癌とナッパ・青汁食
    癌とナッパ・青汁食タイトル
    はじめに

     難病中の難病といわれる癌。できることなら、かかりたくない。これだけ進んだ医学でも、発癌物にとりかこまれている現在。いまだに、適確な予防法はなく、かかったら、なるべく早く見つけ出して根こそぎ切りとってしまうこと。とされているが、これとて、うまく成功するのは、ごく初期の小さくて数の少ない間だけ。大きくなっていたり多くなっていれば、強力な放射線や抗癌剤の力をかるなどいろいろ手をつくしても、中々むつかしいことはよく知られているとおり。< 遠藤仁郎 >

    以下に続く………

目次


1-1 癌とナッパ・青汁食

     それがなんと、ほかの難病の場合と同様、ナッパ・青汁食(イモ・マメ・ナッパ・青汁食)を熱心にやっていると、どうやらめったにかからないようだし、存外、悪性度が軽く、進行が遅い。
     手術しても、出血や痛みが少なく、術後の疲労や発熱もないか、少なく、再発も少ない。放射線や抗癌剤の治療にみられる厄介な副作用も少ないか、ほとんど無い。また、すでに移転があり、とても永くはなかろうと思われたのが、5年、10年はおろか、20年もそれ以上も、何事も無く元気に生きている例。青汁を飲んでいる間は良かったが、やめると急速に悪化したり、再発する例。あるいは、手術不能とされ、放射線や抗癌剤でしか治療できない全身性多発性の癌。たとえば、悪性リンパ腫や白血病などにも著効がある。しかも、ナッパ1.2kg〜1.5kg(青汁5合〜6合)以上と、徹底的にやると、多ければ多いほど効果が大きいといった事実がある。

     これはおそらく、ナッパ・青汁食によって、現在一般の不自然、不合理きわまる不完全食が改善され、この食のあやまりのために、にごり切っていた血がきれいになり、おとろえ、弱っていたからだ中の働きがよくなり、健康力、生命力がもりあがって、細胞の癌化に抵抗する力(抗癌能)や、変性細胞を捕捉・殲滅(せんめつ)し、そのバツコを防ぐ全身の力(免癌能)が強められるからであろう。
     また、も一つには、この食改善の中心になっている良質ナッパに多いビタミンやミネラル、繊維などによる毒消し効果もあずかっているだろう。
     すなわち、ビタミンA・B・C・Eには制癌能(癌化抑制)があること。
     カルシウムや痕跡ミネラルには癌原物の生成を妨げる作用のあること。
     繊維には、癌原物を吸着し、とり除く能力があること、などが知られているが、徹底したナッパ・青汁食には、さらに広くすべての有害物にたいし、神秘的ともいうべき強力な解毒能“自然の力”があると想像され(拙著 ナッパ・青汁食概説 参照)、この“自然の力”によって、発癌物自体、あるいは発癌性代謝産物が、分解され解毒されるのではあるまいか。

     つまり、ナッパ・青汁食では、
     ただ、浄血による抗癌力の強化だけでなく、癌毒性の解毒も加わって、制癌能、抗癌能がたかめられ、強められると考えられないだろうか。もちろん、これは科学性に乏しい単なる臆説、仮説。例によっての“なんでもナッパ・青汁居士”のたわごとと、笑ってしまわれればそれまでだが、少なくとも上述の治療効果はこれを実証するに十分な事実で、その意義は無視されるべきではあるまい。
     癌の予防・治療の一法として、あえて推奨する所以だ。
     それにたとえ無効だとしても、多くの治療法にみられる、このましからぬ副作用は絶対にないから、ともかく熱心に徹底的にやってみるべきだろう。
     勿論そのために大切なことは、安全良質ナッパ・青汁の十分な量を、根気よくとりつづけ、たとえ小康が得られても、減量したり、中止しないこと。それは、青汁によって折角もり上ってきた抵抗能(抗癌力)が減量あるいは中止によっておとろえてくると、それに乗じて癌の活動がぶりかえし、病状が再び悪化してくる。しかし、それにたいし一旦落ちこんだ抵抗力はにわかに挽回しがたいため、癌は急速に進行するおそれがないではないからだ。


1-2 癌がこわい

     50才の主婦。
     「七年まえ子宮癌で手術。三年まえ十二指腸潰瘍。今はとくにどうということはありませんが、また何処かにできるのではないかと、いつもビクビクしています。 どうすれば良いでしょうか。」
     「七年たっていれば、子宮癌は完全に治っているんでしょう。しかし、一度あったことは二度ないとはいえません。癌にしても、潰瘍にしても、結局は、からだの抵抗力に関係することですから、ご心配のとおりいつまた何が出て来ないがものではありません。ところで、子宮の癌には口の方の頸癌と奥の方の体癌とがありますが、どちらでした?」
     「奥の方です。」
     「体癌は肉食に傾いた、いうならば洋風の食事の人に多いといいますが…。
     「その方です。」

