健康と青汁タイトル小 <1959年6月15日発行 第34号>
 目次




1. ウ齒を防ぐには

     医学博士 遠藤 仁郎 

     6月はムシ歯予防の月です。現在歯の悪いものが大変多く、ことに子供のウ歯は小学校の上級生では90%をこしている所も少くない有様で、全国平均でも70〜80%といいます。

     ウ歯の原因には、

       歯の質 − 抵抗力のよわい歯、
      歯の環境 − ウ蝕を促がす口腔の条件

    とが考えられます。

    (1)歯の質
     歯の抵抗力の強弱は歯の発生するまでの栄養で決まり、その後は一生涯変らぬものだといいます。
     つまり、乳歯では歯のきざし始める胎生期の、永久歯では幼児期の栄養できまってしまうわけです。
     従って、母親の食べ方が間違っておれば、生れる子の歯の質は悪いし、幼少児の栄養が正しくなければ、順次にはえる永久歯がよわくなります。

    (2)歯のおかれる環境
     しかし、いかに強い歯でも、その歯のある環境がよくなければウ蝕をうけるし、たとえ弱い歯でも、環境の条件がよければかかりません。
     この歯のおかれる環境、つまり口腔の条件には、ウ蝕の直接原因であるバイ菌と、その栄養分になる食物残渣(糖質ことに粘着性の糖分)とが問題になります。
     そこで、ともかく原因になるバイ菌を殺してしまえと、殺菌力のあるうがい薬や歯磨粉をつかうことや、念入りに歯を磨く運動などが、口腔衛生としてやかましくいわれます。
     しかし、いかに強力な殺菌剤を使ってみても、開放された口のこと、バイ菌は後から後からはいって来ます。
     また皮肉なことに、ウ歯は毎朝いや毎朝毎晩ていねいに歯を磨いている所謂衛生家の家庭には多いのに、ろくろく歯ブラシも使わぬといったものには、却って少いものです。

     実際ウ歯が文化生活者に多く、原始生活者に少いことはよく知られています。これは、おそらく
    • 文化生活者の食には加工食品や糖分が多く結果的に不完全食になっており、また繊維に乏しく咀嚼運動の乏しいこと。
    • 原始生活者には自然食が多く、糖分が少く、全体的に比較的完全食になっており、繊維にとんで咀嚼運動も充分なこと、
     にあると思われます。

     だいたいウ歯は栄養が完全であれば出来にくいようですが、ウ蝕と栄養との関係については、専門学者の間でも、まだ解明されねばならぬ多くのことがらが残っているようです。
     たとえば、歯の発生にはビタミンA・C・Dやカルシウムがふかい関係をもっており、それらが不足すれば完全な歯の出来ないことはよくわかっています。
     しかしウ蝕については、Dとカルシウムの欠乏の影響だけは明になっていますが、AやCについてはまだ充分けんきゅうされていないそうです。
     またウ蝕が加工食で多く自然食で少いことも事実ですが、それが何によって来るのかハッキリしておらず何がまだ科学的につかめていないものがあるらしいといわれています。

     今一つ、歯のおかれる環境の条件は、口腔液つまり唾液の性質ですが、これまた栄養の適否いかんによって変化し、バイ菌の繁殖にか、歯の防衛力にかに影響して、ウ蝕にも関係すると思われます。
     ともかく、完全食ことに自然食にウ蝕を防ぐ効果のあることは疑いがないようです。

       そこで、歯を強くしウ蝕を防ぐためには、歯のまだはえぬうちからなるべく完全な栄養をとること、
       そして一旦歯がはえた後は(もはや歯の質を変えることは出来ぬのですから)歯のおかれる環境つまり口腔の条件をよくすることが肝要です。

     そのため、歯の発生前はもとより、その後にもなるべく加工度の少い自然食からなる完全食をとること、糖質とくに粘着性の糖分をさけ、野菜果物を多くとること。
     まず妊娠中から授乳期の母親の食べ方を正し、緑葉食青汁を中心とする完全食にすること。
     離乳後もつとめて同様の完全食をとり、糖分に注意すれば、母親の歯の悪くなることもないし子供には抵抗力の強い質のよい歯がはえウ蝕される心配も少なくなります。
     乳歯のはえ始めた子供にも同様の完全栄養を与えれば、はえた歯の質は変らぬとしても、その後に出る歯の質はよくなり、少くとも口腔の条件だけでも有利に保つことが出来ます。
     幼少児も同じで、乳歯はともかく、ぬけ変る永久歯は充分丈夫な歯にすることが出来ます。
     またすでに永久歯の出そろったものも、つとめて上述のような自然食完全食をとっておれば、そうそうウ蝕されるものではありません。



