがあるから、味がまずいから、においが悪いから、分量が多すぎるから、いちどにガブ飲みするから有毒だ、ともいわれていますが、これも理解しかねます。しかしたとえ有毒としても、それは飲み方の工夫で解決することです。 5、十年も飲んだら 青汁は有毒だから、一時的には病気にもきく。しかしながくつづけてはいけない。「十年もつづけたら、その効果は、そのとき、はっきりあらわれる」として、「きっと、どこか悪くなるし、老化する」ともいわれていますが、論よりは証拠です。私の周囲には、もう十年以上愛用している方もずい分ありますが(私や家内はかれこれ二十年ちかくなる)、みんないたって健康、老化の進行はとまり、あるいは若返り、元気ハツラツとして、疲れ知らぬ日々を楽しんでいます。また、幼児からのんでいる若者たちは、人なみ以上立派な体格と健康と頭脳を享受しています。もちろん、青汁だけのために健康を害したり、ふけこんだりしたものは一人もありません。 6、青汁の危険な人 また、「青汁をのむと危険な人」として27頁目があげてありますが、私どもの経験からすれば、それらの人々こそ、とくに青汁の必要な人たちです。 もちろん、この私どもの主張と清水氏の説の、いずれを信じられるかは、みなさんのご自由ですし、はたして、そのいずれが本当に正しいかは、ただ神さまだけしかご存じないことです。けれども、この点に関する一つの示唆として「青草を生で食べている動物と、何でも調理して食べている人間と、どちらが真に健康であるか」ということについて篤とお考えねがいたいと思います。 清水氏のネライがどこにあるかは、あの著を通読すればすぐにうなづけることですが、要するに、私どもがすすめているような、良質で安全(清浄無毒)な菜っ葉を生で食べることや、そのしぼり汁をのむことには、少しも懸念すべきところはないと、私は断言して少しも憚りません。そして、だれに何といわれようと、私どもは、私どもの信念にしたがって、今まで通りつづけて行きますし、人々にもすすめて行くつもりです。 おことわり 11月号講座「胃潰瘍」の続篇は来(正)月号にのせます。 | ||||||||||
2. 入院雜感(中) | ||||||||||
前号参照 | ||||||||||
友成 左近
病人に、正しい食事の工夫が少ない | ||||||||||
(つづく) | ||||||||||
3. ホウレン草と結石の問題(1)―特にその体験と古典による考察― | ||||||||||
千葉大学教授 S.S.
はじめに
と、ホウレン草が結石を作ると云うようなことは問題とするにたらない、非科学的なものだと批評しておる。はたしてその通りであるかどうか、又ホウレン草は一般に信じられておる程に推賞すべき野菜であるかどうか、私の体験を述べ、更に興味ある記載を本草学に関する2、3の古典に発見する事が出来たので、専門外ではあるが、吾々の常食としておるホウレン草に対して認識を改める上に多少なりと参考になる処があればと、ここにペンをとった次第である。 私の体験 既に1年余りも前のことであるが、私は着色野菜をと云うわけで、当時毎日のようにホウレン草を食べていた。油で軽くいため、或いは僅かに火に当てるだけで、時には朝夕食べる事もあり、而もそれを相当期間続けた。1、2ヵ月と云うものは特にしばしば食べた。それ程ホウレン草は良い野菜と信じていたわけである。然るにその頃原因と思われるものも無く、突然に放尿時に軽い放散痛が現われ、約1週間経過を見たが一こうに治らない。やむなく泌尿器科の御世話になり、診断は膀胱結石、然し未だ小さいようであるからと、空腹時に大量の水を一度に飲むことを指示され、幸いに手術など受けることもなく排出されたわけであるが、当時は結石の原因如何と考えてもみず、勿論思い当ることも無く過ぎてしまった。 又私はその頃常に軟便ないし下痢に近く、腹痛も無く食欲も普通であった為め、特に内科的検査も受けなかったが、快便と云う日は少なく、その原因の不明なる儘に、その度毎に下痢止めを服用したりしていたが、朝と午後と2回の下痢には再三悩まされたものであった。然しそれも後で述べるようにホウレン草をやめるようになって、いつとなしに忘れたように治ってしまったのである。 