     肉食家はどうしても野菜が少なく、いろいろな調味料でこってりと味つけしたおかずになり、菓子、コーヒー、ジュースと、脂肪や砂糖が多く、カロリー、蛋白質がすぎ、それに釣り合わねばならないミネラル・ビタミンが不足した、大変偏った不完全食になりがちです。
     そして、血がにごり ―― 酸性にかたむいたり、代謝が不完全で有害物ができたり ―― からだ中のはたらきが悪くなり、抵抗力を弱め、病気しやすい身体になります。インスタントものなど、加工・保存食品(これらの添加物の中には、発癌性のものも少なくない)が多ければ、なおさらです。そこで子宮癌が出たのでしょうが、同じ条件で乳癌が出やすいといいますし、便秘がちだと大腸癌にもなりやすいようです。
     ですから、是非これをなおすべきでしょう。
     それには、一般的に言って、洋風の美食よりは和風の粗食。そして、食べすぎないよう、ふとらないよう気をつけること。主食は、白いご飯より玄米。パンであれば全穀パン(黒パン)。もっと良いのはイモ類。蛋白原には、肉類よりは魚、ことに全体食べられる小魚類。さらに良いのは大豆もの。それに、ミネラル・ビタミン源として、良質ナッパを主とする野菜・山菜、海藻など十分にそえることです。
     これら野菜・山菜・海藻類、中でも良質ナッパは、栄養のバランスをとるだけでなく、抗癌作用のいわれているビタミン(A・B・C・E)やミネラル(カルシウムその他)に富んだ、もっともすぐれた抗癌食品です。もっとも少々ではダメで、バランスをとるためだけでも、平均的にいっても400g〜500gは必要ですし、抗癌効果を十分にするにはもっと多く、少なくとも1kg〜1.5kg以上。
     しかも、その中の有効成分を効率よく利用するには、なるべく多くを生でよくかんで食べるべきですから、すりつぶして しぼり汁(青汁)を飲むことを私はすすめています。400g〜500gのナッパで約2合(360M)になりますから、せめてそれ以上飲むべきで、多ければ多いほどよろしい。
     なお、食品は、主食品、副食品、調味料、嗜好品ともすべて、できるだけ安全な自然食品をえらび、農薬その他生産用薬や産業廃棄物に汚染されたり、何が添加されているかわからない出来あい食品など、発癌性の疑わしいものはつとめてさけること。適度の運動、十分の休養(睡眠)など日常生活の合理化・自然化につとめ、血の浄化をはかること。
     そして、いたずらに癌の恐怖にとらわれてビクビクせず、こうしていれば大丈夫とおおらかな気持ちでいることが肝要でしょう。      (1983.9)


1-3 まず精診

     46才の女性。
     「ここ数ヶ月来 からだの調子がよくありません。
     どことのう しんどくて、何をする気にもなれません。
     食欲、便通はよろしいし、よく眠れます。痩せもしません。生理が不順で、時々不正出血もありますので、更年期のせいかとも思いますが、青汁はどうでしょうか。」
     「おそらく更年期でしょう。青汁はよいと思います。しかし、出血が少々気がかりです。何よりもまず一度詳しい検査をうけられてはどうですか。」
     「こわいんです。手術はいやですし。
     何もせずにしっかり青汁をやりたいんです。癌にも良いと言うんでしょう?」
     「良いことは確かに良いと信じてはいます。
     しかし、癌だとすると、そして、手術できるんなら、切った方がよろしい。
     まだそれと決まったわけでないんですから、今からあれこれ言うべきでは無いでしょうが、私の立場上無責任なことは言えませんから。
     というのは、更年期だ、更年期だと言ってぐずぐずしていて、大切な時期をなくしてしまうということが、無いではないからです。
     で、そうでないことを確めたうえで、安心して青汁にとり組んでほしいと思います。
     不安を持ちながら飲むよりは、その方がずっと効果的でもあるからです。」
     「検査が嫌なんです。」
     「他のところとちがい婦人科の場合、ただのぞいて見るだけで、痛いことも痒いこともありません。」
     「それでも嫌なんです。」
     「それに青汁だけで治そうというのは、無理ではないにしても中々大変なことで、成功するかも知れないが失敗するかも知れない。
     要は病気とからだの戦ですから、優勢な敵と戦うよりは、少しでも相手の戦力をそいでおくことが戦に勝つコツというものでしょう。
     癌ができること自体、からだに弱点がある証拠ですから、それをそのままにして強敵にあたるのは冒険というもの。
     とれるものはとっておいて ―― 敵の力を弱めておいて、こちらの力をつよめる方が、ずっと条件が有利になりましょう。
     青汁はそのためのものですが、これによって体力・抵抗力を高めるには時間がかかります。
     それにしても、これは、癌かどうか決めてからのことで、いま、かれこれ論議をするのはおかしい。
     ともかく一度よく診てもらわれるようおすすめします。そのうえでも決しておそくはありません。
     青汁はあやまった食による血のにごりのために来ている身体の働きをなおすもので、更年期にも、癌にも、筋腫にもよろしい。
     もちろん、やるほどなら徹底してやる。少なくとも4合(もとのナッパ1kg)以上。5合でも6合でも多いほどよろしい。
     ほかの食べもの全体についても気をつけ、糖分(菓子、ジュース、味つけの砂糖)をひかえ、白米、肉魚の切り身よりはイモ類、大豆ものを多くし、ナッパを主とする野菜・山菜・海藻を十分そえること(イモ・マメ・ナッパ・青汁食)。
     農薬その他危険な生産用薬や添加物に汚染されたものはできるだけさけること。
     また、つとめてからだを動かすこと。いらぬとり越し苦労をしないことなど一般養生法にもつとめることです。      (1984.12)