2. 食費にムダは?(下)
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     友成 左近 

     第三に、冠婚葬祭、外食その他の御馳走について考えてみましょう。平素は節約しても、時には御馳走を食べたいのは人情というものです。
     けれども、タマの御馳走は、少々楽しいものではあっても、栄養素としては、意外に身につかないものです。
     だいたい、消化吸収という生理活動には、「なれ」というものがあります。
     なれない御馳走は、胃腸を素通りし易く消化吸収されにくいものです。それだけでなく、胃腸や気分を害することもあります。考えてみれば、少々ムダなことです。時たまの御馳走はやはりホドホドにしてこの金を平素の食事にまわすように工夫したいものです。

     ○ 

     第四に、間食その他の嗜好飲食について考えてみましょう。裕福な家庭でも、貧乏な家庭でも、この費用はバカになりません。
     発育盛りの子供には、どうしても間食が必要です。成人でも、間食は、気分転換に役立ちます。けれども、子供でも成人でも、よく気をつけて工夫しないと、栄養と健康の妨げとなることも起ります。
     三度の食事の他に、間食がほしいのは、それが、おいしくもあり、気分転換にもよい、ということもさることながら、生きた体が生理的にも要求するからです。生きた体が要求する栄養素というものは、大別すれば、糖質、脂質、蛋白質などの熱量素と、蛋白質、無機質などの構成素と、ビタミン、無機質、蛋白質などの代謝素です。
     自動車にたとえれば、ガソリンと車台部品と潤滑油のようなものです。このうち、どれが欠けても、自動車はうまく動かないように、生きた体も、こうした栄養素が、よく調和して、もれなくととのっていなければ、栄養と健康が十分保てません。
     そこで、生きた体は、三度の食事でこうした数々の栄養素が、もれなく十分に充たされないと、なにかしら、むしょうに飲食したくなるものです。そして、これが、体が本当に要求しているものでなければ、いくら飲食しても、なんとなくもの足りないものです。
     アマイお菓子がヤタラにほしいのは、このよい例です。
     白米飯を沢山とって熱量素は十分あるのに、さらに熱量素をとり入れているわけです。
     部品や潤滑油がほしいのに、ガソリンをヤタラに注ぎこんでいるようなものです。
     全くムダなこと、荷厄介なことです。
     ところが、三度の食事で生きた体が本当に必要とするものを十分に補っておれば、間食は、そう、むしょうには、ほしくならないものです。今日、どことも、とくに不足しがちなものは無機質とビタミン類を豊富に含んでいる青野菜です。
     このため、青汁を、日に200cc(1合)ほど飲んでいると、発育盛りの子供でも、いつしか、お菓子などを、そうほしがらなくなってきます。
     清浄青野菜を買って200ccの青汁を作るには10円とかかりません。
     毎日ほしがるお菓子の代金は、どれ位でしょうか。しかも、これは、発育と健康にそう役立ってはいないというわけです。
     といって、三度の食事の他に、成人でも、子供はなおさら、気分転換その他に間食は、やはりほしいものです。
     であれば、間食は、三度の食事に不足し易い栄養素を含んでおり、しかも消化し易いようなもの、例えば牛乳、果物、芋、豆菓子などにしたいものです。

     ○ 

     その他、季節はずれの高価なものではなく、季節のシュンの安いものを買う、といった買物の仕方、煮すぎないとか、煮汁をすてないとか、廃棄量を少くするといった調理の仕方、よくかんで食べるとか、規則正しく食事をとるとか、こころよい雰囲気で楽しく食べる、といった食事の仕方、こうした点についても、よく工夫すれば、それだけ食事が栄養と健康に役立ち、おいしくもいただけ、しかも、実質的には食費もそれだけ少くなるわけです。
    (59・2・23)



3. 保健と体操(4)
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     貝原 邦夫 

    1. (イ) 体の力を抜いて踵の上にお尻を軽くのせ、八呼間バネのようにとんとんとはずみをつける(踵は少しはなれる、もも、ひざ、足首、足指の関節の力を抜いて)
      (ロ) 手ですねの上を後に押しつけるよう、ひたいもすねにぶつけるよう反動をつかって八呼間おじぎをする(ひざをまげないよう注意する。ひざの後が痛いのが上手)

    2. 両脚を開き手を後に軽く組む(肩が安定する)くびを出来るだけ深く左右に屈げる、次に前に屈げ左から右に大きく廻し反対に右から左に廻す(首がポキポキ音がするのが理想)
    3. 両脚は開いたまま体のふりを利用して数回強く前に屈げる(ひざは屈げないで痛いのがよい)次に手をお尻にあてて前につき出し頭からゆっくり後に屈げる(鼻がおへその線より下に下がるのが理想的)
    4. 両脚は開いたまま片手を上に挙げ、手で押さえつけるよう強く体を横に屈げる反対の手は図のようにしても体側のままでもよい(体を前に倒さないよう正面を見たままで行う)

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4. (随想)生きていた鼓動(12)
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     K.I. 