さて偶然のことであったが、飼っておるチャボがホウレン草をどうしても食べようとしない事に気付いたのは、膀胱結石の事があってからしばらくしてからの事であった。私は一つの疑問を覚え、あの菜っ葉ずきのニワトリが食べないとは実にふしぎである、何か理由でも有るのではないかと考え、急にホウレン草を敬遠しはじめたわけである。 その後ホウレン草は結石を作り易いと云う記事を某誌上で見るに及んで、急に思い出したのが自分の膀胱結石の原因は、ホウレン草の食べ過ぎにあったのではないかという事である。勿論私の膀胱結石の原因がホウレン草であったと断定を下すものではない。然し他に思い当る原因も無い場合、蓚酸を多く含み従って蓚酸カルシュームの結石を作り易いと云うホウレン草を、比較的長期に亘って、それも殆んど毎日のように、しかもゆでこぼす事もなく食べていた事実を考える時、一応ホウレン草をその原因に考えることは許されるであろうと思うのである。 その後ホウレン草に対する私の関心が一段と大きくなった事は申すまでもない。即ちチャボはゆでたホウレン草もなかなか食べない。なかんずく、葉の部分は最後まで残すことを知ったのも最近のことであるが、興味の有るが儘に、私は私の経験を友人に話してホウレン草に就いての何等かの知識を得ようと努力した。その一人の曰く、ホウレン草は産後の婦人が食べると血を荒らすと云って昔から嫌うものであると。又他の一人は、昔ホウレン草のシボリ汁は堕胎に用いた程であると云う。更にホウレン草には他の菜につくような虫も着かない。或いは小鳥にやると死ぬと云う点など、すべて近頃知り得たものであるが、何れにしてもホウレン草は、はたして推賞するに値いする野菜であるかどうか、頗る疑問を抱くに至ったわけである。 | ||||||||||
(以下次号) | ||||||||||
4. さしもの胃病も | ||||||||||
久米郡 K.Y.
私は遠藤先生の川向うの今は久米郡柵原町飯岡で柵原鉱山従業員。 (36・5・6)
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5. ニキビがとれた | ||||||||||
東京都 T.K.
今月5日より、毎日1合づつ飲んで居りますが、尿がきれいになり、大変気持よくなりました。また、17才の長女は、12、3日で、額のニキビがきれいに治りました。 | ||||||||||
6. 貧血治る | ||||||||||
福岡県 T.H.
今年5月頃から青汁を実行に移しましたところ、長い間貧血と心臓の動きに苦しんでいました私も、7月ごろからぴったり止み、健康状態も大変よくなりました。 | ||||||||||
7. 糖尿病よさらば | ||||||||||
高知市 H.M.
糖尿病が全快いたしました。昨年の10月から7ヶ月青汁を毎日1合づつのみました。3ヶ月ごろから、しだいに効果があらわれ、本日の白糖尿糖検査で、完全に糖尿病に別れをつげました。勿論一生のみ続けます。私は40才です。「人生40から」と申します。も一度若返ってみましょう。 (37・4・27)
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8. このよろこび | ||||||||||
神奈川県 S.Y.
年老し母の白髪のその多くこたつ囲みて師走風聞く | ||||||||||
9. 今になって | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
この一年も この一日も (33・12) | ||||||||||
10. 質問箱:キャベツ療法 | ||||||||||
以前参照 | ||||||||||
新居浜市 I.W.
問 | ||||||||||
以降参照 | ||||||||||
コラム紹介 | ||||||||||
冷眼にて人を観、 (菜根譚)
盡く書を信ぜば、則ち書なきに如かず (孟子)
故を温めて新を知る 以て師と為すべし (論語)
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