1-4 甘チョロイことではダメ

     「主人(39才)は昨年6月に早期ガンの手術をしました。
     胃ガンは食生活に問題があるといわれて、“青汁は効く”を読み、青汁スタンドでケールの種子をいただき、9月にまき、10月に移植し、11月よりジュースを飲んでいます。
     ケールだけでは飲みづらいので、リンゴかミカンをベースにして、人参、セロリ−、春菊、ピーマン等をジュースにしています。
     主人は、30才すぎから人間ドックに入り検査をうけておりましたし、全く自覚症がありませんので、信じられぬ思いでした。
     あと半年おそかったらといわれた時は、背すじがぞっとしました。
     胃の2/3を切除しましたが、経過は順調で、24日間の入院。1ヶ月あまりの自宅療養で、会社にもどり、いまは元気に働いております。
     結婚して12年になりますが、主人の実家では野菜をつくり、よく食べ、主人も肉・魚よりは豆・芋類が好きですが、結婚後は野菜が少なかったようです。
     なにかアドバイス頂ければと思いまして…」
     という東京の主婦の方からの手紙。
     「青汁、まことに結構です。しかし、そんな甘チョロイやり方ではダメ。
     果物や、ナッパ以外の野菜がはいると、それだけ薄められます。
     リンゴやニンジンと一緒にジュースにするとビタミンCがこわれます。
     また、これら市販のくだものや野菜には農薬のかかっていないものはありません。
     それもマイナスです。
     ぜひケール一本の純粋の青汁にしてください。
     もっとも、それだけ大量の材料が必要です。
     東京での栽培は大変だし、とても十分のことはできません。
     ご主人の実家に頼んで、うんとつくっておもらいなさい。
     ほかの野菜とちがい、ケールは日もちしますから、かなりの所から送ることができます。(現にここ岡山から東京へ送っています)。
     そして毎日少なくとも4合(もとのケール1kg)以上飲んでください。もっと多ければなおよろしい。
     早期ガンは手術で完全に治るとはいわれていますし、何の自覚症もなく、元気に働いていられるのですから、おそらくご主人もそんな必要はないといわれるかも知れません。
     しかし、油断は禁物です。
     それは、ガンが出たということ、それ自体ただごとではないからです。
     そういう(ガンになりやすい)身体になっていたそのもとは、日常生活のあやまり、ことに食のまちがいが大いに関係しています。(生まれつき遺伝関係ということもないではありませんが)。
     これまでの食生活のあやまりのために血がにごり、健康力・生命力が弱められ、発ガンに抵抗できなくなっていたわけですから、たとえ手術がうまく行き、その後の経過は良いようでも、以前と同じ条件が続くかぎり、いつまた頭をもたげて来ないがものでもありません。
     おそろしいことです。
     ともかく、まず、食のまちがいをあらため、血をきれいにいて、抵抗力をもり上げるようつとめなければなりません。
     実家では野菜が主だったそうですし、ご主人は肉や魚よりは豆や芋がお好きだとのことですから、結婚後いちばん不足していたのは野菜、とくに良質ナッパ類だったのでしょう。
     そこで、カロリー・蛋白質は十分だが、それらが体内でうまく始末されるために必要なミネラル・ビタミンが不足し、血がにごり、知らず知らずのあいだに抵抗力が弱っていた。
     そこへ発ガン物(空気にも水にも食べ物にもいっぱいある)がはたらいて、ついに発病するにいたった、と考えるべきでしょう。
     ですから、再発を防ぐためには、もっとも不足していたナッパを十分補って、栄養のバランスをとり、血をきれいにすべきです。
     しかも、このナッパにはガンを予防するといわれているミネラルやビタミンA・C・Eもすべてそろっています。
    その、もっとも効果的な利用法が青汁ですが、4合というのは純粋の青汁のことで、くだものや、ナッパ以外の野菜がはいれば、飲みよくはなるでしょうが、同じ4合でも、ネウチは大ちがいです。
     ミキサーでつくる場合も同じで、水がはいるだけ薄められますから、同じ4合でも、純粋のものに比べ、ずっと内容は少なくなっています。
     これでは、とても、十分の効果はのぞめません。そんな甘チョロイことではダメだ、といったのはこのことです。味は悪くても純粋のもの。それだけ量が少なくてすみ、かえって飲み良いわけです。
     青汁は、決してジュースやコーラなどのような嗜好飲料ではありません。味わうためのものではなくて、健康のため、病気を防ぐためのもの。したがって、いのちをかけて飲むべきものです。飲みづらいことは確かですが、多少の味なおしをすれば、飲めなくはないし、すぐになれます。
     大切な生命をまもるためには甘えは禁物です。まだお若いのです。永い人生のために、真剣に取り組まれるよう、お祈りします。」      (1985.3)