     集団レ線写真に異状を発見され、大写しレ線写真で空洞を確認出来た――1950年夏頃から、K・C・Hのレントゲン科で診察を受けながらパス服用で、自宅での静養1年程してから、入院手術を受ける外に早く再起の途はない事を知らされた。
     内心沼底であがいていた私の絶望的な苦悩の日とくらべますと、1955年−1956年と経過した現在では、打って変って、健康を取もどした姿は大きなひらきを見せました。
     手術をした当時はまったく上にあがらなかった腕も、年を送るにしたがって、あがるようになって来ましたし井戸のツルベを幾回かつづけて汲んでも、また、身の廻りの物を洗濯しても、疲れない迄になりました。
     有難たいことだと感謝して居ます。しかし退院してしばらくの間を定期的に外科で診察を受けて居ました頃、外科医長がお話しになった事項は、いまも健康保持の座右の銘にしています。

     “一度こわれた傷の有る身体だから、決して無理をしないよう。一時的に無理があったと思えるあとは、充分な休憩を肉体にあたえること、あまり過度な体の使い方をしていると、生命も短い、無理しないで大切に使えば、まだまだ生きてゆけもするのだから”
     ざっと以上の様な親切な、あたたかい言葉です。私はこれを守って居ます。
     これから先も“喉元すぎればあつさを忘れる”そんなことをして、馬鹿な結果はみたくなく思います。

      静かな静かな夜です

      こころを落ち付けようとして
      仰いだ空 暗い海のそこに
      音をたてないで またたく 星 星

      そうでしたよ
      かすかに揺れている白?の
      あの心もとない?のように
      私の思をすっぽり包むものは
      生か 死かの その境です

      白いベッドのこの上では
      すでに 幾人かが昇天したことでしょう
      いま 私はそれらの冷たい魂の群を
      連想の中で 自分の病体とおきかえて
      みぶるいしています

      そうですよ
      悲想な決意でうけた手術
      骨を切り取った胸廓は
      刻々とせばみ初めています
      圧迫が 呼吸を苦しくします

      唯々生あれよと
      それをのみ祈るので力いっぱいです
      絶対安静のままで
      ほのぐらい深夜の電灯へ
      瞼の裏をぬらしています

      幅いくセンチかづつを
      肋骨を拾本切り取っ事実は
      私が昇天したのちも
      この事実をしっている人の耳からは
      消えてゆかないでしょう

      意識はもとにかえり
      明るい朝が訪づれました
      不思議にも 明るい気持です
      生きていたんだよ
      ――プルスはこう言ってくれました

      思いますと そうでしたよ
      不安と ともするとおそう苦悩との
      長い病室での療養生活です

      病室が静かになって
      窓の外が暗くなると 星 星 星
      星が 夢でもあり 涙でもありして
      やりきれないのです

      ――あの絶望的な沼から
      私は 息たえだえに這い出て来ました
      おそろしい日々を支えた
      忍耐の 涙ぐましい記録のあとの
      けうこの頃の歩みに
      星は ささやいてくれます

      慈母のように やさしく
      “無理するでないよ
      無理しちゃ駄目よ
      無理をしては・・・・・・”


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5. 變化のある運動

    兵庫県香住町 K.T. 

     筋肉だけでなしに、筋肉と、栄養を補給する機関と全身をして長時間の努力に堪えしめる機関とを、併せて強化しようと欲するなら、典型的スポーツよりも、もっと変化のある運動が必要で、我々の祖先が原始生活の日毎の必要からやっていたようなのが、この意味での運動である。
     大学で教えられているような、専門化せられた体育では、真に抵抗力のある人間を鍛え出すわけにはいかない。
     筋肉、血管、心臓、肺、脳髄、脊髄などを含む諸系統、つまり生体の全部を活動させることが必要で、凹凸のはげしい地面を駆けまわったり、山坂を登ったり角力をとったり、泳ぎをしたり、森の中や田畑で働いたりし、同時に風雨寒暑の笞にさらされ、或は種々の厳酷な生活方法を守っていると、筋肉と骨格とあらゆる器官と精神とが美しく調的に発達するものである。

    (カレル著、桜沢如一訳 人間)



6. 青汁のききめ

    医学博士 N.A. 