1-5 潰瘍といわれているので

     40才、農家の主人。十二指腸潰瘍だと思って手術したら胃癌だった。
     かなり大きいキズがあり、リンパ腺に転移ができていた。おそらくそう永くはなかろう、といわれている。  子供はまだ小さいし、何とか助けてやりたいと青汁をすすめているが、本当のことは言えず、本人は潰瘍と信じきっており、なかなか納得してくれない。
     「何とかよい分別はないものか」との相談。
     「農家のことで、元来大飯くい。酒は飲まないが、甘いものが大好き。オカズには肉や魚が多く野菜はあまり食べない。タバコは少々というところ。父親が同じような食べ方をしていたが、これも胃癌で死んでいる。癌はやはり遺伝するんでしょうか。」
     「以前は筋をひくと言い、遺伝がかなりいわれていたが、今では、それよりも日常生活。ことに食べ物との関係が大きいとされ、癌体質を受け継ぐというよりは、あやまった日常生活、ことに食習慣を受け継ぐ、という風に考えられている。
     お宅の場合、遺伝もあるかも知れないが、ずいぶん偏った欠陥食になっており、そのための血のにごりで癌の発生しやすい身体になっていたのではないか。
     そこで、このまま今までの食事を続けていたら、たとえ手術がうまくいったとしても、再発はまぬがれないだろう。まして、転移があればなおさらだ。ぜひ青汁食に徹底すべきだが、なにぶにも、本人がその気にならねば、どうにもならない。
     前にも同じようなケースがあった。
     その方も、もともと美食家で、青汁はあまり好きではなかった。しかし、少しは飲んでいたのだが、それでも潰瘍(癌だったのだが)ができ手術せねばならなくなったというもので、青汁にたいする不信感もあったらしい。
     いくらすすめても、「もうキズはないのだから」と飲まなくなり、食欲のないままに、以前通りか、いっそう美食になり、1年ばかりで、ついになくなってしまった。
     癌だと知らせたら、あるいは心機一転しえたかも知れないが、これはむつかしい問題で、青汁が100%確実かと反問されれば、こちらもタジタジとならざるを得ない。また、真実を明かしたときに受けるショックを思うとそれも躊躇されたわけで、返す返すも残念至極であった。
     お宅のも同じで、今さら本当のことは言えないし、言うべきでもない。あくまで潰瘍として話は進めなければなるまい。
     潰瘍も食養生しだいでは中々治りきらず、しばしば再発すること。また、癌が出てくることもないともいえないから、少しも油断はできないこと。
     そして、それを防ぐにはどうしてもからだの条件をよくする。すなわち、血をきれいにして抵抗力を強化すること。すなわち、青汁を中心とする食改善しかないことをよく説明し、安全のため、後悔しないために、それに徹底しようじゃないかとすすめてほしい。      (1981.3)


1-6 放射線治療後の出血

     金沢から電話。
     「膀胱腫瘍で手術。コバルトをかけました。が、その後も時々出血します。
     国立で精密検査をうけた結果では、コバルトのあとがいたんでいるだけで、腫瘍はない、とのことです。青汁はどうでしょうか。」
     「ぜひしっかり飲んでみてください。
     腫瘍がなかったのは何よりでした。が、放射線の傷も治りにくいものです。
     腫瘍細胞をやっつけると同時に、その近辺の健康な細胞もやられます。
     そして、生命力・健康力がそがれているので、回復はなかなかはかどりません。しかし、そういう傷でも、熱心な青汁中心の食養生で奇蹟的に完治した実例があります。
     その方は、20年も前に大腸に悪性腫瘍ができて手術し、術後の治療として、レントゲンを限界までかけ、かなり広い範囲の火傷ができました。
     “傷ついたら最後、処置なし”とのことなので、ずいぶん気をつけていたのですが、ついに傷がつき、昼夜間断なしの激痛のため、長い間苦しみぬき、堪えきれなくなって切りとってもらいました。
     それで、痛みからは解放されたが、傷は手掌ほどもあり、主治医からは“絶対治らぬぞ”といいわたされました。
     その傷が、食事はイモ・マメ・ナッパ食にし、青汁は毎日5〜6合(もとのナッパ1kg〜1.5kg)以上を熱心に飲みつづけ、2年あまりはかかったが、ついに完全に治癒しました。
     青汁は、栄養のバランスを正しくするために必要な大量の良質ナッパを、とりやすくするための方便で、それによって血をきれいにし、からだの中の働きをよくして、生命力・健康力(抵抗力・回復力)をたかめようというもの。
     ただし、思いきってしっかり飲む事。それを熱心に気ながに続けることが肝要です。
     なお、インスタントものなど出来あいの食品はさけ、なるべく安全なものにすること。
     また、白米飯・白パンよりはイモ類を、肉や魚の切り身よりは小魚、大豆ものを多くし、良質ナッパを主とする野菜・山菜・海藻などを十分そえること(イモ・マメ・ナッパ食)。
     調理は簡単に、味つけはうすく。
     嗜好品、菓子、ジュース、酒、タバコにも十分注意する。
     以上、はなはだ平凡なことばかりですが、ただ傷の治りだけでなく、腫瘍の再発予防にも役立ちますから、ともかく、熱心に徹底されることをおすすめします。」      (1985.5)


1-7 手おくれの癌

     51才の主婦。
     2年前胃潰瘍。昨年10月、胃鏡検査で胃癌をうたがわれ、手術。
     もう腹全体にひろがっており、水がたまりかけていたので、そのままにし、抗癌剤や丸山ワクチンの治療をうけて、この1月中旬退院しましたが、せいぜい2〜3ヶ月だろう、と言われています。
     青汁をすすめられ、顆粒を毎日5袋〜6袋のみ、食事はイモ・マメ・ナッパ食にして、やや好転のきざしがみえかけています。
     しかし、本人は、お米のご飯を食べてないことを大変不安がっています。
     食欲はよろしい。
     家は酒販売をしており、とも稼ぎなので忙しいため、いつも、手のかからない出来あい食品ばかり食べ、肉類が多く、野菜はほとんど食べず、菓子は大好物。
     便秘がちでしたが、青汁をはじめて、快通しだしました。
     そのひどい偏食と出来あい食品依存の食生活が原因だったのでしょう。
     青汁をはじめて、いくらかでも好転のきざしが見えるのでしたら、そして、食欲があるのは、なにより幸いですから、もっと大量、少なくとも10袋〜12袋以上を、熱心に続け、できれば、生の青汁も飲んでほしい。
     その他の食事では、イモ・マメ・ナッパ食がよく、米食はいちばんよくないんですが、本人がそれを不安がられるなら、その精神的の影響も考えなければなりませんから、時々食べてみるのも良いでしょう。
     ただし、白米にはそれを完全にするために3倍のナッパが要る(イモでは半量ですむ)こと。それだけ多く青汁が必要なことを忘れないよう。
     また、肉ものや魚の刺身が、どうしても食べたければ、同様、青汁をそれだけ多く(2倍〜3倍)飲んで、食べ、それで食事がすすみ、体力がつくようなら、それも結構です。
     それにしても、病気が病気。おそらく無駄骨のような気がしないではありませんが、そのようにして、絶望視されていたのが、不思議に立直りを見せた実例も無いではありませんから、飲めさえすれば、食べられさえすれば、望みなきにあらずです。
     ともかく、やれるだけのことはやり、あとは神様におまかせしましょう。
     そして、ひたすら、奇蹟を祈ろうではありませんか。     (1985.1)


1-8 胃癌の再発

     43才の主人。2年前 胃潰瘍の手術。実際は癌になっていたそうです。
     一時よくなっていましたが、最近調子がおかしいので、もとの外科に入院しています。
     病院では何もいわれず、点滴注射などうけています。食欲がなく、しだいにやせ、弱って来るので心配しています。青汁がよいときいたものですから、と相談にみえた。
     「おそらく再発でしょう。
     術後すぐから青汁食を熱心にやって10年以上も元気でいる例は少なくありません。
     けれども、再発してしまったばあい、しかも食事が進まず、体力が衰えかけているという状態では、ちょっと無理であり、効果も望みにくいでしょう。
     ですから、ともかく慎重に経過をみながら飲んでみられることです。
     少しづつからはじめ、しだいにふやし、飲めるだけ飲む。そして、食欲が出てくるようなら儲けものです。
     なお、他の食べ物にも十分気をつけ、できるだけ安全良質のものを選び、農薬その他生産用薬剤や添加物などに汚染されたもの、ことに既製食品、インスタントものは、つとめてさけること。
     また、何分にも青汁はうまくないものですし、少なくとも1日4合(もとのナッパ1kg)以上5合でも6合でも、多いほどよいというものですから、そのため、いよいよ食欲が悪くなり、かえって体力をそこなうことにもなりかねません。
     もっとも、なかった食欲が出てくることもあり、このままでは、もう永くはなかろうといわれていたのが、青汁をのみだして食がすすむようになり、ぐんぐんもちなおし、すっかり元気をとりもどしたという例もないではありません。
     ともかく、青汁を中心とした自然食に徹することが大切です。
     どうせダメなら、むつかしいことはいわず、何でもうまいもの、好きなものを食べさせればよいではないか、ともいわれます。これもたしかに一理はあります。けれど、そういうものには、えてしてタメによくないものが多いのです。
     酒もタバコも同じです。
     人生のたのしみをとりあげてしまうことになるので、残酷のようではありますが、これも病気をなおすためです。
     ほかにこれというよい方法がないとすれば、そうでもしてみるほかありませんし、やってもみずに、いずれダメだろうからとあきらめてしまうべきでもありません。あくまで希望を捨てず、奇蹟を念じ祈りながら、 熱心にやってみる。少しでも好転の兆がみられるなら、いっそ徹底する。もし、効果が出なければ、そのとき断念するというのがとるべき途ではないでしょうか。     (1980.9)


1-9 注腸でもやってみたら?