     私は眼科であるが、眼底出血に柿の葉が卓効ある旨を毎日新聞の学芸欄で見たのは5年前の秋であったろうか。
     当時は半信半疑所か疑い八分の気持で庄司先生(前東大教授)を通して筆者の生井氏(今春より九大教授)に伺った所、生井先生から実に詳しい御教示があり、同時に遠藤先生の御本を恵送されたのが発端である。
     暫く放り出して居たのを白井雄作氏が早速実行され、逆に私にしきりにすすめ、昨年は白井さんの尽力で遠藤先生とここ本州の北端でお目にかかる喜びを味い、今では心から青汁信者になって、自分は3年位、今年に入ってからは一家全部が愛飲し、身体の調子もよく、かなりの無理もきき、高校の息子達も勉強の能率が上がると云っており吹出ものも出ない様である。
     眼ばしや眼の疲れ(まばたきが多い、しぶい、眩しい等)眼底出血、動脈硬化症、近視の進み易い子供等必ずと云ってよい位、食生活に欠陥がある。
     近頃の子供は糖分の摂り方が概して多く、野菜を食べないのが多い。こう云うのは厳重に注意する。
     特に乳幼児の離乳期以後に母親が十分に栄養の智識を持って、子供に青いものをどうしたらうまく食べさせられるか、野菜が好きになるのも嫌いになるのも、この頃の癖の付け方ひとつだからとよく説いて聞かせる事にしている。
     お蔭で口のわるいのからガエダカ(当地方の古い方言で毛虫)先生(葉っぱを食べる意)と云はれてる次第である。
     青汁をのんでると食慾も旺盛で通じもよく、この分では当分死ぬ心配はいらぬ様である。

    (青森市)



7. パスと青汁

    青森県 K,A. 

     副作用まけして、10グラムのパスを、0.3グラム飲んでも、胃が悪く、困っておりましたが、青汁を飲みだし、今は10グラム飲んでも平気です。

    (34・4・22付通信)



8. とび立つ程のよろこび

    東京都 I.K. 

     このたびは全く青汁のお蔭様で、主人の腎臓はもとより、私はながい間、慢性の内臓下垂ならびに胃炎という、まことにゴウショウの病気で20年近く苦しみぬいて、名医はもとより、筆舌につくせぬ乱費をいたし、ついに信仰におすがりをいたすまでになりました。
     そのような時にこの青汁を一生懸命のみましたところ、苦しい痛み、お腹のやけるのも殆んど治り、大変血色もよくなり、みなさんからもほめられるようになりました。
     それに大変便通はよく、主人も腎臓は快復し、血色も順調、全くとびたつ程のよろこびを感じました。
     今までは気分的にもものぐさになりましたが、これも治りました。

    (34・3・17通信より)



9. もっと健康に

    須磨 S.N. 

     お蔭様で体の方も大変良好で、目下十七貫を超えるデブとなり、毎日巨体を持て余して病院の中をうろうろして居りますが、「規則正しい生活をすれば退院してもよいでしょう」と主治医にも言われましたので、夏中居りまして9月末には退院する心積りでございます。
     青汁党も随分ふえまして病院の方も青汁をする時に限りミキサー使用してもよいということになりました。
     しかし私は相変らず摺鉢で致して居ります。此の頃では、何かの都合で出来なかった日は気分が悪いようになって参りました。
     退院したら今よりもっともっと沢山青汁を続けたら、もっともっと健康体になれるという信念を持つことが出来るようになりました。

    (33・6・26附西川慶治宛通信より)



10. 下痢にはバター

    高梁市 Y.G. 

     下痢をしたとき青汁とバターを食べると不思議なくらい誠によく効くので有がたいことだと感謝しています。

    (33・12・15日付通信)



11. 質問箱 ミキサーでつくった青汁は

    勝山町 K.H 


     ミキサーでつくった青汁はビタミンCが失われると聞きますが、そうでしょうか。
     ミキサーよりもスリ鉢の方がよろしいようですが、そのわけをお教えいただき度。



     ミキサーではCのこわれ方がひどい様です。
     しかしかける時間が問題で、2分位では殆どこわれぬという実験もあります。
     スリ鉢がよいのは、漢薬を煎ずるのに焼物を好むのと同じ理窟かと思います。
     金気があってもよくないようです。



コラム紹介

    菓子は子供を食う妖魔







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