     「肺癌の末期で、衰弱がひどく、食欲もありません。口から食べられないので鼻腔栄養、点滴栄養をうけています。
     それでも、少しでも長くと思い、なんとか青汁をのませたいのですが……。」
     「いちばん必要なもの。ぜひ飲ましてさしあげたいとは思いますが、少々の分量では効果はのぞめません。口からはいらないとすれば、ちょっと無理でしょう。
     やれることとしては、まず、鼻腔栄養の液の中に混ぜさせてもらえないものか。もし許されれば、せいぜい入れること。適当の濃さにすれば、らくに相当量が入れられます。
     それも不可能なら、最後の手段として注腸。
     お尻から注入するので、10日か2週間くらい。それ以上永くはやれませんが。(腸が過敏になって受け付けなくなります。)
     体温くらいに暖めた青汁を、注腸用のポンプで30M〜50Mを、ゆっくり差します。
     浣腸と同じですから、戻ることもあります。が、出るものは出してしまって、また入れる。適当な間隔を置いて(様子をみながら)繰り返すと、一日中には、かなりの量が入れられます。
    吸収が良いので、なかなか馬鹿にならぬ効果があります。
     ずっと以前、青汁の初期。応召中のこと、5才〜6才の疫痢の女児。意識がなく、かるいヒキツケもあるという危険な状態だったのですが、田甫に密生していたユリのしぼり汁を、一晩中注入してもらいましたところ、翌日には、もう起き上がるといったほど元気になり、そのまま治ってしまいました。
     次に、ここの病院であったことですが、40代の胃癌の末期の女性が、麻薬もきかないほどの痛みに悩まされていました。
     口からは受け付けないので、青汁の注腸をやってみました。
     どれくらい入れたか、忘れてしまいましたが、それで、さしもの痛みもすっかりとれ、大変感謝されました。
     こんな経験もありますから、はたして、どれだけの効果が期待でけるか、それはわかりませんが、他にこれといういい方法もないようですから、ともかくやってごらんになってはいかかでしょう。
                                  (1989.1)



2-1 ホジキン病

     東京からの電話相談。
    「28才の娘ですが、ホジキン病で放射線治療をうけました。それで、リンパ線の腫れはとれましたが、その後の回復が思わしくなく、身体がだるい、と言っていつもゴロゴロ臥せてばかりいます。顔色もよくありません。食欲はありますが、元来ひどい偏食で、西洋風をこのみ、主食はパン。ご飯はあまり食べません。副食は肉類。それも輸入ものばかり。野菜類は一切食べず、果物は多少食べますが、好物はコーヒー・ケーキです。青汁をすすめたいと思いますが。」
    とのこと。

     この病気は、全身のリンパ線が腫れ、熱も出るという癌性の病気の一つ。原因は、おそらく、お話のようなあやまった食生活でしょう。肉類がすぎ、糖分が多いと、血が酸性にかたむき、有害な代謝産物ができやすい上、加工・保存食品に多い添加物の害も加わって、血がにごり、からだの抵抗力がよわり、病気しやすくなっています。
     そこへ、それらに少なくない発癌物がはたらいた結果ではないか、と考えられます。
     そしてまた、放射線治療後の回復がはかばかしくないのも、やはり、原因はあやまった食にあるにそういありません。そこで、ともかくまず、食生活の根本的たてなおしをはかるべきですが、その中心になるものは、

    (1) 今の食事に不足しているミネラル・ビタミンを十分に補給することと、
    (2) できるだけ安全な食品をえらぶこと、とです。

     そのためには、ミネラル・ビタミンのもっとも有力な給源である良質ナッパの大量、少なくとも1日1. 0kg〜1.5kg、青汁にして4〜5〜6合以上のむこと。そして、主食にはパン(米飯よりはよいが、ミネラル・ビタミンは乏しいことは大差はないし、添加物が少なくない)よりもイモ類。肉(獣鳥魚介)類の切り身、ことに加工・保存品は極力さけ、どうしても欲しければ、全体食べられる小魚類。
     「ジャコですか?」
     「安全海域でとれたイリコ、チリメンなどがよい筈なんですが、残念ながら、酸化防止剤がつかわれています。むしろ、新鮮なワカサギなどがよいでしょう。さらによいのは大豆。それも、なるべく国産の安全なもの。納豆、キナコ、煮物、自家製豆乳、豆腐(市販品は安全性に問題があります。)
     それに、良質安全なナッパを主とする野・山菜・海藻などしっかりそえます。(イモ・マメ・ナッパ食)調理は簡単に、味付はうすく。
     また、菓子、コーヒー、ジュースはやめること。今までの通念からすれば、あまりに突飛なことのようですが、今のお嬢さんにとって、これほど適切なものはない。いや、こうするしかないと私は確信しています。
     問題は、それがはたして素直にうけいれられ、実行されるか、どうかです。納得ずくでなければ、いくらはたがさわいでもムダですが、いかがでしょう。」
     さあ、なにぶん我儘ものですから……。」
     「受け入れられればよし、むつかしいようなら、青汁だけを飲むことで妥協し、青汁断食をやってみるのも一法でしょう。
     2〜3日の間、ほかのものは食べず、ただ青汁だけを飲む。
     生の青汁の方がよろしいが、粉末がよければそれでも結構。そして、うまく何がしかの効果が出て、納得がゆくと、後がやりよくなります。
     次の問題は、青汁ですが、さいわい銀座にスタンドがあり、絶対安全・良質の青汁が利用できます。
     いずれにしても大量が必要ですから、畑があればケールをお作りください。」
     「ここにはありませんが埼玉の実家には広い畑があります。」
     「そこでうんと作ってもらって、存分に食べ、飲む事です。」
     「で、どれくらいかかるでしょうか?」
     「それはわかりません。なにぶんむつかしい病気のことですから。
     ともかく持久戦です。
     じっと腰をすえてがんばることが肝腎ですよ。」     (1985.3)


     この方のその後の消息は、残念ながら、不明だが、最近、銀座青汁スタンドの田辺氏から、ナッパ・青汁食による悪性リンパ腫(全身のリンパ腺がはれる悪性の病気の総称で、ホジキン病もその一つ)快癒の朗報がよせられた。

    悪性リンパ腫快癒

     昭和46年7月生まれの男子。昭和58年1月発病、横浜医大病院入院。
     悪性リンパ腫として治療。軽快、退院したが、三月再発、再入院。
     1ヶ月あまり放射線治療をうけていたが治らない病気ときいて退院。
     以来、田辺氏指導のもとに、イモ・マメ・ナッパ食と、大量のケール顆粒飲用に専念。しだいに好転。中学へ進学。2年生ではバレーボールのレギュラーとして活躍するほどの健康体となり、医大の先生から、この難病の再発では、世界中で一人も生存者はいないのですが、元気になってよかったと、ほめられた。ついで高校も元気で卒業。現在は専門学校に、1日も休まず通学している。(1992.2)


2-2 白血病にはどうか

     東京にいる娘から。
    「親しい人のお孫さん、5才。白血病。
     無菌のテント室で、安静治療をせねばならないのだが、今、その空き部屋がない。
     青汁が良いと聞いて、やらせたいと思っているが、イモ・マメ・ナッパ食など詳しい事が知りたいと申されている。」
    と言ってきた。
    そこで、イモ・マメ・ナッパ食というのは、主食には、白米飯よりイモ類を、蛋白食には、肉・魚の切り身よりは、大量もの小魚など。それに、良質ナッパを主とする野菜・山菜、海藻を十分そえ、ナッパの大部分は青汁にして飲む、というので、そのネライは、できるだけ安全な食品による、栄養的によくバランスのとれた完全食にしよう、というもの。
     その中心になるものはナッパで、必要量は、普通400g〜500g。どこか故障があれば、それ以上。ことに難病であれば、少なくとも1.0kg〜1.5kg(青汁にして4合〜5合〜6合)以上。こどもでも、飲めるだけ多い方がよろしい。
     こうしていると、からだ中のはたらきがよくなり、健康力・生命力がもり上り、抗病能、治癒能がたかまって来、難病の癌でさえも、時には、奇蹟的といえるほどの効果があります。

     白血病は血液の癌といわれ、悪性の白血球が増えてくる病気ですが、全身の骨髄がやられるので、ふつうの癌のように外科的手術でとりのぞくわけにゆかず、もっぱら抗癌剤や放射線で治療されます。
     しかし、これらはいずれも、副作用がつよく、病的白血球と同時に、正常の白血球(細菌の感染を防いでいる)や、血小板(出血を防ぐ)もおかされます。
     そのため、感染に対する抵抗力がよわめられ、強力な抗生剤が併用されても、耐性菌やカビなどの感染(致命的の)がおこりやすいし、甚だしい出血のために、直接生命をおびやかされることにもなりかねません。
     で、この治療法の成否はこれら副作用の予防にあるといわれているほどで、無菌室が必要で、あったり、すぐに血小板輸血ができるといった大病院でなければならないのです。
     ところが、ありがたいことに、徹底したナッパ・青汁食では、イモ・マメ・ナッパ・青汁食、あるいは、ただ青汁を十分(1日4合〜6合、もとのナッパ1.0kg〜1.5kg)飲むだけで、そういう厄介な副作用が防がれるという注目すべき事実がありますから、ともかく、熱心にやってみてほしい、と思います。
     そして、もひとつ大事なことは、絶対、中断しないことです。中断して、体調がくずれ、抵抗力、抗癌力が衰えると、それに乗じて病勢はとみに進行して来、折角よくなりかけていたものが頓挫し、病気のとめどない進行を許すことになりかねないからです。」と返事しておいた。

     それから、どれだけたったか忘れていたが、最近、娘から、
    「例の白血病の子供さん、入院もせず、しだいに良くなり、今では、すっかり良くなっていられるそうです。」としらせてくれた。    (1985.12)


2-3 カルチノイド

     名古屋の33才の男性から、「カルチノイドで青汁をすすめられている、どうすればよいか?」との電話。
     とりあえずスタンドを紹介し、少なくともケール1日1kg〜1.5kgくらい、青汁にして5合〜6合は必要。ほかの食事も、イモ・マメ・ナッパ食にし、食べ物はすべて出来るだけ安全なものにするよう、答えておいた。
     カルチノイドという病気は、癌に似ているが少し違う。類癌症。
     症状や経過は癌と同じように、胃腸にでき、周辺に浸潤性にひろがり、また、飛火(転移)もできる悪性腫瘍だが、その細胞に特殊のアミノ酸の代謝産物があり、時には、そのための特異な症状(カルチノイド症群)が出る事もある、というもの。
     原因は勿論わからない。したがって、特別の治療法もない。が、やはり、多くの原因不明の病気のように、食のあやまりによる血のにごりによるものであろう。特殊の、アミノ酸代謝の異常産物がある、という点からすれば、とくに、蛋白質の代謝にかかわりの深いビタミンやミネラルとのバランスに問題があるものであろう。
     いずれにしても、癌と同じく、正しい食を中心とする日常生活の合理化・自然化をはかり、すべての代謝を正しくし、生命力・健康力を強化し、体力・抵抗力をたかめるよう心がけることが大切と考えられる。
     まず、食品はすべて、できるだけ安全なものとし、農薬その他生産用の危険な薬剤や加工用の添加物に汚染されたものはさけること。そして、食全体としてのバランスをよくし、カロリー、とくに蛋白質に対し、ビタミン・ミネラルに十分余裕をもたすべきであろう。
     したがって、蛋白質とくに肉類は鳥獣魚介類とも切身はさけ、全体食できる小雑魚、大豆、ゴマなど主にすること。そして、ビタミン・ミネラルの最優秀源である良質ナッパは少なくとも1kg〜1.5kg以上。多いほどよいこと。その他、主食には白米飯、白パンなどよりはイモ類を多くし、良質ナッパを主とする野菜・山菜、海藻類を十分そえること。
     タバコ・酒類はもとより、糖分も控えること。また、薬品類にも十分注意をはらうこと。その他、日常諸般のことがらについても、癌の場合と同様の注意をおこたらないことだ。     (1989.9)


2-4 癌をたとえれば

     癌は、自分のからだの細胞が変質し、悪性(癌)化することにはじまる。
     「たとえれば、不良少年のようなもんだ」と、大学の病理の講義できいたことがある。つまり、癌とからだの関係は、ちょうど、バツコしようとする青年の不良化・過激化と、それを食い止めようとする治安当局の戦いに似ている。

    悪性(癌)化
     癌を誘発するもの、すなわち発癌(癌原)物質 ─── 科学物質・放射線・ビールスなど ─── や発癌促進物質があり、その刺激によって、細胞に突然変異がおこり、悪性化の糸口ができる。
     それが進行して、しだいに癌化するわけだが、一旦癌化すると、その細胞はとめどなく増加しはじめ、ついに癌腫になる。

    細胞の抵抗力
     しかし、この際、細胞自体に、十分の防衛力があれば、それに抵抗し、そう簡単に悪性化することはあるまいが、何らかの理由で抵抗力・防衛能力が弱くなって(下地ができて)いれば、変質(悪性化)されやすいだろう。
     それは、志操頑固な青年であれば、たとえ誘惑があっても、よくこれをはねかえし、すぐさま不良化することもあるまいが、不平不満を持ち、思想的に不安定であったり、すでにグレかかっていれば、たちまち、過激化・暴力化してしまうようなものだ。

    防衛組織
     からだには、自分のもの(自己)と、そうでないもの(非自己)をみわけ、それを排除しようとする防衛(免疫)組織があり、免疫リンパ球が、その第一線の監視にあたっている。そして、少しでも異常のある細胞ができれば、ただちにそれをキャッチし、その情報を防衛(免疫)組織につたえる。全身の免疫組織は、この情報に応じて活発な防衛活動をはじめ、各種の免疫物質を動員して、異常細胞の排除・殲滅(せんめつ)に全力をそそぎ発病を防ぐ、という仕組になっている。
     しかし、この監視リンパ球や免疫組織の能力に欠陥があって、異常細胞の捕捉がおくれたり、制圧活動が不十分であれば、細胞の悪性化・癌化は無制限に進行することになる。
     それは、不良分子の過激化・暴力化の監視にあたる治安要員、情報網や全国組織のそれに似ており、それらの能力がすぐれており、正確、活発であれば、不良分子はすみやかに摘発され、潰滅されるであろうが、もし、そこに、何らかの欠陥があれば、ついには、全国的にひりがり、手におえなくなってしまうことにたとえられる。

    防衛能低下の素地
     そこで、一般細胞の抵抗力や、全身防衛組織の能力の低下は、発癌の素地をなすものといえるわけだ(素因)が、そういう素地には、生まれついたもの、すなわち、遺伝的、あるいは母胎内で受けるものもあろう ─── 癌に遺伝がいわれ、母胎内でうける薬品や放射線の影響によるものがあるなど。
     また、生後の日常生活の不自然化・不合理化、すなわち、環境の悪化、食養のあやまり(不完全食・有害有毒食品)、喫煙・薬品・放射線の乱用、運動の不足、精神的ストレスなどからまねかれた血のにごりの結果によるものもあろう。
     が、これまた、若者の不良・不隠化の素地や、治安当局の能力の低下が、家庭の崩壊、教育や世相のみだれによる人心の荒廃、道義の頽廃にもとづく、身体的・精神的不健全化にあることにも似ていよう。

    世なおし
     そして、若者の過激化・暴力化を防ぐためには、みだれきり混迷しきっている世相の浄化。つまり、世なおし、すなわち、政界・財界の浄化、福祉の充実、生活の安定、治安の確立、教育や家庭のたて直しをはかり、国民の一人一人が、身体的にも精神的にも健全であることが根本であるように、細胞の悪性(癌)化を防ぐには、発癌物質や促進物質を極力へらし、除外するとともに、箇々の細胞や、全身の防衛組織を強化し、発癌物質の影響をはねかえし、癌化細胞は、これをすみやかに捕捉・制圧・殲滅するに十分な能力を与える事であり、そのためには、環境の浄化、食の自然化(完全化・安全化)、適度の運動、ストレスの解消など、あやまった日常生活のたてなおし、合理化・自然化をはかり、血をきれいにすることが根本であろう。
         (1977.12)





ご意見・ご要望はこちらへクリック
階層リンク 田辺食品 上の階層へ  
 
サービスリンク 更新記録 全体構成 商品紹介 注文方法

Copyright 2011 05 田辺食品株式会社